（開発 No.1507） 2015 年 2 月 17 日三菱電機株式会社故障発生回路を特定、健全回路は発電継続で発電量低下を最小限に太陽光発電向けシステム安定性向上技術三菱電機株式会社は、太陽光発電システムにおいて、世界で初めて※1 、DC（直流）回路の接続不良などによる DC アーク※2 の発生回路を早期に特定し、その故障発生回路だけを瞬時に遮断する技術を開発しました。システム全体を停止することなく、故障範囲の特定により早期に復旧できるため、発電量低下を最小限に抑制し、安定した発電に貢献します。 ※1 2015 年 2 月 17 日現在（当社調べ） ※2 直流電流が流れている回路が切り離された際に強い発光を伴って発生する高温の放電（数千℃）開発の特長 1．世界初、DCアークが発生した回路を特定し、発電量低下を最小限に抑制・電流波形の振動に加え電流・電圧の変化を監視することで、世界で初めて※1 DC アークの発生有無だけでなく発生した回路までを特定・高速検出（検出保護時間 0.25 秒以下）し、故障回路を瞬時に遮断することにより故障範囲の拡大を防止・健全回路での発電継続と復旧時間短縮により、発電量低下を最小限に抑制 2．新遮断技術で、DC 回路を瞬時に遮断・磁石による磁気作用の効果を大幅に高めた新遮断技術「ARC SWEEPER®」（アーク・スイーパー）を開発・通電方向に関係なく DC 回路を瞬時に遮断開発の概要アーク対処方法電流検出保護時間検出可能アーク選択遮断性能今回 DC アーク特定保護システム 15～30A 0.25 秒以下直列アーク並列アーク有 DC アーク発生回路を選択遮断可能従来 DC アーク検出 30A 2 秒以下直列アーク並列アーク無報道関係からの〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 3 号お問い合わせ先三菱電機株式会社広報部 1 TEL 03-3218-2359 FAX 03-3218-2431 開発の背景北米では近年、太陽光発電システムにおいて、DC 回路の接続不良などで起こる DC アークによる事故が発生しており、これを受けて、DC アークの有無を検知する検出器の設置が米国で規格化されています。また、国際電気標準会議（IEC）でも DC アークへの対策に関する規格の標準化活動が進められています。かかる中、従来の検出技術では DC アークの発生回路の特定ができず、健全な回路を含めた DC 回路全体を遮断するため、発電量の急激な低下が生じるとともに、復旧に時間を要していました。当社は今回、DC アークを高速かつ正確に検出し、発生回路のみを遮断する技術を開発しました。これにより、太陽光発電システムの安定性の向上に貢献し、将来の IEC 規格への適応も可能になります。特長の詳細 1．世界初、DC アークが発生した回路を特定し、発電量低下を最小限に抑制従来の DC アーク検出技術は、電流波形の高周波成分からアークの発生有無を判別するのみで、DC アークの発生回路の特定までできませんでした。今回開発した DC アーク検出技術は、電流波形の振動に加え電流と電圧の変化を測定することで、電流の測定回路ごとにアークの発生有無を判断できるため、発生回路の特定が可能になりました。また、当社独自の判断アルゴリズムを採用することで検出時間が 0.25 秒以下と高速化され、故障範囲の拡大を防止します。また、従来は DC アーク検出後、パワーコンディショナーを停止するために健全回路を含めた全 DC 回路を遮断していました。そのため発電量が大きく低下し、さらにアーク発生回路を見つけ出す時間を要すなど、復旧に時間がかかるという課題がありました。今回、DC アーク発生回路のみを遮断することで健全回路はそのまま発電を継続できるため、発電量低下を最小限に抑制でき、さらに、回路が特定できているため復旧時間も短縮できます。 2．新遮断技術で、DC 回路を瞬時に遮断 DC 回路は AC（交流）回路と異なり遮断が難しく、磁石による磁気作用で遮断しますが、磁石に極性があるため通電方向の指定があり、さらに、回路の高電圧化に伴う磁石サイズや遮断スペース増大などの課題がありました。新遮断技術の「ARC SWEEPER」は、磁石による磁気作用を大幅に高めることで、小さなスペースで瞬時に高電圧遮断が可能となり、さらに、通電方向の指定もなくすことを実現しました。商標関連「ARC SWEEPER®」は三菱電機株式会社の登録商標です。特許国内 12 件、海外 3 件 11 カ国開発担当研究所三菱電機株式会社先端技術総合研究所〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目 1 番 1 号 FAX 06-6497-7289 http://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_at.html 2