及び 「千葉市債権管理条例(案)」

「千葉市債権管理に関する基本方針(案)
」及び
「千葉市債権管理条例(案)
」についての
パブリックコメント(意見募集)資料
(基本方針策定及び条例制定の趣旨)
「債権管理」とは、債権が発生してから消滅するまでの一連の事務手続きを
言い、債権発生時に行う納入の通知や台帳の作成・管理、滞納となった場合の
督促や徴収手続きなどを指します。債権管理を適正に行うことにより、財政の
健全化、市民負担の公平性の確保につながります。
そのため、千葉市では、これまでも様々な取組みを実施してきました。そし
て、さらなる債権管理の適正化を図るため、債権管理に関する基本方針の策定
及び債権管理条例の制定を行います。
○基本方針は、千葉市の考え方や姿勢を示すものです。
○条例は、債権管理に必要な事項や事務処理のルールについて規定するものです。
※なお、条例については、基本方針の関係部分に内容を記載し説明しています。
「基本方針の本文」
資料は、左記のような
構成になっています。
例)1ページ(4行目)
「・・包括外部監査※1において・・」
難解な用語については、別添
の「用語解説」で説明していま
すので、ご活用ください。
条例○(××××)
「条例で規定する内容」を記載します。
「基本方針の本文」と「条例で
※ 意見募集の対象です。
規定する内容」が、ご意見をお
寄せいただきたい項目です。
(解説)
解説部分は、意見募集の対象
基本方針の内容の解説です。
ではありませんので、ご注意く
※ 意見募集の対象ではありません。
ださい。
目
次
頁
Ⅰ 基本方針の策定にあたって
1 背景
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 滞納債権の現状
3 課題
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
Ⅱ 千葉市債権管理に関する基本方針
1 基本的事項
(1)趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
■条例1(条例を制定する目的)
(2)対象債権
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
■条例2(対象債権)
(3)基本的な考え方
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
(4)基本方針の施行
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
2 債権の分類と債権管理の流れ
(1)債権の分類
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(2)債権管理の流れ
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
3 具体的な取組み
(1)債権の適正な管理
■条例3(台帳の整備)
(2)滞納債権の回収
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
■条例4(督促)
■条例5(滞納処分、強制執行等)
■条例6(債権の放棄)
(3)債権管理のための環境整備
(4)債権管理の継続的な改善
・・・・・・・・・・・・・・・
10
・・・・・・・・・・・・・・・・
11
4 千葉市債権管理対策本部
(1)債権管理対策本部の役割について
・・・・・・・・・・・
12
(2)組織 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
(3)目標の設定
12
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅰ 基本方針策定にあたって
1 背景
これまで、本市の債権管理は、各担当部署において実施されており、債権
管理を行うための全庁的な規程は存在していなかった。
このことから、平成21年度の包括外部監査※1 において、債権管理規程の
