口腔感染を誘因とする 難治性全身疾患発症機序の

私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
口腔感染を誘因とする
難治性全身疾患発症機序の解明と
疫学調査拠点形成
平成 26 年度 研究成果報告会 抄録集
開催日:平成 27 年 3 月 14 日(土)
会場:日本大学歯学部 4号館地下1階 セミナー室
【会場地図】
4 号館
地下 1 階
セミナー室
4 号館外観
「口腔感染を誘因とする難治性全身疾患発症機序の解明と疫学調査拠点形成」
研究組織代表:落合邦康(日本大学歯学部 細菌学)
【研究目的】
近年、高齢者の急増により歯周病の罹患者が増加し、歯の喪失のみならず、直接の死
因となる呼吸器疾患、糖尿病や動脈硬化など全身疾患の誘因となることが明確となった。
最近、歯周病患者はガンの発症率が高いとの疫学調査が報告された。しかし、歯周病の
詳細な発症機序のみならず、全身疾患の誘発機序はほとんど解明されていない。私たち
は、新たな視点から、歯周病原因菌により潜伏感染 HIV や EB ウイルスが再活性化する
事を見出し、歯周病がウイルス感染症の発症と進行にも広く関わっている可能性を示し
た。
本プロジェクトは、疫学調査研究班、歯周病と難治性全身疾患発症機序を解析する基
礎研究班及び臨床応用を目的とする予防・治療法開発班の 3 つの研究班から構成される。
慢性炎症性疾患・歯周病の発症機序とそれを誘因とする難治性全身疾患の発症機序を分
子生物及び免疫学的手法を用いて解明するとともに、本邦及び東南アジアにおいて疫学
調査を実施する。これらの結果を基に、歯周病及び全身疾患の予防と治療法開発を目指
し、真の translational research 確立と医科学技術による国際貢献を目的とする。
【研究概要】
① 歯周病を誘因とする感染症及び難治性全身疾患の発症機序の解明
② 歯周病を誘因とする感染症及び全身疾患の疫学調査研究
③ 免疫学および分子生物学的手法を用いた予防および治療法の研究
口腔感染を誘因とする難治性全身疾患発症機序の解明と疫学調査拠点形成
平成 26 年度 研究成果報告会
開催日:平成 27 年 3 月 14 日(土)
会場:日本大学歯学部 4号館地下1階 セミナー室
13:30
はじめに
研究組織代表
落合邦康
13:35
LIPUS は ATP-P2X7 pathway 介して ALPase 非依存的に骨芽細胞の石灰化物形成
を促進する
田邉奈津子 1),4),間中総一郎 2),田中秀樹
3),4)
,川戸貴行 3),4),前野正夫 3),4) ,
鈴木直人 1),4)
日本大学歯学部 生化学講座 1),歯科保存学第 3 講座 2),衛生学講座 3)
日本大学歯学部総合歯学研究所 機能形態部門 4)
13:50
Ni イオンによる口腔扁平上皮癌細胞の転移抑制効果
浅野正岳 1), 塩野目尚 2), 石上友彦 2)
日本大学歯学部病理学講座 1), 日本大学歯学歯科補綴学第Ⅱ講座 2)
14:05
バイオマーカーを用いた簡便な歯周病検査法の検討
菅野直之 1),大津麻里子 2),小谷和彦 3)
日本大学歯学部歯周病学講座 1) ,日本大学大学院歯学研究科歯学専攻
応用口腔科学分野 2) , 自治医科大学臨床検査医学講座 3)
14:20
新規バイオマテリアル S-PRG フィラーの Candida albicans の増殖と病原性に及
ぼす影響
田村宗明,落合邦康
日本大学歯学部細菌学講座,日本大学総合歯学研究所生体防御部門
14:35
酪酸による歯表面初期付着菌 Actinomyces naesundii のバイオフィルム形成メカ
ニズムの解明
泉福 英信
国立感染症研究所 細菌第一部
LIPUS は ATP-P2X7 pathway 介して ALPase 非依存的に骨芽細胞の石灰化物
形成を促進する
田邉奈津子 1),4),間中総一郎 2),田中 秀樹
3),4)
,川戸貴行 3),4),前野正夫 3),4),
鈴木直人 1),4)
日本大学歯学部 生化学講座 1),歯科保存学第 3 講座 2),衛生学講座 3),
日本大学歯学部総合歯学研究所 機能形態部門 4)
【目的】超音波出力 100 mW/cm2 未満の低出力超音波 (Low-intensity pulsed ultrasound:
LIPUS) は,メカニカルストレスの一種として非侵襲的に骨形成促進作用を有すること
から,医科および歯科領域において臨床応用されている。しかし,LIPUS 刺激による骨
