ファイル名:10kasugai サイズ:268.02 KB

本校における学校安全に関わる取組や実践について
愛知県立春日井高等特別支援学校
1
学校の概要
本校は、比較的軽度の知的障害の生徒を対象とした高等部単独設置の特別支援学校である。卒業後
の社会自立及び職業自立に向けて、一人一人の能力や特性を伸ばし、挨拶や整理整頓といった基本的
な生活習慣の確立や、他者と円滑にコミュニケーションを取る力、働くための体力づくりなど、より
実践的な教育活動を展開している。
2
学校安全に関する特色ある取組や研究実践
(1) 授業における安全教育
本校は産業科であり、就労に必要な知識、技能、態度を身に付け
るために、木材加工、金属加工、紙加工、縫製加工、窯業、セメン
ト加工の各科目がある工業、農業や流通・サービスの学習が全教科
の半分以上を占めている。どの授業でも事故ゼロを目指した様々な
取組をしている。各工業教室には、
「安全は一人一人の心がけ」
「手
抜きはアウト、手順を守って安全に」といった、生徒が一目見ただ
写真1
作業の様子
(金属加工)
写真2
機械の周囲に引かれた
警戒線(木材加工室)
けで分かるメッセージを掲示し、作業中でも常に安全への意識を高
めていけるように工夫している。また、工作機械の周囲に、危険を
表す黄色と黒色の警戒色で線を引き、作業中はその線より内側には
決して入らないように指導をして、安全への意識を高めている。他
にも、機械には作動中に熱を発するものも多く、機械に触れてやけ
どを起こす可能性がある。そこで革手袋を身に着け、少し温めた鉄
パイプを実際に触る経験を行っている。金属はすぐに熱が伝わり、
簡単に火傷をすることを知ることで、危険の予知、けがの予防に努
めている。本校での工業は「触れる、見る、体験する」を基本に安全教育を進めている。
(2) 交通安全教育
本校では、交通安全の啓発活動として様々な活動を行っている。
本校の生徒は、最寄りのJR勝川駅から学校までの約2kmを徒歩
で通学している。住宅地であることから車の往来も多く、生徒が安
心して登下校できるように、日頃から正しい交通ルールやマナーの
呼びかけをしている。毎月交通事故死ゼロの日には、学校近くの交
写真3
風紀委員による交通
安全の呼びかけ
写真4
交通安全学習
差点で、風紀委員会の生徒と一緒に交通安全の呼びかけをしている。
自転車通学者には、各学期の初めに自転車点検を行い、正しく整備
されているのかを確認している。また、1年次に職業の授業の機械
分野において、自転車の整備を指導している。年度当初の始業式後
には、毎年交通安全教室を行っており、自転車運転中に車との事故
にあったときには、どのように対応すればよいかを、職員の実演を
見て学習している。昨年度からは、本校卒業生が就職しているクミ
化成株式会社の方に協力していただき、「日頃から心がけたい交通ルールについて」の講義と、同
社が開発した自転車シミュレーターを使って自転車の運転を行った。コンピューター画面を見なが
ら自転車を操作することで、ゲーム感覚で学ぶことができる点や運転後の画面を見て振り返ること
で、注意点を視覚的に確認することができるため、生徒の興味・関心が高く活動することができた。
3
学校安全に関する取組
(1) 安全教育について
本校における学校安全の進め方
学校環境の
安全点検の実施
安全管理
見直し、改善
ア
学校における
下校指導等の実施
登下校の
安全管理
防犯学習等の実施
安全管理
報告書の作成、見直し
反省点の見直し
防災学習等の実施
反省点の見直し
学校生活の
安全管理
防災に関する
安全管理
防災訓練
防災訓練は、4月と9月の年2回実施しており、毎回避難が完了するまでの時間を記録し、よ
り素早く避難ができるように改善を進めている。4月は火災時の避難経路の確認と、慌てず行動
することを中心として訓練している。9月は地震時の避難を行い、その後春日井消防署の署員か
らの講話と、起震車やスモーク体験、水消火器を使った消火訓練
を実施している。避難時の心構えをまとめた標語である「お・は・
し・も(おさない、走らない、しゃべらない、戻らない)
」も定着
してきた。また、防災学習時に県民総ぐるみ防災訓練の一つであ
る、シェイクアウト訓練を全校生徒で実施した。
「1、姿勢を低く、
2、頭を守り、3、じっとする」を合言葉に、南海トラフ巨大地
震等に備えた、すぐにできる防災訓練として定着させていきたい
写真5
シェイクアウト訓練
の様子
と考えている。
イ
防犯訓練
防犯訓練は、7月と1月の年2回実施している。7月は「近隣で刃物での傷害事件が発生し、
犯人が逃走中」という設定で、全校生徒が体育館に避難し、校舎を閉鎖した。1月は「授業中に
