博士論文 子宮頸癌、体癌に対する外科的治療前後の 性機能、排尿機能

博士論文
子宮頸癌、体癌に対する外科的治療前後の
性 機 能 、 排 尿 機 能 、 Quality of life の 比 較 に よ る
自律神経温存の効果に関する検討
東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
発生・発達医学講座
婦人科学分野
石 田 志 子
目 次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
Ⅰ.
要約
Ⅱ.
研究背景
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
Ⅲ.
研究目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
Ⅳ.
研究方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
1
対象
2
調査時期と方法
3
アンケート調査内容
4
自律神経温存広汎子宮全摘術における術中神経刺激の方法と
温存神経の評価
5
統計解析
Ⅴ.
1
研究結果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
20
自 律 神 経 温 存 広 汎 子 宮 全 摘 術 前 後 の QO L の 検 討
(1 )
対象者の基礎特性
(2 )
温 存 群 と 他 術 式 の 治 療 前 後 の F SFI 、排 尿 機 能 評 価 ス コ ア 、SF -3 6
の比較
(3 )
多変量解析
Ⅵ.
考察
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24
Ⅶ.
結論
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
31
Ⅷ.
参考文献
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
32
Ⅸ.
付図説明
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅹ.
付図および付表
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
40
42
Ⅰ.
要約
【研究背景】
悪 性 疾 患 の 外 科 的 治 療 に お い て は 根 治 性 だ け で な く 、性 機 能 、排 尿 機
能 を 含 め た Q O L ( Quali ty of li fe; 生 活 の 質 ) の 維 持 が 重 要 に な っ て き
て い る 。し か し 、わ が 国 で は 自 律 神 経 温 存 の 有 無 に よ る 手 術 前 後 の Q O L
変 化 に つ い て 、性 機 能 、排 尿 機 能 評 価 を 含 め た 複 数 の ス コ ア を 用 い て 総
合的に評価、検討した報告はない。
【研究目的】
術 中 電 気 刺 激 を 用 い た 自 律 神 経 温 存 広 汎 子 宮 全 摘 術 の 排 尿 機 能 、性 機
能 を 評 価 し 、 自 律 神 経 温 存 の QOL へ の 有 効 性 を 明 ら か に す る こ と を 目
的とした。
【研究方法】
平 成 20 年 1 月 ~ 2 4 年 11 月 に 入 院 し た 患 者 2 49 名 に 対 し 、 手 術 前 後
の 性 機 能 、 排 尿 機 能 、 QOL に つ い て の ア ン ケ ー ト 調 査 を お こ な っ た 。
子 宮 の 悪 性 腫 瘍 で 開 腹 子 宮 全 摘 術 を 受 け た 87 名 に つ い て 、 広 汎 子 宮 全
摘 術 の 術 中 神 経 刺 激 で 神 経 温 存 状 態 が 確 認 で き た 『 温 存 群 』、 確 認 で き
な か っ た『 非 温 存 群 』で 術 後 12 ヶ 月 ま で の 性 機 能 、排 尿 機 能 、Q O L ス
コ ア を 比 較 し た 。さ ら に 、神 経 に 対 す る 操 作 の 加 わ ら な い 術 式 と し て「 単
純 あ る い は 拡 大 子 宮 全 摘 術 + 骨 盤 リ ン パ 節 郭 清 術 」 を 『 PL A 群 』、 交 感
神 経 損 傷 の 可 能 性 が 否 定 で き な い「 単 純 あ る い は 拡 大 子 宮 全 摘 術 + 骨 盤
3
リ ン パ 節 郭 清 お よ び 傍 大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清 術 」 を 『 PALA 群 』 と し て 、
術 後 12 ヶ 月 ま で の 性 機 能 、排 尿 機 能 、Q OL ス コ ア を そ れ ぞ れ 温 存 群 と
比 較 し た 。性 機 能 評 価 に は F SF I( F em al e Sexual F uncti on I ndex ; 女 性
性機能質問紙
札 幌 医 科 大 学 試 案 )、 排 尿 機 能 評 価 に は O ABS S
( Ov e ra ctiv e Bla d der Sy m ptom Scor e; 過 活 動 膀 胱 症 状 ス コ ア )、 I -P S S
( I nt e rna ti ona l P rosta t e Sym pt om Score; 国 際 前 立 腺 症 状 ス コ ア
QOL に 関 す る 1 項 目 ( 排 尿 Q OL ス コ ア ) を 含 む )、 I CI Q -SF
( I nt e rnati ona l Consult at io n on Incont inence Questi onnai re-Short
Fo rm; 尿 失 禁 症 状 ス コ ア )、 Q OL 評 価 に は SF -3 6 ( Medi cal O ut com e
St udy S hort -F o rm 36 -It em Healt h Surv ey ) を 用 い た 。
【研究結果】
温 存 群 と 非 温 存 群 の 比 較 で は 、す べ て の 時 期 に お い て FSFI に 差 が な
か っ た が 、1 ヶ 月 の 排 尿 Q OL ス コ ア( p <0. 01 )、I -P SS 排 尿 症 状( p < 0.0 5 )
お よ び S F -36 日 常 役 割 機 能 ( 精 神 )( p <0. 05 )、 3 -6 ヶ 月 の SF -36 身 体
機 能 ( p <0 .0 5 )、 心 の 健 康 ( p <0 .0 5 ) は 、 非 温 存 群 よ り 温 存 群 で 良 好 だ
っ た 。 温 存 群 と P L A 群 の 比 較 で は 、 す べ て の 時 期 に お い て F SF I に 差
が な か っ た が 、1 2 ヶ 月 の I -P S S 蓄 尿 症 状 は P L A 群 に 比 べ て 温 存 群 で 劣
っ て い た( p < 0. 05 )。ま た 、3 -6 ヶ 月 の SF -36 身 体 機 能 、全 体 的 健 康 感 、
活 力 は 、P LA 群 よ り 温 存 群 で 良 好 だ っ た( p < 0 .05 )。温 存 群 と PAL A 群
と の 比 較 で は 、発 症 前 、3 -6 ヶ 月 、1 2 ヶ 月 の F SF I が PAL A 群 よ り 温 存
群 で 良 好 だ っ た( p <0. 05 )。1 ヶ 月 の 排 尿 Q OL ス コ ア は PAL A 群 よ り 温
4
存 群 が 劣 っ て お り 、 3 -6 ヶ 月 お よ び 1 2 ヶ 月 の SF -36 は 、 PAL A 群 よ り
温存群で良好だった。
性 機 能 、 排 尿 機 能 、 Q OL ス コ ア に 対 す る 術 式 の 影 響 を 明 ら か に す る
た め 、年 齢 、卵 巣 温 存 状 態 、化 学 療 法 お よ び 放 射 線 療 法 の 有 無 、婚 姻 状
況 を 補 正 し て 検 討 し た 結 果 、 F SF I お よ び 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア で は 術 式
の 影 響 は 認 め ら れ な か っ た 。SF -3 6 で は 3 -6 ヶ 月 の サ マ リ ー ス コ ア「 役
割 / 社 会 的 側 面 」 に お い て 、 温 存 群 に 対 す る PAL A 群 の オ ッ ズ 比 が 高 か
った。
【結論】
1. 自 律 神 経 温 存 お よ び 神 経 操 作 の 有 無 に か か わ ら ず 術 後 の 性 機 能 ス コ
アは低下しており、神経以外の要因の影響が大きい可能性が考えら
れた。
2. 自 律 神 経 温 存 に よ り 12 ヶ 月 後 の 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア は 良 好 と な り 、
神経損傷にかかわる操作のない術式と同等の排尿機能が得られた。
3 . 術 後 3 -6 ヶ 月 で は 温 存 群 よ り PAL A 群 の QOL が 低 下 し て お り 、 傍
大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清 は 侵 襲 が 大 き く 、Q OL に 与 え る 影 響 と し て は 骨
盤神経の温存の有無よりも大きい可能性がある。
5
Ⅱ.
