平成27年2月県議会 定 例 会 に お け る 観光部長議案説明要旨 今回提出いたしました議案のうち、観光部関係につきまして、その概要を御 説明申し上げます。 観光部関係の平成27年度予算案の総額は、一般会計で9億6,050万1千円で あります。また、国の経済対策に対応するため平成26年度一般会計補正予算案 に2億1,415万7千円を計上しました。 予算案の説明に先立ち、観光を巡る状況について申し上げます。 昨年9月までの1年間の主要旅行業者50社の国内旅行取扱額につきまして は、大雨や台風による天候不順により4月、8月はマイナスとなっております が、その他の月はプラスで推移しております。 平成26年の訪日外国人旅行者数は、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充、ア ジア地域の経済成長に伴う海外旅行需要の拡大、円安の進行による訪日旅行の 割安感などから過去最高の1,341万4千人となりました。 このような中、国においては、昨年6月に「観光立国実現に向けたアクショ ン・プログラム2014-「訪日外国人2000万人時代」に向けて-」を観光立国推 進閣僚会議で決定しました。その中では、2020年に向けて、訪日外国人旅行者 数2000万人の高みを目指し、「2020年オリンピック・パラリンピック」を見据 えた観光振興、インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組、世界に通用する魅力 ある観光地域づくりなど6つを柱に、官民一体となった取組を強力に推進して いくこととしております。 このような中で、県内を訪れる旅行者数や観光消費額は平成24年、25年と2 年連続で増加しており、平成25年の外国人延宿泊者数は過去最高を記録するな -1- ど、長期的な減少傾向から反転の兆しが見えております。しかし、昨年2月の 記録的な大雪、7月の南木曽町の豪雨、9月の御嶽山噴火、11月の長野県神城 断層地震と大きな災害が続いたこと、また、夏から秋にかけての天候不順は、 県内観光に大きな影響を与えました。さらに、昨年の年末から年始にかけて県 内の主要スキー場の利用状況は6.0%減となるなど、県内観光は厳しい状況が 続いています。 長野県観光振興基本計画がスタートし2年目を迎えた今年度は、国内外から 選ばれる長野県を実現できるよう、県、市町村、観光関連団体、事業者、県民 が一体となって取り組んでいくこととし、観光地域づくりやその地域の中核と なり牽引していく人材の育成、山岳高原を活かした世界的に評価される滞在型 観光地づくり、おもてなしの推進、外国人旅行者の戦略的誘致などを進めると ともに、北陸新幹線(長野経由)の金沢延伸や「信州の山」を活かす取組を実 施してまいりました。 また、昨年の度重なる災害に対して、県では、風評被害を防ぐため関係者が 一丸となって正確な情報を発信するとともに、観光産業への影響や懸念を払拭 するため「冬の信州観光 新戦略」を発表し、長野県観光の躍進を図ってまい りました。 さらに、信州ブランド戦略の一環として、信州ファンのすそ野を広げ、継続 的かつ双方向で信州との関わりを持つコアなファンを増やすため、信州の魅力 をまるごと共有(シェア)する信州首都圏総合活動拠点「銀座NAGANO~ しあわせ信州シェアスペース~」を昨年10月にオープンさせました。信州の魅 力をトータルに発信し、様々な人が出合い・つながる場づくりに積極的に取り 組んでまいりました。 -2- 新年度におきましては、今年度から引き続く事業を一つひとつ着実に推進す ることに加え、今年3月14日の北陸新幹線(長野経由)金沢延伸、4月からは 7年に1度の善光寺御開帳、来年1月から放映が始まるNHK大河ドラマ「真 田丸」など大きなイベント等が行われることに合わせ、その誘客効果を県下に 広く波及させるほか、被災地にあっては災害前の賑わいを取り戻せるよう的確 な誘客対策を実施することとし、「選ばれる観光地づくり」、「国内外からの 誘客・交流の促進」、「信州ブランドの確立」の視点から事業化を図りました。 以下、主な施策について、順次御説明申し上げます。 最初に、「選ばれる観光地づくり」について申し上げます。 県内には、豊富なアウトドア・アクティビティがあり、それを目指して多く の旅行者が訪れています。これを観光資源として十分に活かすため、アウトド ア・アクティビティ事業者によるネットワークを構築し、総合的に発信する仕 組みを検討してまいります。