Title 本邦の租税に関する文献的一考察 - HERMES-IR

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本邦の租税に関する文献的一考察(II) : 所得税に関す
る数量分析文献を中心に
熊沢, 光敏
一橋研究, 31(3): 53-65
2006-10
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/17945
Right
Hitotsubashi University Repository
53
本邦の租税に関する文献的一考察(■)
一所得税に関する数量分析文献を中心に一
熊 澤 光 敏
目
I
次
はじめに
n ユ930年代から1950年代の考察
皿
高度成長と所得税(1960−73)期問の考察
(皿一1)所得再分配効果の言十測に関して
(皿一2)所得税の累進度に関する計測に関して
(以上前号)
村 間接税移行論の台頭一財政赤字拡大過程(ユ974二79)期問
V
支出税,売上税および消費税一成熟社会での租税論争(1980−91)期間
VI
「中立」の原則と「公平」の原則一「広く,うすく」課税の定着(1992−2000)
期間
(以上本号)
「中立」の原則と「公平」の原則一「広く,うすく」課税の定着(2000一現在)
期間
既存研究に残された問題点と今後の研究の方向性
はじめに
前号(第30巻第4号)では,1930年代から高度成長と所得税(1960−1973)
期間までの考察を行った。
六号ではひきつづき間接税移行論の台頭一財政赤字拡大過程(ユ974−1979
年)期問から,支出税,売上税および消費税一成熟社会での租税論争(1980−
1991)期間,そして「中立」の原則と「公平」の原則一「広く,うすく」課税
の定着(1992−2000)期間までに焦点をあて考察することを目的とする。
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一橋研究 第31巻3号
なお,時代区分は前号同様牛嶋[11コの定義を用いた区分にしたがってまとめて
いる。
IV.間接税移行論の台頭一財政赤字拡大過程(1974−79)期間の考察
この時期において,我が国の経済が高度成長期から安定成長へ向かう過渡期
段階であり,所得税に関してもそれ以前の累進度に関する研究から所得の捕捉
と関連した水平的公平にも議論が及ぶようにな乱また,この時期物価上昇に
ともなるインフレーションの問題が深刻化する。このような経済状況を反映し
て浅野(1975)[1],大川・石(1976)[],高山(ユ976)[],前田(1980)[],
飯野・林(1986)[]など1970年代中頃から1980年代中頃を中心にインフレー
ションと所得税の関係を考察する研究テーマが見受けられるようにな乱主要
な論文テーマを時系列に沿ってまとめたものが下記の表4となる。
表4 主なインフレーションと所得税に関するもの
【論文】
【テーマ】
浅野(ユ975)
「インフレと所千与税」
経済企画庁(1975)
「所得・資産分配の実態と問題点一所得分配に関する研究報告書」
大川・石編(1976)
「インフレ・経済成長・租税構造」
高山(1976)
「いわゆるインフレ調整減税の所得再分配効果」
前田(工980)
「所得税のインフレ調整をめぐって」
林(ユ984)
「所得税減税とインフレ調整」
林(ユ985)
「インフレーションと勤労所得税の再分配効果」
飯野・林(ユ986)
「インフレーションと所得税減税」
柵=著者作成によるもの
以下時系列にそって主な研究を概観す乱
経済企画庁(1975)[18コは,インフレーションと所得税の関係に着目し実証
分析を行ないインフレーションが所得税の再分配効果を強める結果になること
を明らかにしている。
時を経て,林(1984)[41コは,昭和45年以降実施された減税政策がどのよう
なインフレ調整効果をもっていたかという問題意識のもと所得税の負担がイン
本邦の租税に関する文献的一考察(I)
55
フレーションによる名目的な所得上昇によって増大することを指摘し,昭和