研究背景
悪 性 疾 患 の 外 科 的 治 療 に お い て は 根 治 性 だ け で な く 、術 後 の 合 併 症 や
後 遺 症 に よ る Q ual ity of li fe(以 下 、
「 QO L 」)の 低 下 を 可 能 な 限 り 回 避 す
る こ と が 重 要 で あ る 。外 科 的 治 療 は 身 体 的 侵 襲 が 大 き く 、創 部 痛 や 機 能
低 下 も 加 わ り QOL を 低 下 さ せ る 因 子 と な る が
1)2)、 特 に 婦 人 科 疾 患 に
対 す る 外 科 的 治 療 で は 、神 経 損 傷 に よ る 排 尿 機 能 障 害 、子 宮 や 卵 巣 の 摘
出による妊孕性低下やホルモン変化といった特有の後遺症
3)が
さらに
QOL の 低 下 を 助 長 す る 可 能 性 が あ る 。
QOL に は 様 々 な 要 因 が 影 響 す る と い わ れ て い る が
4)、 排 尿 機 能 と の
関 連 に つ い て 、 下 部 尿 路 症 状 の あ る 者 は そ う で な い 者 よ り Q OL が 低 い
こ と 、 下 部 尿 路 症 状 が Q OL に 与 え る 影 響 は 年 齢 が 高 い ほ ど 大 き い こ と
がわかっている
5)6)7)8)9)。 婦 人 科 領 域 に お い て は 、 特 に 子 宮 頸 癌 に 対 す
る広汎子宮全摘術で排尿機能障害を合併しやすいことが知られており
1 0 ) 11 ) 1 2 ) 1 3 ) 、術 後 の
QOL を さ ら に 悪 化 さ せ る 要 因 と な り う る こ と が 考 え
ら れ る 。広 汎 子 宮 全 摘 術 以 外 の 術 式 に つ い て は 、傍 大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清
を伴う術式で排尿障害がみられなかったという報告がなされているが
14)、 一 方 で 、 良 性 疾 患 に 対 す る 単 純 子 宮 全 摘 術 を 受 け た 患 者 の
上に術後新たな腹圧性尿失禁が出現したという報告もあり
20% 以
15)、 神 経 に
対する操作の加わらない術式であっても術後の排尿機能になんらかの
影響を及ぼすことが推測される。
6
QOL と 性 機 能 の 関 連 に つ い て も 排 尿 機 能 障 害 と 同 様 、 性 機 能 障 害 が
QOL に 悪 影 響 を 及 ぼ す こ と が 国 外 で い わ れ て い る
1 6 ) 1 7 ) 。婦 人 科 疾 患 と
性 機 能 に つ い て は 、良 性 疾 患 に 対 す る 単 純 子 宮 全 摘 術 を 受 け た 患 者 で 術
後の性交への影響はみられなかったが
18)19)、 広 汎 子 宮 全 摘 術 後 の 患 者
では腟分泌物低下や性欲低下がみられ
20)、 さ ら に 両 側 卵 巣 摘 出 を と も
な う 広 汎 子 宮 全 摘 術 に お い て は 、術 後 2 年 が 経 過 し て も 性 的 関 心 お よ び
性活動がほとんどみられなかったと報告されている
12)。 一 般 に 閉 経 後
はエストロゲンの低下により萎縮性腟炎や腟潤滑の減少が起こりやす
く、テストステロンの低下により性欲の減退がみられることから
3)21)、
閉経前の卵巣摘出が性機能に悪影響を及ぼす可能性は高いと思われる。
さ ら に 性 活 動 性 に つ い て は 、術 後 2 年 の 性 機 能 ス コ ア が 一 般 女 性 よ り 低
かったものの性活動性だけは高かったという国外の報告があるが
12)、
わ が 国 で は 子 宮 の 摘 出 方 法 や リ ン パ 節 郭 清 範 囲 に よ ら ず 、婦 人 科 疾 患 外
科的治療後 3 年の性活動性が術前より低下していたと報告されている
1 4 ) 。日 本 人 一 般 女 性 に つ い て は 、ア メ リ カ 人 女 性 に 比 べ て 性 機 能 ス コ ア
が低いことが知られており
22)23)、 性 活 動 性 や 性 機 能 ス コ ア は 国 民 性 に
よ っ て 異 な る こ と が 考 え ら れ る 。し か し な が ら 古 く か ら 性 を タ ブ ー 視 し
て き た わ が 国 で は 、性 に 関 す る 研 究 が 非 常 に 少 な く 、日 本 人 一 般 女 性 の
性機能の実態さえ良くわかっていないのが現状である。
NS RH( N e rv e -spa ri ng ra di cal hy st erectom y; 自 律 神 経 温 存 広 汎 子 宮
全 摘 術 )は 、術 後 の 排 尿 機 能 障 害 の 回 避 を 目 的 と し て わ が 国 で 開 発 さ れ
7
た術式で
2 4 ) 、 近 年 は 諸 外 国 で も 行 わ れ る よ う に な っ て き た 。 N SRH
の
排 尿 機 能 温 存 に 対 す る 有 効 性 に つ い て は 、 非 温 存 術 式 に 比 べ て N SRH
で下部尿路症状の出現や程度が低く、回復が早いとされているが
2 5 ) 2 6 ) 2 7 ) 2 8 ) 2 9 ) 、神 経 の 温 存 を 客 観 的 評 価 で 検 討 し た 報 告 は な い 。一 方 で 、
女 性 性 機 能 に お け る 自 律 神 経 の 関 与 に つ い て は 、い ま だ に 明 ら か に さ れ
て い な い 現 状 が あ る 。国 外 の 報 告 に お い て 、骨 盤 の 自 律 神 経 系 の う ち 下
位下腹神経叢から出る自律神経が腟壁の血管の神経制御に重要な役割
を 担 っ て お り 、腟 壁 の 血 管 が 脈 管 う っ 血 と 腟 潤 滑 反 応 の 神 経 性 調 節 に か
かわっていること
30)、 自 律 神 経 ( 交 感 神 経 ) が 女 性 の オ ー ガ ズ ム に お
いて基本的役割を果たしている可能性が指摘されている
20)。 し か し な
が ら 自 律 神 経 温 存 と 性 機 能 の か か わ り に つ い て は 、Cib ula ら
ら
29)や
Di t to
31)が 神 経 温 存 の 有 無 で 性 機 能 に 違 い が な か っ た こ と を 報 告 し て い る
の み で あ り 、 性 機 能 温 存 に 対 す る N SRH の 効 果 に つ い て は い ま の と こ
ろ 不 明 な ま ま で あ る 。 当 科 で は 、 N SRH に お い て I ES( I nt ra opera ti v e
el e ct ri ca l sti m ula ti on; 術 中 神 経 刺 激 ) を 用 い た 術 式 を 確 立 し て お り 、
現在、初期子宮頸癌に対して適用している
3 2 ) 3 3 ) 。 ま た 、 I ES
による神
経 温 存 の 結 果 は 、術 後 3 ヶ 月 の 尿 流 動 態 検 査 に よ る 膀 胱 機 能 の 評 価 と も
一 致 し て お り 、I E S は 神 経 温 存 の 客 観 的 評 価 に 有 用 な 手 法 だ と さ れ て い
る
33)。
そ こ で わ れ わ れ は 、 I ES を 用 い た N SRH で 自 律 神 経 温 存 が 客 観 的 に
確 認 で き た も の は 排 尿 機 能 だ け で な く 性 機 能 も 維 持 さ れ 、他 の 術 式 に 劣
8
ら な い QOL が 得 ら れ る の で は な い か と 考 え た 。
Ⅲ.
研究目的
術 中 電 気 刺 激 を 用 い た 自 律 神 経 温 存 広 汎 子 宮 全 摘 術 の 排 尿 機 能 、性 機
能 を 評 価 し 、 自 律 神 経 温 存 の QOL へ の 有 効 性 を 明 ら か に す る 。
Ⅳ.
研究方法
本研究は東北大学医学系研究科倫理委員会により承認されたプロト
コ ル に 基 づ き 行 わ れ た 。全 対 象 者 に 対 し 、文 書 を 使 用 し て 個 別 に 十 分 な
説明を行い、書面による承諾を得たうえで実施した。
1.
対 象 ( 図 1)
平 成 20 年 1 月 ~ 2 4 年 11 月 の 間 に 婦 人 科 疾 患 外 科 的 治 療 目 的 で 東 北
大 学 病 院 に 入 院 し た 20 歳 代 か ら 7 0 歳 代 の 患 者 は 、 1 , 0 6 0 名 で あ っ た 。
そ の う ち 手 術 前 日 ま で に 直 接 調 査 説 明 が で き た 初 回 治 療 の 患 者 3 90 名
に 調 査 依 頼 を 行 い 、319 名 に 研 究 参 加 の 同 意 が 得 ら れ た( 回 収 率 8 1 .8 % )。
9
得 ら れ た 回 答 の う ち 、認 知 に 問 題 が あ り 回 答 の 信 頼 性 が 低 い と 判 断 し た
者( 2 名 )、手 術 前 に 原 疾 患 に 対 し て 化 学 療 法 が な さ れ て い た 者( 4 名 )、
不 妊 治 療 中 で あ っ た 者 ( 6 名 )、 半 身 麻 痺 や 下 肢 切 断 な ど で 身 体 機 能 に
障 害 の あ っ た 者( 2 名 )を 除 外 し た 。進 行 性 あ る い は 再 発 性 疾 患 患 者 の
QOL は 、 治 療 前 か ら 大 き く 低 下 す る こ と が 報 告 さ れ て い る が
34)、 卵 巣
悪 性 疾 患 患 者 は 診 断 さ れ た 時 点 で す で に 進 行 し て い る こ と が 多 く 、治 療
期 間 も 長 期 に わ た る た め 、治 療 前 後 の QO L が 子 宮 頸 癌 や 子 宮 体 癌 の 患
者に比べて低いといわれている
35)。 そ の た め 卵 巣 悪 性 疾 患 お よ び 子 宮
頸 癌 お よ び 子 宮 体 癌 か ら 臨 床 進 行 期 Ⅲ 期 お よ び Ⅳ 期 を 除 外 し た 。さ ら に
腫 瘍 の 完 全 摘 出 が で き な か っ た 者 、初 回 手 術 後 に 再 発 を 認 め た 者 、理 由
は問わず再度外科的治療を受けた者についても以後の解析から除外し
た
3 4 ) 。 Q OL
は生活環境の影響を受けやすいことが考えられるため、術
後 の 退 院 か ら 初 回 郵 送 調 査 の 回 答 ま で の 日 数 が 20 日 以 内 の 患 者 に つ い
ては「1 ヶ月」の解析から除外した。
今 回 の 検 討 で は 、子 宮 の 悪 性 腫 瘍 に 対 し て リ ン パ 節 郭 清 を と も な う 開
腹 子 宮 全 摘 術 を お こ な っ た 87 名 を 解 析 対 象 と し て 用 い 、 広 汎 子 宮 全 摘
術 に つ い て は I ES を 用 い た N SRH を お こ な っ た も の に 限 定 し た 。 解 剖
学 的 に み る と 交 感 神 経 は 、 腹 部 で は 交 感 神 経 幹 の 4~ 5 対 の 腰 神 経 節 か
ら 腰 内 臓 神 経 が 出 て 、腹 大 動 脈 神 経 叢 と 上 下 腹 神 経 叢 に 入 る 。大 ・ 小 内
臓 神 経 と 迷 走 神 経 に 腰 内 臓 神 経 が 加 わ っ て 自 律 神 経 叢 を 作 り 、腹 腔 神 経
叢 、上 腸 間 膜 動 脈 神 経 叢 、腎 神 経 叢 、副 腎 神 経 叢 お よ び 下 腸 間 膜 動 脈 神
10
経叢を形成する
36)。 上 腹 部 で は 交 感 神 経 か ら な る こ れ ら の 神 経 叢 が 多
く 分 布 し て い る こ と か ら 、傍 大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清 を 伴 う 術 式 に お い て 交
感 神 経 損 傷 の 危 険 性 も 否 定 で き な い と 考 え ら れ た 。そ こ で 、自 律 神 経 温
存 の 有 効 性 の 検 討 に は 神 経 温 存 の 有 無 だ け で な く 、骨 盤 リ ン パ 節 郭 清 を
伴 う が 神 経 に 対 す る 操 作 の 加 わ ら な い 術 式 、さ ら に 傍 大 動 脈 リ ン パ 節 郭
清により交感神経が損傷される可能性のある術式についても比較対象
と し て 設 定 す る こ と に し 、 I ES を 用 い た N SRH で 両 側 あ る い は 片 側 の
神 経 温 存 が 客 観 的 に 確 認 で き た 群 を『 温 存 群 』、I ES を 用 い た N SRH で
神 経 温 存 を 確 認 で き な か っ た『 非 温 存 群 』と し 、神 経 に 対 す る 操 作 の 加
わ ら な い 術 式 と し て「 単 純 あ る い は 拡 大 子 宮 全 摘 術 + 骨 盤 リ ン パ 節 郭 清
術 」を『 P L A 群 』、交 感 神 経 損 傷 の 可 能 性 が 否 定 で き な い 術 式 と し て「 単
純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清および傍大動脈リンパ
節 郭 清 術 」 を 『 PALA 群 』 と し て 分 類 し た 。
治 療 前 後 の 各 時 期 で 性 機 能 、 排 尿 機 能 、 QOL の ス コ ア に つ い て は 、
それぞれ『温存群』と他群とで比較をおこなった。
性 機 能 ス コ ア に つ い て は 、プ レ テ ス ト の 段 階 で 治 療 前 の 過 去 4 週 間 に
お い て 性 交 あ り と 答 え た も の が 10% に 満 た ず 、 告 知 に よ る 影 響 が 考 え
ら れ た 。 そ の た め 「 発 症 前 」 の 記 入 欄 を 追 加 し 、「 症 状 も な く 、 診 断 も
さ れ て い な い 時 期 」を 指 す こ と を 説 明 し て 回 答 を 求 め た 。最 終 的 に 治 療
前 の 過 去 4 週 間 に お い て 性 交 あ り と 答 え た も の は 87 名 中 12 名 し か お
ら ず 、統 計 学 的 に 群 間 比 較 す る の は 信 頼 性 の 観 点 か ら 妥 当 で な か っ た た
11
め 、 今 回 の 治 療 前 FSFI の 解 析 に は 「 発 症 前 」 の 回 答 の み を 用 い た 。
2.
