資料1-2 第2回農林水産省知的財産戦略検討会(資料) ~中国の商標冒認出願事例紹介と対策~ 平成27年2月17日 味の素株式会社 知的財産部 契約・商標G 専任部長 五十嵐竜生 ◆味の素㈱事例:中国の商標冒認出願 ・味の素㈱は、26 カ国に事業拠点を置き、130 カ国に商品を販売。 ・コーポレートブランドロゴ については、およそ 140 カ国に出願登録。 は、基本的に実際に使用している・使用する計画のある商品/サービス分野 に出願。 ・主要国では、調味料、加工食品、アミノ酸、飼料、医薬品(第 1,5,29,30,31 類)に出願。 ・中国では’99-‘06 年の間に や を、調味料、加工食品、アミ ノ酸、飼料、医薬品の商品に加え、飲食業、研究開発のサービス分野にも商標出願、登録。 ・そうした状況下、06-‘10 年の間に中国の業者が、「味の素」や 等を飲 料、酒類、肉製品、広告業サービスに商標出願。 ・更に当該中国の業者は、これら商標を付した飲料、酒を製造販売していたことが判明。 ・味の素㈱はこれら商標に対し、公報に掲載されるごとに異議申立を行った。 <中国業者による商標出願> 商 標 類 商 品 出願人 異議申立結果 ① 32 清涼飲料、ビールほか 個人A 異議負け → 再審勝ち ② 30 茶飲料、食用芳香剤 個人A 異議負け → 再審勝ち ③ 29 肉製品、ジャム、食用たんぱくほか 個人A ④ 32 清涼飲料、ビールほか 個人A 異議負け → 再審勝ち ⑤ 35 広告業、輸出入代行業ほか 会社B 異議勝ち、確定済み ⑥ 33 酒類、薬用酒ほか 会社B 異議負け → 再審勝ち 異議勝ち → (相手方再 審請求)再審勝ち ・異議申立では、当社商標の著名性、他人の商号の権利侵害、出願人の不正意図、などを 主張したが、前記①②④⑥のケースでは異議理由が認められず、異議再審請求を行うこと になった。 ・異議手続を進めている間、特許庁国際課にも相談し、特許庁と中国商標局との会合で本 件を含めて冒認出願の問題を取り上げてもらうように陳情。 ・異議申立後、 を著作権登録することは有効であるとの情報を得て、著作権 の登録を行い、著作権侵害も異議理由に加えた。前記⑤のケースでは著作権侵害が認めら れた。 ・異議再審に至ったケースでは、当社商標の著名性の認定は得られなかったが、中国で味 の素㈱の商号は一定の知名度を有しており、その商号権を侵害するものである(商標法 31 条)との裁定が下された。 ・これら一連の異議対応の決着にはおよそ 5 年を要し、対応には相当な費用がかかった。 ◆冒認出願への予防策 ・中国では、著名商標認定を受けることは容易でない。前記の冒認出願に対抗するため、 実際に使用する商品/サービス以外にも、商標出願しておくことが必要と判断、全商品/ サービス区分の 45 分類に商標手当て実施。現在までに 44 分類に登録完了。 ◆農林水産物のブランド、地理的表示の防衛策 日本の農林水産物のブランド、地理的表示を守るためには、不正商品、冒認商標などが海 外で現れるリスクに備え、各国への防衛的な商標出願(農水産物、加工品、飲食業)、場 合によっては意匠や著作権など可能な手当てを講じることを検討しておくべきと考える。 以上
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