中年女性の筋機能にセット間の休息時間を 短くした低強度レジスタンス

ORIGINAL RESEARCH
中年女性の筋機能にセット間の休息時間を
短くした低強度レジスタンスエクササイズ
が及ぼす影響
Yudai Takarada[宝田雄大]、Ishii Naokata[石井直方]ともに東京大
学大学院総合文化研究科、東京都
(EMG)を比較した。OKCエクササイズとクローズド・キネ
ティックチェーン(CKC)エクササイズともにコンディショ
ニングプログラムを計画するうえで有用であるが、しかし双
方から得られる効果を組み合わせたエクササイズは見当たら
ない。ここで被検者には下肢8カ所の皮膚表面に電極を取り
付け、従来型のOKCとMCKCの両方法でアイソメトリック・
我々は、セット間の休息時間を短くすることにより代謝産
ニーエクステンションを行わせた。95%の最大ニーエクステ
物の除去能を低下させた状況下での低強度レジスタンスエク
ンション・エクササイズを実施し、直後に1秒間のEMGを記
ササイズが、筋サイズと筋力に及ぼす影響を検討した。女性
録した。その結果、内側広筋、ハムストリングの内側と外側、
の被検者10名(年齢45.4±9.5歳)に等張性レッグエクステ
そして大殿筋においてMCKCのほうがOKC実施時よりも活発
ンション・マシーンに座った状態での両側のニーエクステン
な筋電図活動が記録された。力発揮についてはどちらも同じ
ション・エクササイズを行わせた。エクササイズセッション
であった。このことから、従来のOKCエクササイズに修正を
は、平均強度が1RMの50%、セット間の休息時間30秒のエ
加えることでCKCエクササイズに近い特徴をもたせることが
クササイズを3セットで構成され、週2回、12週間実施さ
可能であり、リハビリテーションや筋力向上への新たなアプ
せた。筋力と膝伸展筋群および屈筋群の横断面(CSA)が、
ローチにつながるであろう。
それぞれ等速性ダイナモメータとMRIによって測定された。
Reference Data: Bridle, T.J., J. Nyland, K. Ford, A. Coppola, and R.
Shapiro, Electorimyographic comparison of standard and modified
closed-chain isometric knee extension exercises. J. Strength Cond.
Res. 16(1):129-134. 2002.
膝伸展筋群と屈筋群のCSAは、それぞれ7.1±1.6%(p>
0.01、Wilcoxon signed rank test)
、2.5±1.4%(有意差なし)
増加した。等尺性および等張性の筋力は、膝屈筋群において
は有意な変化がみられなかったことを除き、測定された全角
速度において有意に増加した(p<0.01)
。この結果は、セ
ット間の休息時間を短くした低強度レジスタンスエクササイ
ズが、筋肥大を引き起こし、筋力を向上させることに対し明
らかに有効であることを示していると言える。
Reference Data: Takarada, Y., and N. Isii. Effects of low-intensity
resistance exercise with short interset rest period on muscular
function in middle-aged women. J. Strength Cond. Res. 16(1): 123128. 2002.
ORIGINAL RESEARCH
4種類の腹筋運動器具と従来のアブドミナ
ルクランチの運動力学的比較
William A. Sands[ウィリアム・A・サンズ、カリフォルニアルーテル大
学キネシオロジー学科、カリフォルニア州サウザンドオークス]、Jeni R.
McNeal [ジェニ・R・マクニール、イースタンワシントン大学体育・保
健・レクリエーション学科、ワシントン州チェニー]
腹筋運動はテレビやその他の過激とも言える宣伝により、
よくローラーやロッキング動作を伴う器具を用いて行われて
ORIGINAL RESEARCH
標準的クローズドチェーン・ニーエクステ
ンションエクササイズとその変型エクササ
イズにおける筋電図の比較
Timothy J. Brindle[ティモシー・J・ブリンドル]、John Nyland[ジ
ョ ン ・ ナ イ ラ ン ド ]、 Kevin Ford [ ケ ビ ン ・ フ ォ ー ド ]、 Alfonse
Coppola[アルフォンセ・コッポラ]、Robert Shapiro[ロバート・シャ
ピーロ]ともに全員ケンタッキー大学バイオダイナミクス研究室(ケンタッ
キー州レキシントン)
いる。しかし、これらの装置が従来の典型的な腹筋運動より
も優れた結果をもたらす理由については裏づけがない。この
研究では器具(4種類、ローラータイプとピボットタイプ各
2種類)を使用した場合と典型的な腹筋運動の実施とで、ク
ランチに関与する関節の可動域(ROM)を比較検討してみ
た。男性10名(年齢29±5.87歳、身長177.5±6.46cm、体
重80.96±11.72kg)と女性10名(同じく33.4±10.16歳、
162.23±3.83cm、56.99±7.36kg)が実験参加依頼に同意
した。被検者には標準的な運動力学的手法を用いて矢状面か
この研究では、オープン・キネティックチェーン(OKC)
らのビデオ撮影を行った。右の額、頸、肩、腰、膝、足首、
と修正を加えたクローズド・キネティックチェーン(MCKC)
踵と足先に反射マーカーを貼り、胸には胸骨の位置を示す発
のニーエクステンション・エクササイズについて筋電図活動
泡スチロール片を取り付けた。撮影した動作は自動的にデジ
Volume 9, Number 9, 2002
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