バラの輸入

平成27年2月26日
東 京 税 関
特集
バ ラ の 輸 入
・
成田空港のシェアは全国1位で、輸入数量の4割、輸入金額の
5割以上を占める。(2014年)
・
全国・成田空港ともに、例年3月に輸入のピークを迎える。
・
近年、アフリカのケニアからの輸入が大きく増加している。
はじめに
もうすぐ3月です。この時期、卒業や離任など、人生の節目を迎える方々に花束を
贈った経験のある方もいらっしゃると思います。花束に使われる花は色々あると思いま
すが、美しい色と姿、そして華やかな香りのバラは、その代表格のひとつと言えます。
国内に流通するバラ(切花)は国産品が主流ですが、一部は海外から輸入されていま
す。業界によれば、輸入品のバラは国内に流通するバラのうちの約2割を占め、国産品
の出荷量が減少する秋から冬の時期に海外からの輸入量が増加し、2014年は、全国で数
量2,939トン、金額23.1億円、成田空港では、数量1,127トン、金額12.7億円の輸入があ
(トン)
成田空港におけるバラの月別輸入数量
250
200
150
りました。
また、例年3月は、卒業式や謝恩会等の記念行事が多く行われるため、バラの需要が
高まるそうで、輸入もピークを迎えます。
100
50
今回は、例年3月に輸入のピークを迎え、2014年における成田空港のシェアが全国1位
であるバラにスポットを当ててみました。
0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
・ 本特集の「バラ」は、次の輸入統計品目番号に分類されるものについてまとめたものです。
2002年-2006年 「0603.10-040」 2007年以降 「0603.11-000」(品名:ばら(切花及び花芽で生鮮のもの))
(2001年以前は、バラを特定できる統計品目番号がありません。)
なお、2015年1月分は速報値です。
1
(2004年~2014年の平均値)
1.港別シェア
博多
羽田空港
6.3%
7.4%
福岡空港
4.3%
輸入数量・金額ともに成田空港が1位(2014年)
その他
0.9%
成田空港
38.4%
関西空港
11.6%
下関
31.2%
下関
7.5%
福岡空港
4.7%
博多
1.0%
2014年における港別のシェアを見ますと、成田空港は数量シェ
その他
1.0%
ア38.4%、金額シェア54.7%を占め、全国1位となっています。
また、羽田空港も主要な輸入港となっており、数量シェア7.4%
羽田空港
10.9%
関西空港
20.1%
で4位、金額シェア10.9%で3位となっています。
成田空港
54.7%
その他上位の港の状況を数量ベースで見ますと、下関港が
31.2%で2位、関西空港が11.6%で3位、博多港が6.3%で5位、福
岡空港が4.3%で6位となっています。
バラは新鮮なうちに輸入する必要があるため、輸送に航空便が
使われることが多く、空港が上位を占める一方で、海上輸送によ
2014年全国数量 2,939トン
2014年全国金額 23.1億円
る近隣国からの輸入が盛んな下関港・博多港も大きな割合を占め
ています。
2.月別
輸入数量の推移
バラの輸入のピークは3月
(トン)
800
700
全国数量
成田空港数量
600
近年における月別の輸入数量の推移を見ますと、全
国・成田空港ともに3月に大きなピークがあることがわ
かります。
500
業界によれば、バラは、婚礼用や記念行事用として
400
の需要が大きく、特に3月から4月初旬は、婚礼用に加
300
え、卒業式・入学式や謝恩会、企業等での離任式や入
200
社式など、記念行事が集中するため、バラの需要が特
100
に高まり、3月に輸入が増加するとのことです。
また、9月から11月は秋の婚礼シーズン、12月はクリ
2012年 1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2013年 1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2014年 1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2015年1月
0
2
スマスシーズンとなることから、この時期の輸入も増
加する傾向にあるとのことです。
3.国別
輸入数量・金額シェア
ケニアのシェアが大きく増加
2004年成田空港輸入実績
ケニア
3.6%
コロンビア
4.6%
その他
5.1%
ケニア
5.8%
大韓民国
6.4%
インド
50.7%
エクアドル
8.8%
ベトナム
10.0%
数量シェア(1,041トン)
見ますと、ケニアのシェア増加が目立ちます。
大韓民国
8.9%
インド
31.1%
ベトナム
8.9%
オランダ
10.8%
成田空港における輸入数量及び金額の国別シェアの変化を
コロンビア その他
4.4%
5.5%
なりました。
一方、インドは、2004年では、数量シェア50.7%、金額
金額シェア(8.9億円)
オランダ
1.5%
中華人民共和国 オランダ
4.8%
3.1%
その他
2.4%
コロンビア
11.3%
