千葉市ゆかりの家・いなげ(旧武見家住宅)

(資料1)
千葉市地域文化財候補
千葉市ゆかりの家・いなげ(旧武見家住宅)
<主屋>
<茶室>
(1)種
別
有形文化財(建造物)
(2)員
数
2棟(主屋・茶室)
(3)所 在 地
千葉市稲毛区稲毛1丁目16番12
(4)所 有 者
千葉市
(5)所有者住所
千葉市中央区千葉港1番1号
(6)適用基準
市内の地域にとって歴史的に価値のあるもので、地域を知る上で必要なもの
(7)時
代
建築年
(8)説
明
明治中期以降、避暑地として多くの文人墨客が訪れた稲毛は、海岸線の松林を
大正2年(推定)
中心に、別荘・別邸が建てられた。この建物もその一つで、大正から昭和初期の
特色をもつ木造平屋建瓦葺和風住宅である。
平成8年度に武見氏より市が取得し整備工事を行った後、平成9年4月から「千
葉市ゆかりの家・いなげ」として公開している。
屋敷は、平屋の主屋と庭の茶室からなる。主屋は、棟を矩の手に回し、入母屋
の破風を南と東にそれぞれ見せる。室内の意匠は、障子を漆塗りの枠で腰付きと
し、長押を回して欄間を菱格子で飾り、天井を高く格天井で張る。居間には洋間
が付いているが、屋根の形状、取り合い柱の納まりから、のちに増築されたもの
であると考えられる。茶室は、外壁が主屋の洋間のものと同じ板壁としているこ
とから、洋間を増築した時期に造られたと推定される。室内は、6畳に床を付け、
床脇の棚にはいわゆる木瓜窓を開けるなど、洒落た意匠となっている。
全体として改造が少なく、大正時代初期の意匠をよく伝えており、また、愛新
覚羅溥傑が成婚間もない昭和12年に半年ほど居住していたという歴史的事実も
あることから、稲毛の歴史を知る上で、非常に重要なものである。
参考文献:『千葉県の近代和風建築-千葉県近代和風建築総合調査報告書-』
(千葉県教育委員会 2004 年)