調査時期と方法
手 術 前 日 ま で に 直 接 本 人 に 調 査 へ の 協 力 を 依 頼 し 、質 問 紙 法 に よ る 聞
き 取 り 調 査 を 実 施 し た 。協 力 が 得 ら れ た 患 者 の う ち 、治 療 後 の 継 続 調 査
に 同 意 が 得 ら れ た 者 に は 、 退 院 後 1 ヶ 月 、 3 ヶ 月 、 12 ヶ 月 の 各 時 期 に
同 質 問 紙 を 用 い た 自 記 式 ア ン ケ ー ト 調 査 を 郵 送 法 に て 実 施 し た 。退 院 後
3 ヶ月の回答がなかった者には 6 ヶ月を目安に再度郵送して依頼した
( 図 2 )。 回 答 日 の 術 後 日 数 に よ り 「 治 療 前 」、「 1 ヶ 月 」、「 3 ヶ 月 」、「 6
ヶ 月 」、「 1 2 ヶ 月 」 に 分 類 し 、 対 象 者 数 が 少 な い 「 6 ヶ 月 」 に つ い て は
「 3 ヶ 月 」 の 対 象 者 と 併 せ 「 3 -6 ヶ 月 」 と し て 解 析 に 用 い た 。
疾 患 名 、術 式 、臨 床 進 行 期 、神 経 温 存 状 況 、組 織 診 断 、病 理 診 断 、術
後 補 助 療 法 の 有 無 に つ い て は 、婦 人 科 診 療 録 、手 術 記 録 、入 院 総 括 か ら
情報を得た。
3.
アンケート調査内容
質 問 紙 は 、 性 機 能 評 価 ス コ ア と し て FSFI( F em al e Sex ual F uncti on
Inde x; 女 性 性 機 能 質 問 紙
札 幌 医 科 大 学 試 案 )、 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア と
し て O ABSS( Ov era ct iv e Bl a dder Sym pt om Score; 過 活 動 膀 胱 症 状 ス
12
コ ア )、 I -PSS ( I nt ernati ona l P rost at e Sym pt om Score; 国 際 前 立 腺 症
状 ス コ ア : Q OL に 関 す る 1 項 目 ( 排 尿 QO L ス コ ア ) を 含 む )、 I CI Q -S F
( I nt e rnati ona l Consult at io n on I nconti nence Q uesti onnai re -Short
Fo rm ; 尿 失 禁 症 状 ス コ ア )、Q O L ス コ ア と し て SF -3 6( M edi cal O ut com e
St udy S hort -F o rm 36 -It em Healt h Surv ey ) に よ り 構 成 さ れ る 。
そ の 他 、基 本 属 性 と し て 、年 齢 、婚 姻 状 況 、性 交 の パ ー ト ナ ー の 有 無 、
過去 4 週間の性交回数の項目を設けた。
(1 )
F SF I ( 札 幌 医 科 大 学 泌 尿 器 科 試 案 )
FS FI は 米 国 の Ro sen ら に よ っ て 開 発 さ れ 2 000 年 に 発 表 さ れ た 1 9
項目の尺度であり、性欲、性的興奮、腟潤滑、オーガズム、性的満足、
性交痛の 6 ドメインについて過去 1 ヶ月の状況を質問する
37)。
F SF I
は、
そ れ ぞ れ の ド メ イ ン に つ い て ス コ ア リ ン グ シ ス テ ム に 則 り 点 数 化 し 、そ
れ を 合 計 し て F SF I ト ー タ ル ス コ ア を 算 出 す る も の で 、点 数 が 高 い ほ ど
良好な状態を示す。
20 11 年 に 高 橋 ら に よ っ て 日 本 語 版 が vali dat ion さ れ た が 、 わ が 国 の
性 交 頻 度 が 他 国 に 比 べ て か な り 低 い こ と 、疾 患 を 持 つ 対 象 者( 乳 が ん 患
者 ) に お い て 術 前 に 性 交 あ り の 14 % が 術 後 の 性 交 を 止 め 、 性 交 を 再 開
し た 人 の う ち 59% の 性 交 頻 度 が 減 少 し た こ と 等 を 理 由 に 、 過 去 3 ヶ 月
間での調査を実施し推奨している
38)。 こ の よ う に
13
v ali dati on 時 の 条 件
が オ リ ジ ナ ル 版 と 異 な る こ と か ら 、 わ れ わ れ は 2 00 8 年 の 調 査 開 始 時 か
ら 使 用 し て い た 「 札 幌 医 科 大 学 泌 尿 器 科 試 案
( ht t p:/ /w ww.la b. t o ho-u.a c.j p/m ed/ omori/ repro/ pa ti ent/ sex ual _i m pai
rm ent /q ue sti on1 . pdf)」 を 用 い 、「 過 去 1 ヶ 月 」 の 状 況 で 調 査 を 実 施 し
た。
本研究では、6 つのドメインスコアおよびトータルスコアについて、
それぞれ群間比較により評価をおこなった。
(2 )
排尿機能評価スコア
排 尿 機 能 評 価 ス コ ア に お い て は 、下 部 尿 路 症 状 の 自 覚 症 状 の 評 価 に 有
用 と さ れ る 以 下 の ス コ ア 指 標 を 使 用 し た 。 そ れ ぞ れ 「 0」 が 正 常 あ る い
は も っ と も 良 好 な 状 態 を 示 し 、ス コ ア が 高 い ほ ど 排 尿 機 能 が 悪 い こ と を
示す。
1)
O ABSS
過去 1 週間の昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁の 4
項 目 を 自 己 評 価 し て 点 数 化 し 、 4 項 目 を 加 算 し て O ABSS を 算 出 す る
3 9 ) 4 0 ) 。本 研 究 で は 、治 療 前 を 基 準 に し た 術 後 の 変 化 に つ い て 評 価 を お こ
な っ た 。さ ら に 過 活 動 膀 胱( O AB)ガ イ ド ラ イ ン に よ る 診 断 基 準「 尿 意
14
切 迫 感 ス コ ア 2 点 以 上 、 か つ 、 O ABSS が 3 点 以 上 」 に 基 づ き O AB の
有無を確認し、群間比較をおこなった。
2)
I -P S S
I -P SS は 前 立 腺 肥 大 症 に 限 ら ず 、 女 性 の 下 部 尿 路 症 状 に も 有 用 で 、
広く国際的に用いられている。
過去 1 ヶ月間の残尿感、昼間頻尿、夜間頻尿、尿線途絶、我慢困難、
尿 勢 低 下 、腹 圧 排 尿 に 関 す る 7 項 目 を 6 段 階 で 評 価 す る 。7 項 目 を 加 算
し て I -P SS 総 合 点 を 算 出 す る
41)。 残 尿 感 の 項 目 は 「 排 尿 後 症 状 」 に 分
類 さ れ る が 、本 研 究 で は 残 尿 感 を 含 め た 尿 線 途 絶 、尿 勢 低 下 、腹 圧 排 尿
を 「 I -P SS 排 尿 症 状 」、 昼 間 頻 尿 、 我 慢 困 難 、 夜 間 頻 尿 を 「 I -P SS 蓄 尿
症 状 」と 定 義 し
3)
4 2 ) 、そ れ ぞ れ 治 療 前 値 か ら の 変 化 量 に つ い て 評 価 し た 。
排 尿 QOL ス コ ア
I -P SS 調 査 項 目 に 含 ま れ る 排 尿 に 関 す る Q OL に つ い て の 1 項 目 で 、
総 合 点 に 換 算 し な い 。 0 -6 点 ( 大 変 満 足 - 大 変 不 満 ) の 7 段 階 で 評 価 す
る
41)。
本研究では、単独項目として群間比較をおこなった。
15
4)
I CI Q -SF
ICIQ -SF は 、 過 去 1 週 間 の 尿 失 禁 頻 度 、 尿 失 禁 の 程 度 、 尿 失 禁 に よ
る 生 活 の 支 障 度 の 3 つ の 質 問 か ら 構 成 さ れ 、尿 も れ の 場 面 に つ い て の 質
問が複数選択項目としてあげられている
43)。
各 群 の 尿 失 禁 の 有 無 と 場 面 に つ い て 群 間 比 較 を 行 い 、治 療 前 を 基 準 に
し た 術 後 の 変 化 に つ い て 検 討 を お こ な っ た 。さ ら に 、尿 失 禁 が あ る 者 に
つ い て は I CIQ -SF 総 得 点 を 算 出 し 、 群 間 比 較 を お こ な っ た 。
(3 )
S F -3 6
SF -36 は 過 去 1 ヶ 月 の 状 況 を 質 問 す る こ と に よ り 、 Q O L を 測 定 す る
包 括 的 尺 度 で あ る 。 身 体 機 能 、 日 常 役 割 機 能 ( 身 体 )、 体 の 痛 み 、 全 体
的 健 康 感 、 活 力 、 社 会 生 活 機 能 、 日 常 役 割 機 能 ( 精 神 )、 心 の 健 康 の 8
下 位 尺 度( 以 下 、
「 サ ブ ス コ ア 」)か ら 構 成 さ れ る 。尺 度 ご と に 求 め ら れ
た 数 値 を 基 に 換 算 式 を 用 い て 換 算 し 、点 数 が 高 い ほ ど 良 好 な 状 態 を 示 す
44)。 サ ブ ス コ ア を
3 つ の コ ン ポ ー ネ ン ト ・ サ マ リ ー ス コ ア ( 以 下 、「 サ
マ リ ー ス コ ア 」)
「 身 体 的 側 面 」、
「 精 神 的 側 面 」、
「 役 割 / 社 会 的 側 面 」に
要約して解釈することもできる
45)。
今 回 は 、 国 民 標 準 値 50 点 、 標 準 偏 差 10 点 と し て 変 換 し た ス コ ア を
用 い 、サ ブ ス コ ア に つ い て 群 間 比 較 を お こ な っ た 。多 変 量 解 析 の 補 正 に
16
はサマリースコアを用いた。
欠 損 値 に つ い て は 、SF -3 6 は マ ニ ュ ア ル の 推 奨 案 に 従 っ て 補 充 可 能 な
値 を 補 い 、 F SF I お よ び 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア は 欠 損 の あ る ス コ ア の 項 目
を除外して、それぞれ解析に用いた。
4.
