薬剤耐性菌について薬剤耐性菌って？細菌の発育を抑えたり殺したりする薬剤抗菌薬が効く菌＝抗菌薬薬剤耐性菌とは，抗菌薬(細菌の発育を抑えたり殺したりする薬剤)が効かない細菌のことです。薬剤耐性菌には，もともと特定の抗菌薬に抵抗性がある細菌や，はじめは抗菌薬が効いていたにも関わらず，遺伝子に突然変異が起こったり，他の薬剤耐性菌からその能力が移ったりすることで，抗菌薬への抵抗性を持つようになった細菌などがいます。抗菌薬が効かない菌＝薬剤耐性菌薬剤耐性菌で問題となっていること ◆菌交代症 … 抗菌薬による治療で病原菌を排除した後で，その抗菌薬に耐性を持っていた別の細菌が増殖し，新たな疾病を起こすことを菌交代症といいます。特に，免疫力が低下している状態で起こりやすくなります。主な原因菌は緑膿菌やセラチアなどで，カンジダやアスペルギルスなどの真菌（カビ）も原因となります。 ◆院内感染 … 院内感染とは，患者が病院の中で感染症に感染してしまうことです。病院では治療のために抗菌薬をたくさん使用するので，薬剤耐性菌が増加したり排除できずに蔓延してしまうことがあり，近年，薬剤耐性菌による院内感染が問題となっています。薬剤耐性菌の院内感染対策 ◆国の取り組み発生状況を把握国内の病院では注意すべき薬剤耐性菌がどれくらい分離されているか？？厚生労働省の感染症発生動向調査により，院内感染で問題となる様々な薬剤耐性菌の発生状況が報告されています。 ◎院内感染で問題となる薬剤耐性菌メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) 薬剤耐性緑膿菌(MDRP)，ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP) 薬剤耐性アシネトバクター(MDRA) カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA) バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) ◆茨城県衛生研究所の取り組み国立感染症研究所情報届出情報茨城県・保健予防課保健所情報調査薬剤耐性菌による院内感染の発生!? 厚生労働省検査依頼・情報検査検査結果・情報茨城県衛生研究所茨城県衛生研究所では，保健所の依頼に応じ，病院で発生した薬剤耐性菌についての分子疫学解析（細菌の遺伝子を調べてそれぞれの関連性を解析する検査）を実施することがあります。発行：茨城県衛生研究所企画情報部住所：茨城県水戸市笠原町笠原町993-2 2015年1月担当：細菌部茨城県 Email: [email protected] TEL. 029-241-6652(代)