Mitsuru MURAI

Jリーグヒューマンキャピタル(JHC)
発足に際してのチェアマンとしての決意
公益社団法人日本プロサッカーリーグ チェアマン
村井 満 (むらい みつる)
Mitsuru MURAI
JHCは、Jリーグが将来プロスポーツビジネスの経営を担う
JHCは、Jリーグひいては日本のスポーツの発展に貢献
人材の開発に本気で取り組む新たな試みです。
することを志す多くの人材が、これまでにJリーグやJクラブが
JHCは「教育研修コース」と「キャリアデザイン」の2つの
スポーツビジネスの現場で実際に培ってきた知恵や経験、関係者
プログラムで構成されます。
「教育研修コース」では、1年目の
からの声を生きた教材として学び、将来の成長に向けた方策を
カリキュラムとして、プロスポーツクラブの経営人材に求めら
本 気 で 考え、お 互 い に 高 め あ い 、実 践 的 に取り組む機 会を
れる基礎的要素を身に付けことを目的に、提携大学や教育機関
提供します。そして、JHCを修了し選抜された人材が実際に
との協働による公開型「マネジメント講座(基礎)」を実施します。
Jクラブをはじめ、その他のスポーツ関係先(その他競技団体、
選抜者を対象とした2年目は、JリーグやJクラブでの実地研修
スポーツ施設、メーカー、広告代理店、メディアなど)といった
を含む「Jリーグ研修(実践)」に臨み、スポーツビジネスの現場
スポーツビジネスの現場に就業し、直接その発展の推進者と
に関する知識と経験を養います。
して活躍することを目指します。
JHCの最大の特徴は、この2年間の「教育研修コース」を
Jリーグは、これまでも「GM講座(2008∼2011年)」を
修 了した後のキャリア デザインにJリーグが自らが取り組む
通じて、Jクラブのスタッフなどを対象とした経営人材の育成に
点にあります。
「教育研修コース」を修了した人材は、将来のプロ
取り組んできました。JHCでは、さらに一歩踏み込んだ人材
スポーツビジネス経営を担うタレントとして養成され、Jリーグ
育成のスタイルとして、プロスポーツの事業者自らが、公開
によるアレンジのもと、実地での就業、活躍に向けた機会が
講座の開催だけに留まらず、人材の将来的な雇用まで見据えた
約束されます。
キャリア デザインを手掛けます。この世界的にみても極めて
Jリーグは2015年、J1、J2、J3合わせて52クラブまで
ユニークな取り組みが、サッカー関係者や一般のビジネスパー
拡大し、さらに多くのJリーグ入会を目指すクラブがあります。
ソンだけでなく、日頃スポーツを支えるパートナーやその他
一方、昨今の関心度や観客数の調査結果が裏付けるとおり、
ステークホルダーの皆さま、かつてJリーグでプレーした選手
Jリーグは1993年の誕生から20年余の時を経て、更なる
をはじめとしたその他トップアスリートOB、OGからも広い
成長のため、産業としての構造や枠組みを大きく見直す転換点
参加を得て活用され、来る2020年の東京オリンピックの成功
に差し掛かっています。私はチェアマンとして、次なる変革に
に直接的に貢献し、
「スポーツでもっと、幸せな国へ」という
向けた 新たな決 断 の 必 要 性を危 機 感をもって感じていると
Jリーグ百年構想を強く推進する仕組みとなることを期待して
同時に、この変革を推し進めるために、我々と共に経営の最前線
います。
でリーダーとして活躍できる人材の育成が急務の課題です。
JHCから輩出された多くの人材が、スポーツの価値を具現化
このたびのJHCの設立は、チェアマン就任時から掲げていた
する存在として大活躍し、成熟したこれからの日本社会の発展
私自身の使命であるとともに、大きな覚悟と決意を持って取り
という使命にJリーグとともに邁進していく光景が、近い将来
組む事業となります。
実現することが今から楽しみでなりません。
Jリーグヒューマンキャピタルへの期待
Jリーグ理事
小宮山 悟氏
プロスポーツといえば野球しか存在せず、その目的も
親会社の宣伝の色が濃かった時代から考えると、この
20年余で「スポーツクラブを経営する」という新たな
観点をもたらし、一つのビジネスとして体系化したJリー
グの功績は非常に大きいと思います。