は、2004年では、数量シェア10.8%、金額シェア25.3%で2
その他
2.1%
位でしたが、2014年では、数量シェア1.5%、金額シェア
3.1%と、大きくシェアを落としました。
エクアドル
8.4%
エクアドル
7.3%
ベトナム
12.0%
シェア31.1%で1位でしたが、2014年では、数量シェア
22.8%、金額シェア12.1%となっています。また、オランダ
2014年成田空港輸入実績
中華人民共和国
4.8%
5.8%でしたが、2014年では、数量シェア37.9%、金額シェ
ア41.6%と大きくシェアを伸ばし、数量・金額ともに1位と
オランダ
25.3%
エクアドル
10.1%
ケニアは、2004年では、数量シェア3.6%、金額シェア
ベトナム
11.3%
ケニア
37.9%
インド
12.1%
インド
22.8%
ケニア
41.6%
業界によれば、ケニアは、バラの主要な生産国であり、従
来は主に欧米に向けて高品質なバラを供給していましたが、
近年、ケニアから中東のドバイ等を経由した航空輸送手段が
コロンビア
16.5%
充実し、より短時間で日本へ輸送することが可能となり、ケ
ニアからの輸入が大きく伸びたとのことです。
金額シェア(12.7億円)
数量シェア(1,127トン)
全国輸入実績
エクアドル
2.7%
ベトナム
3.0%
オランダ
5.5%
コロンビア ケニア
1.2%
1.4%
インド
21.0%
その他
2.4%
大韓民国
62.7%
ベトナム 中華人民共和国
その他
2.0%
4.6%
エクアドル
3.5%
5.6%
大韓民国
37.7%
コロンビア
10.0%
インド
10.9%
ケニア
25.7%
全国における輸入数量の国別シェアの変化においても、ケニ
アのシェア増加が目立ちます。
ケニアは、2004年では、数量シェア1.2%でしたが、2014年
では25.7%と大きくシェアを伸ばし、2位となりました。
大韓民国は、数量シェアで1位を維持しているものの、2004
年の62.7%から2014年は37.7%とシェアを落としています。
2004年数量シェア(3,422トン)
2014年数量シェア(2,939トン)
3
4.輸入動向
全国金額
(トン)
(億円)
成田空港金額
6,000
30
全国数量
成田空港数量
5,000
全国における2014年の輸入実績は、数量2,939ト
25
ン、金額23.1億円でした。また、成田空港では、
4,000
20
数量1,127トン、金額12.7億円でした。
3,000
15
2,000
10
1,000
5
は、2012年にピークを迎えた後、2年連続で減少し
0
ています。
2004年からの輸入数量の推移を見ますと、全国
においては、2010年にピークを迎えた後、2014年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
まで4年連続で減少しています。一方、成田空港で
2014年
●バラの生産国について
バラの生産が盛んな地域は、赤道近辺の低緯度に位置する1000~2000m級の高原だそうです。このような地域は、日射量が多く、昼夜の寒暖差があり、年
間を通して日中の気温が20度程度と気候が安定しているため、年間を通して丈夫で高品質なバラが栽培できるそうです。日本におけるバラの主要な輸入先であ
るケニア・コロンビア・エクアドルは、赤道直下に位置しています。
●バラの収穫から店頭に並ぶまで
ケニアからの輸入を例にとると、生産地での収穫から成田空港に到着するまで約3日程、輸入通関の後に検品・再梱包され、花き市場等を経てお花屋さんの店
頭に並ぶまで約3日程だそうです。十分な日射量の下で育ったバラは丈夫で、生産地からの長旅を経ても綺麗な姿を維持できるそうです。
●バレンタインにバラの花束を
日本では、バレンタインデーは女性から男性にチョコレートを贈る日として定着していますが、欧米では、バレンタインデーに男性から女性にバラの花束を贈るの
が主流だとか。
取材協力:日本花輸出入協会
~バラの輸入における今後の見通し~
【本資料に関する問い合わせ】
業界によれば 『近年のバラの品種改良の流れとして、色や形の改良もさる
ことながら、花を長く日持ちさせる品種改良に大きな力が注がれている。近年、
東京税関 調査部 調査統計課
バラの輸入量は減少傾向にあるが、より日持ちする品種の登場により、市場
〒135-8615
TEL:03-3599-6385(直通)
東京都江東区青海2-7-11
東京港湾合同庁舎2階
※本資料を引用する際は、東京税関の資料による旨を注記して下さい。
が拡大されることが期待される。』 とのことです。
4
(参考)本文中に掲載されているグラフの具体的な数量及び金額
1.港別シェア
2014年
港
数量(キロ)
成田空港
1,127,101
下関
917,871
関西空港
339,959
羽田空港
217,787
博多
183,976
福岡空港
126,400
その他
25,606
総計
2,938,700
2014年
港
成田空港
関西空港
羽田空港
下関
福岡空港
博多
その他
総計
金額(千円)
1,266,208
465,574
252,734
174,540