自律神経温存広汎子宮全摘術における術中神経刺激の方法と温存
神経の評価
自 律 神 経 は 、交 感 神 経 で あ る 下 腹 神 経 と 、副 交 感 神 経 で あ る 骨 盤 内 臓
神 経 に よ り 骨 盤 神 経 叢 を 形 成 し 、さ ら に 膀 胱 枝 や 子 宮 枝 へ と 分 岐 し て お
り 、広 汎 子 宮 全 摘 術 で は 、仙 骨 子 宮 靭 帯 切 断 時 に 下 腹 神 経 、基 靭 帯 切 断
時 に 骨 盤 内 臓 神 経 、直 腸 腟 靭 帯 切 断 あ る い は 腟 切 断 時 に 骨 盤 神 経 叢 、さ
ら に 膀 胱 子 宮 靭 帯 後 層 切 断 時 に は 膀 胱 枝 の 損 傷 が 、そ れ ぞ れ 起 こ り や す
いとされている
46)。
今 回 の 解 析 対 象 者 の う ち 広 汎 子 宮 全 摘 術 は 、全 例 が 自 律 神 経 温 存 術 式
を 試 み た 症 例 で あ る 。I ES に は ニ ュ ー ロ パ ッ ク・シ グ マ 装 置( 日 本 光 電 )
を 使 用 し 、バ イ ポ ー ラ ー 型 電 極 に て 各 部 位 の 神 経 に 対 し て 電 気 刺 激 を お
こ な っ た ( 刺 激 条 件 : 1 0 Hz、 3 0m A、 1 m sec)。 神 経 損 傷 を 回 避 す る た
め 、あ ら か じ め 膀 胱 子 宮 靭 帯 後 層 の 部 分 に テ ー ピ ン グ し 、膀 胱 内 に 圧 ト
ラ ン ス デ ュ ー サ ー を 挿 入 し て お き 、下 腹 神 経 叢 を 同 定 し て 電 気 刺 激 を お
17
こ な っ た 。膀 胱 子 宮 靭 帯 後 層 に つ い て は 、神 経 と 血 管 を 分 け な が ら 電 気
刺激で陽性でない組織のみを切除した
3 3 ) 。200 7
の刺激で神経温存の評価を行なっていたが
年までは骨盤内臓神経
32)、 骨 盤 内 臓 神 経 は 完 全 に
温 存 さ れ て い る こ と が 明 ら か に な っ た た め 、 2 008 年 以 降 は 、 下 腹 神 経
叢および膀胱子宮靭帯後層に対する電気刺激をおこない評価している
3 3 ) 。神 経 叢 よ り 中 枢 の 下 腹 神 経 に つ い て は 視 認 で 温 存 の 確 認 が 可 能 で あ
る が 、膀 胱 子 宮 靭 帯 後 層 内 の 神 経 の 温 存 に つ い て は 一 般 に 視 認 で の 判 断
が 困 難 で あ る た め 、上 記 の 方 法 で 温 存 を 確 認 し て い る 。膀 胱 子 宮 靭 帯 後
層 で は 同 様 の 部 位 を 交 感 神 経 も 走 行 す る と さ れ て い る こ と か ら 、今 回 の
検討では副交感神経の温存を交感神経の温存とみなした。
5.
統計解析
統 計 解 析 に は I BM SP SS Sta ti sti cs version 18 を 使 用 し 、 独 立 性 の
検定にはχ2 検定を用いて変数間の関連を確認した。スコアの比較に際
し て は 、シ ャ ピ ロ・ウ イ ル ク 検 定 に よ り 各 ス コ ア が 正 規 分 布 で な い こ と
を 確 認 し た た め 、 ク ラ ス カ ル ・ ウ ォ リ ス 検 定 あ る い は マ ン -ホ イ ッ ト ニ
ー U 検定を用いた。
各スコアに対する術式の影響の検討では、交絡要因を補正するため、
ロ ジ ス テ ィ ッ ク 回 帰 分 析 に よ る 多 変 量 解 析 を お こ な っ た 。目 的 変 数 に は
『 温 存 群 v s 非 温 存 群 』、『 温 存 群 v s P LA 群 』、『 温 存 群 v s PAL A 群 』 の
18
3 通 り の 術 式 の 組 み 合 わ せ を 用 い 、 そ れ ぞ れ 『 温 存 群 』 を 1 .00 と し て
他 群 の オ ッ ズ 比 を 算 出 し た 。説 明 変 数 に は 交 絡 と 考 え ら れ る 年 齢 、卵 巣
温 存 状 態 、 化 学 療 法 の 有 無 、 放 射 線 療 法 の 有 無 、 婚 姻 状 況 ( F SF I に つ
い て は パ ー ト ナ ー の 有 無 )を 強 制 投 入 し た 。さ ら に ス コ ア 間 の 関 連 を 補
正 す る た め 、 F SF I ト ー タ ル ス コ ア 、 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア は O AB の 有
無 、 I -P SS 排 尿 症 状 、 I -P SS 蓄 尿 症 状 、 排 尿 Q O L ス コ ア 、 尿 失 禁 の 有
無 、 S F -36 は サ マ リ ー ス コ ア ( 身 体 的 側 面 、 精 神 的 側 面 、 役 割 / 社 会 的
側 面 )を 投 入 し 、尤 度 比 検 定 に よ る 変 数 増 加 法 を 用 い て 変 数 選 択 を お こ
な っ た ( 追 加 ま た は 除 去 の 基 準 は p = 0. 2 )。
す べ て の 検 定 に お け る 有 意 水 準 は p = 0.05 と し 、 p <0 .0 5 を も っ て 有
意差ありとした。
19
Ⅴ.
研究結果
各調査時期の回収率は、表 1 のとおりであった。
1.
自 律 神 経 温 存 広 汎 子 宮 全 摘 術 前 後 の QOL の 検 討
(1 )
対象者の基礎特性
対 象 者 の 基 礎 特 性 を 表 2、 表 3 に 示 す 。
温 存 群 は 2 7 名 で I ES を 用 い た N SRH 施 行 者 の 約 80 % を 占 め て い た 。
年 代 別 で み る と 、 40 歳 代 以 下 で は 非 温 存 群 、 温 存 群 、 50 歳 代 以 上 で
は PL A 群 、 PAL A 群 が 多 く 、 各 群 の 年 齢 に 差 が み ら れ た ( p <0 .0 1 )。 ま
た 、卵 巣 温 存 状 態 、術 後 化 学 療 法 お よ び 放 射 線 療 法 に つ い て も 4 群 で 分
布 に 違 い が み ら れ た ( p < 0. 01 )。
術 式 別 の 手 術 デ ー タ の う ち 手 術 時 間 は PL A 群 、 温 存 群 、 PAL A 群 の
順 で 短 い 傾 向 が 認 め ら れ た ( p <0 .0 5 )。 一 方 、 出 血 量 お よ び 術 後 CRP
は 、 温 存 群 、 非 温 存 群 、 P L A 群 、 PALA 群 の 4 群 間 で 有 意 差 を 認 め ず 、
これらの指標からは術式による侵襲度に明らかな違いは認められなか
った。
20
(2 )
温 存 群 と 他 術 式 の 治 療 前 後 の F S F I 、 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア 、 SF -3 6
の比較
1)
F S FI ( 表 4 )
発 症 前 の F SF I に つ い て 、温 存 群 と PAL A 群 と の 比 較 で は 、す べ て の
ド メ イ ン ス コ ア お よ び ト ー タ ル ス コ ア に お い て 、PAL A 群 に 比 べ て 温 存
群でスコアが高かった。
治 療 後 の F SF I は 、 温 存 群 と 非 温 存 群 お よ び P L A 群 と の 比 較 で は 、
いずれの時期においても統計学的有意差がみられなかった。温存群と
PAL A 群 と の 比 較 で は 、 3 -6 ヶ 月 の オ ー ガ ズ ム 、 性 的 満 足 、 性 交 痛 お よ
び ト ー タ ル ス コ ア 、12 ヶ 月 の 性 的 興 奮 お よ び ト ー タ ル ス コ ア に お い て 、
PAL A 群 に 比 べ て 温 存 群 で ス コ ア が 高 か っ た 。
2)
排 尿 機 能 評 価 ス コ ア ( 図 3)
OABS S に つ い て は 、 過 活 動 膀 胱 ( OAB) ガ イ ド ラ イ ン に よ る 診 断 基
準 「 尿 意 切 迫 感 ス コ ア 2 点 以 上 、 か つ 、 O ABSS が 3 点 以 上 」 で 分 類 し
たところ
41)、 治 療 前 後 で
O AB 診 断 基 準 を 満 た す も の は お ら ず 、 4 群 間
で差をみとめなかった。
I -P S S に つ い て は 、 I -P S S 排 尿 症 状 ( 残 尿 感 、 尿 線 途 絶 、 尿 勢 低 下 、
腹 圧 排 尿 ) と I -P SS 蓄 尿 症 状 ( 昼 間 頻 尿 、 我 慢 困 難 、 夜 間 頻 尿 ) に 分
け て 、治 療 前 を 基 準 に 術 後 の 変 化 に つ い て 検 討 し た 。I -PSS 排 尿 症 状 は 、
21
い ず れ の 術 式 に お い て も 治 療 前 に 比 べ て 1 ヶ 月 の ス コ ア が 高 く 、術 式 別
の 比 較 で は 、 温 存 群 よ り 非 温 存 群 で 1 ヶ 月 の ス コ ア が 高 か っ た 。 I -P SS
蓄 尿 症 状 に つ い て は 、非 温 存 群 以 外 の 術 式 で 治 療 前 に 比 べ て 1 ヶ 月 の ス
コ ア が 高 か っ た が 、P L A 群 で は 治 療 前 に 比 べ て 1 2 ヶ 月 後 の ス コ ア が 低
く な っ て い た 。術 式 別 の 比 較 で は 、1 2 ヶ 月 に お い て P L A 群 に 比 べ て 温
存群および非温存群のスコアがそれぞれ高かった。
排 尿 Q OL ス コ ア に つ い て は 、 1 ヶ 月 で 非 温 存 群 、 PALA 群 に 比 べ て
温 存 群 で 低 か っ た が ( p < 0. 01 )、 1 2 ヶ 月 で は 差 が な か っ た 。
尿 失 禁 の 有 無 に つ い て は 、 術 後 の す べ て の 時 期 で 約 30% の 人 に 治 療
前 に み ら れ な か っ た 尿 失 禁 を 認 め た 。 術 式 別 の 比 較 で は 、 3 -6 ヶ 月 の 温
存群で術後に新たに尿失禁を認めた人の割合が他群に比べて低かった
も の の ( p < 0. 05 )、 そ の 他 の 時 期 に は 術 式 間 で 差 を 認 め な か っ た 。 さ ら
に 、 尿 失 禁 が み ら れ た 人 に つ い て I C IQ -SF を 比 較 し た と こ ろ 、 群 間 で