Jリーグヒューマンキャピタルは、JリーグとJクラブが
作り出した知見の集積であり、スポーツビジネスを志す
Satoru KOMIYAMA
多くの方々にとって有益な事業となるだろうと考えます。
もしも私が学生時代にこのような学問があったら、おそ
らく志望していたのでしょう。
この事業から、将来のスポーツビジネス界を担う頼も
しい人材が続々輩出されることに大きな期待を抱いて
います。
Jリーグ理事
有森 裕子氏
2020年東京オリンピックという大きな目標に向け、今まさ
Yuko ARIMORI
Jリーグヒューマンキャピタル は 、サッカー の みならず
にスポーツ界全体が取り組むべき課題こそ、将来を担うマネ
スポーツ業界全体の人材育成システムに大きな変化を与える
ジメント人材の育成だと感じています。自分たちの愛する
きっかけとなり、また関 係 者にも大きな刺 激を与える取り
ス ポ ー ツ がどうあ るべきか 、どう変えた い かを考え抜き、
組みになるだろうと確信しています。
これまでの価値観や手法にとらわれず、強い意志とリーダー
志の高い、熱意ある多くのビジネスパーソンの皆さまと
シップで 組 織 や 仕 組 みを変えて い ける人 材を育てること
共に、スポーツ界一丸、
「チームJAPAN」で2020年と
こそ、プロ・アマ問わず、日本のスポーツのさらなる発展に
その先の未来を迎えられることを今から楽しみにしています。
向けて重要となるのではないでしょうか。
Jリーグ特任理事
宮本 恒靖氏
現役引退後、私はFIFAマスターというスポーツ学に関する
Tsuneyasu MIYAMOTO
きっと彼ら同様、スポーツに懸ける並々ならぬ熱意とこれか
国際修士課程に進学しました。スポーツを歴史学、経営学、 らのスポーツビジネスをリードしていこうという気構えのある
法学といった多角的な視点から学んだ10ヶ月は、17年間の
人材が数多く集うことでしょう。
選手生活に匹敵するほど刺激的かつ充実した時間でした。
近い将来、Jリーグヒューマンキャピタルが輩出した優秀
卒業から約1年半、同期の仲間は皆、スポーツに関する
な皆様と手を携え、この国のスポーツをさらに熱く盛り上げ
様々なフィールドで活躍しています。プロスポーツクラブの
られることを楽しみにしています。
経営人材の育成を目指すJリーグヒューマンキャピタルにも、
株式会社ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ 代表取締役会長
海野 一幸氏
若年層の人材流出が著しい地方企業において将来を担う
Kazuyuki UMINO
組むプロジェクトであり、人 材 育 成が急 務とされる日本の
経営人材の育成は共通の課題であり、ヴァンフォーレ甲府で
あらゆるスポーツクラブ経営の根幹を担う、重要な取り組み
も地元大学等とのさまざまな人材交流を図る中で、クラブの
であると感じております。
未来を託せる優秀な若者の発掘に力を注いでいます。
このプロジェクトから多くの優秀な人材が巣立ち、サッカー
このたびのJリーグヒューマンキャピタルは、Jリーグと
のみならずスポーツの現場で活躍されることを切に願って
クラブの垣根を超えて、日本の地方経済が抱える課題に取り
います。
株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ 代表取締役/Jリーグ理事
木村 正明氏
今回Jリーグヒューマンキャピタルが目指す人材開発事業は
Masaaki KIMURA
クラブ経営は、日々決断の連続です。Jリーグの誕生から
Jクラブの持続的発展のために、長期的に取り組むべき重要な
今日まで約20年の決断の歴史を経 て 、蓄 積してき た 経 験 、
テーマです。首都圏から離れた地域を本拠とする市民クラブ
ノウ ハウといった知的資産は、本事業のユニークな価値の
では、人材の育成開発について難しい環境であることが多く、
源となることでしょう。
こうした仕組みを通じて人材が産み出されることは、クラブの
スポーツクラブの経営に関わる人材の個性と多様性がさら
環境改善に直接的に大きく寄与すると考えます。
に広がり、近い将来共に成長していけることを期待しています。