整備が必要であり、特に私債権については、民法等の規定が適用されることか
ら、一般的に職員になじみがないため、これを包括する規程を定めるべきであ
るとの意見が報告された。
一方、未納債権に対する徴収対策については、平成17年6月、市税ほか
4料金(国民健康保険料、保育料、下水道使用料、市営住宅使用料)につい
て、区役所を含む全庁横断的な体制により徹底した徴収対策を実施するため、
「新行政改革推進計画※2(平成17年度~21年度)」における取組みとして、
「徴収対策本部※3」を設置した。
徴収対策本部において徴収対策を推進した結果、平成22年度決算において、
市税、保育料、下水道使用料、市営住宅使用料について徴収率は向上したもの
の、下水道使用料を除き「財政健全化プラン ※4 」 における平成22年度の
目安を上回ることができず、また、他政令市と比較しても低い水準である。
これらの状況を踏まえ、目標設定の在り方、対象とする債権の拡大の必要性
などについて検討した結果、これまでの「徴収対策本部」を廃止し、新たな全
庁的組織を立ち上げるとともに、債権管理に関する基本方針の策定など、規程
の整備を行うこととした。
(解説)
ここでは、基本方針を策定するに至った経緯や現状等を示しています。
1
2 滞納債権の現状
(1)滞納額の推移
年々滞納額は減少しているものの、市税が大きく減少しているためであり、
市税を除くと、反対に増加傾向にある。
平成 20 年度
平成 21 年度
滞納額全体
232 億 5 千万円
226 億 5 千万円
▲6 億円
225 億 7 千万円
▲8 千万円
内、市税
135 億 8 千万円
126 億 2 千万円
▲9 億 6 千万円
120 億 2 千万円
▲6 億円
96 億 9 千万円
100 億 5 千万円
3 億 6 千万円
105 億 5 千万円
5億円
市税を除く
20⇒21
平成 22 年度
21⇒22
※滞納額は収入未済額※5
(2)滞納額1億円以上の債権
以下に示した通り、市税、国民健康保険料など、滞納額が1億円を超える債
権は10種類、221億円で、滞納全体(約226億)の97.9%を占めて
いる。
(単位:千円)
債 権 名
平成21年度① 平成22年度② 前年度比②-①
12,624,585
12,016,416
▲ 608,169
7,367,097
7,834,764
467,667
下水道使用料
804,648
788,991
▲ 15,657
市営住宅使用料
446,972
446,958
▲ 14
介護保険料
307,333
305,427
▲ 1,906
保育料
205,985
202,962
▲ 3,023
母子及び寡婦福祉資金貸付金
146,409
164,812
18,403
生活保護費返還金・徴収金
113,422
137,114
23,692
後期高齢者医療保険料
105,897
104,446
▲ 1,451
中央卸売市場使用料
102,522
103,692
1,170
滞納額1億円以上の債権
22,224,870
22,105,582
▲ 119,288
滞納額1億円未満の債権
425,900
464,174
38,274
22,650,770
22,569,756
▲ 81,014
市税
国民健康保険料
合計(市全体)
(解説)
ここでは、滞納債権の現状を示しています。
※6
なお、下水道使用料等の地方公営企業
が管理する債権は、現状を正確に捉え
るため、5月末または6月末時点での滞納額を使用しています。そのため、決算に
おける収入未済額とは異なります。
2
3 課題
平成23年4月、市税を除く滞納額が増加傾向にある現状を踏まえ、債権
管理の状況について全庁調査を実施するとともに、債権を所管する部署への
ヒアリング及び他政令市の課題や取組みの調査等を行った結果、本市の債権
管理に関する以下の課題が明らかになった。
(1)処理基準が統一されていない
それぞれの所管課において債権を独自に管理しているが、債権管理を行う
ための全庁的な規程の整備がされておらず、具体的な処理基準が統一されて
いない。また、債権回収の実施計画が十分にたてられていない部分が見受け
