2015/2/24 東京西支店 東京都立川市錦町 1-8-4 担当:車克成 TEL: 042-595-7122 URL:http://www.tdb.co.jp/ 特別企画: 地方創生に対する多摩地区企業の意識調査 地方創生に「関心あり」と認識する企業は約4割 ~ 地方創生で重要な政策は「若い世代の経済的安定」がトップ ~ はじめに 日本経済の発展には地域経済の活性化が欠かせない。2014 年 11 月 21 日に可決・成立した「ま ち・ひと・しごと創生法案」および「地域再生法の一部を改正する法律案」では、人口減少・超 高齢社会への取り組みとして地方創生を掲げている。また、1月 20 日には内閣府地方創生推進室 が設置され、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部とともに安倍政権における地方創生の動きが 本格化してきた。 そこで、帝国データバンクでは、地方創生に対する企業の見解について調査を実施した。 調査期間は 2014 年 12 月 15 日~2015 年 1 月5日、調査対象は全国2万 3324 社で、有効回答 企業数は1万 583 社(回答率 45.4%) 。このうち多摩地区の調査対象企業は 415 社で、有効回答 企業数は 198 社(同 47.7%) 。 調査結果(要旨) 1. 「関心あり」の回答が約4割 2. 「若い世代の経済的安定」が4割超 3. 地域経済分析システムの重要性~「どちらでもない」が4割超 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 1 2015/2/24 特別企画: 地方創生に対する多摩地区企業の意識調査 1. 「関心あり」の回答が約4割 地域経済を活性化させる地方創生について、ど の程度関心があるか尋ねたところ、 「関心あり」と 回答した多摩地区企業は 39.9%と約4割を占めた 地方創生を 知らない 0.0% ( 「非常に関心がある」と「関心がある」の合計) 。 分からない 3.0% 関心なし 19.7% 一方「関心なし」 (「全く関心はない」と「関心は 関心あり 39.9% ない」の合計)は 19.7%にのぼった。 「関心あり」は全国では 53.3%に達し、 「関心な し」は全国では 12.3%にとどまることから、多摩 どちらでも ない 37.4% 地区企業は全体的に地方創生への関心の薄さが際 立った。 「関心あり」は「青森」 「秋田」 「福島」 「徳島」 「高知」 「長崎」 「宮崎」 「鹿児島」では7割以上と 注:母数は有効回答企業198社 なっている。大都市圏を抱える『南関東』『東海』『近畿』が4割台となった以外は、すべての地 域で6割以上の企業が地方創生に対して関心を持っている。ちなみに、多摩地区は首都圏の中で も関心の薄さが最低であり、地方創生への意識の差がハッキリと現れた。 「関心あり」割合が70%以上の地域 「関心あり」割合が全国(53.3%)以上の地 域 「関心あり」割合が全国(53.3%)を下回っている地域 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2 2015/2/24 特別企画: 地方創生に対する多摩地区企業の意識調査 80.0 75.0 69.2 66.7 (単位:%) 46.0 45.5 42.2 39.9 東京 多摩地区 33.3 金融 運輸 ・倉庫 卸売 製造 建設 サービ ス 小売 不動産 46.8 神奈川 40.0 埼玉 50.0 千葉 55.3 業種別では、地域密着型の「不動産」 「小売」 「サービス」 「建設」は比較的高い傾向を示す結果 となった。 企業からは「廃村など村落の統廃合を進めていき、集約した市町村で新たな町おこしや産業活 性化を図る方が長期的に見て地方の活性化につながる」 (機械製造) 、 「現実路線に則り、限界集落 は速やかに解消し、住民の移住を進めて新しい小さな町を作るべき」 (同) 、 「豪雪地帯では住宅を 減らす努力をすべき」 (電気機械製造業)など、コンパクトシティを推進する声が散見された。 2. 「若い世代の経済的安定」が4割超 「まち・ひと・しごと創生本部」では、地方創生に向けた政策の検討が進められている。そこ で、地方創生においてどのような政策が重要と考えるか尋ねたところ、 「若い世代の経済的安定」 が 41.4%で最も高かった(複数回答、以下同) 。 次いで「子ども・子育て支援の充実」 (34.8%)が続き、さらに4位には「妊娠・出産・子育て までの切れ目のない支援」 (32.8%)が挙げられており、企業は地方創生における政策として若年 世代の生活を安定させ、結婚・出産・子育てができるような社会経済環境を実現するための政策 を重視している様子がうかがえる。 