トレッキングやサイクリング、カヌーなどで旅行 の移動行程自体を楽しむ新しい旅のスタイル「NAGANOモビリティ(仮称)」に ついては、「絶景の北アルプスルート」と「悠久の千曲川ルート」の二つのモ デルルートで、休憩や観光情報の提供等協力してくれるサポート施設を増やし、 サイクルスタンドや協力店を示す看板の設置を進めるとともに、アウトドア関 係者や市町村から幅広く意見を聞いて魅力あるルートとして確立してまいり ます。 また、世界水準の山岳高原観光地づくりについては、重点支援地域として 指定した3地域の目指す姿を明確にするとともに、それに向けた地域での必 要な取組を具体的に検討するため、引き続き支援をしてまいります。 国内外から選ばれる競争力の高い魅力ある観光地域づくりを促進するため には、観光地としてのマーケティング、旅行商品化、ブランディングなど観光 -3- 地域づくりを牽引する中核人材が中心となり資源を磨き上げ、商品化し販売す る体制の構築が必要です。第2期「信州・観光地域づくりマネジメント塾」の 2年目においては、塾生が地域の観光事業者等の関係者を巻き込み、目指すビ ジョン、戦略等地域の合意形成を図る組織基盤の構築に支援を行うとともに、 そこに滞在したくなるような魅力的なプログラムづくりに対しても支援して まいります。 昨年公表した「旅行者満足度調査結果」によると、県全体の観光地の総合満 足度(「大変満足」「満足」「やや満足」の合計)は94.2%、また、本県への 再来訪の意向も75.6%の方が「1年以内の再来訪を検討する」という良い結果 でしたが、その中でも7段階評価の最上位である「大変満足」は29.0%、再来 訪を「大変そう思う」は20.8%であり、この比率をさらに引き上げることが重 要であります。 そのためには、観光業に携わる人だけでなく、住民一人ひとりが気配りや思 いやりなど相手の気持ちになって行う「おもてなし」で来訪者の満足度を一層 向上させることが必要です。地域のおもてなしをリードする人材育成のため、 引き続き「信州おもてなし未来塾」を開講するとともに、業界別に経営者を対 象としたおもてなし研修会を実施してまいります。また、「ずく出し!知恵出 し!おもてなし宣言」への参加者の一層の拡大を図るとともに、地域が一体と なってきれいなトイレを維持する「信州まごころトイレプロジェクト」を推進 し、来訪者の満足度の向上や再来訪の促進を図ってまいります。 これまで、4年連続で過去最多を更新していた山岳遭難件数は、昨年 272 件と前年を 28 件下回りましたが、依然高い水準で発生しています。遭難者の 約8割が 40 歳以上、死亡・負傷等の重大事故の半数以上が 60 歳代以上の中 高年登山者で占められていることから、中高年遭難者の手記をまとめた啓発 資料の作成や中高年登山者自身が登山に必要な体力を把握するための測定方 -4- 法の普及に取り組んでまいります。 火山対策につきましては、登山者に登る山が活火山であることを認識して もらい、その危険性を告知するため、市町村による登山口への注意喚起看板 の整備に対して支援をしてまいります。 また、 「長野県登山安全条例(仮称)」については、平成 27 年度中の制定に 向け、県の責務や山岳関係者の役割、登山計画書の届出などについて引き続 き検討を進めてまいります。 以上、選ばれる観光地づくりに要する経費として、平成 27 年度当初予算 2億 870 万円、平成 26 年度補正予算 699 万8千円を計上しました。 第二に「国内外からの誘客・交流の促進」について申し上げます。 観光地間の競争が厳しさを増す中、来訪者を拡大していくためには、素材や ターゲットを明確にしたプロモーションに取り組むとともに、信州ファンとの 継続的な交流などにより、新規顧客の獲得や再来訪につなげていくことが必要 です。 北陸新幹線(長野経由)金沢延伸、善光寺御開帳、NHK大河ドラマ「真田 丸」の放映など全国的に長野県への注目が集まる中、「美しさと健康」「山岳 高原」など県内各地域の魅力を発掘・発信する「しあわせ信州観光キャンペー ン」を実施し、周遊・滞在型の観光を推進してまいります。 また、「2015 信州発信事業」においては、ビッグイベントによる誘客効果 を持続させるための取組を行うとともに、昨年の災害による影響で観光客の減 少が懸念される地域については、地元が実施する観光PRへの支援を行うほか、 平成28年に開催が予定されている諏訪大社御柱祭や飯田お練りまつりなどに ついて効果的な情報発信を行い、広く誘客につなげてまいります。 冬のスノーリゾートの振興につきましては、一層のスノースポーツ人口のす -5- そ野の広がりを目指し、子どもたちやその家族を中心に利用者拡大に向けた取 組を進めるとともに、宿泊や長期滞在に結び付けるため、スキー場だけに限ら ない広く地域としてのスノーリゾートの魅力を向上させてまいります。 