資料3 - 農林水産省

資料3
第1回検討会の議論の概要
1
基本的考え方
(背景認識)
・現行戦略を立てたときと今日の違いは、①日本の農林水産物が、海外のマー
ケットを取りに行くという動きが明確になったこと、②インバウンドによっ
て新たな国内の消費が出ていることの2点。これらを意識した、ビジネス活
動とリンクする戦略が必要
・食料産業は知識産業であるとの認識が重要。重要なノウハウが安易に外在化
することに先手を打つこと。ただし、一方的に保護だけではなく、知財をオ
ープンに活用することによって、市場を形成し消費者に価値が提供されるこ
とも重要。すなわち、権利化と秘匿、オープンとクローズの切り分け・組み
合わせ・関係づけという知財マネジメントを考えることが重要
・保護だけではなく活用することによって、市場を形成し消費者に価値が提供
されること、保護と活用の両面で知財を考えることが重要
(戦略の位置付け)
・工業分野の会社では営業秘密の漏洩が起きており、オープン・クローズ戦略
が必ずしもうまくいっていない。農林水産の知財戦略を立てるときに、工業
製品の過ちと同じ失敗をしないことが大事
・戦略には、具体的な方向性の先にあるアクションの明確化が必要
・食べ物は工業製品とは異なることから、戦略が、一部の生産者、事業者が潤
うのではなくて、地域が活性化し、若い農業者が増え、自給率が上がるとい
う望ましい展開につながることを期待
・規模は小さいが日本のブランド価値を高めるもの「農芸品・食芸品」と、産
業規模が大きな「農産業品・食産業品」があるので、それらの知財マネジメ
ントについて何が同じで何が違うかを整理することが必要
2
食料産業のグローバル展開に資する知的財産の保護・活用
(技術)
・海外との競争力では、保護中心の考え方になりがちだが、海外での市場開発
にも知財が極めて活用できる
(ブランド)
・従来、農水分野の知財は「内内」の問題だったが、「内外」や「外内」の問
題も生じている。さらに、模倣品を商標登録のない国でマークを貼り第三国
へ輸出する問題もあれば、日本の事業者が国外で生産等の展開をはじめてい
ることもあるので、それら「外外」が我が国食品産業の課題ではないか
-1-
・海外で模倣されたものがそのまま第三国に流れている「外外」の実態がある
・成長過程のまっただなかにあるアジアでは、模倣品・海賊版が横行している
ために、日本のものが日本のものだと認知され難い状況。これを打開し、個
々のプレーヤー(農業者)が戦いやすい環境を整備するために、国を挙げて
のコンセプトメーキングが必要
・海外では、はじめから本物だけでインフラを構築しようとしても難しいが、
まがいものも含めて市場の裾野を広げることでバリューチェーンの構築が進
む面がある。こうしたことを念頭に置いた戦略が必要
3
食料産業における国際標準への戦略的対応
・国際標準ないしは国際規格を取ると勝てるというのは誤解であって、取って
も勝てない場合がある。取る時に、ビジネスモデル上の有益領域をとれるか
どうか、規格を作った領域でそのまま取れる場合もあるし、そうでない場合
もあることを認識すべき
・国際標準と規格について、追い風もあれば向かい風もある。ヨーロッパはス
タンダード化するのがうまく、気がついたときはそれに縛られている。グロ
ーバリゼーションの中で、日本としてイニシアチブをとっていくというメッ
セージに期待
4
地理的表示保護制度の活用の推進
・地理的表示と地域団体商標の何が同じで何が違うか、どうなった時に相乗効
果が起こり、どうなった時に相殺してしまうかの整理が必要。ビジネスとし
ての運用のガイドラインのようなものがあった方がわかりやすい。また、地
域の中で揉め事が起きないよう、指導・支援が必要
・地理的表示の周知が一番柱になってくるので、その普及活動に重点をおくべ
き
・GIのマークが新しく誕生するのは良いきっかけなので、GIマークの普及と絡
めてブランドについて一緒に考えていくことができるのではないか
5
知的財産の総合的な活用の推進
(技術)
・テクノロジー系の話とクールジャパンの話が分離してしまっており、両者を
組み合わせる展開方法もあるのではないか
・農業関係の人は特許出願をクローズだと思っているようだが、パテントとは
開示されるので、出せば出すほど、敵に塩を送る、教科書を渡すことにもな
