音楽科学習指導案 指導者 大竹市立小方小学校 池上 久子 計39名 1 学 年 第5学年2組 男20名 女子19名 2 題 材 曲想を味わおう 3 題材について ○ 本題材は,学習指導要領の第5学年及び第6学年の内容「A表現」(1)イ「歌詞の内容,曲想 を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと。」,「B鑑賞」(1)ア「曲想とその変化な どの特徴を感じ取って聴くこと。」,「A表現」(2)イ「曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図 をもって演奏すること。」に関わるものである。〔共通事項〕については,アの(ア)音楽を特徴付 けている要素として音色,リズム,速度,旋律,強弱,(イ)音楽の仕組みとして問いと答え,変 化を扱うものである。 本題材では,いろいろな音楽の要素が一体となって醸し出す曲想を味わうことを通して,それぞ れの音楽の要素と曲想との関わり合いに気付きながら,曲想やその変化を感じ取って,思いや意図 をもって表現の仕方を工夫したり,想像豊かに聴いたりできるようにすることをねらいとする。 歌唱表現教材「だれかが口笛ふいた」は,原曲はフランス民謡で三部形式,8小節ごとに曲想が 変化するのが特徴である。いきいきとしたリズムの部分と滑らかな感じの部分,転調して雰囲気が 大きく変わる部分を捉えやすい楽曲で,音の極端な上下動が少なく変声期の児童でも無理なく歌い やすい曲である。鑑賞教材「ハンガリー舞曲」は,旋律の繰り返しや,速度,強弱,調性の変化が 特徴的で,それらの働きが醸し出す曲想の変化を感じ取ってして聴くことをねらいとする。器楽表 現教材「キリマンジャロ」は,鍵盤ハーモニカとリコーダーのやりとりが楽しい編曲で,曲想の違 いを工夫して演奏したり,曲想の変化を感じたりしながら興味・関心を広げることができる楽曲で ある。 ○ 本学級の児童は,アンケートの結果から,ほとんどの児童が「音楽が好き。」と回答している児 童が多いが合奏経験は少ない。1学期は「リボンのおどり」の合奏を通して,楽器の組み合わせ方 による響きの違いなどを感じて,たくさんの楽器に親しみながら学習した。しかし,音色や強弱, リズムの形に変化があることには気付いていないことが多く,合奏の際に曲想を考えたり強弱や曲 の山場をイメージしたりして演奏し,自分たちの思いを十分相手に伝えることができていないとい う課題がある。そこで,本題材では,合唱・鑑賞・合奏の活動を通して,旋律,リズム,強弱など 音楽を形づくっている要素の特徴や曲想の変化を感じ取り,表現に対する自分の思いや意図をはっ きりともって歌ったり演奏したりすることができるようにしたいと考える。 ○ 指導にあたっては,まず,拍の流れに乗って演奏できるようにメトロノームに合わせて正確に拍 を刻む練習を行う。次に,伴奏を聴いて全体の響きを感じ取って演奏できるようにするために,児 童の演奏を録音し,自分たちの演奏を客観的に聴いて改善が図れるようにする。具体的には,旋律 の特徴として旋律の動き,リズム,強弱などに着目させ,それらの要素が変化していることに気付 かせたい。そしてこれらの学習が,具体的に自分の考えを音で表現したり,感じたことを言葉で表 現したりできる活動に生かされ,リズムや強弱,フレーズの特徴や変化,主旋律や副旋律のかかわ り合いなどを感じ取って表現しようとする学習となるように,音楽を主体的に表現しようとする児 童を育てたい。 4 題材の目標 ○ 旋律の動き,音色,リズム,強弱や反復,変化等の音楽の仕組みを聴き取り,それらの働きが生 み出す曲想の変化を感じ取って表現を工夫し,思いや意図をもって表現する。 ○ 旋律の特徴を聴き取り,それらの働きが生み出す曲想の変化を感じ取って聴くことができる。 