不審者が教室に侵入する」という設定で職員が不審者役となり、状況に応じて避難する訓練を計
画している。どちらも日時を職員にも伝えず、実施し、訓練の結果を踏まえて改善を進めている。
ウ
交通安全教育
下校指導は、年7回実施している。学校からは勝川駅までの通学路に教員が立ち、下校時の安
全指導と危険箇所などの安全点検を行い、4月と9月には通学方面別に分かれて集団下校を実施
している。その際、教員も各方面に別れて生徒に同行し、経路の安全確認と指導、災害時におけ
る集団下校の方法についての確認を行っている。また、自転車通学生は全生徒162人に対して
28人で、全体の17.3%いるため、自転車通学生すべてに自転車点検簿を作成し、正しく整
備されているかを学期ごとに確認している。
(2) 安全管理について
ア
防災について
本校では学校防災・防犯マニュアルを作成し、緊急時の組織的な対応を設定している。3部か
らなり、Ⅰ部・暴風警報に伴う登下校について、Ⅱ部・地震防災応急計画、大規模地震に伴う対
応について、激甚災害時の初動活動マニュアル、Ⅲ部・不審者の対応について記されており、い
ざというときの行動規範となっている。
日頃からの防災対策として、各室には火元責任者を決め、1か月に1回安全点検を実施し、避
難誘導灯や破損箇所の有無について調べている。生徒については、年度当初に通学経路と非常時
の緊急連絡先の調査を行い、災害時の下校方法や自宅近くの避難場所の確認をしている。
激甚災害時には、近隣の小学校が緊急避難場所に指定されており、本校はその補完施設として
追認避難所に指定され、学校の一部を開放することになっている。災害発生後の混乱の中、周辺
住民が避難してくる可能性が高いため、市と連絡を取り対応していくと同時に、その際の誘導方
法や立ち入り禁止区域の設定など、より具体的な行動についても話し合いを重ねている。
イ
防犯について
本校では、正門生徒用口が登下校時のみ開門しており、それ以外については、正面自動車用門
以外は閉門するようにしている。また、外部からの来校者への対応として、生徒、保護者には学
校で用意している首から下げる名札を着用していただき、業者や卒業生については、事務受付を
通って、入校証を着用することとなっている。また、各教室に防犯ブザーを設置しており、月に
1回の安全点検の際には火元責任者が担当場所の点検を行うのと同時に、ブザーの動作確認を行
っている。職員についても全員が防犯用として日頃から笛を携帯している。
4
家庭との連携について
各種警報等に伴う登下校や緊急を要する不審者情報について、速やかに伝達することができるよう
に、保護者に対して緊急メール配信を行っている。メールが開封されていない保護者や、メールを希
望しない保護者については、電話で連絡している。特に生徒在校時に不審者情報が入った場合は、情
報のあった地域に住む生徒を下校時に集め、注意喚起と集団下校を促している。
本校では、大雨や事故等の影響で、公共交通機関の運行ダイヤが乱れた場合の対応について、生徒
の掌握方法、家庭への連絡等について規定している。また、駅周辺の公衆電話の設置場所を表にまと
め、生徒に伝えている。特にJR中央線が不通になったときには、別の公共交通機関を利用して登下
校する手段を確認している。実際に不通になったときには、緊急メール配信等で不通を伝え、事前に
申請された方法で下校することで大きな混乱はなかった。
5
その他
昨年度は、一般社団法人愛知県建設業協会の方による指導で、
「こ
れだけは知っておきたい“いのち”の守り方、建設業だからできるこ
と」というテーマで防災教室を行った。いざというときに大切な家族
や自分の命を守るために、どう行動すべきか、どういったものを準備
しておくのかなど具体的に説明を受け、その後生徒全員で土のうづく
写真6
土のうづくり体験
写真7
教育キャンペーンの
様子
りの体験を行った。土のうに触れることは、生徒だけでなく職員のほ
とんども初めての経験で、初めはぎこちない手つきで袋に土を詰めて
いたが、徐々にこつをつかみ、一輪車やリアカーを使って手際よく設
置場所まで運ぶことができるようになった。大勢で協力することでで
きる防災活動として、生徒の意識を大きく高めることができた。
また、今年度、県教育委員会主催の「教育キャンペーン」の一環で、
愛知商業高校の生徒と一緒に、金山総合駅で啓発メッセージが添えら
れたポケットティッシュ配りを行った。スマートフォンの安心安全利用を目的とした取組の一環とい
うことで、参加した生徒からも、携帯電話の使い方について考えるきっかけになったという意見が出
された。