紙・パルプ - みずほ銀行

特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
r4え
紙・パルプ
【要約】
■ 2014 年度の紙・板紙内需は需要の低迷が続いた結果、前年度比▲3.9%の 2,652 万 t
を見込む。2015 年度も漸減傾向が続き、同▲0.9%の 2,629 万 t を予想する。
■ 2014 年度の輸出入量は、円安進行等により輸出の増加、輸入の減少を見込む。2015
年度も、円安と国内需要低迷により輸出量の増加と輸入量の減少が続く見通し。
■ 2014 年度の生産は、内需が減少する一方、輸出の増加と輸入の減少が見込まれるこ
とから、生産量は内需と比べて小幅な落ち込みに留まると予想する。2015 年度も、輸
出の増加と輸入の減少を背景に、生産量の減少は限定的となる見通し。
■ 2014 年度の企業業績は、数量が落ち込む一方、印刷用紙の値上げの通年寄与によ
り価格要因がプラスに働いたこともあり、増収増益を見込む。2015 年度も数量要因が
マイナスとなる一方、もう一段の値上げの浸透や海外事業の寄与により、増収増益が
続く見通し。
■ トピックスでは、中国市場の動向をふまえた日本企業のあるべき戦略について考察し
た。かつて成長市場としての魅力を放っていた中国であるが、足元では日本企業の原
料調達、製品供給、海外事業展開に競争相手として影響を及ぼす存在となっている。
アジアのリーダーとして日本企業がプレゼンスを発揮するためには、より一層スピード
感を持って海外成長市場を取り込んでいく必要があると考える。
【図表6−1】 紙・板紙需給動向
【実額】
摘要
13fy
14fy
15fy
14/上
14/下
15/上
15/下
(単位)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
( 予想)
内需
紙・板紙
(千t)
27,602
26,523
26,294
13,127
13,396
13,032
13,262
輸出
紙・板紙
(千t)
1,105
1,272
1,410
617
655
690
720
輸入
紙・板紙
(千t)
1,896
1,668
1,420
888
780
740
680
生産
紙・板紙
(千t)
26,667
26,363
26,284
13,092
13,271
12,982
13,302
【増減率】
摘要
13fy
14fy
15fy
14/上
14/下
15/上
15/下
(単位)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
( 予想)
内需
紙・板紙
( %)
+2.4%
▲3.9%
▲0.9%
▲3.0%
▲4.8%
▲0.7%
▲1.0%
輸出
紙・板紙
( %)
+29.2%
+15.1%
+10.9%
+10.2%
+20.1%
+11.9%
+9.9%
輸入
紙・板紙
( %)
▲5.6%
▲12.0%
▲14.9%
▲6.8%
▲17.3%
▲16.7%
▲12.8%
生産
紙・板紙
( %)
+3.6%
▲1.1%
▲0.3%
▲0.3%
▲2.0%
▲0.8%
+0.2%
(出所)経済産業統計協会資料等よりみずほ銀行産業調査部作成
(注)2014、2015 年度はみずほ銀行産業調査部予想
みずほ銀行 産業調査部
56
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
Ⅰ.産業の動き
1.需給
2014 年度の内需
は大幅なマイナス
2014 年度の紙・板紙内需は、2,652 万 t(前年度比▲3.9%)を見込む(【図表
6-1】)。2014 年 4 月以降、紙・板紙の内需は低迷を続けており、とくに印刷用
紙の需要減少が顕著である。2014 年度第 4 四半期は、消費税率引き上げ前
の駆け込み需要の反動が想定されることから、前年同期比大幅なマイナスと
なることが予想される。(【図表 6-2∼4】)。
2015 年度も内需
は漸減傾向が続
く
