各論 生涯学習~学校教育(PDF形式:620KB)

【宮古市教育振興基本計画】(案)
Ⅲ 各
論
第1章
生涯学習の推進
第1節
推進体制の充実
現状と課題
◎現状
心の豊かさや社会環境の変化への対応が望まれるなか、生涯を通じていつでも、
どこでも、だれでも、自分に最もふさわしい方法で、自由に学習機会を選択して学
ぶことができ、その成果が適切に地域の発展や社会参加活動に生かされる生涯学習
環境の整備が求められています。
◎課題
少子高齢化や高度情報化、グローバル化の進展や科学技術の進歩、市民の意識や
価値観の多様化などによって、高度化する市民の学習要求への対応が難しくなって
きており、学習ニーズに応えるため、社会教育関連施設間の事業の調整を図りなが
ら、関係機関、団体、民間等との連携・協働を進め、様々な分野において学習活動
を活発に行うことのできる推進体制を充実する必要があります。
また、自発的、主体的な学習は、興味や関心があって成り立つものであり、市民
一人ひとりが継続的な学習を通じて、自己実現を図ろうとする意欲を喚起する必要
があることから、生涯学習の振興のためには、学習意欲の喚起とともに、意欲を活
動へ結びつけることが重要です。
さらに生涯学習は、相互学習であることから「ひとづくり」は重要な課題であり、
参画と協働のまちづくりを進めるため、生涯学習で得られた知識や技術をボランテ
ィア活動や地域づくりに生かすなど、地域の中で相互に教え、学び合う環境の整備
が求められています。
施策
(1)生涯学習推進体制の充実
生涯学習を推進するために設置した「宮古市生涯学習推進本部」や「宮古市生
涯学習推進会議」が中心となって、行政、市民、団体及び関係機関と連携し、総
合的な取り組みを推進します。
(2)生涯学習の普及奨励
市民の生涯学習への理解を深めるため、生涯学習の必要性や学ぶことの楽しさ
を伝える広報活動を充実させ、学習活動への参加を奨励します。
また、学習意欲をより一層高めるため、学習した成果を発表できる場の拡充を
図ります。
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(3)学習情報提供・相談体制の充実
市民の自主的、自発的な学習活動を支援するため、「みやこ市民カレッジニュ
ース※1」や「生涯学習まなびガイド※2」等を通じて、各種生涯学習情報を提供す
るとともに、学習機会や学習の場に関する相談体制の充実を図ります。
(4)人材の育成と成果の活用
生涯学習の指導者の育成を図り、その成果の活用を推進するとともに、経験及
び専門知識を有する指導者を登録し、市民及びグループの要請に応じて適切な指
導者を紹介します。
また、市民が地域の歴史や文化、環境、行政などについての理解を深め、地域
づくり活動への参画を進めるため、地域の人材育成と活用を推進します。
さらに、市民が学んだ知識や技能などの学習の成果を地域で活用するため、
様々な活動ができる各種ボランティアの育成や活動の支援を行うとともに、生涯
学習実践者などによる自主運営講座の拡充を図ります。
第2節
生涯学習環境の整備
現状と課題
◎現状
生涯学習を推進するためには、市民の多様な学習活動の場が必要となります。
本市では、公民館、生涯学習センター、地区センター、図書館、スポーツ施設等
の社会教育関連施設で、さまざまな学習活動が展開されていますが、これらの施設
の多くは、老朽化が著しく、改築や整備が必要な状況となっています。
また、東日本大震災により被災した施設もあります。
◎課題
施設を活用した市民の主体的な学習活動を支援するため、整備計画を策定し施設
の整備・充実を図る必要があります。
また、東日本大震災により被災した施設についても、早期の復旧が必要となって
います。
施策
(1)社会教育関連施設等の整備充実
市民の生涯学習活動の推進のため、生涯学習に関する情報提供及び学習機会の
提供を総合的、効果的に行うことができる、拠点施設の整備を進めます。
また、被災した施設の復旧や老朽化した施設の整備を計画的に進めるとともに
地区公民館の施設の在り方についても検討します。
※1 みやこ市民カレッジニュース
広く市民の参加を募る公民館等の各種講座等を掲載した情報誌。毎月1回発行。
※2 生涯学習まなびガイド
市内の学習グループ、指導者、活動団体等に関する情報をまとめたガイドブック。
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(2)図書館の整備充実
生涯学習活動支援の情報拠点施設として、ニーズに応じた図書館資料の整備を
図るとともに、移動図書館車による巡回貸出や施設等への団体貸出により、利用
しやすい環境づくりを進めます。
また、図書の紹介や図書館利用案内などの読書推進事業により、多くの市民が
読書に親しむ機会の拡大を図ります。
(3)施設間ネットワークの充実
市民がそれぞれのニーズに沿った学習活動を選択して行うことができるよう
に、社会教育関連施設のネットワークを充実させ、学習機会の総合的な調整を図
ります。
第3節
家庭及び青少年の学習活動の支援