45年から57年の間に実施された減税政策がインフレ調整という観点からみて
給与所得税は,時期によっては現実の負担率がインフレ調整を想定した負担率
を大きく下回り実質的な負担軽減となっており,中吉所得税では大幅減税の恩
恵が生じていない時期があることを指摘した。そして,給与所得税はインフレー
ションによる影響を受けやすく,同時に減税政策によるインフレーション調整
効果も大きいことを示唆している。
また林(1985)[42コは,インフレーション下における所得税の再分配効果につ
いて考察し,インフレーション並びに税制変更が所得税の再分配効果にどのよ
うに影響していたかをシミュレーション分析している。
この分析では,租税関数を
t=αyβ(β〉1)
とする。課税前の所得がx以下である納税者数の累積比をf(X),所得税を
考慮に入れ,課税前の所得がx以下である納税者の課税後所得の累積比をG。
(X)で表す。
、、、)一止竺,、、、ト止竺,、(、).1い)舳
N Y Y
F(。)とD(x)この両者の関係を示すものが課税前のローレンツ曲線であり,
F(。)とG。(X)の関係が課税後のローレンツ曲線となる。さらに,所得がインフ
レーションによって100p%,実質成長によって100h%すっ上昇したと仮定す
ると,所得,税額,負担率はそれぞれ
y、=(1+P)(1+h),Y、=(1+P)(1+h)Y・ t、=α{(1+P)(ユ十h)}βyβ,
・、・・/(1・P)(1・h)/β一工
この時,所得上昇前の課税前所得がX以下である納税者の課税後所得の累積
比をG。(X)とすると、
x[(1・P)(1・h)y一α(1・P)βyβ1穴y)dy
G、(λ)一〇
(1+P)(1+h)Y−eu(1+P)(1+h)Y
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一橋研究第31巻3号
となり,F(・)とG・(X)の関係が所得上昇後のローレンツ曲線である。
実質成長とインフレーションによる名目所得上昇の結果生じる課税後所得の
分配状況の変化は,同一の所得水準xに対応するG。(X)からG・(X)への変化
によって表書己できる。
したがって,G。(X)一G。(X)が負になると,課税後所得の分布状況は所得
上昇前よりも不平等化したことを意味する。
出か、{)午111;;1÷}・[年一止∴1
符号が正になると,名目所得の上昇は課税後所得の分配状況をより平等なも
の変化する結果をもたらすため,所得税制を固定状態であれば再分配効果は所
得上昇にともない強くなる。
そして,所得税制が所得上昇による負担率の上昇に対して調整される場合を
想定し再分配効果の影響を『家計調査年報』のデータを用い分析を行なってい
る。
その結果,インフレ調整以上の減税を実施することにより,時系列的に再分
配効果の強化が抑えられる傾向が見られたもの時期もあったが再び上昇傾向を
示しているなど税制の何らかの調整が行なわれない限り続くことを指摘してい
る。このように所得の上昇という当時の経済変化に対して所得税の物価調整減
税のあり方について政策提言を行なっている。
V.支出税,売上税および消費税一成熟社会での租税論争
(1980−91)期間の考察
この時期においては,戦後税制の基礎となったシャウプ勧告から乖離が生じ
てきた税制の公平性を確保し,納税者の不公平感を払拭しようとすることが税
制改革の目的の一つとしてかかげられた。そのため,租税支出,税漏れ,課税
最低限の水準など,所得税の公平を論ずる代わりに,その周辺の制度の見直し
を通じて,税の執行に伴う不公平をできるだけ取り除くといった現実的な議論
が展開される。ここではそのなかでも重要な課題であった所得税の業種問不公
平の計測に関するものに焦点をあて考察していく。
本邦の租税に関する文献的一考察(I)
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所得課税における所得捕提の業種問格差の実態を数量的接近で試みた先駆的研
究として,石(1981)[6]「課税所得捕捉率の業種間格差」の推計がある。この
