建設発生土の適正処理に関する法律の制定について

建設発生土の適正処理に関する法律の制定について
農林水産大臣 西 川 公 也 様
国土交通大臣 太 田
昭 宏 様
環 境 大 臣
義 夫 様
望 月
建設発生土については、
「資源の有効な利用の促進に関する法律」にお
いて再生資源としての利用の促進に取り組むことが求められているほか、
国の建設リサイクル推進計画等により、発生抑制、現場外への搬出抑制、
建設工事間での有効利用等の取組みが進められているところである。
平成 24 年度建設副産物実態調査(国土交通省)によると、全国の建設
発生土発生量のうち、三分の一程度は、いわゆる残土処分場等の内陸受
入地に搬出され土地の埋立て等に用いられているが、現在、建設発生土
等の土砂の埋立て等の行為の安全確保を主目的とする法令はない状況で
ある。
こうした中、大阪府域では、災害防止のための措置や搬入土砂の管理
が不十分なまま大量に埋立て等される事案が見られ、民間の建設発生土
受入地において土砂崩落事故も発生したことから、平成 26 年 12 月に土
砂の埋立て等による災害防止及び生活環境の保全を図ることを目的とし
て土砂の埋立て等を行う者の義務等を規定した「大阪府土砂埋立て等の
規制に関する条例」を制定したところである。
本条例は、埋立て等の行為の現場において当該行為を適正に実施させ
るための規制を行うものであるが、条例の運用と相まって、建設発生土
の適正な処理を確保していくためには、その発生者側での土砂の発生抑
制や再利用の促進等の取組みも重要であり、こうした取組みは広域的に
対応することが効果的である。
また、本条例では、その実効性を担保するため、不適正な埋立て等を
行った者に対する罰則規定(地方自治法で規定される罰則の上限(2年
以下の懲役・100 万円以下の罰金)を適用)を設けている。
しかし、事前に災害防止の措置等を講じないまま大量の建設発生土の
埋立て等を行い、多額の不当な利益を得る者などが存在することに鑑み、
罰則を強化し、さらに抑止力・感銘力を高めるとともに、人の生命、身
体等を害するおそれがある埋立て等の行為に対して迅速・厳正な規制指
導を実施するための行為地等への立入権限等についても位置づけること
が求められる。
以上のことから、国においては、建設発生土の適正な処理を確保する
ための法律を制定すべきであり、下記のとおり要望する。
記
建設発生土の適正処理については、府県域を超える課題であり、国で
全国統一的なルールを作ることが重要であることから、以下の内容を盛
り込んだ建設発生土の適正処理の確保に関する法律を制定すること。
(1)建設発生土の発生者側の責任を明確にし、発生から搬出、処理に
至る流れを管理する仕組みを設けること。
(2)建設発生土の埋立て等の行為については、許可制とし、国民の生
活の安全・安心を確保できる許可基準を定めること。
(3)不適正な処理を行った者に対する罰則として、地方自治法の上限
規定を上回る内容の規定を設けること。
(4)不適正な処理が行われている行為地について、迅速に行為の停止
や改善を求めるため、強制力の伴う立入調査等の必要な権限に関す
る規定など、法の実効性を担保する規定を設けること。
なお、大規模な開発に伴い発生する建設発生土の有効利用や適切な受
入地の確保等について万全の対策を講じること。
平成27年2月19日
大阪府知事
松井
一郎