行動制限を廃止するための取組【PDFファイル305KB】

⾏動制限を廃⽌するための取り組み
和歌山県福祉事業団
作業所あい
東
事業団では
1、抱え込まないシステム
2、自閉症・行動障害児者の特性を知る
3、統一した支援
4、まとめ
美淑
1、抱え込まないシステム作り
・自閉症・発達障害支援研修
・事業所で・個人で困っていることを情報発信する。
何に困っているのか
どんな情報が欲しいか
どんな情報が欲しいか 等
2、自閉症・行動障害児者の特性を知る
自閉症とは|三つ組の障害
【三つ組】
【その他】
社会的相互作用の
質的な障害
感覚過敏・鈍麻
人に対する独特な
関わり方
多動
睡眠の問題
想像⼒の障害
コミュニケーションの
質的な障害
⾒通しが持ちにくく
急な変更が苦⼿
⾔葉や表情等の使い方
や理解の仕方が独特
自閉症とは|社会的相互作用
社会的相互作用の4つのタイプ
「孤⽴群」「受容群」「積極・奇異群」
「形式ばった大仰な群」
独特の関わり方
人への無関心
一方的な関わり
名前を呼ばれても反応せずに自分の活動に没頭
道具のように人と接する(例:クレーン)
相⼿の反応を気にせずに一方的に話しかける
相⼿の話には興味を示さない
ルールへのこだわり・過度に堅苦しい態度
自閉症とは|コミュニケーション
独特の伝達の仕方
知っている⾔葉を会話でうまく使えない
伝える意図のない独語
意味を伴わないフレーズの繰り返し(エコラリア)
⾔葉以外の⼿段をうまく使えない
視線が合わない、過剰に目が合う
抑揚のない話し方
独特の理解の仕方
⾔葉自体の理解ではなくパターンによる理解
字句どおりの解釈
冗談や⽪⾁の理解が難しい
コミュニケーションの困難さ
• 言語理解の難しさ
– 話し言葉に注意を向ける
– 耳で聞いた言葉から意味を理解す
る
– 場面とセットになって記憶する
– 字義どおりの理解
– 言葉でないコミュニケーションの理
解
– 視覚優位
• 表現の難しさ
– 自発的にかかわろうとする気持ち
が乏しい
– 言葉があっても気持ちを伝える手
段にならない
– 場面や人が変わると伝えられない
– 独特なイントネーションや言葉の選
び方
– オウム返し
自閉症とは|想像⼒・反復的な⾏動
目の前にないことの理解が困難
物事の先の展開(これからどうなるのか)
その展開に至った背景(どうしてそうなったのか)
急な予定の変更を苦⼿とする
過去の経験や知識を⽣かすことを苦⼿とする
興味や関心の偏り・反復的な⾏動
ごっこ遊びよりも感覚遊び(幼児期)
パターン化したこと以外の⾒通しを持ちにくい
特定の物やパターンへの執着
いつも同じ状態であることへの強いこだわり
自閉症とは|固有の情報入力・感覚
自閉症スペクトラムの方の中には、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚・痛
視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚・痛
覚・前庭感覚などの情報を処理することへの困難さを抱えている場合があ
前庭感覚
ります。
外部からの刺激に対して感覚が鈍かったり、逆に過敏に反応してしまった
りすることがあります。
感覚処理の偏りがあることで、ストレスや不安、そして問題行動と呼ばれ
ることにつながっていく場合もあります。
氷山モデル
かんしゃく、奇声、他害、自傷、パニック
不適切な行動、つよいこだわり・・・
環境 ・状況
の影響
相 互作 用
本人 の特性
水面下の要因に着目する
【氷山モデルとは】
情報処理に障害のある人の課題となっている行動を氷山の一角として捉えて、氷山の一角に注目するのではなく、その水面下の要
因に着目することで、支援の方法を考えることを意味します。TEACCHプログラムが自閉症の障害特性を理解し支援に活かしていく際
に紹介されています。
参考文献:「気づき」と「できる」から始める フレームワークを活用した自閉症支援/水野敦之
問題行動のとらえ方
【問題行動の基準】
1. 自らの身体・健康に著しい危険をもたらす行動
2. 他者の身体・健康に著しい危険をもたらす行動
3. 有意義な学習・労働・レジャーへの参加を著しく妨げる。
この3点のどれか一つに当てはまるものが「問題行動」といえます。
一方、その行動は本当に問題行動なのかを整理して考えることも必要です。
本人にとって、その行動の意味は何なのか?