形成誘導のメカニズムの詳細については解明されていない。演者らは,そのメカニズム
には,LIPUS 刺激を受けた骨芽細胞が産生する ATP が関与するのではないかと考えた。
そこで,骨芽細胞への LIPUS 刺激が,ATP-P2X7 受容体を介した石灰化物形成に及ぼす
影響を細胞生物学的に検討した。
【 方 法 】 マ ウ ス 頭 蓋 骨 由 来 株 化 細 胞 (MC3T3-E1) 細 胞 を 6-well plate に 播 種 後 ,
OSTEOTRON D2 (伊藤超短波株式会社, 東京) を用いて出力 30 mW/cm2・発振周波数 3.0
MHz で 1 , 3 , 5 , 10 , 20 および 30 分間刺激直後に培養上清中の ATP 量を Luminescencer
Octa を用いて測定した。また,MC3T3-E1 細胞を 6-well plate に播種し,14 日間 LIPUS
刺激を与えた。LIPUS 誘導性 ATP の P2X7 受容体への関与は,P2X7 受容体選択的アン
タゴニストである A438079 を用いて調べた。LIPUS は OSTEOTRON D2 を用いて,超音
波出力 30 mW/cm2・発振周波数 3.0 MHz・刺激時間 30 min/day とした。LIPUS 刺激後の
細胞層および培養上清を回収し,細胞外マトリックスタンパク (ECMPs) の遺伝子発現
を real-time PCR 法,タンパク発現を ELISA 法で調べた。また,同条件下の細胞外リン
酸濃度を Malachite Green Phosphate Assay kit,細胞外マトリックス層 (ECM) のカルシウ
ム量を Calcium E-Test kit,アルカリホスファターゼ (ALPase) 活性を染色して調べた。
さらに, shRNA による P2X7 ノックダウン細胞を作製した。P2X7 受容体発現がノック
ダウンしていることを mRNA およびタンパクレベルで確認した後, ECMPs 発現を
mRNA レベルで検討した。
【結果】ECMPs の遺伝子およびタンパク発現は,LIPUS 刺激群でコントロール群と比
較して有意に増加した。また,LIPUS 刺激によるこれらの発現増加は,A438079 添加に
よってコントロールレベルまで低下した。細胞外リン酸濃度は,LIPUS 刺激群で培養日
数とともに経時的に増加し,A438079 添加によって減少した。さらに,ECM のカルシ
ウム量は,LIPUS 刺激によって有意に増加し,A438079 添加によって減少した。しかし,
ALPase 活性には LIPUS 刺激の影響が認められなかった。P2X7 受容体ノックダウン細
胞における ECMPs の mRNA 発現レベルを検討したところ, 非刺激細胞と比較して,
LIPUS 刺激した sh control 細胞では ECMPs の遺伝子発現が増加した。一方, sh P2X7 細
胞では LIPUS 刺激による影響がブロックされた。
【結論】LIPUS は,骨芽細胞の ATP 産生とそのオートクリン作用による P2X7 受容体
を介して ECMPs 発現を誘導することが示唆された。また LIPUS 刺激で ECM のカル
シウム量およびリン酸濃度は増加したが, ALPase 活性にはその影響が認められなかっ
たことから,LIPUS 誘導性の ATP が, P2X7 受容体を介して ALPase 非依存的に細胞外
リン酸濃度を増加させ,かつ ECMPs 産生を促進させることにより,石灰化物形成を促
進することが示唆された。
Ni イオンによる口腔扁平上皮癌細胞の転移抑制効果
1)
2)
浅野正岳 , 塩野目尚 , 石上友彦
2)
日本大学歯学部病理学講座 1),日本大学歯学歯科補綴学第Ⅱ講座 2)
【目的】ニッケルは(Ni)は,歯科治療で使用される合金に含有されており,生体に様々な
影響を与えることが知られている.これまで我々は,Ni イオンが転写因子 NF-κB の p50
subunit と直接結合し,その活性を抑制することを見出した.一方、口腔扁平上皮癌細
胞では,恒常的に NF-κB が活性化しており,癌細胞の増殖,浸潤,血管新生に関連す
るタンパク質が自発的に産生されていることが知られている.従って,NF-κB 活性は癌
の予後や増殖と相関を示すと考えられている.本研究では,Ni イオンが NF-κB 活性を
抑制するのであれば、癌の転移や増殖を抑制しうるのではないかとの仮説を立て,Ni
イオンの癌治療薬への応用の可能性について検討することとした.
