レボフロキサシン水和物 クラビット 細粒 10%

レボフロキサシン水和物
クラビット®細粒 10%
2.5 臨床に関する概括評価
第一三共株式会社
2.5 臨床に関する概括評価
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クラビット 細粒 10%
目 次
2.5 臨床に関する概括評価........................................................................................................ 1
1. 製品開発の根拠................................................................................................................................ 1
2. 生物薬剤学に関する概括評価........................................................................................................ 2
3. 臨床薬理に関する概括評価............................................................................................................ 3
4. 有効性の概括評価............................................................................................................................ 4
5. 安全性の概括評価............................................................................................................................ 5
6. ベネフィットとリスクに関する結論............................................................................................ 7
7. 参考文献............................................................................................................................................ 8
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2.5 臨床に関する概括評価
クラビット 細粒 10%
略号一覧
略号
名称
PK / PD
Pharmacokinetics / Pharmacodynamics
用語の説明
用語
説明
10%細粒
1 g 中にレボフロキサシンとして 100 mg を含有する細粒。本申請品目の呼称
として主に臨床に関する箇所で用いている。なお、品質に関する箇所では、
主に新細粒の呼称を用いている。販売名として「クラビット細粒 10%」を予
定している。
現行細粒
1 g 中にレボフロキサシン水和物として 100 mg(無水物として 97.6 mg)を含
有する細粒。販売名「クラビット細粒」として本申請時、市販されている細
粒である。
化合物一覧
略名(略号)
化学名
レボフロキサシン
(−)-(S)-9-Fluoro-2,3-dihydro-
(LVFX)
構造式
O
F
3-methyl-10-(4-methyl1-piperazinyl)-7-oxo-7Hpyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine6-carboxylic acid
ii
COOH
N
H3C
N
N
O
H
CH3
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2.5 臨床に関する概括評価
1. 製品開発の根拠
レボフロキサシンは、第一製薬株式会社(現 第一三共株式会社)において創製さ
れたキノロン系抗菌薬である。日本ではクラビット錠およびクラビット細粒の販売名
で製造承認され、医療現場で広く使用されており、その承認用法・用量は、レボフロ
キサシン水和物として 1 回 100 mg、1 日 2∼3 回投与で、重症または効果不十分と思
われる場合には 1 回 200 mg、1 日 3 回まで増量が可能である。一方、海外では 2008
年 3 月までに 123 の国と地域で承認されており、用法・用量はレボフロキサシンを無
水物として 500 mg 1 日 1 回投与が中心である。
抗菌薬の広汎な使用に伴い各種薬剤耐性菌が出現し、抗菌薬の選択肢が狭まりつつ
ある。したがって、治療効果の向上と耐性化抑制に関する Pharmacokinetics /
Pharmacodynamics(PK / PD)理論に基づき、レボフロキサシンについては、より高
用量での治療が望ましいと考え、国内におけるレボフロキサシンの用法・用量の変更
および 250 mg 錠および 500 mg 錠の剤型追加を目的とした製造販売承認申請を 2007
年 11 月に行った。
レボフロキサシンは呼吸器感染症、尿路感染症をはじめとする各種領域感染症に対
して有効である。日本における 2004 年の抗菌薬感受性調査では、レボフロキサシン
は肺炎球菌(ペニシリン耐性、マクロライド耐性を含む)
、インフルエンザ菌など呼