現状と課題
◎現状
核家族化や少子化の進行など、家庭を取り巻く環境が大きく変化する中で、過保
護や放任等、家庭の教育力が問われています。
また、近隣の親同士の交流機会が減少し、子育てについて、不安や悩みを持つ親
が多くなっています。
家庭や地域社会が大きく変化する中、青少年の社会性の不足、倫理観や正義感の
欠如等も指摘されており、青少年の「生きる力」を育むための家庭や地域における
「こころの教育」の充実が重要となっています。
◎課題
子どもの発達段階に応じた親の学習機会をさらに充実させるとともに、関係機関
との連携を図りながら、家庭教育を支援する必要があります。
また、地域の自然、指導者、施設等を活用した青少年の多様な体験活動や交流機
会の充実、リーダー養成や指導者育成など、青少年の学習活動の一層の充実を図る
必要があります。
施策
(1)家庭教育の支援
家庭や地域の教育力の向上を図るため、関係機関や団体等との連携・協力のも
と、乳・幼児期、小・中学校期の子どもを持つ親等を対象に、子どもの発達段階
に応じた子育て、しつけ、食育などに関する家庭教育学級や各種講座を開設しま
す。
また、親子の相互理解を深めるため、自然体験活動や創作活動、スポーツ活動
などの交流機会の充実を図るとともに、未来の親となる中高生を対象として、命
の大切さや子育てに関する学習機会の提供を行います。
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さらに、家族形態の変化に対応した家庭教育の充実を図るため、家庭教育に関
する学習情報等の提供、子育ての不安や悩みに対する相談体制の充実に努めると
ともに、親同士の交流の場の拡大を図ります。
(2)青少年の学習活動の支援
主体的に学ぶ意欲に満ちた人間性豊かな青少年を育成するため、家庭、地域、
学校の連携を図り、教育振興運動に取り組むとともに、伝統文化の継承や世代を
超えた交流等、地域ぐるみの活動を支援します。
また、青少年の学校外活動を促進し、自立心の育成や社会的マナーを身につけ
させるとともに、郷土を愛する心や自然環境を大切にする気持ちを育むため、自
然体験活動、ボランティア活動、文化・伝統に親しむ活動等、体験的な活動機会
の充実を図ります。
さらに、放課後等の子どもが安全・安心に活動できるよう地域の活動拠点づく
りを推進します。
第4節
成人の学習活動の支援
現状と課題
◎現状
高齢化の進行やライフスタイルの変化などによる様々な生活課題を解決し、自己
実現を図るとともに、心豊かで生きがいのある人生を過ごすため、多くの市民が高
度で多様な学習機会を求めています。
一方、都市化等による地域の連帯意識の希薄化により、地域に根差した活動が停
滞し、地域づくりの中心的な役割を担うリーダーや指導者が求められていることか
ら、各種学習機会の提供を行うなど、地域グループや各種団体の活動促進及びその
指導者等の育成に努めています。
◎課題
関係機関、団体、民間等との連携や協力により、成人の多様化、高度化する学習
ニーズに応えるとともに、個人学習を支援するための情報提供を行う必要がありま
す。
また、高齢者が人生の中で培ってきた豊かな経験、知識や技術を活用し、積極的
に社会参加するための世代間交流事業など、様々な活動の場や機会づくりの支援を
進める必要があります。
施策
(1)多様な学習機会の充実
成人の多様化、高度化する学習ニーズに応えるため、高等教育機関、関係機関、
関係団体、民間等との連携・協働により、充実した各種学習機会の提供を行いま
す。
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(2)社会参加活動の促進
参画と協働のまちづくりという観点に立ち、住みよい豊かな地域づくりのため
に、成人の主体的な社会参加を奨励するとともに、市民の学習意欲と創意工夫を
活かした講座等の開設により地域づくり活動のリーダーを養成し、その活用を促
進します。
また、二十歳を迎える青年を祝い励まし、社会参加の意識を啓発するため、成
人式を開催するとともに、男女が社会の対等な構成員として、それぞれ多様な能
力を発揮し、社会のあらゆる分野の活動に共に参画するため、男女共同参画社会
に関する学習機会の拡充を図ります。
(3)高齢者の学習活動の支援
高齢者が、楽しく生きがいを持って、充実した生活を享受できるよう、関係機
関との連携を図りながら、「宮古市社会経験者大学※1」など、多様で高度な学習
ニーズに対応した学習機会の拡充を図ります。
また、地域における高齢者の身近な社会参加活動を支援するため、世代間交流
事業など、高齢者が学習により習得した知識や技能、幅広い経験を発揮できる活
動の場と機会の拡充を図ります。
第5節
生涯学習関係活動団体の支援
現状と課題
◎現状
従来から「社会教育」は、自治会、町内会、婦人会、青年団等の地縁組織といっ
た伝統的な地域コミュニティにより展開され、住民と行政をつなぐ組織・団体とし
て、生活に関する相互扶助、伝統文化の維持、地域課題の解決などの機能を果たし