【結果】癌細胞の遊走能に対する Ni イオンの影響を scratch assay により検討したとこ
ろ,1mM Ni イオン存在下ではコントロールと比較して有意に遊走能の低下が認められ
た.また、癌細胞の転移に重要な MMP 遺伝子発現に関して real-time PCR により検討し
たところ,すべての MMP 遺伝子発現を抑制することが明らかとなった.この結果に基
づき,ヌードマウスを用いた転移実験を行った.その結果,Ni イオンは有意に口腔扁
平上皮癌のリンパ節転移を抑制することが明らかとなった.
【考察】Ni イオンの転写因子 NF-κB の活性抑制効果は,癌の浸潤・増殖に重要な遺伝
子群の発現抑制を通じて,口腔癌のリンパ節転移を抑制する可能性が示唆された.この
結果は,Ni イオンを癌治療薬として応用しうる可能性を示唆するものであった.
バイオマーカーを用いた簡便な歯周病検査法の検討
菅野直之 1),大津麻里子 2),小谷和彦 3)
日本大学歯学部歯周病学講座 1),日本大学大学院歯学研究科歯学専攻応用口腔科学
分野 2) ,自治医科大学臨床検査医学講座 3)
歯周病はその進行に伴う自覚症状に乏しく,歯科医院を受診したときにはすでに重症
化しているケースも少なくない。歯周病の確定診断は歯周プローブによるポケット深さ
の測定やエックス線検査が必要で,プロービング時の出血の有無も歯周病の活動性を判
断する上で重要な情報となる。しかし,歯周組織検査には多くの時間と手間がかかるこ
とから,より簡便な歯周病検査法の開発が望まれてきた。これまでの歯周病簡易検査の
測定対象は唾液や歯肉溝滲出液であるが,本研究ではブラシで短時間に採取できる歯肉
辺縁貯留液を対象とし,炎症性バイオマーカーであるラクトフェリンおよびアンチトリ
プシンの検出を行い,歯周ポケット深さやプロービング時の出血点との比較検討を行っ
た。
n=62
*p<0.05 **p<0.01
その結果,歯肉辺縁貯留液中の両バイオマーカーは4mm以上の歯周ポケット深さや
出血点の割合と有意な相関があり,特にアンチトリプシンは歯周病の診断マーカーと
して有用であることが示唆された。測定に用いたバイオマーカーは室温での安定性も
高く,郵送による個人での検査や集団検診などにも応用可能である。簡便な歯周病検
査の普及により,国民の口腔の健康への関心が高まり,歯周病の早期発見・早期治療
が可能になることが期待される。
新規バイオマテリアル S-PRG フィラーの Candida albicans の増殖と病原性に及ぼす影響
田村宗明,落合邦康
日本大学歯学部細菌学講座,日本大学総合歯学研究所生体防御部門
【目的】近年,高齢者の増加に伴い口腔環境の維持改善が重要課題となっている。要介
護高齢者は,自立高齢者に比べ口腔清掃状態が悪く,誤嚥性肺炎など口腔細菌関連の全
身疾患を発症する可能性が高い。Candida albicans は日和見感染症の主要原因菌の一つ
で加齢と共に口腔からの検出率が上昇するとともに,高齢者において装着率が高い義歯
床のレジンへの付着能が高いことから,口腔環境維持のため新たな抗菌作用を有する歯
科材料の開発が必要となる。S-PRG フィラーはフッ素などの 6 種のイオンを放出し,リ
チャージが可能な新規バイオマテリアルである。今回,この S-PRG フィラーが C.
