小麦の低ア ミ ロ麦の発生時期とその程度

小麦の低アミロ麦の発生時期とその程度
1 試験のねらい
小麦は成熟期が遅いため梅雨期の降水による晶質低下が起こりやすい。外観上では穂発芽粒の
発生が見られるようになるが、それ以前に穀粒内部の質的変化が起こっていると言われている。
このため外観上は正常にみえる穀粒でもアミロ値の低下が起こっている場合がある。本試験は小
麦の登熟期における時期別の降水が、穀粒の低アミロ化に及ぼす影響を調査したものである。
2.試験方法
試験1:成熟前約20日から無降水条件にし、順次4日間の降水処理を行い、成熟後の材料のアミ
ロ値を調査した。
試験2:試験1と同様に無降水条件にし、登熟の前期に7日間の降水処理を行い、その後順次4
日間の降水処理を行い、成熟後の材料の外観晶質とアミロ値を調査した。
試験3:試験1と同様に無降水条件にし、7日おきにサンプリングし、5℃から20℃まで4段階
で発芽試験を行った。
なお晶種は農林61号とフクホコムギを用いた。
3.試験結果および考察
試験1:アミロ値は成熟前ユ2日以前までは一定であるが、その後は成熟後2∼4日頃まで直線的
に低下した。その程度は一日当たり40∼50B Uで成熟期では約300B Uである(図一ユ)。
試験2:アミロ値は成熟期前12日以降やや低下するが、成熟期直前までほぼ700B U程度で一定
に保たれ、その後急激に低下した。また外観晶質は千粒重が低く硝子率が高かった(図一
2,3)。
試験3:発芽は登熟の前期から認められ、発芽率は低温(5,10℃)において成熟期前12∼13日
頃から増加し、成熟期頃一時低下して再び増加した。この傾向は高温(20℃)では明確で
はなかった(図一4)。
4 成果の要約
小麦の低アミロ化は成熟期のほぼ10日∼12日前から始まり、一日当たり40∼50B Uの割合で低
下する。これには成熟期前12∼13日頃から認められる発芽率の増加に見られるような穀粒の急激
な変化が関与しているものと考えられる。また、登熟前期の長期降水は穀粒の外観晶質の低下を
伴うが、低アミロ化の進行に対して一時的な耐性を不す。
(担当者 作物部 倉井耕一・木村 守)
注:低アミロとはアミログラムという粘度計の示す値が低いことをいう。通常300∼’400BU
(ブラベンダーユニットと呼ぷ)以下を低アミロとしている。
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図一1 降水処理時期とアミログラム最高粘度(平元)
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図一2 登熟前期処理を行った場合の降水処理時期とアミログラム最高粘度(平2)
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図一3 処理時期別の千粒重および硝子率(農林61号)
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図一4 時期別の各温度条件による5日後の発芽率
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