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合同A15-3-3
東海第二発電所
基準地震動Ssの策定について
(コメント回答)
平成21年1月29日
日本原子力発電株式会社
コメント内容
コメント
回答概要
・資料の2-4ページの放射係数の補正手 ・地震動の放射係数については、吉川宗治・
他(1986)文献2等によれば、高周波数域では等
順における放射係数の算定で、佐藤
(2000)の文献を参照し、3Hz以下を理論 方的になることが示されていることから、周波
数依存を考慮した放射係数の補正を行った。
値、6Hz以上はBoor and
Boatwright(1984)としているが、理論値、 ・佐藤(2000)では、同文献で示されている放
またはBoor and Boatwright(1984)のみで 射特性の適用範囲は特に示されていない。し
かしながら、放射特性の周波数依存性につ
検討するなどのチェックを実施している
いては、マグニチュードや震源距離に対する
のか、また、ここでの検討が論文におけ
依存性が認められないことが示されているこ
る適用範囲に合致しているか確認したい。 とから、今回の要素地震の補正に適用した。
・必要条件は満たしているが、十分条件
は満たしていないと解釈。専門の先生に
確認してもらう必要がある。(要素地震の
補正が妥当なものか)引き続き検討をお
願いしたい。
・上記の通り、放射特性の周波数依存性につ
いては、マグニチュードや震源距離に対する
依存性が認められないことから、佐藤(2000)
による放射特性を用いることで十分な評価が
可能と考えている。
(合同Aサブグループ第11回会合)
1
コメント内容②
(合同A11-2-2 P2-3の再掲)
▼
北西
16.16km(2.02km×8)
30km
22.22km(2.02km×11)
南東
16.16km(2.02km×8)
4.06km
(=2.03km×2)
発電所 ●
14.22km
(=2.03km×7)
26.41km
(=2.03km×13)
破壊開始点1
破壊開始点2
8.13km
(=2.03km×4)
想定する断層面と要素地震
とで震源メカニズムや応力
降下量が異なるため、合成
に際しては、放射係数、応
力降下量の差を補正した。
54.53km(=2.02km×27)
1999年7月15日
地震規模
震源深さ
想定する断層面と要素地震
からの地震波の到来方向
がほぼ等しいことから、1999
年7月15日の地震を要素地
震として用いた。
M5.0
49.6km
地震モーメント 5.33E+23(dyne・cm)
震源メカニズム
地震
様式
放射係数
走向
(度)
傾斜
(度)
すべり角
(度)
FSV
FSH
0.31(※)
0.37(※)
要素地震
(1999.7.15, M5.0)
プレート間
8
72
97
茨城県南部の地震
(M7.3)
プレート内
296
90
-90
メッシュ毎の方位角、射出角を用いて算定
[参考]-0.19(※)
[参考]-0.13(※)
※:方位角14.6度、射出角129.4度
2
コメント内容②
(合同A11-2-2 P2-4の再掲)
地震観測記録
放射係数の補正手順
文献1
②要素地震波の放射係数(FSH,
FSV)を算定
なお、放射係数は、周波数3Hz
以下では理論値、6Hz以上では
Boore and Boatwright (1984)に
よる等方的な値(0.445)、3~6
Hzは両対数軸上で線形補間し
た値を用いる
③要素地震波の放射係数(FSH,
FSV)を用いて補正(逆補正)
④逆補正した地震波を、茨城県
南部の地震のそれぞれのメッ
シュから算定される放射係数
(FSH’, FSV’)を用いて補正
(順補正)
Boore and Boatwright (1984)
FSH, FSV
地震観測記録の放射係数
FSH, FSV
①要素地震波のNS-EW成分を
Radial-Transverse成分に変換
①
NS-EW成分をRT変換
X(t), Y(t) → R(t), T(t)
②
文献2
FSH, FSV
or FSH’, FSV’
佐藤(2000)
0.445
R(t), T(t)のフーリエ変換
→ R(ω), T(ω)
③,④
3
6
振動数(Hz)
放射係数の補正
R’(ω)=R (ω)/FSH(逆補正) → R’’(ω)=R’(ω)×FSH’(順補正)