吸器感染症の主要原因菌に対して強い抗菌力を保持しており 1)、呼吸器感染症の治療
における有効な抗菌薬として位置付けられている。また、日本では嚥下機能が低下し
た患者や、易服用性などの医療ニーズに対応するため、販売当初よりクラビット細粒
を供給してきた。2007 年 4 月から 2008 年 3 月までのクラビット細粒の推定処方件数
は 27 万人に達し、現在でも医療ニーズが高い。
現在、国内で販売しているクラビット細粒は、1 g 中にレボフロキサシン水和物と
して 100 mg(無水物として 97.6 mg)を含有する製剤である。今回、レボフロキサシ
ンの用法・用量の変更に伴い、秤量時換算を考慮し、1 g 中に無水物として 100 mg
含有する 10%細粒に変更することが必要と考えた。そこで、レボフロキサシンの
500 mg 錠 1 錠と 10%細粒 5 g について「剤型が異なる製剤の追加のための生物学的
同等性試験ガイドライン(平成 13 年 5 月 31 日付 医薬審発第 783 号)」および「後
発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン(平成 18 年 11 月 24 日付 薬食審査発
第 1124004 号)
」に準じて生物学的同等性試験を実施した。この結果、レボフロキサ
シン 500 mg 錠 1 錠と 10%細粒 5g の生物学的同等性が確認されたため、製造販売承
認申請を行うこととした。
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2. 生物薬剤学に関する概括評価
2.1 製剤の概要
日本の市販予定製剤は、1 錠中にレボフロキサシンを 250 mg または 500 mg 含有す
る製剤、1 g 中にレボフロキサシンを 100 mg を含有する 10%細粒の 3 製剤であり、
錠剤については 2007 年 11 月に製造販売承認申請を行った。
日本で行った第 I 相試験では第 I 相臨床試験製剤 250 mg 錠および 500 mg 錠、日本
で行った第 III 相試験および腎機能低下者を対象とした薬物動態試験では第 III 相臨床
試験製剤 500 mg 錠を用いた。また、中国で行った第 I 相試験、第 III 相試験では中国
市販製剤 100 mg 錠および 500 mg 錠を用いた。
250 mg 錠および 500 mg 錠の生物学的同等性試験、10%細粒および 500 mg 錠の生
物学的同等性試験では第 III 相臨床試験製剤を用いて検討した(表 2.7.1.1-2 参照)
。
なお、日本の市販予定製剤は、第 III 相臨床試験製剤と同一処方、同一製法で製造
し、錠剤には割線を付与したものである。
2.2 第 III 相臨床試験製剤 500 mg 錠と 10%細粒の生物学的同等性試験
第 III 相臨床試験製剤 500 mg 錠と 10%細粒 5 g について、
「剤型が異なる製剤の追
加のための生物学的同等性試験ガイドライン(平成 13 年 5 月 31 日付 医薬審発第
783 号)
」および「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン(平成 18 年 11 月
24 日付 薬食審査発第 1124004 号)
」に準じて生物学的同等性試験を実施し、両製剤
が生物学的に同等であることを確認した(2.7.1.2.1 参照)
。
以上より、本申請資料および錠剤申請資料(2007 年申請)中の臨床試験成績は市
販予定製剤に適用できるものと考える。
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3. 臨床薬理に関する概括評価
臨床薬理に関する概括評価は、錠剤申請資料(2007 年申請)に記載した。
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4. 有効性の概括評価
有効性の概括評価は、錠剤申請資料(2007 年申請)に記載した。
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5. 安全性の概括評価
5.1 安全性評価の概観
5.1.1 安全性評価対象試験および評価対象被験者
10%細粒では感染症被験者を対象とした試験は行っていない。なお、500 mg 1 日 1
回投与の感染症被験者における安全性評価については、感染症被験者を対象とした錠
剤の臨床試験の併合解析の結果を錠剤申請資料(2007 年申請)に記載した。
10%細粒の臨床試験としては、健康成人男性を対象とした 500 mg 錠との生物学的
同等性試験(日本細粒 BE 試験)を実施した(2.7.6.1 参照)。また、500 mg 1 日 1 回
投与の非感染症被験者における安全性評価として、本試験と非感染症被験者を対象と
した錠剤の 4 試験(日本錠剤間 BE 試験、日本第 I 相試験、日本腎機能 PK 試験、中
国第 I 相試験)の併合解析を実施した(表 2.7.4.1.1-1 参照)
。
また、日本で実施したレボフロキサシン注射剤の試験と米国で実施した試験ならび
に米国と欧州の承認申請資料を参考資料とした。参考資料の安全性評価については、
錠剤申請資料(2007 年申請)に記載した。
他のキノロン系抗菌薬に特徴的な副作用の評価、特別な患者集団および状況下にお
ける安全性評価などは、錠剤申請資料(2007 年申請)に記載した。
5.2 被験者集団の特徴および曝露の程度
非感染症被験者の評価対象は 206 名であった。1 日投与量は 500 mg が最も多かっ
た。投与期間は 1∼2 日間投与が 86.9%(179/206)で最も多く、8 日間以上投与され
た被験者はいなかった(付表 2.7.4-2 参照)
。
非感染症被験者 206 名では男性が 99.0%(204 名)
