第2章 地域福祉の基本方針 P.16~P.23

第2章
地域福祉の基本方針
基本理念
つながりと支え合いが〝いきづく″まち
北区
~変化する社会に適した地域づくりをめざして~
大切にしたい視点
一人ひとりが
「ふくし」を考える
ことから始める
誰もが
「受け手」であり
「担い手」である
語り合い、
理解し合い、
協力し合う「輪」をつなぐ
一人ひとりの人格を
尊重し、共生する
地域をつくる
さまざまな
ネットワークを活用し、
新しい可能性を拓く
取り組みの柱
1.相談・支援(サービス)の充実
2.小地域での福祉活動の推進・強化
3.災害時にも支え合えるつながりづくり
4.“ふくし”の学びの充実
5.企業や事業所との連携・協働の推進
仕組みづくり(再構築)
見守り・支え合いの仕組みづくり
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1. 基本理念
生活の利便性が高い北区には、ここで生まれ育ち、地域に愛着をもって暮らし続けて
いる人から、都市居住地としての魅力に惹かれて転入してきた人、仕事の関係で転入し
てきた人など、多様な価値観やライフスタイルの人が暮らしています。
生活する上で何かしらの支援が必要になっても住み慣れた地域で暮らし続けること、
生活の中で起こりうる「困りごと」
「生活のしづらさ」に社会的な支援を受けつつ前向き
に対応して、自分らしく生きていくことは、誰もが願うことです。
また、子育ての不安、高齢者や認知症の介護、障がいのある人の社会参加、経済的困
窮など、さまざまな課題を抱え、
「生きづらさ」を感じている方々が、社会から孤立する
ことなく、地域の中で見守りながら、早期かつ継続的に支援を実施し、主体的に自立し
ていくことを支えることも大切です。
北区のめざす“安全、安心で、誰もが住みよいまち” “一人ひとりが尊重され、みん
なが暮らし続けたいと思えるまち”を実現するために、次のような基本理念を掲げます。
つながりと支え合いが〝いきづく〞まち
~変化する社会に適した地域づくりをめざして~
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北区
2. 大切にしたい視点
基本理念のもと、次のような視点を大切にして、北区における地域福祉を推進します。
◆ 一人ひとりが「ふくし」を考えることから始める
「ふくし」を考えるとは、○
ふだんの、○
くらしの、○
しあわせを考えるということです。
人は、誰でも安心して、自分らしく生活を送ることを望んでいます。そのために、家族
や友人など身近な人との暮らし・関係づくりとともに、住んでいる地域、いろいろな立
場の人と思いを共有することが大切です。一人ひとりが関心をもつことから「地域福祉」
が始まるという視点を大切にします。
◆ 誰もが「受け手」であり「担い手」である
地域福祉では、区民一人ひとりが互いの人権を尊重する意識のもと、共に生き、共に
暮らせる地域をめざす仕組みづくりが重要です。そのためには、誰もが自分で解決でき
ないことについて地域福祉の「受け手」となるとともに、それぞれにできることで誰か
を支える「担い手」となることができるという視点を大切にします。
◆ 一人ひとりの人格を尊重し、共生する地域をつくる
地域には、人との付き合いやコミュニケーションが難しく、地域などとのつながりが
希薄な人もいます。生きづらさを抱えている人が社会的に孤立しないよう、地域と行政
と専門機関等が連携して、課題を共有し、見守り、寄り添い、主体的に自分らしく生き
ることを支援していく地域づくりを進めていくという視点を大切にします。
◆ 語り合い、理解し合い、協力し合う「輪」をつなぐ
さまざまな立場の人が集まり、語り合い、お互いを知り合い、個性を理解し合うこと
が大切です。その中で、課題と目標を共有し、それぞれの人がもつ強みを生かし合うこ
とが重要です。人と人をつなぎ、多様な課題に主体的に関わる人、協働する仲間を広げ
ていくという視点を大切にします。
◆ さまざまなネットワークを活用し、新しい可能性を拓く
「福祉」の分野のみならず、さまざまな分野での活動・取り組みや、行政や専門機関
の仕組みなど、社会にはさまざまなネットワークが構築されています。これらを有効に
活用して、今ある課題に立ち向かう新たなネットワークを生み出し、課題解決の可能性
を拓くという視点を大切にします。
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3. 取り組みの柱
地域福祉を推進するために、次の5つの柱に沿った取り組みを実践します。
1.相談・支援(サービス)の充実
さまざまな生活課題を抱えている人が社会的に孤立することなく、専門家の助言を受
けたり、必要なサービスを利用しながら、安心して生活を営んでいくことができるよう、
情報の発信、相談体制の充実を図るとともに、支援やサービスの内容の充実を図ります。
また、制度の狭間にいる人に対応できる仕組みをつくります。
2.小地域での福祉活動の推進・強化
誰もが主体的に自分らしい生活を営み、住み慣れた地域でのつながりづくりをすすめ
るために、地域の中で思いやニーズを把握・共有できる仕組み(福祉コミュニティ)を
つくります。また、地域が主体的に取り組んでいる見守り活動や居場所づくりを推進す
るとともに、住民一人ひとりが参加しやすい環境づくりをすすめます。
