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四国新聞パネット広告欄への自費広告についての詳細
曽根 康仁
小生は、長年地元にある瀬戸大橋の通行料金の研究をしていました。その研究は航空関
係の料金制度についても行いました。また、新型インフルエンザが流行したことがきっか
けで、子どもの絵本である『スイミー』(1)についての話を聞かされました。この出合いが
それまでの研究の主な柱であった「One for All,
All
for
One.」(一人はみんなのた
めに、みんなは一人のために。)という考え方に一種の化学反応を与えました。すなわち、
単に通行料金等の料金制度に関するものだけでなく、社会の多くの諸問題解決に向けて一つ
の処方として貢献できるのではないかと研究の場を広げることができるようになりました。
昨年の8月には、自ら小さな実践でも行うことが重要であるとして、ブログを作成しそ
れにリンクした facebook ページを作成(2)しました。そして、この状況を日本ビジネス実
務学会第31回中国・四国ブロック研究会で発表する機会を得ました。また本年1月から
は「環境エネルギー概論」の科目を教えることになり、地球環境対策という広い角度から
の考えを更に熟成しているところです。これらの経緯を基に今回、過去2回ほど自費広告
を出したことがある四国新聞紙面において、第3回目となる自費広告を出させてもらえる
ことになりました。
そこで、この四国新聞紙面における広告について以下詳述いたします。地球環境問題を
含め社会の多くの諸問題解決に向けて考える場合、芥川龍之介が著した『蜘蛛の糸』とい
う短編小説の話を熟考することがあります。これは、自分勝手な思いと行動が蜘蛛の糸を
切らせてしまったのです。一人一人がみんなのために思いやりを持てば、蜘蛛の糸は切れ
なかったとも推察されます(3)。
このようなことから分かるように、一人一人がみんなのために協力し合うことができれ
ば、社会の多くの諸問題を大きく改善することができるのではないかと考えています。
ところが、現実は次のような状況です。2015.2.14 のニュースによれば、地球温暖化対策
の新たな国際枠組み構築に向けて、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP
21)の作業部会が、2015.2.13 に新枠組みの原案を策定したとのことです。ただ年末にパ
リで開くCOP21で最終合意を目指すのですが、各国の調整作業は難航必至の情勢との
ことです。
地球温暖化の問題は、気温上昇だけでなく地球規模での気候の急激な変化をもたらしま
す。さらに感染症の発生やその流行地域をより拡大させるのです。このようなことも含め
1
種々の問題を起こすことで人々に深刻な影響を与えるのが地球温暖化なのです。なお、種々
の対策のための手法が考えられていますが、特に柱としなければならないのは人々の協調
行動を促進することであると考えています。しかし、一般に社会的ジレンマ(4)があるため、
多くの方が協調行動を取ることは難しいものと推察されます。
そこで、協調行動を取ることを推進する触媒が必要となります。そのための手法の一つ
として、先述の「One for All, All for One.」を基にしたものを考えています。
この場合、最初から大がかりなものにこの手法を適用することは、一般に種々の抵抗等
があるものです。そこで、比較的大がかりでないものに適用することで多くの方に一つの
「気づき」をもたらすことを考えています。この「気づき」はいわゆる価値観の転換への
礎となるのかもしれません。
このような考えで今回の新聞紙面における広告の具体的な提案として、
「マスクは予防で
す。ご心配なく。
」という一声の重要性をあげているのです。これは、マスクをかけている
場合、周りの方から見れば、
「風邪でマスクをかけているのかな。風邪予防なのかな。花粉
防止なのだろうか。
」と考える方も多々あると推察します。これでは、マスク着用が自分中
心となってマナー的にも問題を残し、さらにマスクをかけにくい状況を作り出しているこ
とも否めません。
小生は、風邪等の問題について次のように考えています。すなわち「感染させない思い
やり」と「感染しないための努力」のバランスが重要であり、なかでも「感染させない思
いやり」が基盤であるとみています。このような意味において、マスクは自分のためにか
けるのではなく、みんなのためにかけるという考え方を啓発していくことが求められるの
です(5)。
要するに「マスクは予防です。ご心配なく。」ということは、マスクをかける理由を「見
える化」(6)することにより、周りの方に対する思いやりを積極的に促してマスクをかけや
すい状況を作り出し、マスクをかけている方の繋がりを作ることがポイントです。この繋
がりは、経済学の「ネットワーク外部性」(7)により更にその繋がりに参加することが促進さ
れて大きな思いやりの輪となって広がっていくことが期待されます(8)。この思いやりの輪
は、風邪等のウイルスが感染することができにくい状況を作り出すことができるのです。
このような思いやりの実践は、他の多くの社会の諸問題解決に向けて、思いやりの基盤
を固めることに繋がり、結果として地球環境対策への大きな礎となるものと期待していま
す。そのきっかけは「ちょっとした気配り」から始まるものと考えています。
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注
(1)[1]参照。
(2)ブログ:http://oneforall2014.cocolog-nifty.com/
facebook ページ: http://www.facebook.com/oneforall2014
(3)この状況は、経済学では「共有地の悲劇」という理論で説明することもできます。
(4)[2]p.17 引用。
〔社会的ジレンマというのは、こうすれば良いと「わかっている」協
力行動を取ると、その行動を取った本人にとっては、その行動を取らなかったときよ
りも好ましくない結果が生まれてしまう状態だと定義されます。
〕本稿では協力行動を
協調行動とします。
(5)北陸の一部の中学校では、学校全体の取組みとしてマスクをかけることで学校・学
級閉鎖がなかったという報告があります。(※インフルエンザウイルスは、同じ体内で
は個人差もありますが一週間程度しか存在できませんので、他の体内へ感染していか
なければならないのです。最近は薬の効果もあってインフルエンザの症状が早く回復
すると聞きます。しかし、一週間に満たない段階で他の方へ感染させる力がゼロとな
っているとは必ずしも言えないと推察します。また 2009 年 12 月 12 日の中日新聞によ
れば、発熱や咳等の症状が出ない不顕性感染(自覚症状の少ないいわゆる保菌者)の
方がいると言われ、一週間程度は他の方へ感染させる力を持っているそうです。
)
(6)後述するネットワーク外部性を促進するものとして「見える化」(可視化)が重要で
す。小生は「見える化」の重要性を種々の店舗の方に説明することにより、次の店舗
が賛同し「見える化」としての掲示をしていただいています。
一部のスーパーマーケットでは次の掲示がされています。
「お客様へ 風邪等の予防対策、体調管理のため、従業員のマスク着用にご理解頂
きますようお願い致します。」
一部の書店では次の掲示がされています。
「当店では風邪予防、インフルエンザ予防の為、従業員がマスクを着用いたしてお
ります。マスク着用でのご接客、ご理解のほどよろしくお願い致します。
」
(7)あるネットワークが大きければ大きいほどそこから得られるメリットが大きいとい
う効果をネットワーク外部性と言います。
(8)[3]pp.125-127 参照。
「小さな親切」の集まりは「大きな親切」になります。
引用文献・参考文献
[1]レオ・レオニ(訳:谷川俊太郎)
『スイミー』東京,好学社,2002。
[2]山岸俊男『社会的ジレンマ「環境破壊」から「いじめ」まで』東京,PHP 研究所,2000。
[3]酒井泰弘『はじめての経済学』東京,有斐閣,1995。
(20145.2.15)
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