ご挨拶 一般社団法人 プラスチック循環利用協会 会 長 浅野 敏雄 平成 27 年の年頭に当たり、謹んでご挨拶申し上げます。 当協会は名称を「社団法人プラスチック処理促進協会」から現在の「一般社団法人プラ スチック循環利用協会」に改め、二度目の正月を迎えることになりました。 この間に、当協会の活動にも深く関係する国内外の大きな動きがありました。 政府におかれては、一昨年 5 月に第三次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定しまし た。この計画では、これまでの循環の「量」に着目した取組に加えて、循環資源の高度利 用といった「質」にも着目した取組を進めることとされました。そして「質」に着目した 循環型社会の形成のための取組の一つとして、製品の原料採取,製造,使用,廃棄に至る までの環境負荷を計算し、資源の削減効果等への影響度も評価する、すなわち、LCA(ラ イフサイクルアセスメント)の観点を重視することが示されています。 また、昨年 11 月には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書統合報告 書が公表されました。この報告書では、人為的な温室効果ガスの排出による気候変動の現 状及び今後の見通しについて最新の知見が参加国のコンセンサスでまとめられ、地球温暖 化対策のための様々な議論に科学的根拠を与える重要な資料となっています。 プラスチックは、その使用により省エネルギーや温室効果ガス発生抑制に大きな効果を もたらしていますが、使用後もその循環利用を図ることで、環境負荷と社会コスト両面の 低減化に貢献することができます。また、循環利用を進めれば、廃棄量削減とその結果と しての埋め立て処分場延命というローカルな問題への対処も可能となり、ひいては地球温 暖化問題への対応といったグローバルな観点からの寄与につなげることもできます。 我が国の廃プラスチックの有効利用率は、毎年着実に上昇し、昨年 12 月、当協会が公表し た 2013 年「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」 (フロー図)に よれば、市民の皆様、国、自治体そして各業界関係者の方々の不断のご努力・ご尽力によ って、廃プラスチック有効利用率は前年比 2 ポイント増の 82%となりました。この数値は 世界でもトップクラスに位置付けられるものです。 当協会では、LCA基礎データの提供、LCA評価をフロー図の作成とならぶコア事業 と位置付けています。フロー図で示される量的側面からの有効利用率の向上が質の面でど のように環境負荷の削減に寄与するか検討を行い、この一年では「『プラスチックのマテリ アルフローのLCA分析精度向上』に関する調査研究報告書」を公表しました。また、昨年 末に発行したフロー図の最新版ではその成果を取り込んで公表することができました。さ らに、これまでの長年にわたるフロー図の積み重ねを「マテリアルフロー図の見方、デー タの変遷」という小冊子にまとめ、広く一般の方にご理解を得られるようにしています。 容器包装リサイクル法の見直しについての政府の審議会での議論が交わされており、こ れはプラスチックの循環利用に関わる者にとっての主要な関心事の一つになっています。 本年その取りまとめがなされることになっていますが、循環型社会形成に結びつく適切な 指針・方策が示され、容器包装プラスチックの効率的、合理的な循環利用がさらに進展す ることを期待します。当協会といたしましては、プラスチック容器包装の排出後だけでな く、使用段階も含めたライフサイクル全体での環境負荷削減効果について科学的に評価す るため、 「プラスチック製品(食品容器包装)の環境負荷削減貢献のLCA評価の調査研究」 にも着手しています。 また、環境教育・環境学習推進の一助として、プラスチックリサイクルに関する啓発資 料を作成・配布するとともに、学校、地域などで、プラスチックのリサイクルに係る教育 支援活動(出前授業、出前講座等)を積極的に進めています。その一環として、昨年から、 同様の活動に取り組んでいる日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、塩ビ工業・ 環境協会と「プラスチック教育連絡会」を立ち上げ、教育支援活動の連携の強化を図るこ とといたしました。これに加え、新たにLCAをより理解してもらうための教材(副読本) の作成にも取り組んでいます。これは、大学で環境学の講座を担当されている先生からの 「LCAを教えるための適当な教材がない」とのご意見・ご要望を踏まえたもので、プラ スチックを事例として採りあげることで、LCAの観点からみてのプラスチックの有用性 を伝えられるものにしたいと思っております。 当協会は、本年も「廃プラスチックの循環的な利用に関する調査研究等を行い、プラス チックのライフサイクル全体での環境負荷の低減に資するとともにプラスチック関連産業 の健全な発展を図り、もって持続的発展が可能な社会の構築に寄与する」という目的達成 に向けて全力を向けてまいりますので、会員企業並びに関係諸団体、報道関係を始め関係 者の皆様方には、今後とも格別のご支援、ご協力を賜りますようお願いするとともに、皆 様方のご健康とご発展を心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。 以上
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