2015 年度の紙・板紙内需は、2,629 万 t(前年度比▲0.9%)を予想する。紙は、
出版市場の縮小、新聞発行部数の減少、電子媒体への代替といった構造的
な需要縮小要因を背景に、漸減傾向が続くと予想する。また、円安によるコス
トアップを背景に各社値上げを表明しており、価格上昇が需要の減退を招く
可能性がある。板紙は、軽量化の影響がある一方、食品・飲料向け需要の底
堅さに加え通販向け需要も好調であることから略横ばいを見込む。
9,000
(千t)
【図表6−2】 紙・板紙内需推移(品種別)
8,000
その他板紙
7,000
紙器用板紙
6,000
段原紙
5,000
その他紙
4,000
包装用紙
3,000
衛生用紙
印刷情報
1,000
新聞用紙
【図表6−3】 紙内需伸び率品種別寄与度
その他紙
衛生用紙
包装用紙
印刷情報
新聞用紙
紙計
06/1Q
06/2Q
06/3Q
06/4Q
07/1Q
07/2Q
07/3Q
07/4Q
08/1Q
08/2Q
08/3Q
08/4Q
09/1Q
09/2Q
09/3Q
09/4Q
10/1Q
10/2Q
10/3Q
10/4Q
11/1Q
11/2Q
11/3Q
11/4Q
12/1Q
12/2Q
12/3Q
12/4Q
13/1Q
13/2Q
13/3Q
13/4Q
14/1Q
14/2Q
8%
6%
4%
2%
0%
▲2%
▲4%
▲6%
▲8%
▲10%
▲12%
▲14%
▲16%
▲18%
▲20%
(FY)
【図表6−4】 板紙内需伸び率品種別寄与度
12%
10%
8%
6%
4%
2%
0%
▲2%
▲4%
▲6%
▲8%
▲10%
▲12%
▲14%
▲16%
▲18%
(FY)
その他板紙
紙器用板紙
段原紙
板紙計
06/1Q
06/2Q
06/3Q
06/4Q
07/1Q
07/2Q
07/3Q
07/4Q
08/1Q
08/2Q
08/3Q
08/4Q
09/1Q
09/2Q
09/3Q
09/4Q
10/1Q
10/2Q
10/3Q
10/4Q
11/1Q
11/2Q
11/3Q
11/4Q
12/1Q
12/2Q
12/3Q
12/4Q
13/1Q
13/2Q
13/3Q
13/4Q
14/1Q
14/2Q
0
05/1Q
05/2Q
05/3Q
05/4Q
06/1Q
06/2Q
06/3Q
06/4Q
07/1Q
07/2Q
07/3Q
07/4Q
08/1Q
08/2Q
08/3Q
08/4Q
09/1Q
09/2Q
09/3Q
09/4Q
10/1Q
10/2Q
10/3Q
10/4Q
11/1Q
11/2Q
11/3Q
11/4Q
12/1Q
12/2Q
12/3Q
12/4Q
13/1Q
13/2Q
13/3Q
13/4Q
14/1Q
14/2Q
2,000
(出所)【図表 6-2∼4】全て、経済産業統計協会資料よりみずほ銀行産業調査部作成
みずほ銀行 産業調査部
57
(FY)
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
2014 年度、2015
年度とも輸入量
の減少が続く見
通し
2014 年度の紙・板紙輸入量は、167 万 t(前年度比▲12%)を見込む。円安を
背景に輸入量は減少基調で推移している(【図表 6-5】)。
2014 年度、2015
年度とも輸出の
増加が続く
2014 年度の紙・板紙輸出は、127 万 t(前年度比+15.1%)を見込む。震災以降
輸出は低迷を続けていたが、円安や内需の不振等もあり、2014 年度入り後は
月 10 万 t 程度が輸出に振り向けられている(【図表 6-6】)。
2015 年度の紙・板紙輸入は 142 万 t(前年度比▲14.9%)を予想する。円安が
輸入量を抑制する一方、2015 年春には円安に伴う原材料のコストアップを背
景に各社値上げを発表していることから、実現した場合には輸入量の減少幅
も限定的となる可能性がある。
2015 年度の紙・板紙輸出は、141 万 t (前年度比+10.9%)を予想する。円安
