平成27年1月改訂 - 広島市ホームページ

広島市橋梁維持管理実施計画の概要(平成27年1月改訂)
1.背景・目的
本市が管理する道路橋は、2,820 橋(平成 27 年 1 月現在)あります。このうち橋長 15m以上は 670 橋
あり、この架設年代別分布を見ると、高度経済成長期を含む 1960 年代から 1980 年代に集中して建設され
ています。
(図-1)
このため、今後、急速に橋の高齢化が進み(図-2)
、これまでどおりの損傷が顕在化してからの対策
では大規模な補修や架替が一時期に集中し、多額の事業費が必要になり、適切な維持管理ができなくな
ることから、ライフサイクルコストの縮減と事業費の平準化を目的に、平成21年3月に「広島市橋梁
維持管理実施計画」を策定し、同計画に基づき定期点検を実施するとともに、重要橋(被爆橋、跨線橋・
跨道橋、橋長15m以上の橋)である690橋については同計画の中の長寿命化修繕計画に基づき、平
成25年度までに集中的に補修等の対策を行うなど、橋梁の長寿命化に取り組んできました。
その後、同計画に基づく定期点検を実施した結果、長寿命化修繕計画において、新たに対策が必要とな
る橋が判明したことに加え、対策が計画どおりに進んでいないことや、このたび、道路の維持・修繕に関
する省令等の施行により国が定めた統一的な基準として義務化された内容を盛り込むなど、本市の橋梁点
検マニュアルの改訂をしたことから、同計画の見直しを行うものです。
66%
【健全度Ⅳ】
180
160
架
設
年
代
別
橋
数
】
140
120
100
80
60
40
20
橋脚の亀裂
0
床版の鉄筋露出
1910年代 1920年代 1930年代 1940年代 1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代
図-1
橋の架設年代別の分布(橋長15m以上)
【健全度Ⅲ】
※架設年次を調査中のものを除く
現在
10年後
50 年以上
14%
50 年未満
86%
50 年以上
37%
50 年未満
63%
】
20年後
50 年未満
40%
50 年以上
60%
主桁の腐食
図-2 建設後50年以上経過した橋の割合(橋長15m以上)
写真-1
橋台のひび割れ
橋の損傷状況
2.長寿命化への取組
(1)維持管理の基本方針
効率的、効果的な管理を行うため、『予防保全型』と『対症療法型』に区分して管理します
本市が管理している橋は、橋長2m程度のものから100mを超えるものまであり、架替に伴う交通規
制や事業費など、社会的・財政的な影響が大きい橋や小さい橋など様々あるため、予防保全型と対症療法
型に区分して管理します。
表-1 管理区分と管理方針
管理区分
■重要橋(692橋)
被爆橋(6 橋)、跨線橋・跨道橋(109
橋)、橋長15m以上の橋(577 橋)
■小規模橋(2,128橋)
上記以外の橋長15m未満の橋
合計 2,820橋
管理方針
■予防保全型管理
橋に発生する損傷や劣化を近接目視による5年に1回の
定期点検などで把握し、適切な対策を効率的・効果的に行う
ことにより長寿命化を図る。
■対症療法型管理
橋に発生する損傷や劣化を近接目視による5年に 1 回の
定期点検などで把握し、必要に応じて対策を行い安全性の確
保を図る。
(2)長寿命化の実現に向けての取組
橋の長寿命化を実現するために3つの取組を推進し、橋のマネジメントサイクルを確立します。
(図-3)
【取組1】定期的な橋の損傷の程度の把握
【取組1】
○ 橋の損傷の有無や進行状況を把握、対策の効果を確認す
るため「広島市橋梁点検マニュアル(平成 27 年 1 月改訂)」
に基づき点検を実施し、その結果を4つの健全度に区分します。
点検
【取組2】長寿命化修繕計画の策定等
○ 重要橋については、修繕を行う優先順位等を定めた長寿命化
修繕計画を策定します。また、この計画は定期点検の結果など
データ
に基づき、必要に応じて見直します。
ベース
【取組3】修繕の実施
○ 長寿命化修繕計画に基づき、損傷の程度や規模などに応じ
長寿命化
た適切な対策を計画的に行うことにより、橋の長寿命化を実
修繕の実施
修繕計画
現します。また、小規模橋については、点検結果に基づき対
症療法型管理により必要に応じて対策を実施します。
【取組3】
3.長寿命化修繕計画
【取組2】
図-3 橋のマネジメントサイクル
(1)修繕計画の策定方針
○ 長寿命化修繕計画は、被爆橋、跨線橋・跨道橋、橋長 15m以上の橋の計692橋を対象とします。
○
○
広島市橋梁点検マニュアルの改訂に伴い、対策の区分をこれまでの損傷度から健全度に置き換えます。
平成21年度から平成25年度までに対策を実施することとしていた63橋のうち、平成25年度末
までに対策が完了したのは40橋で、計画どおりに進みませんでした。
○ 平成26年度から平成30年度までに、平成25年度末までに対策が完了していない23橋に加え、
平成21年度から実施してきた定期点検において、新たに対策が必要となる橋として判明した41橋を
加えた64橋について、集中的に補修等の対策を実施します。
○ 健全度Ⅱの橋については、新たな橋梁点検マニュアルに基づき実施する定期点検の結果や財政状況を
踏まえ、平成31年度以降、予防保全を実施します。
○ 同計画は、平成26年度から平成30年度までに順次実施する定期点検の結果に基づき、適宜見直し
を行います。
表-2 長寿命化修繕計画
計画対象橋の健全度
対策の進め方
第Ⅱ期
第Ⅰ期
平成21年度~平成25年度
道路橋の機能維持に支障が生じている、又は生じ
る可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき橋
40橋の対策完了
(新・健全度Ⅳ)
(旧・損傷度4)
【3橋】
道路橋の機能維持に支障が生じる可能性があり、
早期に措置を講ずべき橋
(新・健全度Ⅲ)
(旧・損傷度3)
【101橋】
道路橋の機能維持に支障が生じていないが、予防
保全の観点から措置を講ずることが望ましい橋
(新・健全度Ⅱ)
(旧・損傷度2)
【372橋】
道路橋の機能に支障が生じていない橋
(新・健全度Ⅰ)
(旧・損傷度1)
【216橋】
(2)長寿命化による効果
長寿命化対象の692橋について、対症療法型管理に
よる架替を実施した場合と予防保全型管理による修繕
を実施した場合を比較すると、2009 年から 2058 年まで
の50年間、対症療法型管理による架替を実施した場合
の概算事業費約928億円に対して、予防保全型管理に
第Ⅲ期
平成26年度~平成30年度
平成31年度~
64橋の対策
平成30年度までの5ヵ年での
対策完了を目標に進める。
コスト縮減額
約430億円
(億円)
300
1,000
約928億円
修繕(実績)
250
概
算 200
事
業
費 150
256
247
修繕(計画)
226
架替
700
架替(累計)
約498億円
153
112
113
400
300
49 47
200
績を含め約498億円となり、約430億円(約46%
減)のコスト縮減が見込まれます。
(図-4)
600
500
112
100
50
900
800
修繕(累計)
113
よる修繕を実施した場合の概算事業費は、これまでの実
(億円)
100
0
0
2 009 ~ 2018
2 019 ~ 2028
2 029 ~ 2038
2 039 ~ 2048
2 049 ~ 2058
図-4 架替と修繕との事業費比較
概
算
事
業
費
(
累
計
)