推言十では,実際の事業所得の算出に国民経済計算を利用し,それから課税べ一
スとなるべき所得を推計している。これによると,税務統計上の所得と国民
経済言十真上の個人所得の概念を比較して計算し1970年から1978年かけて,国
民経済計算の所得を10とすると税務統計に言十上された給与所得の捕捉率が9
∼10,事業所得が6∼7,農業所得が2∼3という結果になっている。その結果,
1970−78年に「クロヨン」に近い状態が存在することが示唆している。
以下主な業種間不公平の計測所得捕捉の格差に関するもの取り上げ下記の表
5にまとめてみた。
【業種間不公平の計測所得捕捉の格差】
表5 主な業種間不公平の計測所得捕捉の格差の関するもの
【論文】
【テーマ】
石(1981)
「課税所得捕捉率の業種間格差」
本問・跡田・井堀・村山(1984)
「所得税負担の業橦問格差の実態」
本間・跡田(1985)
「所得税負担の業種間格差の実態再論」
林(/987)
「現代財政の再分配構造」
林(1990)
「所得税における業種間不公平」
奥野・小西・竹内・照山・吉川(1992)「わが国の所得税負担構造」
KONISHI(1993) 「An Emp三rica1Am1ysis of Tax Evasion and
the Tax Administration of ASEAN Countries」
大平(1998) 「業種間格差の実証分析」
経済産業省(2001) 「経済活性化のための税制基本問題検討会」
大田・坪内・辻(2003) 「所得税における水平的公平性について」
挑=著者作成によるもの
本間・井堀・村山(1984)[48]は,厚生省の『所得再分配調査』を利用して,
1966年∼1980年にかけての所得税負担の業種問格差を推言十している。この推
計では,給与所得世帯の直面する租税関数を求め,それを自営業世帯と農業世
帯に適用することによって算出した税額と実際の税額を比較する方法をとり,
この比率が約7割になっていることが示している。
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一橋研究 第31巻3号
このようにミクロデータによって業種間の税負担格差率を求めたものが特徴
となっており,叉1966ん1984年に「クロヨン」に近い状態が存在することが
証明されている。
」方,林(1987)[コはミクロの統計データを積み上げることによって,事業
所得,農業所得,給与所得の総額幸推計し,これを基準として,税務当局によっ
て捕捉されている所得との比率を算定したものがある。そして,所得捕捉率に
ついては,営業所得,農業所得ともに近年改善の傾向は見られるもののユ987
年では依然として10:6:2程度の開きがあり,包括的所得税の原則に立つかぎり
不公平が解消されているとはいいがたいと指摘してい乱
また,大平(1998)[]は,石(1981)[],本問・井堀・村山(1984)[コ,林
(1987)[]など実証分析をもとに最新の統書十データを使用することにより「ク
ロヨン」の存在を明らかにするとともに,現行の所得税制のべ一スがどのよう
なものであるかを考察している。そして,捕捉率格差の存在に関して,これま
での研究者はどのような見解をしているか要約している。
石[]は「もしクロヨンもしくはそれに近い状態がそれに近い状態が現に存
在するとするなら,やはり徴税機構を強化し不正防止にっとめねばならないと
思う。」林は「納税者のモラルの向上と厳密な所得調査の実施が必要である。
更に,消費税を税額票方式にすることによって所得の正確な捕捉に利用するな
どの制度的な改善策を図ることをも考えられる。」という倫理的で常識的な判
断を示している。又,本間[]は(1)所得発生パターンが異なるとき(2)
所得に不確実性が存在するとき(3)所得の弾力性が異なるとき(4)所得の
発生形態が異なる4つを論拠の場合を想定して「(1)の観点から給与所得が
年功序列制度を反映して相対的にライフ・サイクルの後半に自営業所得や農業
所得よりも集中するとすれば,包括的所得べ一スでの課税方式は給与所得者を
有利化する。(2)と(3)の観点から自営業所得や農業所得の方が変動的・弾