差はみとめられなかった。
3)
SF -3 6 ( 表 5 )
治 療 前 の SF -3 6 サ ブ ス コ ア に つ い て は 、 温 存 群 と 他 群 で 統 計 学 的 有
意差はみられなかった。
治 療 後 の 温 存 群 と 非 温 存 群 と の 比 較 で は 、1 ヶ 月 の 日 常 役 割 機 能( 精
神 )、 3 -6 ヶ 月 の 身 体 機 能 お よ び 心 の 健 康 が 非 温 存 群 と 比 べ て 温 存 群 で
高 か っ た が ( p < 0. 0 5 )、 12 ヶ 月 で は 差 が み ら れ な か っ た 。
22
温 存 群 と P L A 群 と の 比 較 で は 、3 -6 ヶ 月 の 身 体 機 能 、全 体 的 健 康 感 、
活 力 が P L A 群 よ り 温 存 群 で 高 か っ た が ( p <0 .0 5 )、 1 ヶ 月 、 1 2 ヶ 月 で
は差がみられなかった。
温 存 群 と PAL A 群 と の 比 較 で は 、 3 - 6 ヶ 月 の 身 体 機 能 、 身 体 の 痛 み 、
活 力 、 社 会 生 活 機 能 、 心 の 健 康 、 さ ら に 12 ヶ 月 の 身 体 機 能 、 日 常 生 活
機 能( 身 体 )、心 の 健 康 で PAL A 群 に 比 べ て 温 存 群 の ス コ ア が 高 か っ た 。
(3 )
多変量解析
術 式 に 影 響 す る 変 数 と し て 、3 -6 ヶ 月 の『 温 存 群 v s PAL A 群 』で SF -36
サ マ リ ー ス コ ア 「 役 割 /社 会 的 側 面 」 が 選 択 さ れ た ( モ デ ル の χ 2 検 定 p
<0. 01 )。 温 存 群 に 対 す る PAL A 群 の オ ッ ズ 比 は 1 . 219 で ( 9 5 % 信 頼 区
間 1 .00 6 -1 .47 7 )、 変 数 の 有 意 性 は p =.0 43 で あ っ た 。 こ の モ デ ル の
Ho sm e r-L em eshow 検 定 結 果 は 、 p = 0.4 96 ( p ≧ 0 .0 5 で 適 合 良 ) で 適 合
し て い る こ と が 確 認 さ れ 、 予 測 値 と 実 測 値 の 判 別 的 中 率 は 8 3.7 % で あ
った。
『 温 存 群 v s 非 温 存 群 』 お よ び 『 温 存 群 v s P LA 群 』 で 選 択 さ れ た 変
数 は な く 、 F SF I と 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア に つ い て は 、 い ず れ の 時 期 に お
いても術式が影響を与えているとはいえない結果であった。
23
Ⅵ.
考察
わ が 国 で は 食 生 活 の 欧 米 化 、晩 婚 化 や 少 子 化 等 の ラ イ フ サ イ ク ル の 変
化 に 伴 い 子 宮 体 癌 や 卵 巣 癌 が 増 加 傾 向 に あ り 、婦 人 科 悪 性 腫 瘍 全 体 と し
て増加している
47)。 な か で も 子 宮 頸 癌 は 若 年 層 で 増 加 し て お り 48)、 そ
の 後 の 長 い 生 存 期 間 を 考 え る と 婦 人 科 癌 治 療 後 の QOL 評 価 は 重 要 な 問
題 で あ る 。こ れ ま で 国 内 で は 婦 人 科 癌 を 有 す る 患 者 に お い て 、治 療 前 後
の 性 機 能 の 変 化 が 明 ら か に さ れ て い な い の み な ら ず 、そ の 対 照 と な る べ
き 一 般 女 性 で の 性 機 能 の 実 態 も 明 ら か に さ れ て こ な か っ た 。わ が 国 で は
客 観 的 ス コ ア を 用 い た 数 少 な い 検 討 で 、 3 0 ~ 50 歳 代 の 一 般 女 性 の 性 機
能が欧米人と比べて劣っていることが確認されているが
23)、 い ず れ も
対 象 者 の 年 代 が 偏 っ て お り 、日 本 人 一 般 女 性 の 全 体 像 を 反 映 し て い る と
は い い が た い 。我 々 は 今 回 の 検 討 で 症 状 も な く 診 断 も さ れ て い な い「 発
症 前 」の 時 期 に つ い て の 回 答 を 求 め た が 、そ の デ ー タ に つ い て は 疾 患 や
告 知 の 影 響 が あ る と は 考 え に く く 、対 象 者 数 は 少 な い も の の 日 本 人 一 般
女性の性機能評価として貴重なデータの一つになりうると考えられる。
今回は初回が面接調査法で 2 回目以降については郵送調査法を採用
し た 。郵 送 調 査 法 の 一 番 の デ メ リ ッ ト は 回 収 率 の 低 さ だ と 言 わ れ て い る
が
49)、 い ず れ の 時 期 に お い て も
50% を 超 え る 回 答 率 が 得 ら れ た 。 項 目
別 に み る と F SFI の 回 答 率 が 他 の ス コ ア に 比 べ て 低 か っ た が 、面 接 調 査
で は 得 ら れ な か っ た 発 症 前 F SFI の 回 答 が 郵 送 調 査 で 得 ら れ る こ と も あ
24
り 、面 と 向 か っ て 回 答 し に く か っ た 性 機 能 の 項 目 に つ い て は 、質 問 者 が
同 席 し な い 方 が 答 え や す か っ た こ と が 推 察 さ れ た 。一 方 で プ レ テ ス ト の
段階あるいは調査時の状況によって留め置き調査となった患者の全員
が F SF I の 回 答 を 空 欄 に し た の に 対 し 、 面 接 調 査 で F SFI の 回 答 を 拒 否
し た 患 者 は 1 割 に 満 た な か っ た 。面 接 調 査 に つ い て は 、対 面 し て い る た
めにプライバシーに立ち入った質問に答えにくいというデメリットが
あるといわれているが
49)、 今 回 は 、 そ の 後 の 郵 送 調 査 で そ の デ メ リ ッ
ト を 補 う 結 果 と な っ た 。こ の こ と か ら 、治 療 前 を 面 接 調 査 法 で 実 施 し た
こ と は 適 切 で あ っ た と 考 え ら れ る 。一 方 、面 接 調 査 法 は 調 査 者 側 の デ メ
リットとして労力と時間を要することがいわれており
49)、 そ の た め に
な か な か 対 象 者 数 が 増 え な い と い う 問 題 が あ る が 、そ れ ぞ れ の 調 査 法 の
メ リ ッ ト 、デ メ リ ッ ト を 考 え あ わ せ て も 今 回 の 方 法 は 妥 当 で あ っ た と 考
えられる。
単 変 量 解 析 に お い て 、 F SFI は 3 -6 ヶ 月 の オ ー ガ ズ ム 、 性 的 満 足 、 性
交 痛 お よ び ト ー タ ル ス コ ア が PAL A 群 に 比 べ て 温 存 群 で 良 好 で あ っ た 。
しかし、このなかには性行為がない人も含まれているため、温存群と
PAL A 群 で 性 交 の 有 無 に よ る F SFI に つ い て 追 加 検 討 を お こ な っ た 。 そ
の 結 果 、温 存 群 で は 性 交 な し 群 よ り 性 交 あ り 群 で す べ て の ス コ ア が 高 か
っ た の に 対 し 、PALA 群 に お い て は 性 的 満 足 の ス コ ア に の み 差 が み ら れ
な か っ た 。こ の こ と か ら 性 的 満 足 は 、必 ず し も 性 交 の 有 無 に 左 右 さ れ る
と は い え ず 、年 代 に よ る 違 い が あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た 。さ ら に 治 療 前
25
後 で 継 続 し て デ ー タ が 得 ら れ た も の に つ い て 、 発 症 前 と 術 後 12 ヶ 月 の
ト ー タ ル ス コ ア を 比 較 し た と こ ろ 、温 存 群 以 外 の 術 式 で は 差 が み ら れ な
か っ た 。温 存 群 は 発 症 前 の ト ー タ ル ス コ ア が 他 群 に 比 べ て 高 く 、年 齢 が
PL A 群 、PAL A 群 に 比 べ て 低 か っ た こ と か ら 、若 年 層 で は F SF I の 改 善
に時間を要することが推測された。
年 齢 を は じ め と す る 交 絡 要 因 を 補 正 し た 多 変 量 解 析 で は 、温 存 群 と 非
温 存 群 で F SF I に 対 す る 影 響 は み ら れ ず 、 先 行 研 究
29)31)と 同 様 に 自 律
神 経 温 存 に よ っ て 性 機 能 が 保 持 で き る と は い え な い 結 果 が 得 ら れ た 。温
存 群 と PALA 群 の 比 較 に お い て も 3 - 6 ヶ 月 お よ び 1 2 ヶ 月 で み ら れ た 有
意 差 が 多 変 量 解 析 で は 消 失 し て お り 、年 齢 の 影 響 が 大 き い こ と が 推 測 さ
れ た 。し か し な が ら 、PAL A 群 で 損 傷 の 可 能 性 が 考 え ら れ る 交 感 神 経 の
影響については明らかな知見は得られなかった。
今回、術後の性機能は術前と比較してどの術式でも低下しており、
FS FI を 用 い た 検 討 だ け で は 性 機 能 に 対 す る 自 律 神 経 温 存 の 有 効 性 を 明
ら か に す る に は 至 ら な か っ た 。女 性 生 殖 器 に 向 か う 自 律 神 経 は 膀 胱 に 向
か う 神 経 走 行 と 同 様 に 、交 感 神 経 と 副 交 感 神 経 が 対 に な っ て 腟 や 陰 核 ま
で分岐していると考えられている
30)。 今 回 、 外 陰 や 腟 の 外 陰 側 に つ い
て は 手 術 操 作 が 加 わ ら な い 術 式 を 対 象 と し た こ と か ら 考 え る と 、腟 よ り
上位の自律神経の温存のみで性機能の改善を図ることが困難である可
能性も考えられた。さらに女性性機能については、人種、年齢のほか、
身 体 的 お よ び 精 神 的 健 康 状 態 、住 居 形 態 や 家 族 構 成 、学 歴 や 経 済 状 況 と
26