albicans の増殖および病原性に及ぼす影響について検討した。
【材料および方法】試料として S-PRG フィラー(株式会社
松風)を,供試菌株とし
て C. albicans NUD202 株と ATCC18804 株を用いた。増殖に及ぼす影響については,
S-PRG フィラーを 24 時間浸漬して得たイオン含有水(IEL)を各種濃度で培地に混和し,
24 時間培養後の濁度測定により判定した。
タンパク分解酵素産生能に及ぼす影響では,
同様に培養した上清をサンプルとして,アゾカゼインを基質に比色定量法にて検討した。
付着能への影響については,S-PRG フィラーを各種濃度で混入した義歯床用レジンを菌
液で処理し,付着菌数を CFU で算定した。また,タンパク分解酵素産生および付着能
に関与するタンパクの mRNA 発現量について Real-time PCR にて解析した。
【結果および考察】IEL は,濃度依存的に C. albicans の増殖,菌糸形変換およびタンパ
ク分解酵素活性を抑制した。レジン片への付着菌数も添加した S-PRG フィラーの含有
濃度に依存して減少した。さらに,これらタンパク分解酵素および付着関連タンパク産
生に関与する mRNA 発現量の減少も確認された。
以上の結果から,S-PRG フィラーを義歯床用レジンに添加することは,臨床において
口腔カンジダ症の予防のみならず,口腔カンジダを原因とする全身疾患の発症を阻止す
る可能性が示唆された。
酪酸による歯表面初期付着菌Actinomyces naesundiiのバイオフィルム形成
メカニズムの解明
泉福
英信
国立感染症研究所
細菌第一部
【目的】口腔には 700 種類以上の微生物が存在し、お互いの微生物が相互作用しながら
微生物叢を形成している。中でも主要な菌である Streptococci や Acitinomyces は、歯
表面に付着し、時間経過とともにバイオフィルムを形成し、口腔疾患発症のきっかけを
作ると考えられる。口腔微生物は、口腔から接種された栄養物を自分たちのエネルギー
に変え、それと同時に代謝産物を外に放出する。乳酸や短鎖脂肪酸、過酸化水素など多
くの種類の代謝産物が産生され、その代謝産物に影響を受け、口腔微生物の増殖やバイ
オフィルム形成に変化をもたらす。特に歯周病関連菌である Fusobacterium nucleatum
や Porphyromonas gingivalis が 産 生 す る 短 鎖 脂 肪 酸 は 、 こ れ ま で の 研 究 に よ り
Acitinomyces naeslundii のバイオフィルム形成を増強させることが明らかとなった
(参考文献1)。またこのバイオフィルム形成には、酪酸と低 pH が必須であることも
明らかとなった。本研究では、このバイオフィルム形成のメカニズムをさらに明らかに
するために、A. naeslundii の付着に焦点をあて、酪酸がどのようなメカニズムで付着
に関わるのか明らかにすることを目的とした。
【方法】6穴マイクロタイタープレートに、各々の菌液{1~10x106 CFU/ml, 0.25%スク
ロースを添加し tryptic soy broth without dextrose(TSB 培地)}を加え、3時間 37℃
にて静止培養することにより、菌を well 表面に付着させた。この条件は、フローセル
システムで行った菌の付着条件と同じである。対象として HCl や NaOH にて pH を調整し
た培地や酪酸ナトリウムを添加した培地も使用した。酪酸 6mM に乳酸を加えて pH4.7 に
した条件、フルクタナーゼ 1, 10 unit/ ml や抗 GroEL 抗体 1/2000, 1/3000, 1/4000
を加えた条件も検討した。その後、培地を交換し、さらに1時間培養した。培地を捨て、
滅菌 PBS にて洗浄後、LIVE/DEAD® BacLightTM Bacterial Viability Kit にてバイオフ
