2015 年 2 月 10 日 『 』 第一生命保険株式会社(社長 渡邉 光一郎)のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所 (社長 矢島 良司)では、全国の 60~79 歳の男女 600 名に、標記についてのアンケート調 査を実施し、この程その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。 本リリースは、ホームページ(URL:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/ldn_index. html)にも掲載しています。 ≪調査結果のポイント≫ 夫は頼りにならない (P.2) ●男性の大多数は、「妻は頼りになる」が、夫を頼りにする女性は少ない。 夫婦の信頼関係 (P.3) ●男性は妻を信頼しているし、理解されていると思っているが、「理解されていない」と感じる女性は 少なくない。 離婚を考えたことがあるか (P.4) ●男性の6割が離婚を考えたことがないが、女性で考えたことがないのは3割にとどまる。 配偶者と離死別したら(P.5) ●妻と離死別したら、新しいパートナーが欲しい男性 41.5%。 <お問い合わせ先> ㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 研究開発室 広報担当(津田・新井) TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 【URL】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi ≪調査実施の背景≫ 65 歳以上の住まい方がこの 30 年で大きく変化しています。主流が三世代同居から夫婦の み世帯へと移行し、晩年は子どもと別居する高齢者の姿が一般化されつつあります。寿命 の伸長で、夫婦二人だけで暮らす期間が長くなるなか、高齢者の夫婦関係の実態を把握す るために、有配偶高齢者を対象に意識調査を実施しました。 ≪調査概要≫ <調査時期> 2014 年 11 月 11 日~11 月 30 日 <調査方法> 郵送調査法 <調査対象者> 60 歳以上 79 歳以下の全国の男女 600 名(第一生命経済研究所生活調査モ ニターより抽出) <有効回収数> 552 名(有効回収率 92.0%) (単位:人) 男性 女性 60代 134 146 70代 138 134 1 合計 272 280 夫は頼りにならない 男性の大多数は、「妻は頼りになる」が、夫を頼りにする女性は少ない 図表1 配偶者は頼りになるか(全体、性別) 寝たきりになったり、体 の自由がきかなくなった 病気などで、一時的に寝 込んだ場合 場合 0% 20% 全体 40% 60% 49.0 80% 31.1 100% 14.4 5.5 3.0 男性 女性 71.5 26.4 全体 38.9 40.0 男性 女性 23.6 34.6 58.5 21.5 頼りになる 25.6 17.6 32.7 36.6 まあ頼りになる 29.1 あまり頼りにならない 1.9 9.1 7.8 6.1 2.7 12.8 頼りにならない 病気などで一時的に寝込んだとき、あるいは寝たきりになったり、体の自由が利かなく なったりした場合、配偶者はどの程度頼りになるかをたずねたところ、病気などで一時的 に寝込んだときに「頼りになる」と回答した人は全体では 49.0%と半数程度いました。し かし性別では、男性では 71.5%であったのに対し、女性では 26.4%と、男女で大きな差が あります。 「あまり頼りにならない」 「頼りにならない」と回答した女性は合わせると 34.7% にものぼります。 また、寝たきりになったり、体の自由がきかなくなったりした場合、配偶者が「頼りに なる」と回答した人は 40.0%おり、一時的に寝込んだ場合に比べると、頼りになると回答 した人の割合は若干少なくなります。性別にみると、男性では「頼りになる」と回答した 人は 58.5%と過半数を占めたが、女性では 21.5%しかおらず、夫を頼りになると考える女 性はとても少ないようです。 2 夫婦の信頼関係 男性は妻を信頼しているし、理解されていると思っているが、 「理解されていない」と感じる女性は少なくない 図表2 配偶者を信頼しているか(全体、性別) 0% 20% 全体 40% 60% 53.8 80% 100% 35.2 8.3 2.7 3.1 男性 68.4 女性 28.5 39.2 信頼している 41.9 まあ信頼している - 13.6 あまり信頼していない 5.3 信頼していない 図表3 配偶者はあなたのことを理解しているか(全体、性別) 0% 20% 全体 40% 60% 35.3 80% 45.0 100% 14.2 5.5 6.1 男性 女性 50.2 20.4 そう思う 42.6 47.5 まあそう思う 1.1 22.3 あまりそう思わない 9.8 そう思わない 配偶者を信頼しているかたずねたところ、 「信頼している」と回答した人は男性では 68.4%いましたが、女性では 39.2%しかおらず、30 ポイント近い開きがあります(図 表2) 。