、女性が 1.0%(2 名)であった。
年齢の内訳は 65 歳未満が 88.8%(183 名)、65 歳以上 75 歳未満が 9.2%(19 名)
、75
歳以上 80 歳未満が 1.0%(2 名)
、80 歳以上が 1.0%(2 名)であった(付表 2.7.4-3 参
照)
。
日本細粒 BE 試験の安全性解析対象集団 52 名のうち、2 名が中止し、第 2 期に移行
せずに細粒を服用しなかったため、錠剤を投与したのは 52 名、細粒を投与したのは
50 名であった。
細粒を投与した 50 名は 10%細粒 5 g(レボフロキサシンとして 500 mg)
を 1 日 1 回投与した。日本細粒 BE 試験の被験者はすべて男性、65 歳未満であった。
5.3 比較的よくみられる有害事象・副作用
非感染症被験者 206 名のうち、錠剤を投与した 206 名において、8.3%(17 名)が
有害事象を発現した。細粒を投与した 50 名では、細粒投与後に認められた有害事象
はなかった。
なお、有害事象・副作用は、ICH 国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J)Ver.10.0
の器官別大分類および基本語で記述した。
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5.3.1 比較的よくみられる有害事象
非感染症被験者 206 名において、8.3%(17 名)が有害事象を発現した。比較的よ
くみられる(発現率 1%以上)有害事象として、単純ヘルペス、下痢と白血球数増加
が 1.0%(2 名)で認められた(付表 2.7.4-4 参照)
。
5.3.2 比較的よくみられる副作用
非感染症被験者 206 名において、1.9%(4 名)が副作用を発現した。発現率 1%以
上で認められた副作用はなかった。なお、発現した副作用の内訳は、下痢、悪心、四
肢痛、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加とアスパラギン酸アミノトランスフ
ェラーゼ増加がそれぞれ 0.5%(1 名)であった(付表 2.7.4-5 参照)
。
5.3.3 器官大分類別の比較的よくみられる有害事象
非感染症被験者 206 名において、器官別大分類ごとの比較的よくみられる(発現率
1%以上)有害事象として、
「臨床検査」が 3.9%(8 名)
、
「胃腸障害」が 2.4%(5 名)
、
「感染症および寄生虫症」が 1.9%(4 名)で認められた(付表 2.7.4-4 参照)
。
5.3.4 器官大分類別の比較的よくみられる副作用
非感染症被験者 206 名において、器官別大分類ごとの比較的よくみられる(発現率
1%以上)副作用として、
「胃腸障害」が 1.0%(2 名)で認められた(付表 2.7.4-5 参
照)
。
5.4 重篤あるいは重要な有害事象
5.4.1 死亡例
非感染症被験者 206 名では、治験薬投与中に死亡した被験者は認められなかった。
5.4.2 その他の重篤な有害事象
非感染症被験者 206 名では、重篤な有害事象は認められなかった。
5.4.3 他の重要な有害事象
重篤なものを除いた有害事象のうち「重度と判定された有害事象」および「中止に
至った有害事象」を重要な有害事象とした。なお、中止に至った有害事象とは、非感
染症被験者を対象とした試験では、治験の中止に至った有害事象とした。
非感染症被験者 206 名では、重度の有害事象は認められなかった。
非感染症被験者 206 名では、中止に至った有害事象が 1.0%(2 名)で認められた。
内訳は、日本細粒 BE 試験で認められた白血球数増加が 1.0%(2 名)であり、発現の
タイミングより 2 名とも因果関係は否定された。
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6. ベネフィットとリスクに関する結論
用法・用量の変更にともなう原因菌の耐性化の抑制や安全性に与える影響、有効性、
安全性の観点からのベネフィットとリスクについては、錠剤申請資料(2007 年申請)
に記載した。以下に、クラビット 10%細粒の位置付けについて記載する。
日本で販売しているクラビット細粒は、嚥下機能が低下した患者などの医療ニーズ
に対応するため販売当初より用意されている製剤である。2007 年 4 月から 2008 年 3
月までの推定処方件数は 27 万人に達しており、現在でも医療ニーズが高い。また、
細粒を上市しているキノロン系抗菌薬は、シプロフロキサシンが 2002 年 11 月に販売
中止したため、現時点ではレボフロキサシンと 2008 年 6 月に販売開始したシタフロ
キサシンの 2 剤のみである。
以上より、クラビット錠 250 mg、500 mg に加えて 10%細粒を市場に供給すること
により、高齢者など嚥下機能が低下した患者のコンプライアンス向上や、腎機能が低
下した患者に対する用量調節の容易性を保持できると判断した。
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2.5 臨床に関する概括評価
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クラビット 細粒 10%
7. 参考文献
1) 山口惠三,大野章,石井良和,館田一博,岩田守弘,レボフロキサシン-サーベイラ
ンスグループ. 2004 年に全国 77 施設から分離された臨床分離株 18,639 株の各種抗菌
薬に対する感受性サーベイランス. Jpn J Antibiot. 2006; 59: 428-51
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