他人に迷惑をかけていることなのか?
場面によっては、問題でなくなることもある。
3、統一した支援
・個別支援計画
・情報収集してアセスメント
・記録と評価
・話し合う
サービス等
利用計画
個別支援計画
【作成者】
相談支援専門員
【作成者】
サービス管理責任者
or
サービス提供責任者
or
居宅介護計画
支援手順書
兼 記録用紙
支援の実施
*⼿順書の把握・遵守
*記録と報告
【作成者】
実践研修修了者
⽇々の利用者の変化に応じた細かな支援の変更が必要
支援の記録を取り、修正に反映する仕組みが重要になる
【担当】
基礎研修修了者
情報収集
• 自閉症の特性を意識して行動を観察する
生活の場面、食事、トイレ、移動時等
• 観察する視点を伝える
行動の前後の様子を振り返る習慣
• 本人の情報を集める
家庭、支援学校。他の事業所等
まず「わかる」「できる」を支援する
◆具体的な情報提供
• 具体物
• 写真や絵
• 単語や文章
• 環境や場面
• 指さしやジェスチャー
• モデルや見本の提示
◆情報提供の工夫
• 一度に伝える情報量、ペース、タイミング
• 伝える人の表情、視線、態度、距離などを操作
• 肯定的な伝え方、指示の階層を意識する
◆情報の整理(構造化の活用)
記録と評価|なぜ記録が必要なのか
変化を把握する
強度⾏動障害のある人の状態はさまざまな環境の影響を受
けて変化する。
場⾯による⾏動の違い、週・⽉・年単位での⾏動の変化が
ある。
⇒客観的な記録があることによって、職場内や他職種
との共通理解が図りやすくなる。
原因を考える
必ずしも支援の計画を⽴てる段階で、背景にある原因を考
えるのに十分な情報があるとは限らない。
⇒支援計画を⽴てて実施した後も、情報を収集して、
それを元に支援を再検討する必要がある。
記録と評価|変化を把握する
変化を把握するための記録
1. 問題となっている⾏動に着目する
例)頻度、強度、持続時間
2. 記録する時間帯や場⾯等を決める
例)1⽇を通して、時間の区切りごとに、場⾯ごとに
3. 継続できるように工夫する
例)既にあるものを活用する、置く場所、期限を設ける
期間を決めて変化をまとめる
ひとめでわかるように整理する
例)折れ線グラフ、一覧表
記録と評価|原因を考える
関連しそうな情報を集める
障害特性やスキルをもう一度調べる
例)苦⼿なこと、得意なこと、できること、できないこと
⽣活全体の状況を確認する
例)家庭・家庭の状況、⽣活のパターン
⽣理・医学的な情報を収集する
例)睡眠、病気、服薬、周期的な変化
できているとき・できていないときの環境を詳しく⾒る
問題が⽣じた前後の状況を整理する
例)機能的アセスメント(機能分析、ABC分析)
記録の重要性
記録をつけやすい工夫をする
• すでに使われている記録を活用する(例:⽇誌の隅)
• 記録をする場所に記録用紙を置く(例:トイレの横)
記録を続けるために
•
•
•
•
•
欲張らない
何のための記録かを明確に
期限を設けて、チームで振り返りの機会を
振り返り(ミーティング)は時間制限を
次の振り返りの⽇程とそれまでのタスクを決める
まとめ
❍ チームで⼀貫した支援を⾏う
勝⼿な判断で支援の方法を変えない
問題となる⾏動だけに注目しない
自律的な活動を増やす
❍ 記録を取り、まとめ、報告することで支援のサイクル
を回す
記録は継続できるように無理のない形でとる
最初は慣れなくても、記録のまとめは継続する
まとめ
障害特性を理解し、支援者側の思いを押し付けず、
一人一人を理解し、受け止め、自律的な行動ができる環境を整え
安心して、通える事業所でありたい。