「新建ハウジング プラスワン3月号」に記事が掲載されました

年連続の黒字経営を誇る地域密着型のリフォームを主体とする
横浜市栄区の住宅街に本社を置くさくら住宅は、創業時から現在ま
と年4回、基本給の6カ月分が一
社員にとって嬉しいのは、夏、
冬に加え中間決算期、期末決算期
2年で独立し工務店で営業マンと
われているから、お客様の満足度
り前。社員は会社から大切だと思
「経営トップとして社員第一主
義を最も重要だと考えるのは当た
万円だったが、その後3回の増資
父社長」の手腕によるところが少
嬉しくて励みになる」という。
「親
員は「社長が叱ってくれることが
は簡単ではない。ある若手男性社
参加している。驚きは5・5%と
員が(持株会でなく)個人株主で
%を筆頭に入社2年目以降の全社
人。自社株はなく、二宮社長の
主数は個人、法人合わせて175
を重ね現在の資本金となった。株
なくない。
ただ、いくら経営方針だといっ
ても 人を超える社員を束ねるの
毎年6月、 横浜のホテルで開催する株主総会。 株主のOB顧客が多数参加する
カイゼン ■
お客様株主制度
いう配当の高さだけでなく、株主
数の実に %(114人)をOB
顧客が占めること。これは増資時
に工事をした顧客に購入案内して
きたため。
「 会 社 は 社 会 的 な 存 在 で あ り、
お客様が株主であることは、会社
040
2015/03 新建ハウジングプラス1
で
工務店だ。経営は「会社は社会の公器だから、1円でも税金を多く
納めることに価値がある」
(二宮生憲社長)の言葉どおり、徹底し
年度先進的なリフォーム事業者表彰を受賞し
て財務情報をオープン化してきた。
「世界に自慢したい会社」と評
価され、経済産業省
社員に回覧。月次の決算資料も全
も親族を排除し、入金情報は日々
理観だ。経営陣だけでなく社員に
公私混同はあり得ない」という倫
は「社会的な公器である会社では
た。独自のビジネスモデルで市場拡大に貢献する「小さな工務店」
を紹介する。
カイゼン ■
売上主義・成果主義
に反旗
社員第一主義を顧客満足に
当たり前の世界。が、さくら住宅
体会議で説明する。
の経営方針は正反対といってもよ
律に支給されること。近年では当
競争の激しいリフォーム産業
では「売上主義」
「実力主義」が
い。まず「社員」を第一に「職人」
たり前になった成果主義ではなく
して経験を積んだ。その実績を認
特徴だ。
「年功序列」を旨としているのが
められて上場建設会社の役員とな
アップに全力を傾ける。結果とし
21
「顧客」
「地域」
「株主(OB客)
」
の「五方良し経営」が柱だ。
った。が、
「経営トップの公私混
てリピート率は %以上を確保で
会社は「社会の公器」
現在、さくら住宅の資本金は9
800万円。設立当初は1500
65
二宮生憲社長は大学の法学部卒
業後、大手ハウスメーカーに就職。
同に限界を感じ退社」(二宮社長)
。
れる」
。二宮社長は自社の仕組み
き、それが再び社員待遇に還元さ
た。
をそう説明する。
2
26
期の現在まで貫いてきたこと
お客様株主制度
2
40
1
歳で現在のさくら住宅を起業し
70
カイゼンプロジェクト
小さな工務店
17
51
18
「社会の公器」である姿勢を一途に
さくら住宅[神奈川県横浜市栄区]
宮社長はいう。
修正することが可能なため」と二
である株主の方々の意見を入れて
が間違った方向へ行ったら消費者
ひとりもいなかった」と二宮社長
「最近、株の評価が高まったこ
とで株分割をして買い戻しを図っ
義を失っていくと考えるからだ。
客に支持されない会社は存在の意
という期待が強い。
て経営をバックアップしてくれる
だけでなく、強力な紹介者になっ
しれない。
というリピート率は当然なのかも
専門性と社員育成
さくら住宅では3年前から大学
の新卒採用を始めた。今春は実に
5人の新人が入社する。大学は出
ても社会人としては一から教えな
と気配り、これをかみ砕いて何度
ければならない。重要なのは礼儀
「社会の役に立つ会社」を理念
に、どんな小さな仕事も「専門性
も繰り返して教えていく。
の方針だ。
同社が請け負うリフォーム工事
は1件 万円以下の工事が %、
上司が見積もりの説明の仕方や、
ほとんどが小口受注だ。
の工事説明ができるようになるま
プする仕組みだ。便器の交換など
レイングしてから送り出すなど、
顧客からの質問の予想をロールプ
小さな工事は手間も人工も掛か
り、割に合わないとリフォーム業
で、約1年はかかるという。
社内全体で新卒者をバックアッ
界では敬遠され、実施する場合で
し、社内で設計、工務担当と「引
業スタッフが現地でヒアリング
これに対し同社では、仮に網戸
の貼り替えなど小さな工事でも営
は喜ぶ。
雰囲気ができている」と二宮社長
喜びを、社内が全体で受け止める
「お客様のところやメール・ハ
ガキでお褒めの言葉を頂いた時の
き継ぎ会」を行い、現場は工務と
ディネーター、キッチンスペシャ
一方で「専門性」は社員が自発
的に身に着けるもの、という考え
リフォーム事業に役立つ資格を取
方。二級建築士やインテリアコー
いう流れが確立している。
得した社員には「給与で手当てし
職人で対応。工事後、必要により