てきましたが、少子化の進行や社会情勢が急激に変化する中で地域における人の繋
がりや連帯感、支え合い意識の変化に伴い、それぞれの団体の活動や運営も変化し
ています。
また、学習活動や地域づくり活動を行う団体に対する助言や支援により、自主的
な学習に取り組むグループは増加の傾向にあります。
◎課題
継続して、学習活動や地域づくりを行う団体への支援と自主学習グループの育成
を行う必要があります。
※1 宮古市社会経験者大学
市内に住む概ね 60 歳以上を対象とした、生活全般について学習する講座。
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施策
(1)生涯学習関係活動団体の支援
子ども会や婦人団体などの社会教育団体の組織の活性化を図り、自主的な実践
活動を促進するとともに、その活動を支援します。
(2)自主学習グループの育成
自主的に生涯学習活動を行うグループ等に対して、学習情報の提供や「講師派
遣事業※1」、「まちづくりふれあい講座※2」等による講師派遣のほか、各種学習相
談等の支援を行います。
※1 講師派遣事業
市民の生涯学習活動の普及、奨励を目的に、主体的な生涯学習活動を行うグループに講師を派遣
する事業。
※2 まちづくりふれあい講座
市政等に関する理解を深めてもらうことを目的に、市民グループ等が主催する集会等に市職員が
出向いて行う講座。
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第2章
学校教育の充実
第1節
確かな学力を育む教育の推進
現状と課題
◎現状
少子高齢化やグローバル化などが急激に進む時代にあって、人材育成の基盤であ
る義務教育は、子ども一人ひとりの能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生
きる基礎を培い、また社会人として必要とされる基本的な資質を養うことが求め
られています。
しかしながら、子どもの学力及び学ぶ意欲については、学習定着度状況調査の結
果等を見ても、学年の進行とともに低下する傾向にあります。
◎課題
子どもに学習面の基礎・基本をしっかりと身につけさせ、それを活用しながら、
自ら学び自ら考え、よりよく問題を解決する力などの「確かな学力」を育成する必
要があります。
施策
(1)基礎的な学習内容を習得させるための「わかる授業」の実施
学習指導要領※1 のもと、それぞれの子どもがもつ能力や個性を伸ばし、生涯
にわたって学習する基盤を培っていくため、基礎的な知識・技能の習得、「確
かな学力」の育成を目指します。
また、子ども一人ひとりの理解度に応じたきめ細かな指導や、観察と実験、
調査と研究、発表と討論などの体験的、問題解決的な学習を行い、基礎的な学
習内容を習得させるため「わかる授業」の実施に努めます。
(2)各教科や総合的な学習の時間における指導の充実
学習指導要領に示す内容が十分身についていない子どもには、繰り返し指導
することなどにより、基礎的・基本的内容を確実に習得できるようにし、既に
十分習得できている子どもには、習った内容についての理解をより深めたり、
更に進んだ内容について学んだりすることを可能にするなど、「学ぶ楽しさ」
を実感できる一人ひとりに応じた指導の充実を図ります。
また、総合的な学習の時間では、自然体験や社会体験などの体験的な学習、
問題解決的な学習を行う中で、教科等で学んだ知識の定着と、知識や技能を相
互に関連づけ、総合的に働くようにする「知の総合化」を図ります。併せて、
物事を多様な観点から論理的に考察する力、表現力、他者と協同するコミュニ
ケーション能力や問題解決能力等を身につけさせるよう努めていきます。
※1 学習指導要領
全国のどこの地域においても、一定の水準の教育を受けられるように、文部科学省が定める教育
課程(カリキュラム)を編成する際の基準。
「学習指導要領」では、小学校、中学校、高等学校等ご
とに、教科等の目標や大まかな教育内容を定めている。
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(3)学校ごとに創意工夫を生かした教育課程の編成
各学校が教育目標と内容を設定し、創意工夫を凝らした学習活動を実施する
ため、教育課程の編成のあり方を検討します。また、学社融合の考えをもとに、
地域の人材・資源を積極的に活用しながら学校教育の充実を図ります。
第2節
豊かな心を育む教育の推進
現状と課題
◎現状
近年、人間関係の希薄化や各種体験の減少などから、生命を大切にする心や思
いやりの心などの倫理観や規範意識、社会性の育成などが十分でないとの指摘が
なされています。このことから、学校、家庭、地域が十分連携を図りながら、子
どもの豊かな人間性や社会性を育む心の教育の充実が重要になっています。
幼児期は、幼稚園等において、幼児一人ひとりの発達に応じた集団生活の中
での主体的な遊びを通して、自立の心を育むなど、生涯にわたる人格形成及び
義務教育の基礎を培う大切な時期です。
小・中学校においては、人間として調和のとれた育成を目指して、子どもの発