ィルムを染色した。488nm の波長を用いることにより生菌を緑色に、568nm の波長を用
いることにより死菌を赤色に発光させた。共焦点画像の解析は、Fluoview CLSM を使用
して行った。
【結果】この酪酸は、60 mM で他の濃度の酪酸に比べプレートへの付着量を有意に上昇
させた。酪酸 60 mM 加えた時の培地 pH に合わせた培地(HCl にて調整, pH4.7)では、
酪酸 60 mM 程度の菌付着量は認められなかった。酪酸ナトリウム 60 mM 添加においても
同様であった。しかし、酪酸ナトリウムを加えた培地を HCl にて pH4.7に調整した場
合と酪酸 6mM に乳酸を加えて pH4.7 にした場合は、菌付着量の増加が認められた。60 mM
の酪酸を加えた培地に抗 GroEL 抗体を加えると、菌付着量が減少した。60 mM の酪酸を
加えた培地にフルクタナーゼを加えると、菌付着量が増加した。
【考察】昨年度の研究では、酪酸 60 mM は流れのある環境(フローセルを用いた)で、
A. naeslundii のバイオフィルム形成を有意に上昇させた。今年度の研究である菌付着
実験でも同様に、酪酸 60 mM において有意な菌付着が認められた。
菌付着実験の条件は、
フローセル実験と同様の方法で行っているため、この付着がフローセルにおけるバイオ
フィルム形成に関係があるのではないかと考える。この培地濃度は、培地 pH を 4.7 に
する濃度であり、A. naeslundii が浮遊菌で増殖できない濃度である。しかし、菌付着
およびバイオフィルム形成が誘導された。この付着には GroEL が関与していることが明
らかとなった。よって、酪酸 60 mM は GroEL のようなストレス蛋白質を誘導し、それが
菌付着を助けていると考えられた。静止系実験では、6.25mM(pH6.7)がバイオフィル
ム形成を上昇させる濃度であった(参考文献1)。しかし、この濃度ではフローセル実
験でも菌付着実験でも有意なバイオフィルムや菌付着が認められなかった。静止系実験
では、乳酸のような菌代謝産物が蓄積し pH を低下させる。
酪酸 6mM に乳酸を加えて pH4.7
にした場合で菌付着を誘導するメカニズムは、静止系実験で 6.25mM(pH6.7)を加えて
培養することと近いと考える。酪酸6mM は、ヒト口腔内に存在する生理的な濃度であ
るため、ヒト口腔でも砂糖を摂取した際にこのような現象が起こりうると考えられる。
酪酸に pH の低下が加わると GroEL が発現され、菌の付着が積極的に誘導され、それが
バイオフィルム形成に繋がると考えられた。Fructanase を加えると初期付着が抑制さ
れず、むしろ上昇した。これは、Fructanase が多糖(レバン)を分解あるいは多糖合
成抑制機能を有することを考えると、レバンは酪酸による A. naeslundii の付着および
バイオフィルム形成に関与しないことが考えられた。
【発表論文】
1) Saori Yoneda, Taketo Kawarai, Naoki Narisawa, Elif Bahar Tuna, Norito Sato, Takanori
Tsugane, Yoji Saeki, Kuniyasu Ochiai, and Hidenobu Senpuku. Effects of short-chain fatty
acids on Actinomyces naeslundii biofilm formation. Mol. Oral Microbiol. 2013: 28: 354-365.
2) Toshiaki Arai, Kuniyasu Ochiai, Hidenobu Senpuku. Actinomyces naeslundii
GroEL-dependent initial attachment and biofilm formation in a flow cell system. J. Microbiol.
Methods. 2015; 109: 160-166.