基調が続くことにより競争力が高まること、内需が振るわない中、メーカーが輸
出に対して積極的になっていること等から増加が見込まれる。段原紙につい
ても、国内における生産能力の増加があったことから、国内需給ギャップ解消
の調整弁として輸出が増加することが見込まれる。
【図表6−5】 紙・板紙輸入量推移(国別)
(千t)
700
650
600
550
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
【図表6−6】紙・板紙輸出品量推移(国別)
(千t)
450
その他
その他
400
フィンランド
オセアニア
350
スウェーデン
300
米州
カナダ
250
その他アジア
アメリカ
200
マレーシア
その他アジア 150
0
中国
台湾
50
06/1Q
06/2Q
06/3Q
06/4Q
07/1Q
07/2Q
07/3Q
07/4Q
08/1Q
08/2Q
08/3Q
08/4Q
09/1Q
09/2Q
09/3Q
09/4Q
10/1Q
10/2Q
10/3Q
10/4Q
11/1Q
11/2Q
11/3Q
11/4Q
12/1Q
12/2Q
12/3Q
12/4Q
13/1Q
13/2Q
13/3Q
13/4Q
14/1Q
14/2Q
インドネシア
06/1Q
06/2Q
06/3Q
06/4Q
07/1Q
07/2Q
07/3Q
07/4Q
08/1Q
08/2Q
08/3Q
08/4Q
09/1Q
09/2Q
09/3Q
09/4Q
10/1Q
10/2Q
10/3Q
10/4Q
11/1Q
11/2Q
11/3Q
11/4Q
12/1Q
12/2Q
12/3Q
12/4Q
13/1Q
13/2Q
13/3Q
13/4Q
14/1Q
14/2Q
香港
100
韓国
(出所)【図表 6-5、6】とも、日本紙類輸出組合資料等よりみずほ銀行産業調査部作成
生産は 2014 年度
2015 年度ともに
減少
中国
(FY)
(FY)
2014 年度の紙・板紙生産は、2,636 万 t(前年度比▲1.1%)を見込む。内需が
減少する一方、輸出の増加と輸入の減少が見込まれることから、生産量は内
需と比べて小幅な落ち込みに留まる見通し。
2015 年度の生産は、2,628 万 t(前年度比▲0.3%)を予想する。2014 年度同様、
円安を背景とした輸出の増加、輸入の減少が内需の減少を補い、内需と比べ
て小幅な落ち込みに留まると予想する。
みずほ銀行 産業調査部
58
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
2.市況
2014 年末には各
社さらなる値上げ
を表明
印刷用紙は、2013 年春と秋に値上げが実施された(【図表 6-7】)。その後
2014 年末頃より、メーカー各社は円安進行による原材料のコストアップに伴い
もう一段の値上げを実施すると発表している。もっとも、内需が低迷する中で
の値上げの浸透は容易ではなく、需要を冷やす可能性もある。
値上げは難航
段原紙は、原燃料価格の上昇もあり 2013 年末頃より各社値上げを発表した。
段原紙の需要は比較的堅調であるものの、生産能力の増加が計画されるな
ど需給が緩みやすい環境にあるため値上げは難航している(【図表 6-8】)。
【図表6−7】 印刷用紙市況推移
【図表6−8】 段原紙市況推移
(円/㎏:段原紙)(円/㎡:段ボールシート)
90
(万円/kl)
10
130
9
125
8
120
7
115
6
60
110
5
50
105
4
95
90
18
80
16
70
14
12
10
40
8
3
C重油価格(右軸)
印刷用紙A
A2コート紙
微塗工紙
30
2
06/07
06/10
07/01
07/04
07/07
07/10
08/01
08/04
08/07
08/10
09/01
09/04
09/07
09/10
10/01
10/04
10/07
10/10
11/01
11/04
11/07
11/10
12/01
12/04
12/07
12/10
13/01
13/04