5 評価計画 ア 音楽への関心・ 意欲・態度 イ 音楽表現の創意工夫 ウ 音楽表現の技能 エ 鑑賞の能力 ① 「だれかが口笛吹 ① 「だれかが口笛ふ ① 「だれかが口笛吹 ① 主な旋律の反復 いた」の旋律の音の いた」の旋律の動き いた」の旋律の特徴 や変化,旋律と旋律 動き,リズム,調性 やリズムの特徴を聴 や曲想の変化を感じ とのかかわり合い の違いや曲想の変化 き取り,それらの働 取り,それらを生か の美しさなど,楽曲 に関心をもち,それ きが生み出す曲想の した表現を工夫して を特徴付けている 諸要素を感じ取っ らを生かした音楽表 変化を感じ取りなが 歌っている。 現を工夫して歌う学 ら表現を工夫し,ど ② 楽器を演奏するた て聴いている。 習に主体的に取り組 のように歌うかにつ めの基礎的な技能を ② 主な旋律を歌っ いて思いや意図をも 身に付けて演奏して たり,楽器で演奏し もうとしている。 いる。 たり,指揮などの動 ② 楽曲を特徴付ける っている。 リズム,旋律,強弱, ③ 「キリマンジャロ」 ③ 「キリマンジャロ」 作をしながら音楽 速度,音色,和声, リズムや強弱などの の曲想の変化を感じ を聴き,曲想の変化 調などの要素に気を 旋律の特徴やその変 取って,それを生か や音楽全体の流れ 付けて聴こうとする 化などを聴き取り, した表現を工夫して のよさや美しさを 感じ取って聴いて とともに,それらの それらの働きが生み 演奏している。 いる。 かかわり合いが生み 出す曲想の変化を感 出す音楽全体の曲想 じ取りながら,それ に関心をもって聴こ を生かして表現を工 夫し,どのように演 うとしている。 ③ 旋律の特徴や曲想 奏するかについて自 の変化に関心をも 分の考えや願い,意 ち,それらを生かし 図をもっている。 た音楽表現を工夫す る学習に主体的に取 り組もうとしてい る。 ○ 評価方法 A「行動観察」 B「演奏聴取」 C「ワークシート」 6 主な教材 「だれかが口笛ふいた」阪田寛夫 日本語詞 フランス民謡 石丸 寛 編曲 「ハンガリー舞曲 第5番」ブラームス作曲 シュメリング編曲 「キリマンジャロ」 ウォルフシュタイン・ウォルフガング ヤス 作曲 橋本祥路 編曲 7 指導と評価の計画(全 11 時間) ねらい 学習活動 次 時 第 旋律の特徴を捉 「だれかが口笛ふいた」 「だれかが口笛ふいた」 一 1 え,曲想の変化を アイウの旋律の違いを感じ取りながら歌おう。 次 感じ取る。 具体の 評価 評価 方法 規準 ア① AB 第 一 次 2 曲想の変化を生 かして歌う。 旋律の特徴を感 じ取って聴く。 第 3 二 旋律の特徴を捉 次 4 え,曲想の移り変 わりを感じ取る。 主旋律の特徴を 捉え,それらを生 5 かして演奏する。 6 7 第 三 次 8 9 アとイの曲想の 変化を感じ取り,表 現を工夫して演奏 する。 音の重なりを意 識して,打楽器と 旋律を合わせて演 奏する。 各パートの音量 や速度を捉え,音 の重なりの特徴を 感じ取る。 楽曲の山を意識 して,思いや意図 をもって表現を工 夫する。 ・最後まで音楽と 向き合って自分 10 のこだわりや願 いを伝える演奏 をする。(本時) ・アイウの曲想の変化に気付き,それぞれの調性の響 きに合った歌い方を工夫する。 ・音の動きやリズム・強さを感じ取る。 リズムや旋律の特徴を生かし,表現を工夫して歌おう。 ウ① ・リズム,旋律,強弱,速度などに気を付けたり,そ れらの相互のかかわりを考えて歌う。 ・イの声の重なりや和声の響きを感じながら歌う。 「ハンガリー舞曲 第5番」 エ① 第5番」 旋律のくり返しや変化,速さや強さに着目して, 旋律の特徴を聴こう。 ・曲想が移り変わる様子を味わいながらアイウエのリ ズムと旋律・速度に着目して聴く。 旋律の繰り返しや変化,速さや強さに着目して,曲 エ② 想の変化を感じ取ろう。 ・旋律のリズムを音楽と一緒に歌うなどして,アイウ エの旋律の変化を捉え。 