達段階に応じた心に響く道徳教育を展開することとしており、道徳の授業をはじ
め、各教科、特別活動、
「総合的な学習の時間」、それぞれの特質に応じて適切な
指導を行い、学校教育全体で心の教育を推進していく必要があります。
また、子どもの豊かな感性や思いやりの心などを育む上で、読書活動には大き
な教育的意義があることから、学校における読書活動の推進が求められています。
さらに、国際化、我が国や他国の文化や伝統の尊重、環境問題、少子高齢化、
将来が不透明な社会などが重要な問題となっています。
◎課題
心の教育の一層の充実が図られるよう、道徳教育の内容充実、ボランティア活
動などの社会奉仕活動や自然体験活動をはじめ、様々な体験活動の推進、学校図
書館の充実と子どもの読書活動を推進することが必要です。
また、英語指導助手の効果的な活用により国際理解教育の充実を図るとともに、
コミュニケーション能力の向上や異文化を理解する資質や態度の育成を図る必
要があります。
さらに環境教育においても、将来を生きる子どもに対して、これらの問題に関
する正しい理解を深め、関心をもたせるとともに、環境保全に参加する態度及び
問題解決能力の育成を図る必要があります。
施策
(1)学校図書館の充実と読書活動の推進
学校図書館が、子どもの読書活動や資料整備、情報活用能力育成支援等の機
能を十分果たすよう、子ども読書活動支援員や学校図書館支援員を配置し、学
校図書館の読書環境の改善を進めます。
また、学校図書館の充実を図る中で、子どもが本に親しみやすい環境を作り、
自発的、主体的な学習活動を支援し、心身の健やかな成長を促します。
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(2)「道徳の時間」の充実
「道徳の時間」においては、善悪の判断や郷土を愛することなどについての
内容を充実するとともに、体験活動を生かした道徳教育の指導の工夫、副読本
の活用、地域の人々の積極的参加や協力などの取り組みを進めます。
(3)家庭、地域社会との連携
学校は、地域の教育・文化の拠点としての役割を担っていることから、家庭、
地域社会と連携した教育活動を積極的に展開します。その中で、道徳教育の意
義についての啓発活動や授業参観への取り組み、広報活動や相互交流の定例化
など、地域の教育や文化を共に創り育てる協力体制を築きます。
また、家庭、地域との連携によるボランティア活動、自然体験活動、郷土の
文化・伝統に親しむ活動等の中で、子どもが様々な道徳的価値に気づき、考え
を深める指導の充実に努めます。
(4)国際理解教育の推進
小学校では、外国語活動を通して、英語等によるコミュニケーション能力
を育成するため、外国語指導助手を有効に活用するとともに、小学生向けに国
が作成したテキストを活用した指導の充実を図ります。
中学校では、時間の大半を英語を用いてコミュニケーションすることがで
きるような授業を展開するため、外国語指導助手を有効に活用するとともに、
研修等を通じて英語担当教員の資質向上を図ります。
また、外国語指導助手とのふれあいや「みやこ・イングリッシュ・キャン
※1
プ 」の実施を通して、英語を用いてのコミュニケーションの機会の拡大と異
文化理解の充実に努めます。
さらに、各教科や総合的な学習の時間の相互関連をもとに、国際理解の学
びの広がりや深まりを目指します。
(5) 環境問題に関する理解と態度の形成
各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の相互関連性をもとに、諸調
査や体験活動を通して、地域の優れた環境の価値について知識を深めるととも
に、環境を守り育む心と感受性の形成に努めます。
※1 みやこ・イングリッシュ・キャンプ
外国人や同世代の仲間との交流を通して、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的に英
語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育成することを目的に、小・中学校に派遣されてい
る外国語指導助手の指導の下、英語だけで1日を過ごす活動。
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また、学校と家庭、地域社会の連携のもと、地域の清掃活動や廃品回収等、
環境への悪影響を減らすための暮らしの見直しや環境保全等のボランティア
活動への参加を促進し、環境保全について「できるところから始めよう」とす
る態度の育成に努めます。
(6) キャリア教育※1 推進体制の整備
子ども一人ひとりの勤労観、職業観を育てるために、子どもの発達段階に応
じた組織的、系統的なキャリア教育を推進します。そのため、学校、家庭、産
業界、関係行政機関等が一体となってキャリア教育を推進する体制の構築とそ
の機能の充実を図ります。
(7) 啓発的な体験活動の推進
職場体験や就業体験は、生徒が教師や保護者以外の大人と接する貴重な機