られる。
(2)専任職員が丌十分
職員の多くが他業務を兼任しながら債権管理を行っているため、債権管理
に従事する時間が丌足している。債権管理をより効率的に実施するために、
組織的対応が必要である。
(3)債権回収のノウハウが丌十分
他業務を兼任しながら債権回収を行っているため、ノウハウの整理・蓄積
がされにくい状況である。そのため、市税など徴収体制の整っている部署の
ノウハウを共有できるようにする必要がある。
(解説)
課題(1)への対応
債権管理の基本方針を策定することで処理基準を統一し、全庁的に適正な債
権管理を推進します。なお、具体的な取組みについては、7ページの「3 具
体的な取組み」で示しています。
課題(2)
、
(3)への対応
10ページの「(3)債権管理のための環境整備」で示したとおり、組織的
対応、マニュアルの整備、人材育成等を行います。
3
Ⅱ
千葉市債権管理に関する基本方針
1 基本的事項
(1)趣旨
財政健全化と市民負担の公平性を確保するためには、適正な債権管理の推
進と、滞納額の縮減に向けた全庁一体的な取組みが必要である。
このことを実現するために、債権管理に関する市の考え方、具体的な取組
みの方針を示す「千葉市債権管理に関する基本方針」を策定する。
(2)対象債権
千葉市が保有する全ての金銭債権を対象とする。
※金銭債権:自治体が保有する金銭の給付を目的とする権利(自治法第 240 条)
(3)基本的な考え方
各債権に適用される法令の規定に従い、適正な債権管理と効率的・効果的
な債権回収を行う。
また、納付資力※7 を的確に見極め、資力があるにもかかわらず納付しな
い滞納者に対しては、法に基づき厳格に対処することを基本姿勢とする。
(4)基本方針の施行
平成○○年
○月
○日とする。
なお、この方針は、本市が保有する全ての債権管理について、基本的な方針を示し、
今後、全庁を挙げて債権の管理、回収に取り組むための手掛かりとなるものであり、基
本方針の中で具体的に示した債権に加え、それ以外の債権においても、方針の趣旨に照
らして適正な債権管理と効率的・効果的な債権回収対策の実施に努めることにより、財
政健全化並びに市民負担の公平性の確保を目的として策定する。
条例1(条例を制定する目的)
債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより、市の債権管理の
適正化を図ります。
条例2(対象債権)
条例も、基本方針と同様、千葉市が保有する全ての金銭債権を対象とします。
【解説】
債権は、次ページにあるように大きく3種類に分類できます。債権の種類によって、
債権管理の方法は異なりますが、債権の種類に関係なく、市が保有する全ての債権につ
いて、必要な事項を定める条例とします。
4
2 債権の分類と債権管理の流れ
(1)債権の分類
強制徴収公債権
市税及び国税又は地方税の滞納
処分の例により※8 強制徴収※9 で
きる債権
例)市税、国民健康保険料
下水道使用料
公債権
公法上の原因に基づい
て発生する債権
非強制徴収公債権
公債権のうち、強制徴収公債権
以外の債権
債権
(金銭債権)
例)生活保護費返還金・徴収金
中央卸売市場使用料
私債権
私法上の原因に基づいて発生する債権
例)市営住宅使用料、母子及び寡婦福祉資金貸付金
(解説)
債権は、発生原因等により、公債権と私債権に分類されます(上図)
。
(1)公債権
たとえば市税は、地方税法に基づく行政処分※10(賦課処分※11)により発生します。
このように、公法上の原因に基づいて発生する債権を公債権と言います。
さらに、滞納処分※12 規定の有無により、強制徴収公債権と非強制徴収公債権に分
類されます。
(2)私債権
たとえば市営住宅使用料は、双方の合意(賃貸借契約)により発生します。このよ
うに、民法や商法などの規定に基づいて発生する債権を私債権といいます。市の債権
とは言っても、市の立場は私人と同様ですので、丌服申立てができないなど、公債権
とは性質が異なります。
このように、市の債権は大きく3種類に分類することができ、それぞれ適用される