「小さな工事で3回現場に行け
ばほとんど利益は出ない。しかし、
ている」
。
リスト、耐震診断士など総合的な
これが常にできるから大きな仕事
営業スタッフが最終確認に行くと
うケースが多い。
も一人の人間が「一気通貫」で行
300万円以上の工事は5%と、
上司との顧客訪問が基本だが、
現場に一人で説明に行く場合でも
の高さ」で自社施工するのが同社
小口工事の対応がカギ
新入社員をバックアップ
毎年6月の株主総会では多くの
OB顧客を前に「皆様一人ひとり
は話す。
カイゼン ■
の会社。この会社をどうするのか
たが、売却に応じてくれる顧客が
皆様の考えで決まるのです」と説
こうしたOB顧客は、新築やリ
フォーム工事のリピート客になる
営業、設計、工務による打ち合わせ。契約金額の多少に関わらず行われる
3
50
にもつながる」という。 %以上
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65
70
明してきた。消費者であるOB顧
専門性と社員育成
3
お客様株主制度、 社員一丸の新人教育、
サードプレイス「さくらラウンジ」——。
「五方良し」経営の具体像
憩いのスポットを設けた。
う地元の人々が気楽に立ち寄れる
隣接して「さくらラウンジ」とい
を持つ人たちがつくった焼き立て
る。ここでは、近くの施設で障害
などと協力して運営にあたってい
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カイゼン ■
社会貢献活動の場
を創造
のパンが週3日販売され、来場者
がコーヒーを飲みながら食べるこ
ともでき、
「ラウンジで待ち合わ
せ」も定着したという。
オープン以来、100回以上開
催している展示会は、藍染などの
染色、水墨画、写真、刺繍、刺し子、
書道など内容も多岐にわたり「受
賞作品などレベルの高い作品が多
く展示されるようになった」とい
うほど。
また、一流ホテルのシェフが行
う料理教室も人気を呼んでいる。
「自宅で男性でも簡単につくれる
料理」などをデモンストレーショ
ンと楽しい会話で伝授するもの
で、試食ができ参加者としては大
満足の企画だ。
来場者は昨年6月現在で1万3
000人を超え、さくら住宅の関
係者にとっては、ラウンジへの来
場が営業につながるという話も少
なくないはず。しかし、二宮社長
は「あくまで、リフォームなど仕
事につながる話はしないのが鉄
則。純粋に地域密着で地元の役に
立てればそれで十分」と屈託な
い。
工務店の本来のあるべき姿を教
えてもらった気がした。
二宮生憲 社長
私はさくら住宅を 「世界に自慢したい会社」として紹介してきた。業界の大半が業績低迷を
ラウンジスタッフとしてOB顧
客(株主)が地元の手工芸の作家
日常的に様々なラウンジ
展示会が行われる
憩いの場 「さくらラウンジ」
さくら住宅では7年前、本社に
さくら住宅が提供
する地域の憩いスポットのイベント
を紹介する『さくらラウンジニュース』
4
社会貢献活動の場を創造
横浜ベイホテル東急の
曽我部総料理長による
「さくらラウンジ」を活
用した料理教室
4
二宮社長の
「世界に自慢したい経営」
リフォームを通じ社会の役に立つ
さくら住宅・二宮生憲社長談
も増加している。すべて業者が悪いわけではないが、 安易に参入し安売りし、 工事をやりっ
近年リフォーム業界への新規参入が増えており、 それに伴い住宅紛争審査会への相談件数
ームを通じて社会の役に立つ会社を目指す理念で全員が仕事をしている。
放しにする業者がいることも事実。不安が相談につながっている。今年で19年目だがリフォ
社員と家族が幸せになる会社づくり
法政大学大学院・坂本光司教授談
とより顧客から高く評価されてきたから。「社員とその家族が幸せになる会社づくり」を経営
嘆く中、 同社が快進撃を持続している要因は、 二宮社長が実行してきた経営学が社員はも
者が大切にせずに、 社員が顧客によいサービスを提供できるはずはないという考えを創業以
来、 一途に実行してきた。
さくら住宅によるK邸の全面改装事例
(ダイニングキッチン)
購入した中古住宅を全面改装したK邸の事例。 床暖
房にしたリビングとキッチンは想像以上の快適さを実
現。キッチンは対面キッチンで上の壁を撤去し明るく
広々とした雰囲気に。奥行を550㎜から650㎜に変
更した人造大理石のカウンターは広々と作業が出来
ます。 開き扉を引き出しタイプにして収納をたっぷり
確保。 大型の食器洗い乾燥機とキッチンと同じ扉材
の食器棚で片付けが楽になりました。
さくら住宅
1997年創業。地域密着型の総合リフォーム事業者。
小規模工事を大切にするほか 「さくらラウンジ」 な
ど特色ある取り組みで地元の信頼を獲得、 17 期連
続の黒字経営を続ける。 前期は年間リフォーム件数
1823件、 新築2棟、 売上9億2750万円。「経済
産業省26年度先進的なリフォーム事業者表彰」を受
賞。社員45人(15年4月予定)。
神奈川県横浜市栄区桂台西2-4-3
TEL:045・895・4321
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