力的であるとすれば,包括的所得税ではなくて給与所得により重課するほうが
望ましい。更に(3)と(4)の観点から資源配分め効率性・経済成長の促進・
徴税コストの縮減あるいは脱税誘因等を考慮に入れるならば,包括的所得べ一
スの課税方式の徹底はかえって経済社会の厚生低下にっながりうる。」とある
程度クロヨンを容認していると解釈できる。と要約しており,意見の分かれる
ところであるがその対策は急務であることを述べている。
本邦の租税に関する文献的一考察(I)
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これは,所得税の業種間格差をどのように捉えるべきか意見がそれぞれ異なり
再考させられるように思われる。
W.「中立」の原則と「公平」の原則
一「広く,うすく」課税の定着(1992−2000)期間の考察
この時期においては1980年代から租税研究の新しい動きである最適課税論
の展開によりわが国においても研究活動が盛んになっていく時期でもある。
1980年代中頃から一般均衡モデル分析の研究が橋本(ユ985)をはじめ行なわ
れるようになる。一般均衡分析は,課税というインパクトの加わる前後の一般
均衡状態を比較することによって,税のもつ経済効果の抽出を可能にしたもの
であった。その後本間(1986)[コ,大竹・福重(1987)[],本問・跡田・井堀・
中(1987)[コ,本間・斉藤・跡田・橋本(1988)[コと研究活動が盛んになって
いく。
以下表6においては,主な最適線型所得税のシミュレーション分析に関する
ものを取り上げ効用関数型,取り扱いデータをまとめたものである。一般的に
はCES型効用関数を採用している論文が多い傾向になっている。取り扱いデー
タにおいては『家計調査年報』を中心に『貯蓄動向調査報告』『国民経済計算
年報』なども取り扱われている。また,小西[]のSton・一G…yu出ワf・n・d㎝,
上村[]のn・st・d CES u仙ty fun・せ㎝などの関数型も伺うことができた。今後
はこれらの比較についても検討する必要があるように思われる。
表6 主な最適線型所得税のシミュレーション分析に関するもの
【論文】 【効用関数型】 【データ】
橋本(1985) 「CES uti1ity function」「家計調査年報』既存分析データを使用
本問・跡田・井堀・中(1987〕「CES utility function」 昭和42年,47年,52年,57年度『家計調査年報』
小西(1993)「LES uti1ity function」 『税制統計からみた給与所得の実態」(昭和59年)
r税制統計からみた申告所得税の実態」(昭和59年)
小西(1993)「Stone−Geary uti1ity functlon」『家言十調査年報』
上村(1997)「nested CES uti1ity function」『家計調査年報』『貯蓄動向調査報告」
「国民経済計算年報」(いずれも平成5年)
班=著者作成によるもの
一橋研究第31巻3号
60
ユ990年代においてはわが国においてパーソナルコンピュータの性能が著しく
向上した背景もあったか,所得税に関するシミュレーション分析の研究活動が
盛んになってくる。特徴としてはひきつづき1980年代中ごろから行われた最
適線形型所得税のシミュレーション分析が中心とはなっているが所得控除を取
り入れた分析など異なる手法を用いたものが見られるようになっている。
そこで,主な所得税に関するシミュレーション分析を取り上げでまとめてみ
たものが下の表8である。
表8 主な所得税のシミュレーション分析に関するもの
【論文】 【テーマ】
日]近(1983) 「ソヤトウ・プライスの二つの理論 最適課税理論と国際
貿易理論 」
小西(1985) 「最適線型所得税と等税収曲線」
橋本(1985) 「最適線型所得税のシミュレーション分析」
本間(1986) 「税制改革のシミュレーション分析」
大竹・福重(1987) 「税制改革案の所得再分配効果『全国消費実態調査』に
よるシミュレーション分析」