会です。自他の理解や適切なコミュニケーションを可能にする人間関係形成能
力、進路や職業等に関する情報収集とその活用にかかわる情報活用能力、仕事
上の役割や意義を理解し、自己実現のための計画を立て実行する将来設計能力、
主体的判断や課題解決に取り組む意思決定能力などの形成を促進します。
(8) 中学校における進路指導の充実
生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識を持ち、自分の意志と
責任で進路を選択・決定する能力・態度を身につけることができるよう、学校
の教育活動全体を通じ、計画的、組織的に支援します。
そのため、中学校においては、学校としての全体計画と個々の計画を策定
し、生徒の能力や適性、興味や関心、将来の進路希望などに基づき、第 1 学年
から計画的かつ一貫性のある進路指導を行います。
(9) 幼児教育の充実
幼稚園や保育所と小学校がそれぞれの役割を明確にし、長期的な展望に立っ
て教育活動を行うことができるよう相互理解や連携を深めるともに、特別支援
を必要とする幼児への相談、指導の充実に努めながら、小学校への円滑な接続
を図ります。
※1 キャリア教育
将来、子どもが社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生
き方を実現するための力を育成する教育。
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第3節
健やかな体を育む教育の推進
現状と課題
◎現状
人間が発達・成長し、創造的な活動を行っていくために、たくましく生きるた
めの健康や体力は、必要不可欠なものです。これらは、人間が知性を磨き知力を
働かせていく源であるとともに、生活を営むうえでの気力の源でもあり、体力、
知力、気力が一体となって人間としての活動が行われます。このように、人間の
あらゆる活動の源となる、たくましく生きるための健康や体力を子どもの時期に
しっかりと身につけていくことは、子どもの将来にとって大変重要です。
特にも、東日本大震災により被災した地域においては、体育施設や校庭等の活
動場所が制限されていることや、登下校におけるスクールバス等の利用なども影
響し、「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果が思わしくなかったこと
から、一層の体力づくりが求められます。
また近年、子どもの食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、偏った栄養摂取
や睡眠不足等による朝食欠食など、食生活の乱れや肥満傾向の増加などが見られ
ます。成長期にある子どもにとって、健全な食生活は健康な心身を育むために欠
かせないことから、極めて深刻な状況にあります。
また、食品の安全性についての関心が高まる中で、食に関する学習を通じて、
食品の品質や安全性について正しい知識・情報に基づいて自ら判断できる能力を
子どもに身につけさせることが必要となっています。
◎課題
子どもの体力向上のため、個々の発育状況を見極めながら、学校教育活動及び
部活動等を通じて基礎体力づくりを推進する必要があります。
また、家庭や健康教育関係者と連携を図りながら、日常生活において適切な健
康維持に関する実践を促し、生涯を通じて健康、安全で活力ある生活を送るため
の基礎を培う必要があります。
小・中学校においては、生涯にわたり健康で活力ある生活を送る基礎を築くた
め、学校給食で正しい食事のあり方や、よくかんで好き嫌いなく食べるといった
望ましい食習慣を身につけさせるなど、自らの健康を管理できるように食育を推
進するとともに、食後の歯みがき、定期健康診断の事前及び事後の指導を徹底し、
自らの健康に関心をもたせるなど学校保健の充実を図る必要があります。
施策
(1)基礎体力づくりの充実
「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果などをもとに子どもの実態
を把握し、その発達段階に応じた合理的な実践を通して、積極的に運動に親し
む資質や能力を育てるとともに、自らの体力や技能の向上に関心をもたせ、子
どもが体を動かす楽しさや喜びを実感できるように努めます。
また、東日本大震災の影響やスクールバスの利用等により、運動時間や量が
減少している子どもに対しては、創意工夫し適切な運動の確保を図ります。
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(2)部活動の充実
運動部において、児童生徒数の減少により単独校によるチーム編成ができな
いことや専門的知識をもった指導者が不足していること等により、十分な活動
ができない状況にあることから、「宮古・JHS・パワーアップ作戦事業※1」
等を通して、複数の学校でチームを編成する複数校合同の運動部活動により、
部活動の充実を図ります。
また、運動部活動と地域スポーツクラブとの連携による外部指導者の活用の
