用地調査・測量現場のリスクアセスメント 発注者 新庄河川事務所 受注者

用地調査・測量現場のリスクアセスメント
発注者
新庄河川事務所
受注者
株式会社
業務名
大六郎沢砂防堰堤用地調査等業務
発表者
田村測量設計事務所
主任担当者
海谷
学
○担当技術者
齋藤
俊祐
1.はじめに
本業務は、山形県最上郡真室川町大字及位地内において、国有林野内にある大六郎沢砂防堰堤
の用地について、所管換に必要となる用地調査測量、立竹木調査及び国有林野の所管換申請書類
の作成を行ったものである。
現地作業としては、調査面積 2.93ha、河川延長 0.61 ㎞の範囲において、4級基準点測量・補助
基準点測量・用地境界杭設置(林野庁コン杭埋設)
・用地測量・立竹木調査を実施した。
今回の業務において、着手前の現場踏査に基づいたリスクアセスメント及びリスクの防止対策
を報告する。
2.安全対策の必要性と工夫
本業務の工期は、平成26年8月から翌年2月までの約5ヶ月間である。現場は秋田県境に近
い鮭川流域の山岳地帯であり、渓流がある急峻な地形となっており、作業現場の安全管理対策が
強く求められる地域である。この地域は11月になれば降雪期に入るので、リスクを低減するた
め積雪前に現場作業を完了させるための工程計画管理が必要であった。
加えて、発注者との初回打合せ時に「崖地での作業及び土砂崩落箇所等での作業について、作
業事故等に十分配慮した安全対策を取ること」との指示を受け、それを遵守するため、弊社の安
全管理委員会にて本業務の作業内容を精査し、リスクの洗い出し、作業全体の安全および事故防
止を徹底した。このリスクの洗い出しについて、作業計画時に調査対象地内の踏査を行い、危険
箇所の把握、通勤災害、使用機器の安全性及び動植物や地形等自然条件等を調査した。危険の程
度を見積り度合の評価には、厚生労働省のリスクアセスメントの手法を参考に弊社独自のものを
作成した。
また、安全管理委員会では、作業の安全を確保するために毎年下図のような活動を行っている。
普通救命講習(6月4日)
労働安全衛生特別教育教習-芝刈り機講習(6月11日)
3.リスクアセスメント及びリスク防止対策
リスクアセスメント手順については次の通り行った。
① 現地踏査による危険性または有害性の特定
建設工事現場との大きな違いは、建設工
事は施工箇所が比較的限られた範囲である
のに対し、用地調査・測量は広範囲な地形
を歩きながら詳細に調査測量を繰り返して
いく作業という違いがある。
踏査は作業種別により作業方法が異なる
ため、業務内容を把握したうえで現地踏査
を行った。
右図、
「作業現場の安全パトロール(事前
調査)
」により、通勤災害、山林・森林・急
傾斜地、河川等の踏査を行い、どんな危険
が潜んでいるのか、危険箇所・危険作業を
洗い出した。
② 危険性・有害性ごとのリスクの見積り
特定された危険性・有害性によって生ずるおそれのある負傷・疾病の重篤度と発生可能
性の度合の両者の組合せで見積った(別表1~別表4)
③ リスク低減のための優先度の設定・リスク低減措置内容の検討
リスクの見積りにより決定されたリスクレベル(優先度)に従い、リスクレベルの高い
ものからリスクを低減させる措置(防止対策)を検討した。(実施一覧表)
④ リスクの低減措置(防止対策)の実施
危険作業をなくしたり見直したりすることで、リスクを減らすことを検討する。検討し
たリスク低減措置(防止対策)の設定後に、想定されるリスクの再見積りの結果について
社内審議を行い、可能な限り優先順位の高いものを検討、合理的に選択した方法により防
止対策を実行する。
●リスク低減措置(物品)
作業装備品
リュックサックと背負子
携帯ラジオ・長距離無線・衛星携帯電話
熱中症対策(スポーツ飲料)
●リスク低減措置(現場)
安全ロープの設置と階段(土堀)
幹線作業道の伐採
●リスク低減措置(その他)
社内の安全委員会の講習
作業前のミーティング
作業中看板設置と道路
始業前点検
4.おわりに
今回の業務では、
「事故に結びつくかもしれない危険の芽を見つけて、その危険の芽を事前に摘
み取っていく」ために、リスクアセスメントの手法を取り入れた業務の事例を報告させて頂きま
した。事前調査の大切さとリスクに対する共通の認識を持つことが出来ました。また、現場作業
を積雪前に無事故・無災害で終わすことが出来た喜びと、今後も安全意識の向上に努めていきた
いと思います。