全国大学等バイオイメージング連携体制の今後のあり方を考える会(第 2 回) 議事録(要約) はじめに 上野から本意見交換会の背景、第 2 回目開催の経緯について、その後自然科学 研究機構海外駐在 URA 三浦耕太氏や欧州ネットワーク Euro-BioImaging につ いての簡単な紹介があった。 ネットワークの枠組みについて ネットワークへの参加形態について、個人として参加する、あるいは施設とし て参加する形態が良いかについて議論を行った。施設として参加可能なところ も(北大、OIST)もあるが、共同利用・共同研究拠点としての位置付けはされ ていないものの、バイオイメージング教育に注力している個人、グループもあ る。施設レベルでのネットワークを分けて構築した上で、個人・グループレベ ルでの参加を可能にするなどの意見もあったが、後述するように、まずポータ ルサイトを設置しそれぞれの活動について情報交換することが意義あることで あり、優先されるべきとの結論に至った。また、施設として参加するためには まず全体構想を明確にすることが必要で、施設が動くためにはまず学部長や学 長への説明、承認が必要との意見もあった。今後、全体構想の明確化と同時に、 それが必要な局面を迎えた場合には、しかるべき対応をとる必要がある。国内 のバイオイメージング関連の施設の運営形態は多様であり、議論によって一定 の結論には至らない可能性が高い。有志が具体的な活動を始め、それを核にネ ットワークを構築するのがよいのではないかという意見が多くかったため、情 報共有から始めることとなった。 ポータルサイトの設置について ポータルサイトを設置し、各施設の特徴ある機器のリストを掲載してどうかと いう案に対して議論を行った。保有する機器に関する情報は各施設ではかなり の情報を更新して公開していることから、それらのリンクを集約する程度で十 分ではないかとの意見があった。また、このようなポータルサイトは利用され ないとあまり意味を持たず、過去の例からそこに至らしめるまでに相当の努力 を要することなどが紹介された。また、積極的に国内バイオイメージング関連 施設を巡り、情報を収集する人を雇用するなどの方策が必要であるとの意見が あった。 理研(大浪氏)ではすでにバイオイメージングインフォマティクスのポータル サイト(http://www.bioimageinformatics.jp/)を個人の努力で運営しており、 経費をかけずに活動紹介、情報共有が可能であるとの紹介があった(後に同サ イトと並立するサイトを作っていただき、年末から運用を開始した。 http://www.bioimage.jp/)。また、NPO 法人「総合画像研究支援」(理事長: 大隅正子氏)とのリンクなど、情報共有のための連携をするのが良いのではな いかとの意見があった。 トレーニングコースの合同開催 各施設から開催しているトレーニングコースの概要について紹介があった。各 施設が実施するコースの内容は電子顕微鏡から様々な種類の光学顕微鏡に多岐 にわたっており、また講習内容のレベルも多様であることが改めて確認された。 それらの重複を避けるように整理し、合同開催によって効率化することは理想 的ではあるが、現時点では困難である。まず、各大学の施設で行っているコー スなどの情報をポータルサイトで共有化(見える化)し、現状を相互に把握す ることの重要性が指摘された。それによって、各施設で対応が難しいコースが 他施設にある場合、そのようなコースをユーザーに紹介するなどのことが可能 になる。また、情報を共有することによって、次第に各施設間のコース内容の 重複や将来の共催の可能性なども見えてくるものと思われる。EMBL、EMBO、 Euro-BioImaging との合同コース開催については基礎生物学研究所が中心とな り、国際連携の中で考えていくこととした。 データ保管について 画像データの容量は年々膨大になっていることから、各施設のイメージデータ の保管の現況について紹介いただき、今後対応すべきことについて議論した。 多くの施設ではユーザーが個人で管理・保管しているのが現状である。個人の データをバックアップする、また論文になっていない過去の重要な電顕データ などをアーカイブとして保存することは意味があるだろうとの意見があった。 但し、データベースについては OMERO など共通形式を用いることで国際的な ネットワークでの共有化が可能になること、画像情報については取り出しやす くするためにアノテーション(メタデータが付加)されていることが重要であ るとの指摘があった。また、保存媒体の多様化(変化)もあり、各施設がユー ザーのために一元的に長期的な保存を行うのはセキュリティーの観点からも困 難であるとの意見があった。当面はユーザー個人で管理するというのが最も確 実な方法であると言えるだろう。一方で、不正問題への対応としてデータ保存 に対して取り組んでいる施設(理研、東大など)や構想中の施設(OIST)があ る。今後、文部科学省等のガイドラインの改正などを受けて、論文発表したデ ータのオリジナル画像データについては一定期間(例えば 5 年)保存するとい う流れができつつあるようだ。このイメージングデータ保存・保管の問題は別 の機会にさらに情報交換、議論をする必要がある。 欧州バイオイメージングネットワーク Euro-BioImaging Euro-BioImaging の責任者 Jan Ellenberg のビデオによる設立趣旨や活動紹介、 および日本への参加呼びかけがあった後、三浦氏より Euro-BioImaging は欧州 各国にすでにあったネットワークをまとめた国レベルでのネットワークであり、 顕微鏡の相互利用、技術者の流動、機器予約及び課金システムの共有化、コー ス講師の相互派遣などが行われていることなど補足説明があった。また、欧州 におけるこのような活動はボトムアップで動いており、5年ほどかけて設立準 備を行っている。本年度から暫定的に開始し、来年後から本格的に活動を開始 する。アジアではインド、シンガポールと連携を進めており、日本との連携も 積極的に行いたいとのことであった(基生研への打診については、Supporting letter として賛同の意思表明をすでに行っている)。その後、質疑応答があり、 バイオイメージング、メディカルイメージングが明確に分かれていること、電 顕や画像解析手法の情報共有も含まれること、Euro-BioImaging は Human Brain Project などのような研究を目的としたプロジェクトと異なり、インフラ を整備するためのネットワークであることなどの回答があった。 結語 日本国内にバイオイメージングネットワークを立ち上げるためには、具体的計 画を策定し、その計画を実行に移していくことが重要であり、まずポータルサ イトを手始めとして、そこにバイオイメージング関連情報を集約することとし た。
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