第1章 策定の目的と位置付け 1.1 策定の背景と目的 創設以来、右肩上がりで増加し続けてきた本市の人口は、少子化の進行と昭和40年代 後半以降に転入した世帯の高齢化など、人口構成の変動により将来的に増加が望みにく い状況となっています。また、給水量については、人口の低迷だけでなく節水型機器の 普及や節水意識の定着など、循環型社会への移行等により水需要が落ち込んでおり、今 後も減少で推移すると予測されます。 一方、安全な水道水を安定的に供給するための根幹となる水道施設は、経年による老 朽化が進む中で、順次更新が必要となっています。併せて、南海トラフ地震をはじめ今 後の発生が危惧される地震への対策強化が求められており、施設の耐震化も重要となっ ています。 このように、本市水道事業を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、将来にわたり 安全で良質な水を安定して供給するためには、拡張から維持更新の時代に移っており、 これらの直面する課題や問題点を明らかにし、時代に則した事業運営が必要とされてい ます。 本市では、平成 16(2004)年 6 月、厚生労働省により水道事業者が共通認識を持つべ き水道の将来像が示された「水道ビジョン」 (平成 20(2008)年 7 月改訂)に基づき、平 成 21(2009)年 3 月に安心・安定・持続・環境を主な施策とした「大阪狭山市水道ビジ ョン」を策定し、これに基づく計画的な事業運営に取り組んできました。 その後、平成 25(2013)年 3 月、厚生労働省において、人口減少社会の到来や、東日 本大震災の経験を踏まえた対策の見直しなどを盛り込んだ「新水道ビジョン」が策定さ れ、また、平成 26(2014)年 8 月には、総務省から公営企業に対して、将来にわたり事 業を安定的に継続させるための中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定し、 経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組むよう要請されています。 ここに策定した「大阪狭山市水道事業ビジョン」は、このような状況を踏まえ、本市 水道事業の目指すべき将来像である「安全な水道水を安定的に供給する信頼度の高い水 道」を基本理念としつつ、新水道ビジョンに示された「持続」、 「安全」、 「強靭」のそれ ぞれの観点から、今後 10 年間で取り組むべき重点的な施策を示したものです。 1 1.2 策定の位置付け 「大阪狭山市水道事業ビジョン」は、厚生労働省の「新水道ビジョン」で示された方 向性を基本とし、本市の上位計画である「第四次大阪狭山市総合計画」等と整合を図り ながら、本市水道事業の将来像や方針を明確にするものとし、水道施設整備計画、経営 計画等の実施計画への指針とするものです。 厚生労働省 上位計画 新水道ビジョン 第四次 大阪狭山市 総合計画 大阪広域水道企業団 将来構想 施設整備 マスタープラン 大阪狭山市水道事業ビジョン 基 本 理 念 安全な水道水を安定的に供給する信頼度の高い水道 実 施 計 画 水道施設整備計画 経営計画 策定の位置付け 1.3 目標年次 「大阪狭山市水道事業ビジョン」の目標年次は、水道事業を取り巻く環境、今後直面 する可能性のある諸課題を整理し、効率的かつ安定した信頼性の高い水道システムの構 築に向け、平成 27(2015)年度から平成 36(2024)年度の 10 年間と定めました。 本水道事業ビジョンは、PDCA サイクルの中で適宜見直しを行い、お客さまに信頼し ていただける水道づくりに邁進し、持続可能な水道事業運営を実現していきます。 将 大阪狭山市水道事業ビジョン 平成36年度 将来を見据えた 理想像を設定 平成27年度 計画期間10年間 目標年次 2 来
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