PDF1 - 和歌山県

災害時のこころのケア
支援技術向上研修(1)
~緊急支援を中心に~
和歌山県臨床心理士会 被害者支援担当理事
上 野 和 久
危機支援者の養成プログラム(案)
1、災害・事件後の危機支援活動の在り方
2、ストレス反応とケア/
トラウマ反応(PTSD)とケア
3、スクリーニングテストと実施方法
4、リラクセーション技法
5、カウンセリング
6、遺族ケア
7、支援者のケア
8、災害支援・事件支援の実際
9、・事例検討/事前訓練
スフィアプロジェクト(The Sphere Project)
Project)とは
1997年、NGOグループと赤十字社・赤新月
社運動が集まって作成した人道援助主要分
野全般に関する「緊急援助の最低基準」の
こと。
最低基準とは
・給水、衛生、衛生促進
・食糧の確保と栄養
・シェルター、居留地、ノン・フードアイテム
(衣服・寝具・燃料等 )
・保健活動
人道的支援で配慮すること
・被災者の尊厳ある生活を営む権利
―人の役に立ちたい気持ち
・被災者の援助を受ける権利
社会的支援と社会的配慮
必須保健サービス
・感染症対策
・子どもの保健
・メンタルヘルス
―コミュニティにおける自助
―社会的支援
―心理的応急処置(Psychological First Aid)の提供
・非感染症
DMAT (Disaster Medical Assistance Team)
Team)
「災害急性期に活動できる機動性を持った トレーニングを受けた医療チー
ム」と定義されており(平成13年度厚生科学特別研究「日本における災害時派
遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究」報告書より)医師、看護師、業
務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害
や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活
動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである。
*災害時の指揮命令系統の確立と運営について、DMATでの対応を参考に
した、DPATの本部運営の実際(模擬実践的トレーニング)を体験する
DPAT(
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)
Team)
自然災害や犯罪事件・航空機・列車事故等の集団災害が発生した場合、
被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等
により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大する
。このような災害の場合には、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、
他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメント、専門
性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援が必要である。
このような活動を行うために都道府県及び政令指定都市(以下「都道
府県等」という。)によって組織される、専門的な研修・訓練を受けた
災害派遣精神医療チームがDPAT
災害派遣精神医療チームがDPATである。
DPATである。
災害時のManagement;6R‘s
Right
nformation
(適切な情報)
Right Coordination
and Cooperation
(適切な調整・協力)
Right Time
(適切な時間)
Right Person
(適切な人)
Right Place
(適切な場所)
Right Materials
(適切な機材)
災害時に収集すべき情報
METHANE Report
M Major incident: 大事故災害 「待機」または「宣言」
E Exact location: 正確な発生場所 地図の座標
T Type of incident: 事故・災害の種類
鉄道事故、化学災害、地震など
H Hazard: 危険性 現状と拡大の可能性
A Access: 到着経路 進入方向
N Number of casualties : 負傷者数 重傷度、外傷分類
E Emergency services: 緊急対応すべき機関
―現状と今後必要となる対応
大規模事故・災害への体系的な対応に必要な項目
CSCATTT
C:Command&Control
S:Safety
C:Communication
A:Assessment
T:Triage
T:Treatment
T:Transport
指揮と連携
安全
Medical
情報伝達 Management
評価
トリアージ
治療
搬送
Medical
Support
評価 Assessment
cscA
評価
情報収集
M
E
T
H
A
N
E
「宣言」
正確な場所
災害の種類
危険性
経路
負傷者数
緊急対応機関
M
E
T
H
A
N
E
「宣言」
正確な場所
災害の種類
危険性
経路
負傷者数
緊急対応機関
実施
TTT実施
計画
TTT活動計画の
立案と周知
IASC(Inter Agency Standing Committee ;人道機関
;人道機関
間常任委員会)
間常任委員会)のガイドラインによるこころのケアよ
のガイドラインによるこころのケアよ
り、
IASC(Inter Agency Standing Committee ;人道機関間常任委
員会) のガイドラインによるこころのケアより、広義
のこころのケアは、精神保健(精神科医療と心理療
法・・・協議のこころのケア)と心理社会的支援(
社会的支援と心理的支援)を意味する。なお、心理
療法士は心理療法と社会的支援に対応する。災害時
のストレスケア、精神科医・精神保健福祉士・臨床
心理士が担当エリアとし、心理社会的支援に日本赤
十字社の医療救護班・こころケア要員が担当する。(
日本赤十字社のこころのケア
槙島より改変)
DPAT活動3原則:スリーエス
Support
名脇役であれ
Share
積極的な情報共有
Self-
sufficiency
自己完結型の活動
DPATの構造
発災後72時間以内に
活動開始
先遣隊
病院単位で
組織
<主な機関>
・医療機関の支援
・ニーズアセスメント
必要に応じて、数週間から数ヶ月活動
班
班
精神科医
看護師
業務調整員
その他職員
班
班
都道府県等で
組織
活動内容
地域精神医療機関の
機能の補完
支援者の支援
普及啓発
被災地域の精神
保健医療に関する
ニーズ
避難所、在宅の精神疾患を持つ
被災者への支援
災害のストレスによって新たに生じた精神的
問題を抱える一般住民への対応
活動の記録
情報収集とアセスメント
IASCのガイドラインによるこころのケア
IASCのガイドラインによるこころのケア
広義のこころのケア
精神保健
精神科医療 心理療法
精神科医
心理療法士
専門家のこころのケア
狭義のこころのケア
心理社会的支援
社会的支援
心理的支援
赤十字こころのケア
要員/ボランティア
非専門家のこころのケア
(日本赤十字社のこころのケア
槙島より改変
)
災害時のストレスとこころのケア
災 害 の ストレス
【メンタルヘルス】
メンタルヘルス】
精神科医
精神保健福祉士
臨床心理士
専門
的支援
限局的
一般支援
地域社会
家庭支援
心理的
支援
社会的
支援
基本的支援と安全確保
(衣食住・衛生面)
【心理社会的支援】
心理社会的支援】
医療救護班長
こころのケア要員
一般市民
日赤ボランティア
日赤奉仕団
<時間経過の伴うニーズと支援の変化>
現在
外傷体験のダメージ
災
害
喪失体験のダメージ
避難所生活のストレス&問題
復興住宅生活の
ストレス&問題
避難所生活のストレス&問題
仕事・生活再建・生き方の問題
急性期ケア
救命救急
衣食住確保
安全・安心スト
レス緩和
地域・コミュニティ再建・問題
中期ケア
安心できる環境
ダメージからの回復支援
PTSD予防&ストレス低減
生活上の問題の解決
長期ケア
人生再建への支援
コミュニティ再建の支援
自立支援などの支援