障害者虐待防止法の概要

障害者虐待防止法の概要
1 経過等
名称
(3)市町村障害者虐待防止センターと都道府県障害者権利擁護センター
提出者
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(法律第79号)
成立日
平成23年6月17日
公布日
平成23年6月24日
施行日
衆:厚生労働委員長
①通報・届出の受理
→障害者虐待発見者からの「通報」、被虐待障害者からの「届
出」
条文
第一章
目次
第1条~第6条
総則
養護者による障害者虐待の防止、養
第7条~第14条
護者に対する支援等
障害者福祉施設従事者等による障害
第15条~第20条
者虐待の防止等
第二章
第三章
第四章
第21条~第28条 使用者による障害者虐待の防止等
就学する障害者等に対する虐待の防
第29条~第31条
止等
市町村障害者虐待防止センター及び
第32条~第39条
都道府県障害者権利擁護センター
第五章
第六章
第七章
第40条~第44条 雑則
第八章
第45条~第46条 罰則
附則
規定の概要
障害者・障害者虐待・虐待行為の定義、国・地方公共団体・国民の責
務、早期発見の努力義務等について
養護者による虐待に関する対応等について
※同法に基づき、市町村が対応
障害者福祉施設従事者等による虐待に関する対応等について
※関係法令に基づき、都道府県が対応
使用者による虐待に関する対応等について
※関係法令に基づき、都道府県労働局が対応
学校、保育所、医療機関における障害者虐待防止措置等について
※通報義務等の規定の適用範囲外
市町村障害者虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センターの
業務とその委託等について
センター窓口の明示、事例分析・調査研究、消費生活業務担当部局と
の連携、成年後見制度の利用促進等について
センター業務受託者等の守秘義務違反、立入調査拒否者等への罰金に
ついて
施行日、3年後の見直し、高齢者虐待防止法の一部改正等について
3 ポイント
最大のポイントは、障害者虐待等の発見者(養護者、障害福祉施設従事者等、使用者によるもの)に、
通報義務が課せられるとともに、これに対して関係行政機関が具体的に対応するものとされたことである。
(1)定義
身体、知的、精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継
続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にある者(改正後障害者基本法第2条第1項)
養護者によるもの、障害者福祉施設従事者等によるもの、使用者によるもの
※学校、保育所、医療機関等は障害者虐待には未定義→附則による3年後の見直し時に検討
障害者支援施設、障害福祉サービス事業、一般・特定相談支援事業、移動支援事業、地域活動支援
センター、福祉ホーム、ほか厚生労働省令で定める事業に従事する者
対象者
障害者虐待
障害者福祉施設
従事者等
虐待行為
①身体的虐待、②性的虐待、③心理的虐待、④ネグレクト、⑤経済的虐待
市町村(都道府県)障害者虐待
対応協力者
第2条第1項
第2条第2項
第2条第4項
第2条第6項
福祉事務所、関係機関、民間団体等
第35条・第39条
※連携体制を整備し、養護者によるものはいつでも迅速に(24時間365日)対応する配慮を要する。
養護者による場合
<市町村の責務>
相談等、居室確保、連携体制確保
通報
市町村
①事実確認(立入調査等)
②措置(一時保護、後見請求等)
<設置者等の責務>
施設等内で障害者虐待防止等のための措
置
通報
報告
虐
都道府県
市
待
町
発
①監督権限等の行使
村
見
○障害者に関する理解を深めるための研修や普及啓発
○虐待に関する相談体制の整備
○その他障害者虐待防止に関する必要な措置
③広報・啓発活動
→障害者虐待の防止、養護者支援が目的
②措置等の公表
使用者による場合
<事業主の責務>
事業所内で障害者虐待防止等のための措
置
報告
都
虐 通報
道
待
市
府
発
町
県
村 通知
見
○社会福祉法
○障害者自立支援法 等
○労働基準法
○障害者雇用促進法
○個別労働紛争解決促進法 等
①通報・届出の受理(使用者によるものに限る)
②市町村が行う措置に関する市町村間の連絡調整、情報提供等
③被虐待障害者の各般の問題、養護者支援に関する相談対応、関