女性では、 「あまり信頼していない」(13.6%)、「信頼していない」 (5.3%)を 合わせると 18.9%が夫を信頼していません。 配偶者から理解されているかという設問では、男性では「そう思う」と回答した人 は過半数の 50.2%、 「まあそう思う」 (42.6%)を合わせると 92.8%が理解されている と感じているのに対し、女性では「そう思う」は 20.4%にとどまり、 「あまりそう思わ ない(22.3%) 、 「そう思わない」 (9.8%)を合わせると 32.1%の女性は夫から理解さ れていないと感じていました(図表3) 。 3 離婚を考えたことがあるか 男性の6割が離婚を考えたことがないが、 女性で考えたことがないのは3割にとどまる。 図表4 現在の配偶者と離婚したいと思ったことがあるか(全体、性別) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 3.5 全 体 14.2 37.6 44.7 1.5 男 性 10.9 27.2 60.4 5.5 女 性 17.3 47.8 29.4 よく考える たまに考えることがある かつては考えたことがあったが、最近は考えない 考えたことはない 現在の配偶者と離婚したいと考えたことがあるかたずねたところ、男性では 60.4%が「考 えたことはない」と回答しましたが、女性では 29.4%にとどまり、7割以上の女性が離婚を 考えたことがあるという結果になりました。女性では、 「よく考える」 (5.5%)、 「たまに考え る」 (17.3%)を合わせると、60 歳を過ぎた現在でも 22.8%が離婚したいと考えることがあ るようです。 4 配偶者と離死別したら 妻と離死別したら、新しいパートナーが欲しい男性 41.5%。 図表5 今後、配偶者と離死別したら、新しいパートナーを見つけたいか(全体、性別) 0% 20% 全体 60% 28.3 男性 女性 40% 80% 100% 66.4 41.5 50.7 15.5 5.3 7.8 81.6 2.9 自分がその立場になった場合、新しいパートナーがいたらいいなと思う 当人が幸せならよいが、自分がその立場になった場合、新しいパートナーを 見つけたいとは思わない 中高年になって異性と付き合うのは、世間体がよくないと思う 配偶者と離死別し、ひとり暮らしになった中高年のなかには、入籍するかどうかは別 にして、新しいパートナーを見つけたいと考える人が増えていますが、こうした傾向に ついてどう思うかをたずねたところ、「中高年になって異性と付き合うのは、世間体が よくないと思う」と回答した人は5.3%しかおらず、シニアの再婚について忌避観を持 つ人は少ないという結果になりました。 なかでも男性では41.5%がパートナーを見つけたいと考えており、「当人が幸せなら よいが、自分がその立場になった場合、新しいパートナーを見つけたいとは思わない」 人(50.7%)とほぼ二分されました。一方、女性では「自分がその立場になった場合、 新しいパートナーがいたらいいなと思う」人は15.5%にとどまり、81.6%と大多数が「当 人が幸せならよいが、自分がその立場になった場合、新しいパートナーを見つけたいと は思わない」と回答しています。 5 ≪研究員のコメント≫ 長寿化や核家族化の進展で、子どもとは同居せず、夫婦二人で暮らす高齢期が伸張し ており、老いや病に直面しながらも、夫婦二人でどう支えあっていけるかが高齢期の QOL に大きく影響することは間違いありません。しかし今回の調査結果からは、男女の 温度差がかなりあることが浮き彫りになりました。例えば夫は、妻が頼りになる存在で あり、自分のよき理解者だと感じているのに対し、妻は必ずしもそう感じていないとい う点が挙げられます。離婚したいと考えたことがある男性は少ないのに対し、女性では 7割以上の女性が離婚を考えたことがあるという結果も男女の温度差を表しているの ではないでしょうか。 一方で、ここ数年、配偶者と離死別するなどし、新たなパートナーを見つける中高年 が増えています。今回の調査でも、配偶者がいる高齢男性の41.5%は、配偶者と離死別 したら、新しいパートナーが欲しいと考えていました。法的に入籍するかどうかは別に して、支えあうパートナーがいることは、本人のみならず、離れて暮らす子どもにとっ ても安心につながるはずです。孤立死や認知症予防にもつながるかもしれません。 しかし今回の調査結果からも、高齢夫婦がお互いをいたわり、助けあえる対等な関係 を築いているとはいえず、新たなパートナーと結婚生活を始めたとしても、夫婦がお互 いに満足する関係性を継続するのは容易ではないことが分かります。 いずれにしても、高齢期に夫婦二人で過ごすことになるというライフデザインへの備 えと関係性の再構築を念頭に置き、日ごろから夫婦の向き合い方について話し合ってお く必要があるのではないでしょうか。 (研究開発室 主席研究員 小谷みどり) 6
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