3.災害時にも支え合えるつながりづくり(要援護者支援)
大規模な災害時の被害をできるだけ少なくするために、自力で避難できない要援護者
を支援する体制づくりをすすめます。そのためには、となり近所での日頃からの関係づ
くりが大切です。日常的な見守り、支え合いの中で、緊急時・災害時に対応できる地域
づくりをすすめます。
また北区には、仕事や買い物などに来ている要援護者も多く想定されます。情報提供
や避難の支援、一時避難場所での配慮などへの対応を検討します。
4.“ふくし”の学びの充実
福祉に対し「関心の低い層」を「理解者」に、
「関心はあるが参加できない層」を「協
力者に」
、
「地域活動参加者」を「地域活動リーダー」にといった新たな学習課題を設定
し、「ふくしの学び」を推進します。
また、
「ふくしの学び」を通じた実践の中で、人と人、人と組織、組織と組織が、良
い関係を築くことが期待されます。「共に生きる力」「共に育つ環境」「他者を尊重でき
る豊かな心」へと結びつけ、「ふくし」への関心を高め、福祉意識の醸成を図ります。
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5.企業や事業所との連携・協働の推進
北区には医療機関や介護保険事業者、福祉施設のほか、多分野の企業や事業所が多数
立地しています。この特性を活かし、地域と企業や事業所のつながりづくりを進め、地
域の福祉課題を共有します。また、企業や事業所が実施している地域貢献活動と地域が
取り組んでいる福祉活動などに協力・連携できる環境づくりをすすめます。
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4. 見守り・支え合いの仕組みづくり
5 つの柱に沿った取り組みを実践していくいために、地域福祉を推進する場の設置と、
区レベル・地域レベル・小地域レベルでそれぞれ必要な専門人材の配置を進め、セーフ
ティネットとなる「見守り・支え合いの仕組み」を再構築します。
【各レベルにおける再構築の内容】
レベル
重点的な役割
体制
・地域福祉計画の推進
・地域課題・生活課題を集約し、共有
する機能の強化
区レベル
(北区全域)
・企業や事業所との連携促進と連携の □「(仮称)北区地域福祉推進会議」
の設置・運営
ための環境整備
□「(仮称)地域支援連絡会議」
(実
・地域福祉の担い手の発掘・養成の仕
務者レベル)の設置・運営
組みの構築
□「スーパーバイザー」1 名配置
・地域包括ケアシステムの構築を見据
(3 章1.①参照)
えた取り組み
・既存制度やサービスの適用が困難な
場合などに対応するサービス開発
・解決が困難な事例、個別支援機能の
強化
地域レベル
(概ね中学校区の
範囲)
・民生委員・児童委員や関係機関との
連携
□「CSW(コミュニティソーシャ
ルワーカー)
」5 名配置
(3 章1.①参照)
・「地域福祉コーディネーター」の支
援・研修の実施
・地域における援護を要する人の把握
・「要援護者台帳」づくり
小地域レベル
(概ね地域社協の
範囲)
・関係機関への取り次ぎ
・生活支援サービスのマッチング
・福祉ニーズの把握、掘り起こし
・人材発掘
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□「地域福祉コーディネーター」
各 1 名配置
(3 章1.②参照)
【見守り・支え合いの仕組みの強化】
地域福祉推進の場の設置
主な役割
学識経験者、地域福祉関係
(仮称)地域福祉
機関等の代表者、スーパー
推進会議
バイザー、CSW が参加
○北区の地域福祉関連施策・取り組みの方
向性の確認
○市関係局・北区役所・区社協の各施策・
事業に係る提言
(2~3 回/年)
○PDCA の推進(計画の点検・見直し)
地域福祉関係機関等の実務
(仮称)地域支援
連絡会議
者、CSW(必要に応じて地
○各小地域における取組内容の共有
域福祉コーディネーター)が参
(各小地域内で解決が困難な課題が生じた
加
場合は、共同で対応策を検討※)
(1 回/2~3 か月)
※各小地域における課題については、基本的には CSW、地域福祉コーディネーターが関係機関等と連携
して解決にあたる
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【地域福祉活動の担い手の強化】
専門人材の配置
主な役割
○CSW、地域福祉コーディネーターの連絡・調整
スーパーバイザー
区レベルに 1 名配置
CSW
○専門人材(CSW、地域福祉コーディネーター等)間
の連絡・調整
○各地域・各小地域の取り組みの状況の把握、進捗
管理・点検
(コミュニティソ
ーシャルワーカー) 地域レベル
(概ね中学校区の範囲)
に各 1 名程度配置
○各小地域の見守り・支え合い活動の支援
○解決困難な事例の個別相談・援助(専門的な見地
による)
○福祉コミュニティづくりの支援
○地域福祉活動の担い手の発掘
地域福祉
コーディネーター
小地域レベル
○各小地域の身近な相談対応(窓口)
(概ね地域社協の範囲)
○個別課題と関係機関等のコーディネート
に各 1 名配置
○個別課題と地域活動のコーディネート
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