また、夏季の冷涼な気候や豊富な温泉などに恵まれた環境を活かし、スポー ツ合宿や国内外からの会議等の誘致を進めてまいります。このため、首都圏に 誘致担当推進員を引き続き配置するとともに、旅行会社の招へいや情報発信の 強化を図るほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会時の事前合宿 誘致に向け、関係部局と連携して情報収集や関係団体等との調整を進めてまい ります。 急増する訪日外国人旅行者を県内に積極的に誘致するため、東アジアや成長 著しい東南アジア等の市場を主なターゲットとし、国や近隣の県、広域観光協 議会等とも連携しながら、現地旅行会社や各種メディアの招へい、海外の主要 旅行博への出展など各市場の特性に応じた効果的な誘客活動を強化し、訪日外 国人旅行者の増加を図ってまいります。 新市場からの誘客を強化するため、東南アジアにおいて集中的なプロモーシ ョンを展開します。特にタイにおいては、昨年11月から現地に配置したコーデ ィネーターによる情報発信の強化、商談会の開催等による旅行商品の造成に努 めてまいります。また、成長が見込まれる新興市場であるマレーシアでは初め てとなる長野県観光説明・商談会を開催するとともに、インドネシアにおいて も情報発信を強化し、長野県の認知度の浸透を図り、誘客を促進してまいりま す。 また、急増する海外からの個人旅行者を県内に取り込むためには、旅行者が 本国を出発する前に活用するインターネットによる情報発信の強化が重要で す。そのため、県観光外国語サイト「Go!Nagano」を見直し、訪問の 動機となる画像・映像などの情報を発信するとともに、外国人観光情報推進員 -6- を配置し、外国人の目線で観光素材の魅力を掘り起こし新たな視点で発信する ことにより、個人旅行者へ直接訴求してまいります。 県内を訪れた外国人旅行者が快適に観光を楽しんでいただけるよう、市町村 が策定する「外国人旅行者受入環境整備計画」に基づき、民間の宿泊事業者や 交通事業者が無料公衆無線LANを整備する場合、その経費の一部を支援し、 集中的な整備を図ってまいります。 以上、国内外からの誘客・交流の促進に要する経費として、平成 27 年度当 初予算1億 2,032 万9千円、平成 26 年度補正予算2億 715 万9千円を計上し ました。 第三に「信州ブランドの確立」について申し上げます。 信州の価値を向上させるためには、 「しあわせ信州」というブランドに多く の人々の共感を得ていくことが必要です。 「銀座NAGANO~しあわせ信州シェアスペース~」につきましては、 昨年 10 月 26 日にオープンし約4か月が経過し、多くの方々にお越しいただ いています。1階のショップスペースでは、信州を代表する食材や伝統食、 NAGANO WINE、日本酒、ジビエ、果物など信州の暮らしを感じてい ただける様々な商品を取りそろえています。また、2階のイベントスペース では、オープンキッチンを活用し、信州の健康長寿を育む郷土料理の実演と 試食会をはじめ、御嶽山噴火や長野県神城断層地震の被災地域の復興応援イ ベント、信州ゆかりの芸術家によるアーティスト展などバラエティに富んだ セミナーや体験型イベントを開催しています。4階のコワーキングスペース では、本県の資源を活用するアイデアやネットワークを持った人たちが、長 野県と首都圏を元気にするビジネスを創出する場を提供しています。 今後とも、単なる物産館ではなく、信州のヒト・コト・モノをトータルに -7- 発信し、信州の美しさと健康な暮らしを、首都圏をはじめ、多くの方々と共 有(シェア)してまいります。 昨年4月から信州マーケティング戦略担当部長を設置し、横串の視点で各 部局の行っているマーケティング活動の調整を図り、バイヤーズガイドの作 成や連携した営業活動を行ってまいりました。今後は、銀座NAGANOに バイヤーを招いて商談会を開催するなど、より実効性のあるマーケティング 活動を展開し、県産品の販路拡大を図ってまいります。 以上、信州ブランドの確立に要する経費として、平成27年度当初予算2億 2,384万5千円を計上しました。 繰越明許費につきましては、平成26年度補正予算案として計上いたしました 全額2億1,415万7千円の設定をお願いするものです。 観光部関係の議案につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議の程をお願い申し上げます。 -8-
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