松本労働基準監督署 冬季特有災害の代表格ともいえるのが「転倒」災害。 松本署管内で過去 10 年間(平成 16 年 11 月 1 日∼平成 26 年 10 月 31 日)に発生した休 業 4 日以上の労働災害のうち「転倒災害」を発生月別にみると、 「1 月」 「2 月」に転倒災害 が著しく発生しており、その半数以上が「凍結・積雪等」に起因しています。 月別・転倒災害発生件数 140 120 100 50 54 80 凍結以外 60 40 凍結による転倒 57 78 60 74 52 20 50 55 64 60 64 20 51 58 15 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 「転倒災害」を発生時間別でみると、一般的な転倒災害が「9 時台から 11 時台」に集中し ていることに比べ、凍結・積雪等に起因した転倒災害は早朝「4 時台から 11 時台」までの比 較的広範囲にわたって多発しており、また朝方「7 時台から 8 時台」を中心とした一つ目の ピークのほかに「16 時台」を中心とした夕方時間帯にも小さなピークができています。 発生時間別・凍結以外件数 90 80 70 60 50 40 30 20 10 発生時間別・凍結による転倒件数 25 20 15 10 5 「転倒災害」を被災者の年齢別・性別でみると、一般的な転倒災害は「50 歳代」 「60 歳代」 0 の女性労働者が多くを占めていることに比べ、凍結・積雪等に起因した転倒災害は「50 歳代」 「60 歳代」の男性労働者が多く被災しています。 0 一般的な転倒災害は 50∼60 歳代の女性が多く、凍結・積雪等に起因した転倒災害は 50∼ 60 歳代の男性に多く発生している傾向があります。 「転倒災害」を業種別でみると、一般的な転倒災害は「製造業」 「商業」等で多発しており、 凍結・積雪等に起因し た転倒災害は「商業」 「運輸交通業」で多発 しています。 なお、凍結・積雪に 起因した転倒災害のう ち「商業」で発生した 47 件のうち、およそ 6 割の 28 件が「新聞 配達」において発生し ています。 災害発生時の行動タイプ別でみると、運輸・新聞配達・郵便業務等における「配達作業時」 に発生したものが 57 件(30.8%) 災害発生時の行動タイプ別発生状況 送迎時 で最多、次いで「事業場敷地内」 10, 5.3% スキー場 (タクシー、 13, 7.0% を移動中や除雪作業時等の転倒が 福祉事業等) 41 件(21.9%)、「出退勤時」に 配達作業時 仕事先 57, 30.5% 駐車場等における転倒も多く 29, 15.5% (工事現場、 取引先等) 37 件(19.8%)発生しています。 37, 19.8% 出退勤時 41, 21.9% 事業場敷地内 災害発生時の気温別にみると、「氷点下 1 度未満∼氷点下 4 度以上」で最も多く発生して います。 また、氷点下に至っていなくとも「気温 4 度未満」になると急激に発生件数が増加してい ることがわかります。 (※災害発生時の気温は最寄りのアメダスポイントの観測データによる) ①「1 月」「2 月」は要注意 ②「早朝から昼前まで」と「夕方」の時間帯は要注意 ③「50 歳代」「60 歳代」の労働者に多発傾向あり。特に男性労働者は注意。 ④「配達作業」等の屋外型業務は要注意。 ⑤「氷点下」時には転倒災害多発。 ⑥「気温 4 度未満」で氷点下に至っていなくとも転倒災害発生リスク上昇。 ① 凍結することが予想される場所には、凍結防止剤を散布すること。 ② 凍結した通路等には砂を撒く等の滑り止めの措置を講ずること。 ③ 作業面や通路等の水たまりや氷は放置しないこと。 ④ 作業面や通路等は除雪し安全通路を確保すること。 ⑤ 屋外に通じる階段には滑り止めを設けること。 ⑥ 転倒のおそれのある場所では、ポケットに手を入れたまま歩行しないこと。 ⑦ 歩行しながらの携帯電話の画面操作は避けること。 ⑧ 作業前にラジオ体操等によるウォーミングアップも効果的であること。 「危険の見える化」とは、職場の危険を可視化(=見える化)し、全員で共有することで す。凍結等による転倒の恐れがある場所も「見える化」によって理解していれば慎重に行動 できます。 凍結等による転倒事故防止の「危険の見える化」事例 ◆凍結転倒事故「危険マップ」を作成し、職場内に掲示・配布する等により周知する。 ◆凍結等により滑りやすい場所には「表示板」を設置する等により注意喚起する。 危険マップの例 表示板の例 屋根からの落雪危険、立入禁止 N 工場棟 渡り廊下通行時、凍結に注意 凍結のため通行禁止 事務所棟 倉庫 P P 除雪済 P 通行可 P P P 駐車場 P P 凍結による P 転倒事故多発 P P P 転倒注意‼ 凍結により足元が 滑りやすくなって います‼ ①気象注意報・警報に十分注意し、悪天候時の屋外作業は中止すること。 ②寒冷な作業環境下での長時間労働は避けること。 ③事務室や休憩施設等の屋内環境において石油ストーブ、ファンヒーター、炭火等による暖 房器具を使用する場合には、一酸化炭素中毒防止に留意すること。 ④屋根上の積雪や軒先のツララ等が落下する危険のある場所への立入を禁止すること。 ⑤防寒着のフード、袖、裾等が突起物等に引っかからぬよう、適切な服装に留意すること。 (フードを使用しない場合は、背中に垂らさず襟内等に収納してしまうこと。着脱可能な フードであれば取り外してしまうことが望ましい) ⑥出勤時および帰宅時の転倒災害や交通事故が多いことから、時間に余裕をもって通勤する ことが望ましい。また冬季は日没時刻が早まることから、屋外駐車場等に照明設備を設置 したり、照明器具を携行する等の対策も有効であること。 MSF In the winter Matsumoto Safety First Winter Campaign December 2014 – March 2015
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