107,791
24,030
22,379
2,313,256
2.月別 輸入数量の推移
全国数量
成田空港数量
2012年
2013年
2014年
2015年
2012年
2013年
2014年
2015年
1月
307,435
315,970
249,643
211,029
111,231
153,769
118,950
111,491
2月
312,013
263,696
214,397
3月
716,418
561,139
495,359
4月
322,699
372,812
276,806
5月
370,026
309,541
213,505
6月
263,210
256,233
143,935
7月
215,503
166,534
156,399
8月
147,210
96,774
129,907
9月
300,969
263,081
254,220
10月
446,510
355,664
269,534
(単位:キロ)
11月
12月
403,859 446,334
338,740 325,502
279,065 255,930
163,943
162,992
123,593
290,278
238,245
220,788
65,121
80,546
60,329
54,542
67,514
54,921
29,272
30,825
28,148
34,334
36,198
29,733
44,876
41,973
40,124
124,391
131,472
105,084
154,798
124,472
82,912
159,835
138,971
126,786
3.国別 輸入数量・金額シェア
2004年
国
成田空港数量(キロ)
インド
527,616
オランダ
112,188
ベトナム
104,248
エクアドル
91,595
大韓民国
66,093
コロンビア
48,114
ケニア
37,570
その他
53,177
総計
1,040,601
2014年
4.輸入動向
2004年
国
インド
オランダ
エクアドル
ベトナム
大韓民国
ケニア
コロンビア
その他
総計
成田空港金額(千円)
277,909
226,272
90,120
80,034
79,838
51,937
49,128
39,200
894,438
2014年
国
ケニア
インド
ベトナム
コロンビア
エクアドル
中華人民共和国
オランダ
その他
総計
成田空港数量(キロ)
426,695
256,778
134,981
127,923
82,418
54,137
16,904
27,265
1,127,101
2004年
国
大韓民国
インド
オランダ
ベトナム
エクアドル
コロンビア
ケニア
その他
総計
国
ケニア
コロンビア
インド
ベトナム
エクアドル
中華人民共和国
オランダ
その他
総計
成田空港金額(千円)
527,186
209,180
153,702
143,494
106,832
60,835
38,753
26,226
1,266,208
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2014年1月
2015年1月
2014年
全国数量(キロ)
2,145,712
717,529
188,116
104,248
93,931
48,636
41,590
82,654
3,422,416
215,187
141,350
135,733
国
大韓民国
ケニア
インド
コロンビア
エクアドル
ベトナム
中華人民共和国
その他
総計
全国数量(キロ)
1,107,827
756,080
320,793
293,090
163,962
135,436
59,845
101,667
2,938,700
5
全国
数量(トン)
金額(億円)
(前年比)
(前年比)
3,422
- 19.2
3,336
97.5% 19.9
103.5%
4,020
120.5% 22.3
112.3%
3,654
90.9% 22.2
99.5%
3,581
98.0% 21.5
96.8%
4,777
133.4% 21.7
100.7%
5,574
116.7% 24.0
110.5%
4,398
78.9% 18.9
79.0%
4,252
96.7% 22.8
120.4%
3,626
85.3% 23.9
104.7%
2,939
81.1% 23.1
97.0%
250
211
84.5%
2.1
2.0
96.2%
成田空港
数量(トン)
金額(億円)
(前年比)
(前年比)
1,041
- 8.9
1,095
105.3% 9.5
106.4%
1,129
103.0% 10.9
114.4%
1,077
95.4% 11.6
106.2%
1,087
100.9% 10.9
94.0%
1,266
116.5% 11.3
104.0%
1,270
100.4% 11.4
101.1%
1,162
91.4% 9.7
84.9%
1,448
124.6% 12.7
130.9%
1,348
93.1% 14.2
112.0%
1,127
83.6% 12.7
89.1%
119
111
93.7%
1.3
1.2
96.3%