法令が異なるため、債権管理の方法も異なります。
債権を正しく分類することが、適正な債権管理の第一歩です。
5
(2)債権管理の流れ
強制徴収公債権
非強制徴収公債権
私債権
発生
賦課処分
↓
納入の通知※14
賦課処分
↓
納入の通知
契約等
↓
納入の通知
日常管理
台帳の整理
納期内納付促進
債権の保全※15
台帳の整理
納期内納付促進
債権の保全
台帳の整理
納期内納付促進
債権の保全
督促※16・催告
↓
財産調査※17
↓
督促・催告
↓
督促・催告
↓
履行延期特約等
支払督促・強制執
行等
回収
納
期
内
納
付
履行延期特約等※21
支払督促※22
・強制執行※23 等
徴収猶予※18
滞納処分・換価※19
※13
消滅
時効期間
の経過
時効期間の経過
債権の放棄
滞納処分の停止※20
時効期間経過後
の時効の援用※24
債権の放棄
(解説)
債権の種類により、債権管理の方法は異なります。債権の種類ごとの債権管理の流
れは、上図のとおりですが、大きく違う部分は以下のとおりです。
(1)回収について
滞納処分ができる強制徴収公債権は、財産調査や滞納処分により債権の回収を行い
ます。
一方、滞納処分ができない非強制徴収公債権・私債権は、訴訟手続きや強制執行等
により債権を回収します。
(2)消滅について
公債権(強制徴収公債権、非強制徴収公債権)は時効期間が経過すると消滅します
が、私債権は時効期間経過後に時効の援用がないと消滅しません。
※
時効の援用とは、
時効により利益を受ける者が時効の成立を主張することを言い
ます。
6
3 具体的な取組み
(1)債権の適正な管理
行政活動は、法令の規定に従って行うものである。そのため、債権を適正
に分類した上で、各債権に適用される法令を正確に把握し、法令に基づいて
債権管理を行う。
ア
債権の発生
十分な審査を行い、必要な書面を取得したうえで、公債権については賦
課処分、私債権については契約等を行う。また、必要に応じて担保や保証
人等を確保するなどして、滞納の発生を未然に防止するよう努める。
イ 日常管理
(ア)台帳の整備
債権管理では、債権の発生以降の納付状況や交渉記録等の日常の債権
管理に関する情報の記録が重要であるため、債権に関する台帳を整備し、
債権を正確かつ効率的に管理する。
(イ)納期内納付の促進
納め忘れを防ぐため、納期の到来や納付方法などを積極的に周知する
ことにより、納期内納付を促進し、滞納の発生を未然に防止するよう努
める。
(ウ)債権の保全
債務者が破産するなど、滞納となる危険が生じた場合には、配当手
続きに参加するなどして、債権の保全を図る。また、時効完成日を意識
し、裁判上の請求※25 や債務の承認※26 等によって時効を中断※27 させるこ
とにより、債権が時効により消滅することを防ぐ。
条例3(台帳の整備)
債権を正確かつ効率的に管理するため、台帳を整備します。
【解説】
債権を正確に管理するには、債権管理に関する情報の記録が重要です。そのため、それ
らの情報を記載した台帳を整備することとします。台帳を整備することで、債権管理に関
する事務の効率化にもつながります。
なお、ここでいう「台帳」には、コンピュータ等により閲覧できる電磁的記録も含まれ
ます。
7
(2)滞納債権の回収
ア 滞納債権への早期対応
納期内に納付されない時は、法令等に基づき督促手続きを徹底する他、
速やかに納付交渉や納付相談を実施し、早期納付を促すとともに、滞納
発生の原因や生活状況の把握に努める。
イ 納付資力の把握
納付交渉や調査などを通じて、所得や財産の状況を正確に把握し、納
付するための資力の有無を的確に見極めた上で、資力に応じた徴収方針
を策定する。
ウ 徴収の猶予
滞納債権を一度に納付する資力がない場合など、直ちに徴収すること
が困難であると判断した場合は、地方税法に基づく徴収猶予や地方自治
法施行令に基づく履行延期の特約等を適用し、徴収を猶予する。
エ 滞納処分、法的手続
納付資力がありながら、納付しない者に対しては、次のように対処す
る。
(ア)強制徴収公債権については、差押え、換価等の滞納処分を実施する。