係機関の紹介
④被虐待障害者の支援、養護者支援のための情報提供、助言、関
係機関との連絡調整等
⑤障害者虐待の防止、養護者支援に関する情報の収集、分析、提
供
⑥障害者虐待の防止、養護者支援に関する広報、啓発活動
⑦その他障害者虐待防止等のための必要な支援
(1)市町村に求められる対応(障害者虐待発生時に関するものを除く)
NO
1
2
3
条項
第4条
第1項
第4条
第2項
第4条
第3項
概要
連携強化・体制整備
人材確保・研修等
通報義務や救済制度の広報等
詳細
義務規定
障害者虐待の予防、早期発見、防止、被虐待障害者の保護と自立
支援、養護者支援を行うためのもの
障害者虐待の防止、被虐待障害者の保護と自立支援、養護者支援
が専門的知識に基づき行われるようにするためのもの
障害者虐待の防止、被虐待障害者の保護と自立支援、養護者支援
に資するためのもの
障害者福祉関係部局、その他関係機関のうち、障害者虐待を発見
しやすい立場の者が早期発見に努めるもの
ものとする
規定
○
○
第6条
早期発見
5
第32条
市町村障害者虐待防止センター
6
第40条 通報・届出窓口の周知 市町村障害者虐待防止センターの窓口を明示するもの
7
第41条 居住の場の確保・就業支援 被虐待障害者が地域での自立生活を営むためのもの
8
第42条
調査研究
重大な被害を受けた事例を分析し、予防・早期発見の方策、適切
な対応方法等の調査研究を行うもの
○
9
第43条
財産上の丌当取引被害の防止
財産上の丌当取引による被害について相談に応じ、または関係機関を紹介す
るもの。また、適切に成年後見制度に係る市長申し立てを行う。
○
○
通報・届出の受理、相談・指導・助言、広報・啓発を行うもの
財産上の丌当取引による被害防止と救済を図るため、成年後見制
度の周知と経済的負担軽減を図るもの
※学校、保育所等、医療機関が講ずるものとされる規定は除く。
※欄外★は、夜間・休日障害者虐待防止センター委託業務。(2)の表の欄外★も同様。
10
第44条 成年後見制度の利用促進
努力規定
○
4
○
★
○
○
○
(2)障害者虐待発生時に求められる対応
養護者による障害者虐待発生時に必要な対応を示したものである。なお、障害者福祉施設従事者等及び使用者によるものについて
は、都道府県に報告・通知をすることとされている。(左記(2)虐待防止施策の概要参照)
2
3
4
労働局
①監督権限等の
行使
②措置等の公表
都道府県障害者権利擁護センター(第36条)
4 障害者虐待防止法の施行に伴い求められる対応等
1
障害者福祉施設従事者等による場合
②学校、保育所、医療機関の場合
②相談・指導・助言
→障害者及び養護者に対するもの相談、指導、助言
NO
(2)虐待防止施策の概要
①養護者、障害福祉施設従事者、使用者による場合
虐
待
発
見
市町村障害者虐待防止センター(第32条)
平成24年10月1日
2 法律の構成
章
市町村または都道府県は、担当部局や設置施設で下記の機能を果たす。なお、市町村障害者虐待対応協力者または都道府県障害者
虐待対応協力者に委託可能。なお、センターには専門職の配置に努めることとなる。
条項
第7条
第9条
第1項
第9条
第1項
第9条
第2・3項
概要
安全確認・事実確認
対応協議
一時保護または審判請求
5
第10条
6
第11条
立入調査
8
第13条
面会の制限
9
第14条
養護者の支援
7
詳細
養護者による障害者虐待(18才未満除く)を受けたと思われる障害者を発見した者は、市町村
障害者虐待に係る通報
に通報しなければならない。
居室確保
通報または届出を受けた場合は、障害者の安全確認や事実確認を行う。
★
障害者虐待対応協力者と、その対応について協議を行う。
★
障害者の生命や身体に重大な危険が生じている恐れがあると認められる場合は、一時的に保護
するために入所措置等を行う。
入所措置のための居室の確保を行う。
★
障害者の生命や身体に重大な危険が生じている恐れがあると認められる場合は、障害福祉従事
職員が、居所等に立ち入り調査することができる。
立入調査の際に必要があると認めるときは、障害者の住所を所管する警察署長に援助を求める
第12条 警察署長への援助要請
ことができる。
入所措置が採られた場合は、養護者(虐待者)と障害者の面会を制限することができる。
養護者からの相談に応じ、また指導・助言等を行う。
★