院内感染対策「これだけは!」 - 東京都院内感染対策ネットワーク構築

2015.2.24
東京都院内感染対策ネットワーク構築支援事業
全体講習会
院内感染対策「これだけは!」
自施設の実情に合わせた優先順位の立て方
東京慈恵会医科大学附属病院
感染対策室 感染管理認定看護師
美島路恵
感染性胃腸炎
インフルエンザ
1
CRE
(カルバペネム耐性腸内細菌)
2
感染症院内発生時のICTとしての
感染症院内発生時の としての対応
としての対応
• 感染症のもぐらたたきになっていませんか?
ICT
MDRP
水痘
ノロウィルス
結核
インフルエンザ
自施設の特徴
自施設の特徴は何か?
特徴は何か?
• 寝たきりの患者が多い!
感染の伝播は医療従事者・医療機器などを
介して起こる
おむつ交換が多い
3
自施設の問題は何か?
• MRSAの検出頻度が高い!
手指衛生が適切に実施できていない?
隔離に関する基準・表示が明確でない?
抗菌薬使用量が多い?
スタンダードプリコーション
Standard Precaution
すべての患者に実施する対策
̶ すべての患者について、すべての湿性生体物質
(血液、体液、分泌物、排泄物)、 傷のある皮
膚、粘膜は感染性ありと考える。
4
感染伝播のリスクが高い処置
• 湿性生体物質を取り扱う処置!
湿性生体物質
処置
便
おむつ交換・トイレ介助
尿
おむつ交換・トイレ介助
・尿道留置カテーテルケア
喀痰
吸引・口腔ケア
創部
創処置
嘔吐物
吐物の取扱い
血液
中心静脈留置カテーテルケア
スタンダードプリコーション
Standard Precautionの実施!
手指衛生
湿性生体物質に触れる場合、
手袋、エプロンの着用
5
検査をせずに見過ごされる保菌者
日常的な検査で発
⾒される保菌者群
62~89%
日常的な検査で⾒過
ごされる保菌者群
75%
ESBL
MRSA
なぜ患者接触前に手指衛生?
ベッドサイド
カーテンの汚染率
=95.3%
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
79.1
62.8
46.5
41.9
20.9
11.63 4.65
%
6
(%)
30
25
20
15
10
5
CNS検出率
= 90.5 %
0
S. aureus
18
Psuedomonas spp. 17
Acinetobacter spp. 22
7
17.4% (49/282)
主な病原体の乾燥環境下での
感染性持続期間
病原体
持続期間
アシネトバクター属
3日~5ヶ月
黄色ブドウ球菌(MRSA含)
7日~7ヶ月
緑膿菌
6時間~16ヶ月、乾燥した床:5週間
腸球菌(VRE含)
5日~4ヶ月
ノロウィルス
8時間~7日
ロタウィルス
6~60日
Clostridium difficile
5ヶ月
Kramer A, et al. BMC Infection Dis 2006
8
手は汚いの?
・あるNS看護室で記録中
・あるNS検温後
手指衛生
<
ノロ・CD以外は、
ノロウィルス・CD
汚染時
5~50倍効果あり!
9
1994
1998
手指消毒剤使用量(/1000患者日)
3.5 L
15.4 L
手指消毒コンプライアンス値
48 %
66 %
すべての院内感染症
16.9
9.9
MRSA院内伝搬率(100入院当たりの新
規MRSA獲得患者数)
2.16
0.93
10
手指衛生遵守率向上は必須!
目標値を設定
スタンダードプリコーション
Standard Precautionの実施!
手指衛生
湿性生体物質に触れる場合、
手袋、エプロンの着用
11
どんな場面で防護用具をしていますか?
防護用具着用が必要な場面
採血・抜針・創処置など
→手袋着用
オムツ交換・浸出液のある創処置など
→手袋・エプロン着用
吸引・ドレーン開放・創洗浄・尿回収など
→手袋・エプロン・フェースシールド着用
12
防護用具着用例
フェース
シールド
フェース
シールド
エプロン
手袋
エプロン
手袋
尿回収時
吸引時
防護用具の使用を促す環境整備
一般病棟:大部屋入口
ICU:ベッドサイド
ICU:ベッドサイド
13
どのスタッフも着用が必要!
感染伝播のリスクが高い処置
• 湿性生体物質を取り扱う処置!
湿性生体物質
処置
便
おむつ交換・トイレ介助
尿
おむつ交換・トイレ介助
・尿道留置カテーテルケア
喀痰
吸引・口腔ケア
創部
創処置
嘔吐物
吐物の取扱い
血液
中心静脈留置カテーテルケア
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ケアの標準化
• ケアバンドルとは
:効果のあると言われている個々の感染対策を複数
組み合わせて実施することで、より大きな効果を
生み出す対策
15
便・尿器の取扱い
• 尿器の取り扱い
便・尿器の取扱い
• 尿器を介した交差感染が起きない状況となっ
ているか?
×間違い
使用済みの尿器を
消毒せずに保管
16
便・尿器の取扱い
• 使用後は必ず消毒実施
不必要な蓄尿・測尿していませんか?
17
下痢便・吐物の取り扱い
下痢便・吐物の取り扱い
<準備物品>
マスク
手袋
長袖
ビニール
ガウン
消毒薬
ビニール
(オムツの場合)
ツールを活用
おむつ交換の感染対
策チェックポイント
尿道留置カテーテル
抜去のためのアセス
メントシート
気管吸引の感染対策
チェックポイント
http://www.idaikyo.or.jp/
18
まとめ
手指衛生遵守率向上に向けた取り組みは必須
自施設の特徴、患者背景・ケア内容などを考慮し、
感染対策上強化すべき点を抽出
19