Ⅰ 平成27年度事業計画及び収支予算概況 日本経済は,デフレ脱却を掲げたアベノミクスの影響により,円安ド ル高と株価の上昇が進む一方で,日銀の金融緩和政策により,日本の長 期金利の水準は極めて低く,本会の事業収入である利息配当収入の増は 見込めない状況である。また,平成 26 年度一般財団法人移行後は,利息 配当収入に対して復興特別所得税も含め 20.315%の課税をされるため, 減収となる見込みである。 さらに,少子化の影響による会員数の減少と団塊の世代の退職等によ る会員1人当たりの掛金額の引下げや給与制度の総合的見直し等により, 会員掛金収入も減収となることが見込まれる。 このような厳しい状況ではあるが,平成 27 年度の予算編成に当たって は,引き続き管理費等の節減に努めるとともに,資産の運用においては 安全でより有利な運用を図り,また事業の一部見直しを行ない,会員へ の給付等に必要な予算額の確保に努める。 一般事業においては,会員のニーズに対応するため,新たに「眼鏡等 補助」を実施する。また, 「育児支援助成事業」では,利用状況を鑑み, 給付内容を見直して一時保育のみを助成する。さらに,会員数の減少に 伴う会員掛金収入の減や利息配当収入の減により,事業活動収入は減収 となることが見込まれることから,より安定的な事業運営が図れるよう 昨年度に引き続き退職医療事業会計からの繰入れを行い,今年度は 2,600 万円を繰り入れる。 退職医療事業においては, 「宿泊利用補助」の補助対象日数を 2 泊から 3 泊に増やし, 「補聴器購入補助」 の補助額を 5,000 円から 10,000 円に引 き上げる。また,一般事業会計に,2,600 万円を繰り出す。 1 一般事業会計 (1)事業活動収入計 520,806 千円 主な収入である「会員掛金収入」(給料月額の 5/1000)は,会員数の 減少等が見込まれることから,前年度当初予算額と比較し 8,517 千円 減の予算額 472,624 千円を計上する。 会員数は,平成 26 年度末で 22,108 名となり,平成 27 年度末には, 127 名減の 21,981 名となる見込みである。 「被扶養者掛金収入」 (被扶養者 1 人につき 100 円)についても,会 員数の減少や会員 1 人あたりの扶養率が低下傾向にあることから,前 年度当初予算額と比較し 595 千円減の 21,024 千円を計上する。 「利息配当収入」は,平成 25 年 9 月の退職生業資金の清算により, 運用原資が大幅に減少したことと金利の低下により,前年度当初予算 額と比較し,428 千円減の 1,028 千円を計上する。 また,一般事業会計の安定した事業運営を図るため,退職医療事業 会計から 26,000 千円を繰り入れる。 (2)事業活動支出計 466,040 千円 「給付事業費支出」全体では,前年度当初予算額と比較し,508 千 円増の予算額 398,377 千円を計上する。 「家族療養費支出」は,給付件数の減少が見込まれることから,前 年度当初予算と比較して,2,033 千円減の 54,176 千円を計上する。 「医療費支出」は,給付件数の減少が見込まれることから,前年度 当初予算と比較して,5,964 千円減の 159,947 千円を計上する。 「人間ドック補給金支出」は,計画人数が減少することから,前年 度当初予算額と比較し, 3,139 千円減の予算額 41,527 千円を計上する。 なお,計画人数は 16,364 名である。 「退職予定者総合検診補給金支出」は,定年退職予定者の増が見込 まれることから,前年度当初予算額と比較して,383 千円増の予算額 17,076 千円を計上する。なお,計画人数は 580 名である。 「リフレッシュ助成支出」については,該当者数の増が見込まれる ことから,前年度当初予算額と比較して,860 千円増の予算額 34,360 千円を計上する。 「眼鏡等補助支出」については,新規事業として 10,450 千円を計上 する。 「育児支援助成事業支出」については,給付件数の減少が見込まれ ることから,前年度当初予算額と比較して,219 千円減の予算額 1,150 千円を計上する。 「福祉厚生事業費支出」については,観劇,ゴルフ大会,スポーツ 観戦,東京ディズニーリゾート利用補助事業及び茨城空港利用リフレ ッシュ助成等の経費で,前年度利用者が多かった観劇,東京ドーム野 球観戦及び東京ディズニーリゾート利用補助の定員を 1,050 名増やし, 茨城空港利用リフレッシュ助成の 300 名増と合わせ,合計で 4,980 名 とする。予算額は,前年度当初予算額と比較して,2,459 千円増の予算 額 8,186 千円を計上する。 「公益事業費支出」については,公益目的支出計画に基づき, 「学校 教材費等助成事業支出」及び「特定寄附支出」として 5,000 千円を計 上する。 「管理費支出」のうち, 「人件費支出」については,派遣職員数の減 に伴い,前年度当初予算額と比較して,1,814 千円減の予算額 33,840 千円を計上する。 「その他の管理費支出」については,会計システムのリース料の減 等による「賃借料支出」の減や「負担金・手数料支出」等の減により, 前年度当初予算額と比較し,289 千円減の予算額 19,938 千円を計上す る。 (3)投資活動収入計 0 千円 「退職給付引当資産取崩収入」については,引当額の増加により, 予算を計上しないものとする。 (4)投資活動支出計 1,279 千円 「退職給付引当資産支出」については,引当額の増により,前年度 当初予算額と比較し,1,279 千円増の予算額 1,279 千円を計上する。 当期収支差額は,前年度当初予算と比較して,25,828 千円減の 53,487 千円となり,次期繰越収支差額は,前年度当初予算と比較して 81,012 千 円増の 199,469 千円となる見込みである。 2 退職医療事業会計 (1)事業活動収入計 1,238,759 千円 主な収入である「会員掛金収入」(給料月額の 5/1000)は,会員数の 減少等が見込まれることから,前年度当初予算額と比較し,8,251 千円 減の予算額 472,624 千円を計上する。 「年齢別負担金収入」は,加入者の減が見込まれることから,前年 度当初予算額と比較し,38,808 千円減の予算額 262,584 千円を計上す る。 「償還元金収入」は,貸付申込者の減に伴い償還者の減少が見込ま れることから,前年度当初予算と比較し 92,703 千円減の 368,472 千円 を計上する。 「貸付金利息収入」は,貸付申込者の減に伴い貸付残高が減少する ことから,前年度当初予算と比較し 5,063 千円減の 23,072 千円を計上 する。 「利息配当収入」については,運用利回りが前年度当初 0.843%(税 引き前 1.058%)から 1.218%(税引き前 1.529%)に増加する見込み であることから,前年度当初予算額と比較し 29,847 千円増の 112,007 千円を計上する。 (2)事業活動支出計 1,190,062 千円 「給付事業費支出」全体では,前年度当初予算額と比較し,15,235 千円増の予算額 852,901 千円を計上する。 現職会員が退職したときに給付を行う「退会一時金支出」は,退職 者数の増と1人当りの給付単価の増加が見込まれることから,前年度 当初予算額と比較し,8,511 千円増の予算額 557,231 千円を計上する。 「医療補給金支出」については,1 件当たりの給付単価の増が見込ま れることから,前年度当初予算額と比較し,1,728 千円増の予算額 220,561 千円を計上する。 「長寿祝金支出」については,該当者数が減少することから,前年 度当初予算額と比較し,1,460 千円減の予算額 3,310 千円を計上する。 「無給付者記念品代支出」については,全期間無給付該当者数の増 が見込まれることから,前年度当初予算額と比較し,1,140 千円増の予 算額 11,560 千円を計上する。 「人間ドック補助支出」については,給付件数の増が見込まれるこ とから,前年度当初予算額と比較し,2,790 千円増の予算額 35,100 千 円を計上する。 「宿泊利用補助支出」については,今年度から補助回数を年度間 2 泊から 3 泊に増やすことに伴い, 給付件数の増が見込まれることから, 前年度当初予算額と比較し,2,866 千円増の予算額 13,999 千円を計上 する。 「眼鏡補助支出」については,給付件数の減が見込まれることから, 前年度当初予算額と比較し,400 千円減の予算額 7,370 千円を計上す る。 「福祉厚生事業費支出」は,日帰り旅行,観劇,ゴルフ大会,東京ド ーム野球観戦等を実施している。定員は 870 名とし,予算額は前年度 当初予算額と同額の 5,228 千円を計上する。 「貸付事業費支出」では,100 万円と 200 万円の生活資金貸付を実 施する。貸付申込者の減が見込まれることから,前年度当初予算額と 比較して,150,385 千円減の予算額 254,142 千円を計上する。 「管理費支出」のうち, 「人件費支出」については,派遣職員数の減 に伴い,前年度当初予算額と比較して,1,815 千円減の予算額 33,840 千円を計上する。 「その他の管理費支出」については,退職医療事業責任準備金算出 費用の減等による「委託費支出」の減や「賃借料支出」等の減により, 前年度当初予算額と比較し,572 千円減の予算額 16,138 千円を計上す る。 (3)投資活動収入計 557,231 千円 「給付引当資産取崩収入」については,退会一時金の給付額の増加 により,前年度当初予算額と比較して,8,511 千円増の予算額 557,231 千円を計上する。 (4)投資活動支出計 555,754 千円 「給付引当資産支出」は,現職会員(掛金の 5/1000)及び退職会員 の将来の給付に必要な財源を積み立てるためのものであり,必要額を 責任準備金として繰入れを行っている。前年度当初予算額と比較し, 15,152 千円減の 555,754 千円を計上する。 当期収支差額は,前年度当初予算と比較して 59,222 千円増の 50,174 千円となり,次期繰越収支差額は,前年度当初予算額と比較して 115,481 千円増の 806,239 千円となる。
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