本間・斉藤・跡田・橋本(1988)「税制改革のシミュレーション分析」
橋本(1989) 「税制改革の計量分析」
小西(1992) 「労働供給に制約がある場合の最適課税問題一rationing
の理論を応用した実証分析」
小西(1993) 「脱税を考慮した最適線型所得税の実証分析」
小西(1994) 「税の負担感を考慮した最適課税分析と最適直間比率一
定額税VS所得税,所得税VS一般間接税」
橋本(1994) 「個別所得課税の改革と具体的シミュレーション」
上村(1997) 「∵般均衡モデルによる最適線形所得税のシミュレーショ
ン分析」
田近・後藤(1998) 「報酬の一部がフリンジ・ベネフィットである場合の最
適線形所得税」
田近・古谷(2002) 「所得税改革のマイクロ・シミュレーション」
温=著者作成によるもの
以下時系列に沿って概観していく。
本邦の租税に関する文献的一考察(I)
61
田近(1983)[コは,最適課税論にもとづいてプロジェクト評価におけるシャド
ウ・プライスの導出を試み,最適課税理論は,国際貿易理論よりもより一般的
なプロジェクトを扱っていることを示唆している。
そして,橋本(1985)[]は,効用関数を特定化しシミュレーションを行なう
ことで最適線型所得税体系が社会的厚生関数を最大化しているかどうかを検討
している。また,小西(1985)[コは,最適線型所得税の基本的な理論構造を概
観し,等税収曲線を用い所得税の累進度と労働供給等を図解分析を行い線形所
得税を扱ううえで有効な分析手段になりうることを示唆した。
一方,大竹・福重(1987)[]は,『全国消費実態調査』によるデータを用いマ
イクロ・シミュレーション分析を試みている。そして,税制改革はフラット化
させる傾向にあることを示唆している。
その他,田近・佐藤(1998)[]は,労働と消費の選択しか扱ってこなかった
これまでの最適所得税の議論に一般財とフリンジ・ベネフィットの選択を導入
したシミュレーション分析を行なっている。そして,最適所得税をめぐる議論
の本質を,余暇と消費の代替の弾力性に押し込めてしまうことには,所得税の
現実からみて大きな問題があることを指摘している。
また,田近・古谷(2002)[]は,国民生活基礎調査の個票データを使って配
偶者控除問題についてマイクロ・シミュレーション分析の結果を示すことを目
的としているとこの分析の特徴は所得控除をモデルにとりいれている点であり,
配偶者控除・特別控除を伴う現行税制は,既婚女性の労働供給には大きな阻害
効果を持たないことを指摘し,配偶者控除,特別控除の廃止は,所得税の税
収全体に与える効果として,9.4%増加させると指摘している。そして,マイ
クロ・シミュレーションによる研究蓄積の少ない社会保障の分野における有効
な分析手法になることも示唆している。
参考文献
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本邦の租税に関する文献的一考察(I)
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[51]本間正明・跡田直澄(1985)「所得税負担の業種間格差の実態再論」『大阪
大学経済学』
[52]本間正明(1986)r税制改革のシミュレーション分析」政策構想フォーラ
ム研究報告シリーズ,No.4
[53コ本間正明・跡田直澄・井堀利宏・中正之(1987)「最適税制」『経済分析」
第109号
[54コ前田高志(1980)「所得税のインフレ調整をめぐって」「関西学院経済学研
究』第13号
児:本稿作成にあたり文献検索・整理に関して一橋大学付属図書館の方々に有
益なアドバイスをいただいた。
また国際・公共政策大学院の普段の演習を通じ実務家の立場(北村明仁氏
(財務省から派遣中),大野有生氏,日高大開氏(国税庁から派遣中),坂本紀代
美氏(経済産業省から派遣中))から意見を聞く機会があったことは幸運であっ
た。大変刺激的で筆者の視野を広げてくれるとともに本稿作成の参考になって
いる。
多くの関係者の方々には深く御礼申し上げたい。もちろんあり得べき一切の
誤謬は著者に帰するものである。