2-3-2LS 氏名 香坂 俊 所属 慶応義塾大学医学部 対象者 後期研修医(卒後 3 年目以上)・初期研修医(卒後 1-2 年目) タイトル 一枚の処方箋が語る未来;アウトカムベースで考える循環器疾患の投薬 内容 循環器内科の醍醐味は何も複雑な侵襲的手技をマスターすることや、鮮明な画像を描出することばかりではない。この 分野には豊富なエビデンスに裏打ちされた薬剤が多数存在し、循環器疾患を管理する内科医としてはその処方の一行 一行に凌ぎを削ることもときには必要であろう。忘れないでほしいが、循環器医も「内科医」の一員なのだ。 では、2015 年現在における循環器系薬剤の処方の高みとはどこに存在するのか?以下、具体的に考えていきたいが、 例えば、狭心症の分野で冠動脈インターベンション(PCI)を受けた方がいたとして、その方の退院時の処方として以下 のようなものはどうだろうか? ・バイアスピリン 100mg 1T1dx ・プラビックス 75mg 1T1x ・リピトール 5mg 1T1x ・ノルバスク 5mg 1T1x ・ブロプレス 4 ㎎ 1T1x 抗血小板薬二剤(DAPT)にスタチン、降圧薬二剤と、我が国では非常にリーズナブルなリストと考えられる。しかし、 同じ患者さんが米国ではおそらくこうなる。 ・アスピリン 325mg 1T1dx ・ブリリンタ (チカグレロル; 本邦未承認) 90 ㎎ 2T2x ・リピトール 80mg 1T1x ・アーチスト 50mg 2T2x あるいは、健診で指摘を受けた高脂血症患者に対する一次予防の処方として、我が国では下記のようなものが考えられ る。 ・メバロチン 10mg 1T1x ・エパデール 600 ㎎ 3T3x しかし、高脂血症の管理に関しては今、薬物治療の適応そのものが見直されつつあり、LDL などのコレステロール値の絶 対値を標的にしたものから、患者全体の長期リスクを考えたものへと主導権が移りつつある。そのなかで、比較的リスクが 低いと考えられる日本や東アジア系の患者がどこにあてはまるのか、改めて考えなおす時期に入っているといえるだろう。 今回のセッションでは上記の如く、主に虚血性心疾患の一次/二次予防に対する処方の考え方に二つの方向(日本と 欧米の双方)から光をあて、我が国の患者さんに対する理論的な処方ということを考えてみたい。実地医療に携わる多 数の先生方と活発に議論できれば幸いである。
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