あり方などを模索し、部活動や競技力の充実に努めます。
なお、部活動のねらいは、望ましい集団活動を通した心身の健全育成である
ことを基本にすえ、勝敗にこだわりすぎて子どもや保護者への負担を増やすこ
とのないよう、休養日の設定などに配慮します。
(3)学校保健の充実
肥満や生活習慣病の兆候など、子どもの疾患の多様化に対応するため、日
常の健康観察を重視するとともに、事後指導を含む定期健康診断の適切な実施
によるきめ細かな保健管理を徹底します。
また、薬物乱用、性に対する誤った理解や行動※2、いじめや不登校など、心
と体の健康問題が深刻化していることから、「自分の健康には自分で責任をも
って行動する」という意識を醸成するために、保健室における相談活動や学校
保健委員会活動の活発化をはじめ、学校医、家庭、地域、関係機関と連携し、
学校保健や健康教育の充実を図ります。
なお、性教育は、「生」教育であることを踏まえ、子どもの発達段階に応じ
て科学的知識を理解させるとともに、これに基づいた望ましい行動が取れるよ
う指導の充実を図ります。
(4)学校給食の充実
正しい食習慣の形成に寄与するため、子どもの発達段階や実態、地域の実情
に応じ、栄養のバランスの取れた食事を提供するなど、学校給食の充実を図り
ます。
また、教職員の研修会を通して、学校給食が食に関する指導の場、教職員と
子どものコミュニケーションや子どもたちの好ましい人間関係育成の場とな
るように努めます。さらに、地域の産業や文化に関心をもたせるため、食材と
して地域の農林水産物の活用を図ります。
※1 宮古・JHS・パワーアップ作戦事業
複数の中学校のクラブ活動において、地域の指導者を活用した練習や合同練習等を行い、クラブ
活動の充実を図るもの。
※2 性に対する誤った理解や行動
性情報の氾濫など、子どもたちを取り巻く社会環境が大きく変化してきていることによる、若年
層のエイズ及び性感染症や人工妊娠中絶が問題となっている。
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(5)食育の充実
食育は、各教科等に幅広くかかわるものであることから、あらゆる教育活動
を関連づけて、体系化された指導計画をもとに、栄養教諭の活用をはじめ、家
庭や地域、関係機関と連携しながら、その充実に努めます。
特にも、「早寝・早起き・朝ごはん」運動と連携を図り、基本的生活習慣の
形成と併せて、健全な食生活の指導に努めます。
第4節
特別支援教育の充実
現状と課題
◎現状
「特別支援教育」は、障がいのある子どもへの教育にとどまらず、障がいの有無
やその他の個々の違いを認識しつつ、様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会
形成の基礎となるものです。したがって、子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握
し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切かつ
必要な支援を行わなければなりません。
特別支援教育は、特別支援学級の有無に関わらず全ての学校で取り組んでいかな
ければならない教育であり、これらの取り組みが、子どもの将来に大きな影響を及
ぼすことを自覚し、常に認識を新たにしながら取り組むことが必要です。
◎課題
小・中学校においては、発達障がいを含め、増加している特別な支援を必要と
する子どもについて、
「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作成するこ
とが、また、教育委員会においては、必要に応じて学校に特別支援教育支援員を
配置し、学習や生活に必要な支援の充実を図ることが求められています。
施策
(1)専門性の高い支援体制の整備
より良い「個別の教育支援計画」の作成や子どもの理解と支援の方法に関
する研修を積極的に進めるほか、学校からの要請を受け、特別支援教育支援
員を配置するなど、支援体制の充実と質の向上を図ります。
(2)教育、福祉、医療等多方面との連携
特別な支援が必要な子どもの早期発見と的確な実態把握をするため、こど
も発達支援センターを中心に、教育、福祉、医療などの関係機関と連携し、
きめ細かな支援を行います。
さらに、幼稚園や保育所との連携を一層充実させ、就学前からの一貫した
支援体制の構築を図ります。
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第5節
相談・支援体制の充実
現状と課題
◎現状
震災直後は減少傾向であった不登校児童生徒数も、現在は増加傾向にあり、子ど
もの教育を考えるうえで大きな問題となってきています。
また、携帯電話やスマートフォン、ソーシャルネットワーク※1 の普及によりトラ
ブルに巻き込まれる可能性も高くなってきています。
これらの背景には、家庭や地域の養育力の変化、子どもの社会体験等の不足、急
速に進むインターネット社会など、子どもを取り巻く環境の変化と東日本大震災後