T’(ω)= T(ω)/FSV (逆補正) → T’’(ω)=T’(ω)×FSV’(順補正)
地震観測記録から逆補正で放射係数を除き、順補正で断層モデルの放射係数を加える
⑤放射係数補正後の地震波を
Radial-Transverse成分から
NS-EW成分に変換
R’’(ω), T’’(ω)の逆フーリエ変換 → R’’(t), T’’(t)
⑤
R’’(t), T’’(t)をNS-EW成分に変換 → X’’(t), Y’’(t)
3
放射特性の補正について
地震動の放射係数については一般的に、低周波数域では理論的放射係数とほぼ対応するが、高
周波数域では等方的になることが示されている。
(例えばLiu and Helmberger(1985)文献1、吉川宗治・他(1986)文献2、釜江・入倉他(1990)文献3、Takenaka et al(2003)文献4、理論地震動研究
会編「地震動」文献5)
佐藤(2000)について
・ 内陸地殻内地震である1998年宮城県南部の地震につ
いて、12地点の強震記録を用いて放射係数の周波数依存
性を定量化したもの(BSSAにも投稿済み文献6)。
・ データの範囲はM5.0(本震), M4.0(余震), M3.8(前震)、
震源距離15~27kmである。
「3Hzまでの低周波数帯域では理論的放射特
性とほぼ対応しコヒーレントな性質が卓越する
が、6Hz以上の高周波数帯ではランダムな性
質が卓越することがわかった。またこの周波数
依存性にはマグニチュードや震源距離依存性
が認められなかった。」(抜粋)
1998年宮城県南部地震(M5.0)の震央位置・メカニズム
解と観測点位置 (佐藤2000より)
4
放射特性の補正について
f12
f23
佐藤(2000)について
f12
f23
右図は、TSUTとTRGAでの本震(太線)、前震(細
点線)、余震(細線)の観測R/TとモデルR/T(太破
線)を示す。モデルR/Tのf12~f23間は対数軸で直
線補完をしている。
佐藤(2000)に一部加筆
▲ f23, ● f12
本震(M5.0)
前震(M3.8)
余震(M4.0)
本震、前震及び余震の記録から推定されたf12、f23と震源距離の関係(実線は黒丸の平均値、破線は黒三角の平均値)
(Sato2002文献6に一部加筆)
5
参考文献
文献1: Hsui-Lin Liu and Donald V.Helmberger (1985):THE 23:19 AFTERSHOCK OF THE 15 OCTOBER 1979
IMPERIAL VALLEY EARTHQUAKE: MORE EVIDENCE FOR AN ASPERITY,
Bulletin of the Seismological Society of America,Vol.75,No.3,pp.689-708, June 1985
文献2: 吉川宗治・他(1986):震源放射特性を考慮した小地震の重ね合わせによる震源近傍本震地震動の合
成, 第7回地震工学シンポジウム(1986), 25
文献3: 釜江・入倉他(1990):地域的な震源スケーリング則を用いた大地震(M7級)のための設計用地震動予測
(1990), 日本建築学会構造系論文報告集 第416号・1990年10月
文献4: Takenaka et al(2003):Near-source effect on radiation pattern of high-frequency S waves:strong SHSV mixing observed from aftershocks of the 1997 Northwestern Kagoshima, Japan, earthquakes,
Physics of the Earth and Planetary Interiors 137 (2003) 31-43
文献5: 理論地震動研究会 編:地震動 その合成と波形処理, 1994, 鹿島出版会
文献6: Toshimi Sato (2002):Empirical Frequency-Dependent Radiation Pattern of the 1998 Miyagiken-Nanbu
Earthquake in Japan, Bulletin of the Seismological Society of America,Vol.92,No.3,pp.1032-1039,
April 2002
※ 合同A11-2-2を再掲したページの参考文献は除く
6