独立不慚于影 今日は立春、暦の上では春となりました。昨日は節分でしたので、多くの 人が「福は内、福は内、鬼は外、鬼は外」と唱えながら豆まきをしたことと 思います。私は愚妻を連れて、出雲大社、北島国造館にお参りし、家内安全 を祈願しました。 学校では、3年生はセンター試験を終え、いよいよ最終の進路先を決定し、 個別の受験に向かいます。2年生は3年生が自由登校期間に入っているので、 実質最高学年として勉学、部活動、生徒会活動等に一生懸命取り組んでいま す。1年生は本日より6日まで、集団宿泊研修を大山で実施します。思い出 多き実りある研修になることと思います。 今回は、校長室に掲げてある扁額について紹介したいと思います。それは、 『「独立不慚于影」為大社高校 佐藤栄作』というものです。 「独立不慚于影」という句は、中国春秋時代の斉において、霊公 、荘公、 景公の3代に仕え宰相となった、晏嬰に関する言行録をまとめた『晏子春秋』 (あんししゅんじゅう)という古書に収められています。読みは「ひとりた ちて かげをはぢず 」、大意は「ひとりでいても、他人に見られて恥かしいよ うな振る舞いはしない」ということです。 この扁額が本校にある経緯については、当時の校長であった小畑 昊(第 19代校長:故人)氏が、生徒会誌「かしろ」に掲載しておられるので引用 します。 昭和40年10月某日、小包が届いた。あけてみると、一幅の書である。かね て本校卒業生森田善十氏から中和夫先生を通じてお話のあったものである。 森田氏は読売新聞東京本社の編集総務をしておられるが、9月までは政治部長 であったから仕事の関係で政界官界の有力者には顔なじみ、更に昵懇の方が多い らしい。総理大臣佐藤栄作氏とは気軽にものが言える間柄と思われる。ある日昼 食を共にされ、たまたま書談に及び森田先輩は総理に揮毫を頼まれた。『特に母 校大社高校のためにお願いしたら「私の郷里の隣県の、あなたの母校のために書 きましょう」と快諾された』とのことであった。 森田氏は昭和6年3月旧制大社中学校(第30期)を卒業され、法政大学卒業 後、読売新聞社に入社、今日に至っているときく。毎年のように夏には墓参に帰 省され、時間を割いて母校の生徒諸君に講話をいただいている由。 母校愛に満ちた先輩に感謝するとともに、この扁額の句を毎日眺めながら自 戒しているところです。 平成27年2月4日(立春) 島 根 県 立 大 社 高 等 学 校 第40代 校長 高 木 弘 伸 (高校25期)
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