13/07
13/10
14/01
14/04
14/07
14/10
100
(円/㎏:古紙)
20
20
1
古紙価格(右軸)
K'ラ イ ナー
特芯
段ボールシート
K''ラ イ ナー
06/07
06/10
07/01
07/04
07/07
07/10
08/01
08/04
08/07
08/10
09/01
09/04
09/07
09/10
10/01
10/04
10/07
10/10
11/01
11/04
11/07
11/10
12/01
12/04
12/07
12/10
13/01
13/04
13/07
13/10
14/01
14/04
14/07
14/10
(円/kg)
135
(出所)【図表 6-7、8】とも、経済産業統計協会資料等よりみずほ銀行産業調査部作成
(注)古紙価格は段ボール古紙の東京都内及びその近郊の古紙問屋店頭渡し価格
Ⅱ.企業業績
2014 年度の企業
業績はわずかな
がら増収増益
2014 年度の紙パルプ大手 5 社の売上高は 3 兆 2,859 億円(前年度比+0.3%)、
営業利益は 1,124 億円(同+2.0%)を見込む。数量が落ち込む一方、印刷用
紙の値上げの通年寄与により価格要因がプラスに働く。円安による原材料価
格上昇があったものの、コストダウンの進展等も加わり増益となる見通し。
2015 年度も増収
増益が続く
2015 年度の売上高は 3 兆 3,484 億円(前年度比+1.9%)、営業利益は 1,231
億円(同+9.5%)を予想する。原油価格の下落はプラスに働くが、円安により原
料調達コストの上昇が見込まれる。数量は引き続き低迷する一方、値上げが
浸透することにより増収増益を見込む。また、海外事業の収益への貢献や継
続的なコストダウンの進展もプラスに働くと予想する(【図表 6-9】)。
みずほ銀行 産業調査部
59
6
4
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
【図表6−9】 企業業績(連結ベース)
【実額】
(社数)
13y
14y
15y
(単位)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
売上高
5社
(億円)
32,751
32,859
33,484
営業利益
5社
(億円)
1,103
1,124
1,231
【増減率】
摘要
13fy
14y
15y
(単位)
( 実績)
( 見込)
( 予想)
売上高
伸び 率
( %)
6.2%
0.3%
1.9%
営業利益
伸び 率
( %)
14.7%
2.0%
9.5%
(出所)各社資料よりみずほ銀行産業調査部作成
(注 1)2014 年度、2015 年度はみずほ銀行産業調査部予想
(注 2)5 社・・・王子 HD、日本製紙、大王製紙、三菱製紙、北越紀州製紙
Ⅲ.トピックス
中国経済・中国企業の動向を踏まえた日本企業のあるべき戦略
中国は供給超過
国としての位置づ
け
中国は、世界の紙・板紙の 1/4(約 1 億 t)を生産・消費する巨大市場である。
2000 年には世界の約 1 割を生産・消費する需要超過国であったが、急速な生
産能力の拡大により 2007 年以降供給超過国へと転じた。
中国の高成長期
は終わりを迎える
年率 10%程度の需要成長を謳歌していた中国であるが、リーマンショック以降
成長率は鈍化した。さらに中国造紙協会の統計によれば、2013 年には生産・
消費ともにマイナス成長に転じた。別の統計ではプラスで着地したとの見方が
示されており、同統計は実際より低い数値が見積もられているとの指摘もみら
れるが、中国の紙・板紙需要が従来のような高成長フェーズを終えたことを示
唆するものである。
中 国 の 需 給ギ ャ
ップは周辺国にも
影響を及ぼして
いる
供給能力の急拡大により生じた需給ギャップは中国一国に留まらず、周辺諸
国へも影響を及ぼしている。日本でも、2011 年から 2012 年にかけての円高局
面において中国からの輸入が急増した。足元円安基調となっているため勢い