「キリマンジャロ」 ア③ 主旋律のリズムや記号を意識して演奏しよう。 ・リズム,強弱,速度と旋律のかかわりを考えながら, 特徴を明確に意識して演奏する。 アとイの演奏を比べ,曲想の違いが伝わるように イ② 表現を工夫しよう。 ・主旋律と鍵盤楽器1・2の旋律を合わせて演奏し, アとイの曲想の違いを比較演奏する。 打楽器と旋律がピッタリ合うように,リズムや拍 ウ② に乗って演奏しよう。 ・打楽器と旋律を合わせたりずらしたりしながら,快 い拍の流れや速度を相互の音を聴いて合わせる。 各パートの音量のバランスや全体の速度を感じ取 イ② って演奏しよう。 ・各パートの音量のバランス,速度を聴き合って演奏 する。 旋律の特徴やその変化を捉え,曲の山を意識して イ② 表現を工夫して演奏しよう。 ・「ここを盛り上げたい。」という思いを出って友達と 交流し,具体的に演奏しながら曲の山を意識して表 現を工夫する。 曲想の変化を感じ取り,表現を工夫して演奏しよう。 ウ③ ・曲想の違いを感じ取り,各パートの強弱,スタッカ ート,アクセントの演奏の仕方について,最後まで こだわりをもって表現を工夫する。 AB AC AC A AC ABC AC AC ABC 8 本時の学習(本時10/10) (1)本時の目標 互いの旋律や全体の響きを聴きながら,曲想を生かして合奏する。 (2)学習展開 学習活動 指導上の留意点 評価規準(評価方法) ○学習の雰囲気を作る。 1 既習曲を歌う。 つか 2 本時のめあてをつかむ。 曲想の変化を感じ取って,表現を工夫し 曲想の変化を感じ取って,表現を工夫して演奏しよう。 を感じ取って,表現を工夫して演奏しよう。 む 3 前時の録音を聴いて演奏改善 ○最後に改善すべき要素に気付かせ, 改善する要素は何か絞らせる。 考え の見通しを持つ。 る 4 気付いたことや改善点につい ○演奏するときに,こだわってきたこ て考えを交流し合い,実際に演奏 とは何か,何の音に合わせて演奏し しながら表現を工夫していく。 てきたのか,強弱やアクセント,ス タッカートが,どのようになれば質 が高まる演奏になるのか児童自ら 気付けるようにする。 練り ○強弱,アクセント,スタッカート, 合う 息使いをどの程度表現したいのか 演奏して確かめさせる。 【「努力を要すると判断される」状況(C)と評価される児童への手立て】 音楽の要素に気付けない児童に対しては,音楽の要素を記したカードを用いて,強弱,アク セント,スタッカートのどれかにポイントを絞って改善できることを促す。 予想される 予想される児童 される児童の 児童の反応 ・アの旋律では,スタッカートの音をもっと短く切って,全体の感じが重たくならないようにしたいね。 ・イの旋律では,アクセントをもっと目立たせて,3つのパートがそろって力強く演奏する感じを出したいね。 ・強弱をもっとはっきりつけると,アとイの曲の感じの違いがよく分かるよ。 「キリマンジャ まと ロ」の曲想の変化 める 5 改善点を意識して演奏する。 ○「キリマンジャロ」への思いや意図 をもって,アとイの曲想にふさわし を感じ取って,そ い表現を工夫して演奏させる。 れを生かした表現 を工夫して演奏し ○強弱やスタッカート・アクセントを意 ている。 6 録音を聴いて振り返る。 識して演奏できたか振り返らせる。 【評価方法】 児童のまとめ 児童のまとめ ・スタッカートを短く切ったり,アクセントを意識して目立たせたりして工夫したことで,アは軽 快に進んでいく感じになり,イは力強い感じになって,曲想の変化をつけることができました。 7 発表会では,本時で改善した事 ○発表会への思いを確かめる。 を生かした演奏ができるように 促す。 行動観察,演奏の聴 取,ワークシート
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