の家庭や地域の環境の変化などが複雑に絡み合っていると考えられます。
東日本大震災の影響を受けた子どもに対しては、学校やスクールカウンセラー、
医療機関等が連携し、心のケアを行っています。
◎課題
子どもの不登校や問題となる行動に適切に対処するためには、学校における相
談体制を充実させるとともに、家庭、地域、関係機関の連携による身近な相談体
制を整備していく必要があります。
また、子ども理解のための考え方、情報化社会の中でのモラルやマナーなど、
学校と家庭が一体となっての学びの充実を図る必要があります。
なお、東日本大震災でトラウマ※2 を受けた子どもに対しては、引き続き長期に
わたる心のケアを行っていく必要があります。
施策
(1)教育相談体制の充実
市が設置している教育相談員や適応指導教室指導員、県が設置しているスク
ールカウンセラー等が連携し、不登校や問題行動などの予防に努めるとともに、
それらの芽を早期に発見し、解消できるよう、子どもや保護者、教員等の関係
調整やアドバイスを行います。
また、東日本大震災で強い衝撃を受けた子どもに対し、家庭、学校、地域や
関係機関が連携して長期にわたる心のケアを行い、子どもたちが安心して学習
や生活ができるよう支援します。
(2)生徒指導体制の充実
いじめや不登校、問題となる行動等が発生した場合には、学校と各種相談員、
さらには外部機関が連携して早期の解決を図るための支援・指導体制を整備し
ます。
※1 ソーシャルネットワーク(SNS)
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(Social Networking Service)のこと。インターネッ
ト上でコミュニティを形成し、ユーザー同士が様々な形でコミュニケーションできる会員制サービ
ス。
※2 トラウマ
心の傷のこと。不安や恐怖などの一時的な感情と違い、心に傷がつきそれが残り続けること。
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また、幼稚園や保育所と小学校、小学校と中学校が連携することにより「小
1 プロブレム※3」や「中1ギャップ※4」等の子どもの不安や悩みの軽減や解消
に努めます。
第6節
教育環境の充実
現状と課題
◎現状
学校教育の充実は、その直接の担い手である教員の資質能力に負うところが極め
て大きく、これからの教員には、社会や経済が目まぐるしく変動するなか、子ども
一人ひとりが自ら考え、行動できる自立した個人として心豊かに、たくましく生き
抜いていく基礎を培う教育を行うことが求められています。
また、信頼される学校づくりを進めるためには、学校や教員が子どもや保護者の
尊敬と信頼を得られるような存在となることが不可欠です。
一方、地域に開かれ信頼される学校を実現するためには、保護者や地域住民の意
見や要望を的確に反映させ、それぞれの地域の特色を生かした創意工夫ある学校づ
くりを進めることが重要です。同時に、保護者や地域住民が、学校とともに地域の
教育に責任を負うとの認識のもと、学校運営に積極的に参画していくことも求めら
れています。
さらに、経済的な理由や地理的条件により就学が困難な子どもに対する支援は、
教育の機会均等などを図るうえで重要です。
なお、子どもの人口が減少し続けるなか、1学級のみの学年や複式学級が生じて
きており、学校の小規模化が進んでいます。
◎課題
教育職に対する強い情熱、教育の専門家としての確かな力量、総合的な人間力を
備えた魅力ある教員を確保、育成するなど、教員の資質向上が重要となっています。
そして、学校運営に対して透明性を高め、公平、公正に行われるようにするとと
もに、教育活動等についての情報公開や評価を通じて、家庭や地域に対して十分な
説明責任を果たす必要があります。
また、社会全体の教育に対する関心が高まっているなか、幼稚園への就園、高校
や大学等への進学を促進するため、私立幼稚園や園児の保護者に対する経済的支援、
高校や大学等に進学する者やその世帯に対する奨学金制度など、子育て支援に関す
る施策の充実が必要です。
※3 小1プロブレム
小学校に入学したばかりの1年生が、集団行動が取れない、授業中に座っていられない、先生の
話を聞かないなどの学校生活になじめない状態が継続すること。
※4 中1ギャップ
中学校に進学した際に、集団や学習、生活習慣等の変化により、学校生活にスムーズに適応でき
ないこと。
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さらに、子どもの学習環境の充実を図るために、適正な規模による活力ある多様
な教育活動を展開することが必要です。
施策
(1)教員の研修の充実
子ども一人ひとりに基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせるとともに、
子どもの「生きる力」を育むために、教員一人ひとりが、教科指導等に関する
専門的な知識、幅広く豊かな教養、実践的指導力を身につけることができるよ
う、教育活動の根幹にかかる研修の充実を図ります。
