資料② BOEの金融政策 及びその国債市場への影響 2015年2月25日 市場営業統括部 チーフ・エコノミスト(日本) 西岡 純子 [email protected] BOEの金融政策 2009年1月19日に資産購入プログラムの開始がアナウンス。英国債の購入が始まったのは2009年3月。以降、段階的に資産購入目標 額が引き上げられてきた 政策金利も段階的に引き下げられ、2009年3月以降は0.5%に据置き • • 6 60 (%) 50 BOE資産購入プログラム目標額(右目盛) 5 ECB 4 FRB 3 政策金利 (%) 2 日本銀行 1 BOE 0 08 40 09 10 11 12 13 14 15 年限別国債購入額 30 20 (10億£) 400 10 200 0 0 08 09 10 11 12 13 14 (出所)各国統計 (出所)BOE、Bloomberg Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 1 国債保有構造の変化 BOEのAPF(Asset Purchase Facility)が進むにつれ、BOEの保有比率は段階的に上昇 しかし、海外投資家と保険会社・年金基金の保有比率の方が高い状況は変わらず 海外投資家の保有のうち、海外中銀以外の保有が趨勢的に増加 • • • 主体別にみた国債保有構造 (%) 40 500 海外 BOE(APF) 保険会社・年金基金 民間銀行(住宅組合含む) その他 家計 35 うち海外投資家の内訳 (10億£) 450 400 30 350 25 300 その他海外投資家 海外中銀 250 20 200 15 150 10 100 5 50 0 09 10 11 12 13 14 0 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (出所)DMO Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 2 英国国債市場の構造 • • 英国債務は今なお累増。普通国債、指数連動債ともに増加。 長い年限の国債発行が増加しており、平均残存年限は昨年末段階で15.96年(Tbill含む)。平均発行金利も足元で低下 残存別にみた国債の比率 1,800 (10億£) 45 国債ネット発行残高 (%) 超短期(0~3年) 中期(7‐15年) 40 1,600 短期(3‐7年) 長期(15年以上) 35 30 1,400 T‐bill 25 指数連動債 1,200 20 普通国債 15 04 1,000 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (注)年限の区分はDMOの定義に従う。 平均残存年限と平均発行金利 800 (%) (年) 17 6 16 5 15 600 4 14 3 13 400 2 12 平均残存年限(左目盛) 11 200 06 07 08 09 10 11 12 13 14 1 平均発行金利(普通国債、右目盛) 10 0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (出所)DMO Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 3 BOE金融緩和の影響 ① • • 110 BOEのQE導入・拡大とともに、通貨ポンドは低い水準で維持 金利は幅広い年限で低下。APF運用開始以前は、年金・保険会社等からの長期債への需要(*)が強く、多くの局面で逆イールドに あったが、APF開始以降は順イールドが定着 4.5 (%) イールドカーブの低下 4.0 2008年末 (2007年初=100) 3.5 英ポンド名目実効為替 105 100 対ドル 2.5 対ユーロ 2.0 1.5 ↓ポンド安 95 2015年2月20日時点 3.0 1.0 0.5 0.0 90 1 300 85 4 7 10 13 19 22 25 28 (年) イールドスプレッド (bps) 10‐5年 20‐5年 30年‐5年 250 200 80 16 150 100 50 75 0 ‐50 70 ‐100 ‐150 QE導入 65 07 08 09 10 11 12 13 14 15 ‐200 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 * 補足:1995年年金法に基づき、1997年4月から年金基金に最低積立要件の支払い能力テスト(MFRST)が導入。確定給付型の企業(職域)年金に対して、負債に見合った十分な資産の 保有を促す要件 (出所)Bloomberg Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 4 15 BOE金融緩和の影響 ② • • • 250 APF運用期間も、長期債を中心に売買代金は高水準 インターバンク市場での流動性リスクも総じて低位安定 BOEのQEは期待インフレの維持に貢献 400 英国債の週次売買代金 (10億£) Libor 3M – OIS スプレッド (bps) 350 英ポンド 300 ユーロ 250 米ドル 200 200 150 100 50 150 0 08 5.0 09 10 11 (%) 13 14 15 BEI (10年) 4.5 100 12 4.0 3.5 3.0 2.5 50 2.0 1.5 1.0 0 0.5 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (出所)DMO 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (出所)Bloomberg Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 5 BOE金融緩和の影響③ 年金保護基金によると、直近の今年1月時点では6,057基金が赤字であり、赤字は過去最高水準 超長期国債のラリーがもたらしたもの。今後、基金のスポンサーからの資金流入の議論が浮上する可能性は高い 2015-2016財政年度の国債供給増も合わせて考えると、長期金利の上昇リスクが市場で指摘されるも、年金・保険会社からの長期債 への需要は引き続き強い • • • 1800 年金基金の超過負債と 企業年金基金の資産と負債 (10億£) 300 (10億£) (%) 超長期国債利回り 5.5 200 5.0 100 4.5 1200 0 4.0 1000 ‐100 3.5 800 ‐200 3.0 600 ‐300 400 ‐400 1600 資産 負債 1400 2.5 年金基金の超過負債(資産‐負債、左目盛) 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 英国30年国債利回り(右目盛) 04 05 06 07 08 09 10 11 2.0 12 13 14 15 (出所)Pension Protection Fund Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 6 早期利上げを阻む議論 • • BOEは今年10-12月から来年初に利上げするとの市場期待が強いが、利上げ時期の予想は徐々に後ずれ(2月23日現在) 変動金利が主となる住宅ローン市場において、早期の利上げが家計部門の利払い負担を高まるとの懸念が強い 借入期間別にみた住宅借入負債 / 所得比率 家計の負債/所得比率と銀行預金 / 所得比率 (出所)BOE “Quarterly Bulletin” 2014 Q4より一部抜粋 Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 7 本資料は純粋に情報提供を目的とし、いかなる取引の勧誘や推奨を行うものではありません。 本資料は、弊行において、信頼に足りると判断した情報に基づき作成されていますが、その情報の 正確性や完全性を保証するものではありません。また資料中に記載されている指標(金利・為替・経 済指標等)は過去のものであり、将来を約束するものではありません。尚、予測や見通しについては、 その旨を明記しております。 記載された意見や予測等は、作成当時の執筆者の見解を示すのみであり、今後予告なしに変更され ることがあります。また、データや数値の抽出範囲や基準は任意で設定している場合があります。 弊行は本資料の論旨と一致しない情報を既に発信している場合があり、今後そのような情報を発信 する場合があります。 本資料は投資等に関するアドバイスを含んでおりません。本資料に記載された内容を投資等にご利 用なさる際には、くれぐれもご自身の判断でなさるよう、お願い申し上げます。 本資料を使用することにより生ずるいかなる種類の損失についても、弊行は責任を負いません。なお 本資料の一部又は全部を問わず、弊行の許可なしに複製や再配布することを禁じます。本資料の内 容は、弊行から直接提供されたお客さま限りでご使用くださいますようお願い致します。 Copyright © 2015 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved. 8
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