は削がれているものの、需給バランスが是正されるまで日本メーカーは隣国
からの影響を免れない状況が続く。また、アジアを中心とした日本メーカーの
輸出先でも、市場をめぐり中国メーカーとのバッティングが問題となる。
上述の問題はとくにグラフィック用紙を中心にみられてきたが、白板紙等他の
品種についても供給能力の拡大により需給ギャップが生じており、グラフィック
用紙と同様の問題が生じる可能性がある。
みずほ銀行 産業調査部
60
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
プレーヤー数が
多いため、市場
は不安定化しや
すい
中国市場の特徴として挙げられるのは、プレーヤー数の多さである。最大手
の玖龍紙業はアジア最大級のメーカーであり、生産量は 1 千万 t を超えるが、
シェア 1 割程度に留まる。2 位以下は 5%程度で、上位 10 社でもシェア 3 分の
1 程度となっている。プレーヤーの乱立は、市場を不安定にさせる要因の一つ
といえる。政府は老朽化設備の廃棄策を進めており、需給環境の悪化と相俟
って中期的には中小企業の淘汰が進むことが予想される。
日本企業の関心
は中国以外へシ
フトしつつある
日本メーカーの中国進出をみると、王子 HD の南通工場はじめ、多くの企業
が同市場の成長取り込みを目指してきた。最近では北越紀州製紙が白板紙
工場を建設したが、多くの企業の関心は東南アジアをはじめとする中国以外
の市場へとシフトしているようにみえる。
中 国 企 業 も 国外
への関心を示し
始めている
一方、中国企業の中にも東南アジアといった国外への投資を検討する企業が
現れている。玖龍紙業、理文造紙はベトナムで段原紙事業への投資を検討し
ている。計画は延期されており実現に対しては不透明さが増しているものの、
東南アジア市場展開を目指す日本にとっては、同じ市場をめぐってライバルと
なる可能性がある。
中国は原料面で
も 日 本 企 業 へ影
響を及ぼす
輸出によるアジア需給への影響力に加え、国外市場への展開も見据えている
中国企業は日本企業へ大きな影響力を及ぼしている。一方、供給面に留まら
ず、原料面でも中国の存在感は大きい。日本の古紙は中国向けが過半を占
めており、中国向けをはじめとする輸出価格が国内古紙価格に影響する可能
性があること、日本企業の海外展開にあたって古紙を調達する場合でも、日
米欧古紙の大口ユーザーである中国の古紙需給動向に影響を受けること、
等である。また、中国の洋紙需要が振るわないことから一時期ほどの勢いはな
くなったが、中国企業のチップ輸入量の増加も日本企業のチップ調達に少な
からず影響を及ぼすと考えられる。
日 本 企 業 は スピ
ード感を持った海
外展開により、ア
ジアのリーダーと
してのポジション
を強固にしていく
ことが求められる
中国の内需はこれからも緩やかな成長を続けると考えられるものの、多くの品
種で供給過剰となっており厳しい競争環境が続く。かつて成長市場としての
魅力を放っていた中国であるが、足元では日本企業の原料調達、製品供給、
海外事業展開に競争相手として影響を及ぼす存在となっている。日本企業は
既に成熟した国内市場から東南アジアをはじめとする海外成長市場へのシフ
トを始めているが、その地位は盤石ではない。東南アジア諸国の市場は規模
が小さく、二番手以降は市場参入において先行者と比べて打ち手が限られや
すい。中国という巨大市場が過渡期を迎える中、アジア成長市場への参入を
企図するプレーヤーは日本企業だけではない。とくに汎用品種についてはス
ピード感が求められ、地場企業とのアライアンスも視野に成長市場の取込み
を行っていく必要があると考える。
(素材チーム 大野 晴香)
[email protected]
みずほ銀行 産業調査部
61
特集: 2015 年度の日本産業動向(紙・パルプ)
/49
2015 No.1
平成 27 年 2 月 26 日発行
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62