(イ)非強制徴収公債権及び私債権については、支払督促や強制執行などの
法的措置を行う。
条例4(督促)
市の債権について、履行期限までに履行しないときは、法令に従い、督促を行います。
【解説】
「督促」とは、債務者が履行期限までに債務を履行しない場合に、履行を催告する行
為を言います。
督促は、滞納債権への対応の第一歩であり、督促をしたことにより次のステップに進
むことができる重要な行為であるため、法令に従って督促を行います。
条例5(滞納処分、強制執行等)
督促をしてもなお履行されない場合は、法令に基づき、滞納処分、強制執行等の措置
を行います。
【解説】
納付資力があるにも関わらず納付しない者に対しては、強制徴収公債権であれば差押
え等の滞納処分、非強制徴収公債権や私債権については強制執行等の法的措置を行いま
す。ただし、納付資力がないと判断した場合は、徴収猶予や履行延期の特約等を適用し、
徴収を猶予します。
8
オ 債権の放棄
債権は全額回収することが原則であるが、債権を効率的・合理的に管理
するため、あらゆる手段を尽くしてもなお徴収の見込みがない債権について
は、滞納処分の停止や債権の放棄を適正に行う。
条例6(債権の放棄)
非強制徴収債権について、次の(1)から(5)のいずれかに該当する場合は、債権を
放棄できるものとします。
(1)消滅時効に係る時効期間が満了したとき(私債権のみ)。
(2)債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合において、市に弁済がな
いと見込まれるとき。
(3)破産法等の規定により債務者が市の債権について免責されたとき。
(4)地方自治法施行令に基づく強制執行の措置を取ってもなお完全に回収できず、債務
者が無資力であるとき。
(5)地方自治法施行令に基づく徴収停止の措置をとった後、相当の期間を経過しても履
行される見込みのないとき。
【解説】
徴収の見込みがない債権をいつまでも管理し続けることは、徴収できる債権に手が回ら
なくなるなど、適正な債権管理を妨げる要因となります。そのため、条件を限定し、債権
を放棄できることとします。ただし、市の財産であるため、安易な債権の放棄は行いませ
ん。たとえば、保証人から徴収できる見込みがある場合は、債権の放棄は行いません。
なお、債権の放棄を行った場合には、議会に報告することとします。
(1)私債権については、時効期間が経過しても、時効の援用(※)がない限り消滅しま
せん。しかし、債務者が時効の援用をすれば債権は消滅するため、強制執行等を行う
こともできず、また、そのような債権をそのまま放置することも適切ではありません。
そのため、時効期間が経過した私債権は、債権を放棄できることとします。ただし、
債務者が納付する意思表示をしている場合などは、債権の放棄は行いません。
※ 時効の援用とは、債務者が時効の成立を主張することをいいます。
(2)限定承認とは、相続で得た財産の範囲でのみ債務を弁済するという相続の方法です。
市の債権よりも優先的に弁済を受ける債権が多く、明らかに市に弁済がないと見込ま
れる場合は、債権を放棄できることとします。
(3)破産法や会社更生法など、債務者が法令の規定により免責を受けた場合、納付する
義務がなくなりますので、債権を放棄できることとします。
(4)強制執行を行ったものの、債権を回収しきれなかった場合において、債務者が無資
力であるときには、それ以上回収する方法がないため、債権を放棄できることとしま
す。なお、資力が回復する見込みがあるときは債権の放棄を行いません。
(5)徴収停止とは、債務者の財産が少なく、強制執行にかかる費用の方が高額であるた
めに、強制執行を行うと市が赤字になってしまう場合などに、債権の保全や取立てを
取りやめる措置です(地方自治法施行令第 171 条の 5)。このような状態が長く続い
ている債権は、今後徴収の見込みがあるとは言えないため、債権を放棄できることと
します。
9
(3)債権管理のための環境整備
ア
債権管理事務マニュアルの整備
債権の管理に関する事務の処理手続を統一し、その事務処理について必
