向日市の維持向上すべき歴史的風致 本市は、京都府南部に位置する、面積7.67k㎡と西日本で最もコンパクトな市です。かつて日本の都である「長岡京(784~794年)」の中心 地が置かれ、わが国の政治や経済、文化の中心として栄えた地であります。市内には、古墳時代前期の古墳群や奈良時代初期を創建とする重要 文化財「向日神社」をはじめとした社寺、平安時代直前の大極殿跡、朝堂院跡などの史跡長岡宮跡、古代から発展してきた西国街道など、連綿 と続く歴史・文化資源が豊富に存在しています。これらの歴史的建造物とともに、神幸祭や還幸祭、大極殿祭、鶏冠井題目踊など伝統的な祭や 芸能といった活動が一体となって地域の人々により脈々と受け継がれており、本市固有の歴史的風致を形成しています。 1 向日神社に係る歴史的風致 4 用水・ため池と条里制水田に係る 歴史的風致 本市の市名の起源でもあり、奈良時代創建の由緒と歴史 を誇る向日神社では、現在でも神幸祭、還幸祭など各種 祭礼が氏子組織により脈々と受け継がれています。また 境内を取りまく鎮守の森は市街地の中にある貴重な自然 であり、歴史ある建造物や人々の営みを見守りつつ、 清々しい景観を形成し続けています。 古代から本市の農業は水の確保の歴史とともに歩み続け、 水路やため池を守りながら、高い生産性と品質を誇る都市 近郊農業が営まれています。市街化が進む中、古代・中世 以来の条里の地割が残る場所も多く、今も小字名が昔のま ま使用されたり、水神祭が執り行われるなど昔ながらの営 みが用水や水田の景観とともに守られています。 洛西口駅 1 重要文化財向日神社本殿 還幸祭の様子 2 史跡長岡宮跡に係る歴史的風致 条里制水田の様子 4 5 5 竹林とタケノコ栽培に係る歴史的風致 向日町駅 東向日駅 784年から10年間の都、長岡京の政治の中心であった史 跡長岡宮跡の大極殿公園では、遺跡を顕彰する大極殿 祭が地域住民によって明治時代から今日に至るまで続い ています。昭和29年(1954)に始まる発掘調査も累計2,000 回を超えて途切れなく行われており、日常の暮らしの中に 古代を感じることができます。 上植野の水神祭の様子 2 向日丘陵の起伏に富んだ斜面を覆う緑の竹林は、明治時 代中期から広く分布するようになり、清々しく管理されてい ます。ワラの間にのぞく土のコントラストは、全国にその名 を知られるおいしいタケノコづくりに取り組む農家の努力の 結晶であり、背景の古墳と重なり、見事な風景となっていま す。 3 重要文化財向日神社本殿 史跡長岡宮跡 (内裏内郭築地回廊跡) 史跡長岡宮跡大極殿公園 大極殿祭の様子 3 古代の街道に係る歴史的風致 向日市域を北東から南西へ縦断する西国街道は、古くか ら人や物資の往来が活発でありました。歴史的建造物や 石造物も多く存在し、昔ながらの風情が残る西国街道沿 いでは、現在も鶏冠井題目踊や花まつりが営まれ、往時 の雰囲気を醸し出しています。 竹の径と竹垣 (大極殿・小安殿跡) 西向日駅 (朝堂院西第四堂跡) (築地跡) 6 タケノコ畑の様子 6 鉄道と住宅地開発に係る歴史的風致 新しい鉄道の敷設に伴い昭和初期に造成され、桜並木が 見事な西向日住宅地は、開発時から自治会誌の発行や街 路樹の保全など、住民自らの手で良好な居住環境を大切 に守る活動が絶えることなく受け継がれ、当初の区画を今 も残し、四季を感じる美しい住宅地景観を形成しています。 4 西国街道 中小路家住宅 鶏冠井題目踊の様子 西向日住宅のまちなみ 住民活動の様子 (まちなみウォーク) 向日市の重点区域における事業概要 1 大極殿整備計画事業 10 向日神社周辺整備事業 史跡公有化に伴う長岡京大極殿跡などの一体的な保存 整備と活用促進を目的として、目に見えない史跡をより 体感できるように遺跡表 示を整備し、大極殿祭 を行う顕彰の場として保 全し、維持向上させる整 備を行うため、計画を策 定し、整備を行う。整備に 際しては、文化庁など関 係機関と十分に協議し、 調整を図り、地下遺構や 史跡景観を損なわないよ 史跡長岡宮跡 大極殿公園 う実施する。 4 国の重要文化財である向日 神社周辺において、回遊性を 高めるため、トイレやベンチ などを備えた休憩施設を整備 する。 整備後イメージ 12 13・15~23 その他 情報案内板設 置等 7 竹の径 歴史的建造物(富永屋)活用事業 西国街道沿いのまちなみ 景観の保存につながる修 景を行い、市民活動や来 訪者に対する案内および 情報発信する拠点として 利用できるよう、公有化 や耐震化などの改修を含 め、保存・活用を行う。 向日町駅 5 石碑・常夜燈 14 資料館 4 富永屋 歴史的石碑・常夜燈保全活用事業 市街地開発による急激な環境の 変化の中で、道路拡幅などによ り位置がずれたり、現代的なまち なみの中に埋もれてしまった街 道筋にある石碑や常夜燈につい て、市民により身近に、親しみを 感じてもらえるよう、ポケットパー クを活用して適切な場所に配置 する。 3 須田家住宅 10 向日神社 1 大極殿 11 回遊性向上施設 西向日駅 9 道路美装化 8 桜の径 整備後イメージ 重要文化財 7 12 交流拠点 6 西国街道 竹の径景観保全事業 史跡 重点区域 歴史的資源であるタ ケノコづくりから出る 廃材などを利用し、延 長約1.8㎞に設置され た8種類の竹垣の保 全改修を行う。 竹の径 2 史跡等公有化 歴史文化交流拠点整備事業 本市の歴史・文化について、 地域交流活動の拠点として の機能を向上させるとともに、 通年の地域交流活動に利用 しやすいよう、空調設備の新 設、文化財や市民活動による 作 品 を 展 示 する ス ペ ー ス 、 ギャラリーなどを整備する。 14 東向日駅 富永屋 内観 5 重点区域の名称 : 向日市歴史的風致維持向上地区 重点区域の面積 : 約610ha 整備後イメージ 向日市文化資料館整備事業 開館30周年を迎えた文化資料館について、長岡京跡の 出土考古資料の常設展示の場だけでなく、歴史まちづく りの拠点として、歴史資料の公開や情報提供、ボランティ アサークルの活動支援など、果たすべき役割が大きく なってきていることから、 歴史文化の中核拠点とし て整備する。また玄関前 には、歴史的風致を感じ ながら館内に来訪者を誘 えるよう、本市の歴史文 化をたどりながらアプ ローチ できる環境として 「いにしえの小径」を整備 文化資料館 現況 する。 2 3 6 8 9 11 13 15 16 17 18 19 20 21 22 23 史跡等公有化事業 歴史的建造物(須田家住宅)活用事業 西国街道整備事業 桜の径景観保全事業 長岡宮跡周辺道路美装化事業 歴史資源回遊性向上施設整備事業 情報案内板設置事業 観光マップ作製事業 長岡京・平安京連携事業 長岡京広報・PR事業 向日市文化資料館企画展実施事業 発掘調査説明会事業 歴史資源調査活用事業 市民歴史活動連携事業 長岡京を活かしたまちづくり等支援事業 地域歴史ボランティア養成事業
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