有機触媒型制御重合による高機能色彩材料の開発 キーワード 有機触媒を用いたリビングラジカル重合(有機触 期的な高分子分散剤として、多岐に亘る産業用途 媒型制御重合、以下本重合法)の重合性能を向上 に利用可能となる(図 2) 。また、本重合法に適し させて、多彩な機能性高分子の低コスト製造法を たパイロットプラントの設置(図 3)と製造実証、 確立した(図 1)。本重合法で合成可能なブロック 用途に応じた重合体の構造設計を経て、ナノ粒子 共重合体は、顔料などの極めて凝集しやすいナノ を液媒体に高度に微分散させた分散体などの実用 粒子を、液体や樹脂に対して微細に分散できる画 化に成功した。 図3 製品化 図1 有機触媒、制御重合、リビングラジカル重合、色彩材料、微分散、ナノ粒子、顔料、高分子分散剤 ナノ・材料 プロジェクトリーダー所属機関 大日精化工業株式会社 研究責任者氏名・所属 後藤 淳 京都大学 有機触媒型制御重合 アルキル-ヨウ素 Aモノマー Aモノマ 触媒 Bモノマー 分子量を揃える ブ ブロック共重合体 ク共重合体 入手容易で安価な有機分子 図1 図2 ブロックポリマー型分散剤 液体・樹脂への溶解・相溶成分 ナノ粒子結合成分 ナノ粒子分散体 ・顔料 ・機能性微粒子 図3 図2 期待されるインパクト (効果、意義、市場規模、売り上げ予測) 本重合法は、触媒として汎用の有機化合物を使用することで、コスト面において有利であり、さらに、様々な機能性 基を付与できることから、対応可能な用途が多く、産業への普及性、汎用性が高い。この本重合法の機能性高分子へ の適用と円滑な工業化への移行によって、色彩材料(色材)だけでなく、IT・環境・エネルギー分野などの幅広い製 品市場への展開が期待でき、我が国の産業の発展に大きく寄与できる。経済的価値として大日精化工業は、本重合法 による関連製品の年間売上額数十億円以上を目指す。 支援タイプ シーズ育成タイプ 支援期間 平成23年11月~平成27年3月 課題概要 有機触媒型リビングラジカル重合を基盤とした高性能高機能色彩材料の開発 本研究開発の目的は、研究責任者が開発した、有機触媒型制御重合(シーズ)を、色材開発の中核技術として確立し、世界市場で優位性と競争力のある色材 製品を開発することにある。本重合法により、色材分野のキーテクノロジーとなる、顔料などのナノ粒子を高度に微分散可能な最先端の高分子分散剤や各種の 高分子機能剤が低コストで合成可能となり、それらの高分子の開発、本重合方法に適した試作重合釜の設計・設置、製造技術開発と色材製品への応用を図る。 【出願、公表論文、受賞一覧】 知的財産権 リビングラジカル重合触媒および重合方法 PCT/JP2012/005336(2012.8.24) 国立大学法人京都大学 顔料着色剤組成物、カラーフィルター用着色剤、高分子分散剤及び該高分子分散剤の製造方法 特願2012-74712(2012.3.28) 国立大学法人京都大学 大 日精化工業(株) 学術論文 Reversible Generation of a Carbon-Centered Radical from Alkyl Iodide Using Organic Salts and Their Application as Organic Catalysts in Living Radical Polymerization J. Am. Chem. Soc. 11131-11139頁, 135巻, 2013年 A. Goto, A. Ohtsuki, H. Ohfuji, M. Tanishima, H. Kaji Living Radical Polymerizations with Organic Catalysts Book “Fundamentals of Controlled/Living Radical Polymerization” 250-286頁, 第7章, 2013年 A. Goto, Y. Tsujii, H. Kaji 36
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