い っ た 社 会 的 状 況 な ど 、様 々 な 要 因 が 複 雑 に 影 響 す る こ と が 知 ら れ て お
り
16)、 特 に わ が 国 で は 価 値 観 や 意 味 づ け 、 重 要 度 な ど 性 に 対 す る 考 え
方の影響が大きいとされている
50)。 今 回 の 対 象 者 も 性 行 動 や 性 機 能 ス
コアの個人差は大きく、個々のニーズに合わせた術後フォローのほか、
専 門 家 に よ る カ ウ ン セ リ ン グ の 導 入 等 、精 神 的 サ ポ ー ト の 体 制 を 整 え て
対 応 し て い く 必 要 が あ る と 思 わ れ た 。特 に 性 機 能 の 改 善 に 時 間 を 要 す る
こ と が 示 唆 さ れ た 若 年 層 の 患 者 に 対 し て は 、今 後 こ の よ う な 専 門 家 の 介
入 の 有 無 が ど う 影 響 す る か に つ い て の 検 討 も ま た 、重 要 と な っ て く る で
あろう。
排 尿 機 能 に つ い て は 、I -PS S 蓄 尿 症 状 が 非 温 存 群 以 外 の 術 式 で 治 療 前
に 比 べ て 1 ヶ 月 で 悪 化 し て い た が 、1 2 ヶ 月 後 の P L A 群 で は 治 療 前 よ り
改 善 し て お り 、 温 存 群 よ り 良 好 だ っ た 。 P L A 群 の 80 % が 子 宮 体 癌 で あ
る こ と か ら 、治 療 前 に 子 宮 内 膜 の 増 殖 に 伴 う 子 宮 の 増 大 が み ら れ て い た
可 能 性 が あ り 、子 宮 摘 出 後 に 圧 迫 症 状 が 消 失 し た と も 考 え ら れ る が 、多
変 量 解 析 の 結 果 で は 術 式 間 の 有 意 差 が 消 失 し て い た 。放 射 線 療 法 は 蓄 尿
症状に影響を与えることが報告されているが
11 ) 5 1 ) 5 2 ) 、 温 存 群 の 半 数 以
上 が 放 射 線 療 法 を 受 け て い た こ と か ら 、こ の こ と が 有 意 差 の 原 因 と な っ
た 可 能 性 も 考 え ら れ た 。 I -P SS 排 尿 症 状 に つ い て は 、 1 ヶ 月 で は 温 存 群
に 比 べ て 非 温 存 群 で 劣 っ て い た が 、1 2 ヶ 月 後 に は 差 が み ら れ な か っ た 。
当 科 で は 広 汎 子 宮 全 摘 術 後 に 腹 圧 排 尿 を し な い よ う 指 導 し 、積 極 的 に 自
己 導 尿 す る こ と を 奨 励 し て い る が 、I -PSS 排 尿 症 状 に 含 め た 残 尿 感 お よ
27
び I -P S S 蓄 尿 症 状 の 昼 間 頻 尿 、 夜 間 頻 尿 、 我 慢 困 難 に つ い て は 、 導 尿
に よ り 症 状 が 緩 和 さ れ る 可 能 性 が あ る 。し か し 自 己 導 尿 群 を 除 く と 解 析
対象数が少数となるため、今回は自己導尿群を含めた検討としており、
この点については今回の研究の限界だと考えている。
尿 失 禁 に 関 す る 検 討 で は 、 術 式 に か か わ ら ず 約 30% に 術 後 新 た な 尿
失 禁 を み と め 、 3 -6 ヶ 月 で は 腹 圧 性 尿 失 禁 が 多 か っ た 。 膀 胱 後 屈 モ デ ル
ラ ッ ト に お い て 、く し ゃ み に よ る 腹 圧 性 尿 失 禁 が 引 き 起 こ さ れ る こ と が
報告されている
53)。 単 純 子 宮 全 摘 術 は 腟 上 部 切 断 術 と 比 較 す る と 、 術
後 新 た に 腹 圧 性 尿 失 禁 が 出 現 す る 症 例 が 多 い こ と か ら 、子 宮 摘 出 後 の 解
剖学的変化によっても膀胱後屈モデルラットと同様の機序で腹圧性尿
失禁が生じやすくなると考えられている
15)。 一 般 的 に 腹 圧 性 尿 失 禁 は
神経温存とはほとんど関係がないとされているが
54)、 今 回 も 子 宮 全 摘
そ の も の が 腹 圧 性 尿 失 禁 の 原 因 と な っ た と 考 え ら れ た 。 一 方 で 12 ヶ 月
後 は ほ ぼ 治 療 前 ま で 回 復 し て い る こ と か ら 、子 宮 全 摘 に よ る 腹 圧 性 尿 失
禁 の 出 現 は 一 過 性 で あ る 可 能 性 も あ り 、今 後 は 患 者 へ の 十 分 な 説 明 を お
こ な う と と も に 、術 前 か ら 骨 盤 底 筋 運 動 を 勧 め る と い っ た 予 防 策 が 有 用
だ と 考 え ら れ た 。今 回 対 象 と し た 広 汎 子 宮 全 摘 術 は 明 ら か に 神 経 を 切 断
す る 従 来 の 広 汎 子 宮 全 摘 術 と は 異 な り 、神 経 温 存 術 式 と さ れ る 方 法 で 行
わ れ た 症 例 に 限 定 し 、I ES に 対 す る 反 応 を も と に 温 存 群 と 非 温 存 群 を 分
類 し て 検 討 し て い る 。 I -P SS 排 尿 機 能 に つ い て は 12 ヶ 月 で 温 存 群 、 非
温 存 群 と も に ほ ぼ 治 療 前 ま で 回 復 し て お り 、 非 温 存 群 に も 12 ヶ 月 後 の
28
排 尿 機 能 が 正 常 に 戻 る 症 例 が み ら れ た こ と か ら 、神 経 が 完 全 に は 切 断 さ
れ て い な い 者 が 含 ま れ て い た 可 能 性 も 否 定 で き な い 。I ES は 術 後 の 膀 胱
機能を予測するための方法として有用であることが報告されているが
3 3 ) 、今 回 の 研 究 に お い て 、患 者 の 満 足 度 を 含 め た ス コ ア に よ る 排 尿 機 能
評 価 に つ い て も 、補 助 的 に 用 い る 客 観 的 評 価 と し て 簡 便 か つ 有 用 で あ る
可能性が示唆された。
SF -36 の 検 討 で は 、 温 存 群 と 非 温 存 群 の 比 較 に お い て 、 1 ヶ 月 の 日 常
役 割 機 能( 精 神 )と 3 -6 ヶ 月 の 身 体 機 能 お よ び 心 の 健 康 が 非 温 存 群 で 劣
っ て い た 。こ れ は 排 尿 Q OL ス コ ア や I -P SS 排 尿 症 状 が 温 存 群 に 比 べ て
非 温 存 群 で 劣 っ て い た 時 期 と 重 な る こ と か ら 、排 尿 機 能 の 回 復 と と も に
QOL が 改 善 し た 可 能 性 も 考 え ら れ た 。ま た 、温 存 群 と PL A 群 に つ い て
は 、1 ヶ 月 お よ び 3 -6 ヶ 月 の SF -36 が 温 存 群 で 高 か っ た 。SF -36 に つ い
て 、 身 体 機 能 、 日 常 役 割 機 能 ( 身 体 )、 体 の 痛 み 、 全 体 的 健 康 感 と い っ
た 身 体 的 健 康 に か か わ る ス コ ア は 年 齢 が 上 が る に つ れ て 低 く な り 、逆 に
活 力 、 社 会 生 活 機 能 、 日 常 役 割 機 能 ( 精 神 )、 心 の 健 康 と い っ た 精 神 的
健康にかかわるスコアは年齢とともに高くなる傾向があるとされてい
る
44)55)56)。 今 回 は
PL A 群 の 年 齢 が 温 存 群 よ り 1 0 歳 近 く 高 か っ た こ と
か ら 、 年 齢 の 影 響 に よ り 温 存 群 に 比 べ て P L A 群 で SF -36 が 劣 っ た 可 能
性 が 考 え ら れ た 。同 様 に PAL A 群 と の 比 較 で も 年 齢 の 影 響 が 考 え ら れ る
結果であった。
多 変 量 解 析 で は 温 存 群 と PAL A 群 に お い て 、 F SFI お よ び 排 尿 機 能 評
29
価 ス コ ア に 対 す る 術 式 の 影 響 は み ら れ な か っ た が 、SF -36 に つ い て 、3 -6
ヶ 月 の 役 割 / 社 会 的 側 面 で 温 存 群 に 対 す る PAL A 群 の オ ッ ズ 比 が 高 く 、
リ ン パ 節 郭 清 範 囲 の 広 い 術 式 が QOL に 悪 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 が 考 え ら
れ た 。温 存 群 の Q OL が PL A 群 と 比 べ て 劣 っ て お ら ず 、PAL A 群 に 比 べ
て 良 好 だ っ た こ と か ら も 、子 宮 の 摘 出 方 法 で は な く リ ン パ 節 郭 清 範 囲 が
術 後 の QOL に よ り 関 係 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 今 回 の 検 討 だ け で
は 断 言 で き な い が 、そ の 原 因 と し て 傍 大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清 時 の 交 感 神 経
へ の 影 響 や 手 術 創 の 延 長 が 考 え ら れ 、今 後 は 子 宮 体 癌 へ の 傍 大 動 脈 リ ン
パ 節 郭 清 の 適 応 を 考 え る 際 に も QOL に 対 す る 影 響 が 十 分 考 慮 さ れ る べ
きであろう。
今 回 の 検 討 は I ES を 用 い た N SRH に つ い て 、 排 尿 機 能 障 害 を 回 避 す
る と い う 点 で は 満 足 す る 結 果 が 得 ら れ た と い え る 。今 後 は 神 経 温 存 が 確
認され、自排尿が認められた場合であっても、客観的スコアを用いた
QOL 評 価 を 併 用 し な が ら 、 患 者 に 対 す る 長 期 的 フ ォ ロ ー や カ ウ ン セ リ
ン グ な ど の 適 切 な 援 助 を 行 う 必 要 が あ る 。さ ら に 非 温 存 症 例 を 蓄 積 す る
こ と に よ り 神 経 温 存 の 意 義 を 明 ら か に す る と と も に 、長 期 に わ た る フ ォ
ロ ー ア ッ プ デ ー タ の 集 積 に よ り 、 QOL の 回 復 の 実 情 を 把 握 す る こ と が
重要だと考えられた。
30
Ⅶ.