りうる。権利化が重要なところ以外は秘匿化していくこと、オープンとクロ
ーズの領域を分けて関連付けることが重要
-2-
・技術はどれだけ守ろうとしてもいずれは流出する。しかし、技術を経営や産
業に結び付け、定着させることは容易ではない。技術を導入し、結果を評価
してカイゼンを進め、PDCAを回していくうちにノウハウを蓄積していく。こ
れが日本型経営の真髄である。蓄積したノウハウは、経営分析に資するコア
な情報であり、守らなければならない
・オープンとクローズの使い分け・組み合わせについて、知っている人は勝て
るが、知らない人は知らないまま。啓発しないと中小企業に浸透しないので、
政策的に啓発することが必要
・ビジネスモデルと知財マネジメントの関係の基本的な指導をするため、指導
員の育成が重要
(ブランド)
・農林水産分野でブランドがどのような位置付けにあるのかが、生産者、流通
業者、消費者に届くような情報の発信、教育、啓発が必要
・ニュージーランドでは、以前はキウイが細かく地域ブランド化されていたが、
世界に出て行くために統一したのが「ゼスプリ」。同様に、日本ブランドと
地域ブランドの使い分けが重要
6
新品種・新技術の開発・保護・普及
・国内外の消費者ニーズにプラスして生産者、販売する者、法的に保護する人
たちの連携が重要
7
種苗産業の共通課題の解消策の総合的な推進
・国際標準と規格について、追い風もあれば向かい風もある。ヨーロッパはス
タンダード化するのがうまく、気がついたときはそれに縛られている。グロ
ーバリゼーションの中で、日本としてイニシアチブをとっていくというメッ
セージに期待【再掲】
8
ICTの活用による農業分野の知的財産のデータ及びその活用の推進
・ノウハウのオープン化は、全体の底上げにはなっても、それを真似して安い
労働力で量産されるリスクもある。匠の技のITは戦略的に運用しないといけ
ないのではないか
・これまでは、篤農家という個人に内部化されていたものを外在化して情報化
し、それを蓄積して解析してサービス系に移行する流れになる。その際、①
篤農家の IT 化の情報の扱いと、②完全閉鎖系の植物工場における情報系の
扱いと、③その中間にある大規模施設園芸の情報系の扱いについて、何が同
じで何が違うかを切り分けしておくことが必要
・篤農家の知恵を取得する方がいるが、一般的に農業関係者は、情報は公共財
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であるという意識が強く、全てオープンが基本という考えがある。そこに啓
発が必要
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普及啓発・人材育成
(マークの信頼、消費者への広報)
・氾濫するマークや表示を含め、消費者が何をどう選べばよいのかがわかるよ
うに、消費者への周知活動を積極的に広報すべき
・マークがたくさんあって混乱する状況のなか、消費者は、信用を求めて食品
を探しており、そこをかなえる戦略をどうするかが、今後の課題
(普及啓発の重点)
・農林水産分野でブランドがどのような位置付けにあるのかが、生産者、流
通業者、消費者に届くような情報の発信、教育、啓発が必要【再掲】
・地理的表示の周知が一番柱になってくるので、その普及活動に重点をおく
べき【再掲】
・オープンとクローズの使い分け・組み合わせについて、知っている人は勝て
るが、知らない人は知らないまま。啓発しないと中小企業に浸透しないので、
政策的に啓発することが必要【再掲】
・ビジネスモデルと知財マネジメントの関係の基本的な指導をするため、指導
員の育成が重要【再掲】
・篤農家の知恵を取得される方がいるが、一般的に農業関係者は、情報は公
共財であるという意識が強く、全てオープンが基本という考えがある。そ
こに啓発が必要【再掲】
10
研究開発における知的財産の取扱い
・経産省、文科省、NEDO、JSTでは、研究成果の全てをオープンにしなくても
いいスタイルになっており、農林水産省もそちらの方向に動かないといけな
い。研究開発側の知財の取り扱いは、次の段階に入らなければならないので
はないか
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