要な調整を行うため、全庁的に活用できる債権管理に関する事務マニュア
ルを整備し、全職員が適正に債権を管理できるようにする。
イ
人材の育成
債権管理に携わる職員には、債権管理に関する法務の知識や技術が必要
である。職員のスキルをこれまで以上に向上させるため、債権管理に関す
る研修の充実を図る。
ウ
情報の共有化
各所管課が行った債権管理に関する取組みについては、「千葉市債権管
理対策本部」を通じて関係部局が緊密に連携し、情報を共有することで、
全庁一体的な債権管理を推進する。
エ
組織的な対応
(ア)債権の管理にあたっては、債権管理担当者だけではなく、組織として
対応することを改めて徹底する。
(イ)また、より効率的に管理できるよう、一元的に債権回収を行う組織の
設置を含め、効果的な体制を検討する。
オ
納付方法の拡充等の検討
債権の納付方法について、費用対効果を考慮し、より効果的な方法につ
いて検討を行う。特に、口座振替は効果的であるため、これまで以上にそ
の推進に努める。
(解説)
全庁的に適正な債権管理を行うために、債権管理しやすい環境を整えます。ここで
は、環境整備の具体的な取組みについて、示しています。
10
(4)債権管理の継続的な改善
適正な管理を実現するためには、本方針に基づき、意識・情報を共有し、
共通の姿勢で取り組む必要があり、所管課によって管理にバラツキがあって
はならない。
そのため、千葉市債権管理対策本部において、債権管理に関する執行状況
や債権の収入状況を確実に把握するとともに、債権の管理方法、管理体制の
評価と見直しを定期的に行い、債権管理の継続的な改善を図ることとする。
ア
債権管理の実態把握
市の債権がどのような分野で、どれだけ発生しているのか、また、そ
の債権がどのように管理されているかなどについて、所管課へのヒアリ
ング調査や財務監査の結果などを通じて的確に把握する。
イ
現状の見直し
実態把握によって判明した、債権管理上の課題や問題点、丌適正な点
については、原因を把握した上で見直す。
ウ
改善策の策定
見直しの方向性を、具体的な改善策として策定する。
エ
具体的な取組み
所管課において、策定された改善策についての取組みを行う。
定期的な評価と改善活動
ア
債権管理の実態把握
イ
現状の見直し
ウ
改善策の策定
エ
具体的な取組み
(解説)
債権管理方法をより適正化するため、基本方針策定後も継続的に改善を図ります。
ここでは、その具体的な考え方を示しています。
11
4 千葉市債権管理対策本部
これまで、市税を中心に徴収に関する取組みを強化してきたが、他政令市
と比較しても依然として徴収率は低く、受益と負担の公平性の観点からも徴
収率の向上は喫緊の課題である。
今後は、全ての債権について、滞納額の縮減、徴収率向上を図るとともに、
全庁一丸となって適正な債権管理を推進するため、新たに全庁横断的に検討
する組織として千葉市債権管理対策本部を設置した。
(1)債権管理対策本部の役割について
債権管理に関する規程の整備を行うとともに、全庁横断的な徴収率向上対
策や、適切な滞納処分、法的措置の方法などについて検討を行い、全庁一体
的に適切な債権管理を行う。
(2)組織
両副市長、各局(区)長によって債権管理対策本部を構成する。また、そ
の下部組織として、資産経営部長、関係課長によって構成される幹事会を設
置し、審議案の作成及び決定事項の具体化を行う。
対策本部
本部長
副市長
(財政局所管)
副本部長
本部員
幹事会
副市長
局長、区長
幹事長
資産経営部長
審議案
具体化
幹事会員
関係課長
(3)目標の設定
毎年度、債権ごとに滞納額の縮減、徴収率の向上を目的とした目標を設定
し、目標に向かって徴収対策を進めることで、適正な債権管理の実現を図る。
(解説)
本市では、債権管理の適正化を図るため、平成23年7月に「千葉市債権管理対策
本部」を設置しました。
すでに、債権管理に関する検討を開始しており、今後も「千葉市債権管理対策本部」
を中心として、適正な債権管理の推進を行います。
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