結論
1. 自 律 神 経 温 存 お よ び 神 経 操 作 の 有 無 に か か わ ら ず 術 後 の 性 機 能 ス コ
アは低下しており、神経以外の要因の影響が大きい可能性が考えら
れた。
2 .自 律 神 経 温 存 に よ り 1 2 ヶ 月 後 の 排 尿 機 能 評 価 ス コ ア は 良 好 と な り 、
神経損傷にかかわる操作のない術式と同等の排尿機能が得られた。
3 . 術 後 3 -6 ヶ 月 で は 温 存 群 よ り PAL A 群 の QOL が 低 下 し て お り 、 傍
大 動 脈 リ ン パ 節 郭 清 は 侵 襲 が 大 き く 、Q OL に 与 え る 影 響 と し て は 骨
盤神経の温存の有無よりも大きい可能性がある。
31
Ⅷ.
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39
Ⅸ.
付図説明
図 1. 対 象 者 の 選 定
入 院 し た 患 者 3 90 名 に 調 査 依 頼 を お こ な い 、31 9 名 が 研 究 参 加 に 同 意 。
・認知に問題があり回答の信頼性が低いと判断した者(2 名)
・手術前に原疾患に対して化学療法がなされていた者(4 名)
・不妊治療中であった者(6 名)
・半身麻痺や下肢切断などで身体機能に障害のあった者(2 名)
・卵巣悪性疾患患者
・子宮頸癌および子宮体癌から臨床進行期Ⅲ期およびⅣ期
を 除 外 し 、子 宮 の 悪 性 腫 瘍 に 対 し て リ ン パ 節 郭 清 を と も な う 開 腹 子 宮
全 摘 術 を お こ な っ た 87 名 を 対 象 と し た 。
図 2. ア ン ケ ー ト 調 査 の 方 法
入 院 か ら 手 術 前 日 ま で に 調 査 協 力 を 依 頼 し 、質 問 紙 法 に よ る 聞 き 取 り
調査を実施。
退 院 後 1 ヶ 月 、 3 ヶ 月 、 (6 ヶ 月 )、 1 2 ヶ 月 の 各 時 期 に 同 質 問 紙 を 用 い
た自記式アンケート調査を郵送法にて実施した。
対 象 者 か ら の 調 査 協 力 中 止 の 申 し 出 、住 所 不 明 、死 亡 の 時 点 で 調 査 終
了とした。
40
図 3 . I -P SS 排 尿 症 状 、 蓄 尿 症 状 の 変 化
I -P SS に つ い て 、排 尿 症 状( 残 尿 感 、尿 線 途 絶 、尿 勢 低 下 、腹 圧 排 尿 )、
と 蓄 尿 症 状 ( 昼 間 頻 尿 、我 慢 困 難 、 夜 間 頻 尿 )に 分 け て 、 治 療 前 を 基 準
に術後の変化について検討した。
縦軸は、それぞれの合計スコアを示す。
I -P SS 排 尿 症 状 は い ず れ の 術 式 に お い て も 治 療 前 に 比 べ て 術 後 1 ヶ 月
で悪化し、温存群に比べて非温存群の排尿機能が劣っていた。
I -P SS 蓄 尿 症 状 は 、非 温 存 群 以 外 の 術 式 で 治 療 前 に 比 べ て 1 ヶ 月 の 蓄
尿 機 能 が 悪 化 し て い た が 、P L A 群 で は 治 療 前 に 比 べ て 12 ヶ 月 後 で 改 善
し て い た 。1 2 ヶ 月 で は P L A 群 に 比 べ て 温 存 群 お よ び 非 温 存 群 の 蓄 尿 機
能が劣っていた。
41
Ⅹ.
付図および付表
390名
初回治療患者に対し入院時に調査説明
319名
研究参加に同意
認知に問題あり (2名)
不妊治療中(6名)
術前治療あり (4名)
身体機能障害あり(2名) を除外
卵巣悪性疾患
子宮頸癌Ⅲ期、Ⅳ期
子宮体癌Ⅲ期、Ⅳ期
を除外
249名
87名
解析対象
子宮の悪性腫瘍で
リンパ節郭清を伴う開腹子宮全摘術を行った患者
図1 対象者の選定
42
43
退院
退院後
3ヶ月
郵送調査
退院後
1ヶ月
郵送調査
★
郵送調査中の拒否の意思表示
住所不明
死亡
★ 初回調査時に郵送調査を拒否の意思表明で終了
調査依頼
聞き取り調査
手術
図2 アンケート調査の時期と方法
入院
の時点で終了
(郵送調査)
退院後
6ヶ月
郵送調査
退院後
12ヶ月
I-PSS排尿機能
14
12
温存群
10
非温存群
8
PLA群
#
PALA群
6
4
# 温存群vsPLA群
P=.019
2
0
-2
-4
治療前
1ヶ月
12ヶ月
3-6ヶ月
I-PSS蓄尿機能
14
12
温存群
10
非温存群
8
PLA群
6
PALA群
4
† 温存群vsPLA群
P=.019
2
‡ PLA群vsPALA群
0
‡
-2
-4
治療前
図 3
1ヶ月
3-6ヶ月
I -P SS 排 尿 症 状 、 蓄 尿 症 状 の 変 化
44
12ヶ月
†
P=.012
表1 調査時期別アンケート回収状況
治療前
1ヶ月
3ヶ月
6ヶ月
12ヶ月
依頼数(人)
390
293
287
92
217
回収数(人)
319
179
153
50
115
回収率(%)
81.8
61.1
53.3
54.3
53.0
45
表2 対象者の内訳
総数
全体
温存群
非温存群
PLA群
PALA群
治療前
87
27
7
24
29
1ヶ月
47
14
6
12
15
3~6ヶ月
71
25
6
14
26
12ヶ月
39
15
4
5
15
50(28-74)
40(28-66)
44(29-70)
50(31-74)
59(35-73)
年齢
Median(min-max)
内訳
20~29歳
4
3
1
0
0
30~39歳
15
8
1
3
3
40~49歳
21
7
3
7
4
50~59歳
29
5
1
12
11
60~69歳
13
4
0
0
9
70~79歳
5
0
1
2
2
未婚
23
8
2
5
8
既婚
63
19
5
19
20
不明
1
0
0
0
1
なし
17
4
1
4
8
あり
69
23
6
20
20
不明
1
0
0
0
1
婚姻状況
性交のパートナー
p
<0.01
NS
NS
PLA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清群;
PALA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清群.
クラスカル・ウォリス検定またはχ2 検定による
NS: no significant difference
表3 対象者の疾患と治療
疾患名
手術データ
両側卵巣摘出
術後化学療法
術後放射線療法
子宮頸癌
全体
温存群
非温存群
PLA群
PALA群
p
39
27
7
5
0
<0.01
子宮体癌
48
0
0
19
29
手術時間(分)
250
242
262
195
290
<0.05
出血量(g)
410
493
571
305
463
NS
術後CRP
6.7
6.6
5.45
6.55
7
NS
あり
78
21
5
23
29
<0.01
なし
9
6
2
1
0
あり
34
8
4
4
18
なし
53
19
3
20
11
あり
24
15
6
3
0
なし
87
12
1
21
29
PLA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清群;
PALA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清群.