また、いじめや不登校、問題行動などを未然に防ぎ、適切に対処するため、
積極的に関係機関との連携を図り、社会からのニーズである復興教育、環境教
育、国際理解教育、情報教育及び総合的な学習の時間に関する研修や校内研究
のより一層の拡充を図ります。
なお、教員・学校の多様な研修ニーズに応じるため、宮古教育事務所、岩手
県立総合教育センター等の関係機関と連携しながら、校内研修会への講師派遣
を行うとともに、調査研究事業など教育研究所事業の充実に努めます。
(2)説明責任と学校評議員制度の活用
学校は、地域や子どもの実情に応じて主体的に創意工夫のある教育活動を展
開し、自主的、自立的な学校運営を行います。
また、保護者や地域住民の参画しやすい環境を整えるとともに、学校評議員
制度の活用により、開かれた学校づくりを促進します。
さらに、教育活動の成果を検証すると同時に、住民参画に資する情報を共有
するため、学校は学校運営の状況について自己評価や外部評価を実施します。
(3)学社融合の推進
学校のあらゆる教育活動に対して地域の人材を積極的に活用し、教育活動の
充実や教育環境の整備を図るとともに、総合的な学習の時間における外部講師
や中学校部活動における外部指導者の活用等を通して、学校、家庭や地域が連
携した取り組みを進めます。
また、学校施設を積極的に地域に開放し、地域と学校の交流を進めます。
(4) 子どもが安心して生活できる環境の整備
子どもの登下校の安全を確保し、交通事故や不審者、自然災害などの被害者
とならないようにするため、スクールガードリーダーを中心に学校、家庭、地
域が連携するとともに、地域の大人が子どもたちを見守る環境を醸成します。
(5) 就学援助
保護者の経済的理由によって就学が困難な子どもに対し、適切に要保護者及び
準要保護者の認定を行い、学用品の給付など必要な就学援助を実施します。
また、宮古市奨学資金貸付制度の周知に努め、高等学校・大学等の高等教育機
関への就学を支援します。
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(6) 遠距離通学支援
学校の統合により遠距離通学となる子どもに対し、スクールバスの運行や公共
交通機関等への送迎委託を行うなど、通学時の安全な交通手段の確保を行います。
(7) 幼児教育への支援
幼児教育振興のため、私立幼稚園の運営に対する支援と、園児の保護者が負担す
る保育料等を助成します。
(8) 学校の適正配置
より良い環境のもとで子どもの教育を行うために、学校の適正配置計画に基づき
地域の意向に配慮しながら学校統合を進めるとともに、積極的な学校間連携を推進
します。
第7節
学校施設・設備の充実
現状と課題
◎現状
現代社会において、日常生活や経済などあらゆる活動のなかで、情報が果たす
役割や影響がますます高まっています。今後、高度な情報通信ネットワークが構
築される社会においては、将来を担う子どもの「生きる力」の重要な要素として、
入ってくる情報を処理して、的確に取り扱うことのできる「情報処理能力」「情
報活用能力」を育成することが不可欠です。
学校施設については、従来から施設の老朽化等を考慮し、計画的に整備を進め
ています。
◎課題
情報教育環境の整備を推進するとともに、子ども一人ひとりの情報活用能力を
向上させる必要があります。
学校施設については、少子化にともなう学校の適正配置を考慮しつつ、今後も
施設の安全・安心を図るため、計画的に整備していく必要があります。
施策
(1)コンピュータの整備・充実
学校教育における情報教育の充実や、各教科、総合的な学習の時間の「調べ
学習」「学び方学習」等を充実させるため、小・中学校へのパソコン・タブレ
ット端末等のICT※1 機器やデジタル教材の計画的な整備を進めます。
(2)教員研修の充実
情報化社会において、目まぐるしく変化する社会に対応できる子どもを育成
するため、コンピュータを操作し、指導できる教員の割合を 100%にする必要
があることから教員研修の充実に努めます。
※1 ICT
Information and Communication Technology の略。コンピュータやネットワークに関連する諸分
野における技術、産業、設備、サービスなどの総称。
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また、授業などにおいて効果的に情報通信機器を活用することにより、子ど
もの学習に対する意欲や興味、関心を高め、
「わかる授業」の実現に努めます。
(3)情報モラルの向上
インターネット上に流通する違法、有害な情報を子どもから遮断するととも
に、情報を発信する際のプライバシー保護や著作権の問題など、情報モラルに
対する学習を行い、その向上に努めます。
(4)計画的な学校施設整備の推進
学校施設の老朽化の度合い、児童生徒数の減少等を総合的に判断し、計画的
な施設整備を推進します。
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