3位以下では「地域を支える個別産業分野の戦略推進」 「地域経済雇用戦略の企画・実施体制の 整備」が3割を超え、地域産業と地域雇用を重視すべきとの考えが比較的多かった。 企業からは「地方で病気しても心配ない程度に医療機関を充実」 (建材・家具、窯業・土石製品 製造業)といった医療面の充実や、 「首都圏の大企業に対する首都圏税なども必要ではないか」 (建 設) 、 「東京一極集中を防ぐ政策が先」 (出版・印刷)など首都圏一極集中の是正を指摘する意見も 散見された。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 3 2015/2/24 特別企画: 地方創生に対する多摩地区企業の意識調査 (%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 若い世代の経済的安定 45 41.4 子ども・子育て支援の充実 34.8 地域を支える個別産業分野の戦略推進 34.3 妊娠・出産・子育てまでの切れ目のない支援 32.8 地域経済雇用戦略の企画・実施体制の整備 30.3 地方都市における経済・生活圏の形成 27.8 25.3 大都市から地方への「人材還流システム」の構築 企業の地方拠点機能強化 24.2 地方移住の推進 22.2 高齢者向け支援の充実 22.2 注:母数は有効回答企業198社 3. 地域経済分析システムの重要性~「どちらでもない」が4割超 地方創生関連法では、地方自治体が定量的・客観的な データ分析に基づき、地域特性を踏まえた地方版・総合 戦略の策定を求めている。そのため、国はビッグデータ 分からない 14.6% を活用した「地域経済分析システム」を開発し、その分 重要である 重要ではない 12.1% 析手法の普及を図るとしている。 30.8% そこで、このような考え方で地方自治体が地方版・総 合戦略の策定が重要かどうかを尋ねたところ「どちらで どちらでもない もない」 とする回答が 42.4%で最多となり、 全国の 34.8% 42.4% と比べると 7.6 ポイントも高い結果となった。 一方「重要である」 ( 「非常に重要」と「重要」の合計) 注:母数は有効回答企業198社 は 30.8%にとどまり、全国の 36.8%より 6 ポイントも低 い結果となった。さらに「重要ではない」は 12.1%( 「全く重要ではない」と「重要ではない」の 合計)にとどまったが、全国の 10.6%と比べると 1.5 ポイント高い結果となった。 総じて、多摩地区企業は全国と比べ「地域経済分析システム」への期待度が低い結果となった。 企業からは「民間が使えるものでなければ意味がない」 (鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売業) 、 「いろ いろな分析のためのアンケートが多すぎる。重複しているものを含め、ベーシックな部分は他の システムと共通化すべき」 (機械製造)などの声が挙がった。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 4 2015/2/24 特別企画: 地方創生に対する多摩地区企業の意識調査 まとめ 1月 20 日、政府は内閣府地方創生推進室を設置し、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務 局とあわせて、安倍政権における地方創生の動きが本格化している。 日本の直面する人口減少、特に地方における人口流出は、地域経済縮小という悪循環に陥るこ とが懸念される。 地方創生に向けた政策では、若年世代の支援を重視する回答が多くみられ、若い世代が経済的 に安定することで人口流出を防ぎ、地域経済の活性化に資すると考えている様子がうかがえる。 「地域経済分析システム」の活用については、関心が無いというよりは、想像がつかないのが 実情と思われる節もあり、具体的な成功事例が求められる。 地域経済が活性化することは日本経済を勢いづけると同時に、地方が抱える問題の解消にもつ ながる。そのため、地方創生の成否は将来の日本社会の姿を規定することにもなり、スピード感 のある政策実行が求められる。 【 内容に関する問い合わせ先 】 (株)帝国データバンク 東京西支店 車 克成 TEL 042-595-7122 FAX 042-595-7127 当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。 当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内で ご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。 ©TEIKOKU DATABANK, LTD. 5
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