手術データは中央値 クラスカル・ウォリス検定による
分布はχ2 検定による
NS: no significant difference
46
<0.01
<0.01
表4 温存群と他術式の発症前および治療後のFSFI比較
1ヶ月
発症前
温存群
非温存
PLA群
PALA群
温存群
非温存
PLA群
PALA群
15
人数
21
7
23
27
12
5
10
年齢
40
44
50 *
59 **
41
46
51
(36-56)
(38-52)
(37-57)
(44-56)
(44-56)
FSFI
性欲
性的興奮
腟潤滑
オーガズム
性的満足
性交痛
トータルスコア
(44-57)
2.4
2.4
2.4
(0.0-3.6)
(1.2-3.0)
(1.2-3.6)
2.9
3.9
2.7
(0.0-3.6)
(1.2-5.0)
(0.0-4.7)
4.5
5.7
3.9
(0.0-5.1)
(3.3-6.0)
(0.0-6.0)
2.4
5.2
3.6
(0.0-4.4)
(2.2-5.8)
(0.0-5.6)
4.0
5.2
3.6
(3.6-4.8)
(4.2-6.0)
(2.4-5.4)
3.2
4.0
2.4
(0.0-4.0)
(1.4-5.6)
(0.0-4.8)
(53-63)
1.2 *
(1.2-2.4)
0.0 **
(0.0-2.4)
0.0 **
(0.0-4.2)
0.0 *
(0.0-4.0)
2.4 *
(2.4-4.4)
0.0 *
(0.0-3.6)
1.2
1.2
1.2
1.2
(1.2-1.8)
(1.2-1.2)
(1.2-1.2)
(1.2-1.2)
0.0
0.3
0.0
0.0
(0.0-0.5)
(0.0-0.9)
(0.0-0.3)
(0.0-0.3)
0.0
0.0
0.0
0.0
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
0.0
0.0
0.0
0.0
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
2.4
2.4
2.4
0.0
(1.0-2.8)
(0.0-4.0)
(0.0-2.4)
(0.0-2.4)
0.0
0.0
0.0
0.0
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
(0.0-0.0)
18.1
24.1
14.4
3.6 *
3.6
4.5
3.6
1.5
(5.5-25.1)
(15.4-30.8)
(5.2-29.3)
(3.6-22.2)
(3.2-4.7)
(3.6-5.2)
(1.8-4.8)
(1.2-3.6)
温存群
非温存
PLA群
PALA群
温存群
非温存
PLA群
PALA群
24
5
12
23
14
4
5
12
42
59 *
53
58 *
42
55
50
55
(37-54)
(46-66)
(46-55)
(43-60)
3~6ヶ月
n(人)
年齢
(37-55)
FSFI
性欲
性的興奮
腟潤滑
オーガズム
性的満足
性交痛
トータルスコア
59 *
(55-64)
(48-61)
12ヶ月
(43-57)
(45-63)
1.2
1.2
1.2
1.2
1.8
1.2
1.2
1.2
(1.2-1.8)
(1.2-1.2)
(1.2-1.2)
(1.2-1.2)
(1.2-2.4)
(0.6-2.1)
(1.2-1.2)
(1.2-1.2)
1.2
0.0
0.6
0.3
1.2
0.0
0.9
(0.0-1.2)
(0.0-0.0)
(0.0-1.8)
(0.0-1.2)
(0.2-2.7)
(0.0-1.4)
(0.9-2.1)
0.0 *
(0.0-0.6)
0.2
0.0
0.0
0.0
0.3
0.0
0.0
0.0
(0.0-2.1)
(0.0-0.0)
(0.0-2.6)
(0.0-0.3)
(0.0-4.7)
(0.0-2.0)
(0.0-2.6)
(0.0-0.0)
0.0
0.0
0.0
(0.0-2.0)
(0.0-0.0)
(0.0-1.8)
2.4
4.0
2.8
(0.0-3.8)
(0.0-0.4)
(0.0-3.6)
0.0
0.0
0.0
(0.0-1.6)
(0.0-0.0)
(0.0-1.8)
5.4
3.2
3.7
(3.6-12.4)
(1.2-5.2)
(1.5-13.2)
0.0 *
(0.0-0.0)
0.0 *
(0.0-2.4)
0.0 **
(0.0-0.0)
4.4 **
(1.5-5.2)
0.0
0.0
0.0
0.0
(0.0-3.8)
(0.0-2.2)
(0.0-2.0)
(0.0-0.0)
2.4
1.2
3.0
0.0
(2.4-4.2)
(0.0-3.6)
(1.2-3.8)
(0.0-2.2)
0.0
0.0
0.0
0.0
(0.0-3.0)
(0.0-2.4)
(0.0-2.4)
(0.0-0.0)
10.5
2.4
6.1
(4.4-22.0)
(0.6-13.6)
(4.1-13.25)
マン-ホイットニー検定 :
** p < 0.01 :
* p < 0.05 上段は中央値、( )内は四分位数範囲
PLA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清群; PALA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清群.
FSFI: Fema l e Sexua l Functi on Index
47
1.8 **
(1.2-3.8)
表5 温存群と他術式の治療前後のSF-36の比較
1ヶ月
治療前
温存群
非温存
PLA群
PALA群
温存群
非温存
PLA群
PALA群
15
人数
27
7
24
29
14
6
12
年齢
40
44
50 *
59 **
41
46
51
(36-55)
(39-52)
(35-56)
(41-56)
(46-57)
SF-36
身体機能
50.6
(43.4-54.2)
日常役割機能(身体)
体の痛み
全体的健康感
活力
社会生活機能
日常役割機能(精神)
心の健康
(44-56)
54.2 *
(38.0-56.0)
(56-63)
52.4
50.6
32.6
30.8
27.2
32.6
(43.4-52.4)
(47.0-57.8)
(29.0-47.0)
(11.0-43.4)
(12.7-43.4)
(18.1-36.2)
52.4
45.8
52.4
52.4
22.5
12.5
19.2
22.5
(29.1-55.7)
(37.4-52.4)
(22.5-55.7)
(39.1-55.7)
(12.5-29.1)
(2.6-19.2)
(9.2-24.2)
(5.9-29.1)
54.6
44.7
47.4
50.1
35.4
38.5
33.1
35.4
(44.3-61.7)
(44.7-50.1)
(35.4-61.7)
(44.7-61.7)
(30.9-44.7)
(30.9-40.3)
(30.9-35.4)
(26.9-40.3)
46.9
44.2
46.9
46.9
41.0
47.1
42.9
44.2
(45.8-52.2)
(35.7-54.3)
(35.1-54.8)
(37.8-57.5)
(38.9-44.2)
(35.1-49.5)
(35.7-47.7)
(38.9-53.8)
46.6
40.2
49.8
43.4
40.2
38.6
41.8
43.4
(40.2-53.0)
(37.0-50.0)
(43.4-59.5)
(37.0-56.3)
(30.6-46.6)
(27.4-40.2)
(30.6-49.2)
(30.6-46.6)
57.0
57.0
50.6
57.0
24.8
28.0
18.4
24.8
(31.3-57.0)
(28.0-57.0)
(31.3-57.0)
(31.3-57.0)
(18.4-31.3)
(5.5-31.3)
(11.9-31.3)
(11.9-44.1)
39.4
31.1
43.6
47.7
31.1
10.3 *
29.0
18.6
(18.6-56.1)
(6.1-33.2)
(18.6-56.1)
(31.1-56.1)
(26.9-35.3)
(6.1-31.1)
(22.8-37.3)
(6.1-39.4)
43.8
38.4
43.8
43.8
41.1
39.7
42.4
46.5
(35.7-49.1)
(34.4-47.8)
(37.1-57.2)
(22.3-49.1)
(33.0-51.8)
(38.4-54.5)
(34.4-50.5)
(35.7-49.1)
温存群
非温存
PLA群
PALA群
温存群
非温存
25
6
14
26
15
42
59 *
53
58 *
42
(39-60)
(46-66)
3~6ヶ月
n(人)
年齢
(37-56)
SF-36
身体機能
50.6
(43.4-54.2)
日常役割機能(身体)
体の痛み
全体的健康感
活力
社会生活機能
日常役割機能(精神)
心の健康
59 *
(55-64)
(45-59)
27.2 *
(27.2-47.1)
12ヶ月
(44-58)
38.0 *
(29.0-50.6)
(45-62)
39.8 *
(32.6-47.0)
PLA群
PALA群
4
5
15
55
50
55
(48-60)
(45-60)
52.4
50.6
43.4
(47.0-57.8)
(18.1-56.0)
(39.8-54.2)
42.4
22.5
29.1
29.1
55.7
40.8
45.8
(25.8-45.8)
(22.5-42.4)
(25.8-39.1)
(22.5-35.8)
(47.8-55.7)
(22.5-49.1)
(45.8-55.7)
50.1
38.0
42.5
(35.4-54.6)
(35.6-50.1)
(26.9-54.6)
46.9
41.0
(43.1-52.2)
(39.1-49.5)
53.0
40.2
(43.4-56.3)
(40.2-54.6)
43.7 *
(40.5-46.9)
43.4 *
(37.0-46.6)
44.1
31.3
37.7
(37.7-50.6)
(24.8-47.4)
(2.8-50.6)
42.5 *
(35.4-44.7)
43.4 *
(39.8-54.2)
35.8 *
(29.1-45.7)
61.7
55.9
54.6
44.7
(47.0-61.7)
(43.0-61.7)
(44.7-54.6)
(40.3-61.7)
44.2
46.9
45.5
49.5
44.2
(40.5-49.5)
(43.6-54.8)
(33.0-54.8)
(46.9-57.5)
(40.5-49.5)
43.4 *
(40.2-49.8)
31.3 *
(31.3-44.1)
56.3
49.8
49.8
49.8
(46.6-57.9)
(37.0-59.5)
(43.4-56.3)
(43.4-53.0)
50.6
47.4
57.0
31.3
(37.7-57.0)
(28.0-57.0)
(50.5-57.0)
(3103-44.1)
43.6
43.6
33.2
37.3
51.9
43.6
51.9
43.6
(31.1-51.9)
(33.2-49.8)
(26.9-43.5)
(26.9-43.6)
(39.4-56.1)
(24.8-49.8)
(47.7-56.1)
(31.1-47.7)
49.1
(43.8-57.2)
38.4 *
(38.4-51.8)
43.8
(41.1-51.8)
41.1 **
(35.7-46.5)
57.2
47.8
51.8
(47.8-59.9)
(31.7-57.2)
(43.8-57.2)
マン-ホイットニー検定 :
** p < 0.01 :
* p < 0.05 上段は中央値、( )内は四分位数範囲
PLA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清群; PALA群: 単純あるいは拡大子宮全摘術+骨盤リンパ節および傍大動脈リンパ節郭清群.
SF-36: Medi ca l Outcome Study Short-Form 36-Item Hea l th Survey.
48
43.8 *
(38.4-51.8)
稿を終えるにあたり
ご 指 導 、ご 校 閲 頂 き ま し た 東 北 大 学 医 学 系 研 究
科 婦 人 科 学 分 野 教 授 八 重 樫 伸 生 先 生 、終 始 御 指 導 御 鞭 撻 を 賜 り ま し た
同分野 特命教授 新倉仁先生に深甚なる謝意を表します。
また、統計解析で御指導いただきました東北大学 東北メディカル・
メ ガ バ ン ク 機 構 地 域 医 療 支 援 部 門 周 産 期 医 学 分 野 講 師 、目 時 弘 仁 先 生
に深く感謝いたします。
最 後 に 、研 究 を 遂 行 す る に あ た り 多 大 な ご 協 力 を 頂 き ま し た 東 北 大 学
産 科 学 婦 人 科 学 教 室 の 皆 様 、東 北 大 学 病 院 東 7 階 病 棟 の ス タ ッ フ の 皆 様
に心から感謝いたします。
49