11.ワークショップをやってみよう

3章
学習スキル
TFU リエゾンゼミ
『学びとの出会い』
11.ワークショップをやってみよう
1
「ワークショップ」とは何か?
この項ではワークショップを行う際の具体例と留意点を学びます。
〔1〕ワークショップの定義
ワークショップは学びや問題解決を行うための手法です。
参加する者が自発的に作業や発言を行える環境が整った場において、
ファシリテーターと呼ばれる司会進行役を中心に参加者全員が体験する
ものとして運営されることが一般的です。
ワークショップは、もともと「作業場」や「工房」を意味していまし
ファシリテーター
テキスト6章 10 節「ファ
シリテーターの役割を知
ろう」参照
たが、現代にでは遊びのような活動を行ったり、制作や表現活動をして、
それを披露したり、ディスカッションをしながら思考力・表現力・判断
力などのスキルを伸ばす場の意味を持つようになっています。
具体的には、ものづくり、音楽ワークショップ、演劇ワークショップ
のような身体表現を通した学び合い、科学や技術などを体験的を通して
学ぶためのセミナー、人権教育を目的としたワークショップ、更には住
民参加の町づくりのためのワークショップのようなものがあります。
また教科教育を学ぶ学校教育の手法としても広がっています。
〔2〕ワークショップの具体例
町づくりワークショップ
仙台市「緑のまちづくりワ
ークショップ」など参照
http://www.city.sendai.jp
/midori/1193849_2445.
html
ワークショップは大きく分けるとアクティビティと呼ばれる活動の手順
を標準化したものを使って行うものとフレームと呼ばれるディスカッシ
ョン活動をする際のコツを凝縮したものを使ってするものなどがありま
す。ここではアクティビティを使ったものを中心に紹介します。
例1・ブレーンストーミング
ブレーンストーミングは、参加者全員でたくさんの意見やアイデアを
出しあい、そこから「何か」を見つけていくアクティビティです。
単純ですが、「全員が参加する」「一人一人の意見やアイデアを尊重す
る」「出された意見やアイデアを次へ繋げる」という点で、この手法は、
数あるアクティビティの基本と言ってよいだろうと思います。
1
ブレーンストーミング
テキスト6章2節「ブレー
ンストーミングをやって
みよう」参照
やり方は、全体を少人数のグループにわけ、そこにテーマを与えます。
最も簡単なものは、意見を書き出して共有するだけで終わりです。より
本格的に行うには模造紙を使って行い、1時間から1時間半です。
知っておきたい原則は次の 4 つです。
出された意見についてよしあしの批判をしない
意見は自由奔放であるほどよい
できるだけ多くの意見を出す
他人の意見を改良したり、組み合わせたりすることも考える
例2・部屋の四隅
「部屋の四隅」
(4 つのコーナー)は部屋の四隅に「はい」
「いいえ」
「と
きどき」
「わからない」と書いた紙を貼っておき(あるいは単に場所を指
定します)、ある質問に対して参加者が自分の考えのところに移動する、
というとても簡単なアクティビティです。
たとえば次のような質問をします。
・いじめは絶対なくならない。
・春夏秋冬で、この季節が好きである。
・道に迷っている外国人に話しかける。
・人生で大切なのは安定だ。
最初の質問に全員が移動し終わったら、各コーナーの人に、なぜそう
思うのか、何人かに意見を聞きます。
司会者がインタビューで考えを引き出すようにします。
インタビュー後、次の質問に移り、また全員が自分の考えのところに
移動します。何回か繰り返し、最後に全体の感想を話し合います。
このアクティビィティの効用は3つです。
・みんなの考え方の共通性や違いに気づく
・アイスブレーキングとして使える
・議論への導入として使える
例3・ランキング
ランキング(順位付け)は社会科学系のワークショップで比較的よく
用いられています。誰でも簡単にできます。
ルールはとても簡単です。
ある課題について用意されたいくつかの選択肢(6つまたは9つ)を
良いと思うものから順に並べます。その過程で、参加者どうし意見を交
2
換したり、または、個人でやってみた後で、他の参加者と比べながら議
論するというものです。
やや詳しいやり方は次の通りです。
1)黒板などに選択肢を書く。
2)ランキングの方法を説明し、まず各個人で、自分なりの答え(順
位づけ)を書く(5~10 分)
。
3)隣の人とお互いの答えを見せ合い、2 人で相談して 1 つの答えを
出す。または、お互いに自分の根拠を説明する。
(10~20 分)
。
4)数人に答えを聞き、黒板に書き出して、それぞれの意見や根拠を
聞く(5 分)。
5)更に違った考え方がないか、参加者の自由な意見を求める(5~
20 分)。
6)必要に応じて、議論で出された大事なポイントを確認する。
例4・ブラインドウォーク
アクティビティとしては超定番です。2 人一組のペアになり、一人は
目隠しをします。目隠しの人に目を開いている人が指示を出し、スター
トからゴールまで他のペアと競争して「なるべく」早くゴールに行くこ
とがミッションです。広い室内で行う場合は、スタートからゴールまで
は机や椅子、段差など障害物があります。
具体的には次のようにします。
1)ペアを作る。
2)一人が目をつぶる、もう一人は目を開けて誘導する。
3)たとえば「8分間」と時間を決めて歩く。
・前半は目を閉じた人は誘導者のどこかにつかまって歩く
・後半は目を閉じた人は手を離して一人で歩く
4)その間に、いろいろなことを試してみる
・頻繁に話しかける、またはしばらく声をかけない
・声をかける位置を変えてみる
・指示の仕方を変えてみる
・指示のタイミングを変えてみる など
5)ペアで役割を交代してやってみる。
以上の体験をもとに話し合いをします。
目を閉じた時に何を感じたか、あるいは何を考えたか?
誘導者が何をした時に歩きやすかったか?
3
どんな指示が分かりやすかったか?
誘導される時、誘導者にどのようにして欲しかったか?
誘導する時に、考えたこと、感じたことは?
最後に簡単に話し合いをまとめます。
2
「ワークショップ」を実践しよう!(留意点)
〔1〕ワークショップのやり方
ワークショッププログラムは、オープニング、本体、クロージングの
大きく 3 つの部分で構成されます。
オープニング…ワークショップの目的・進め方・ルールなどを共有し、
今後の活動に備えてウォーミングアップします。特に目的を明確にする
ことが重要です。
本体…ワークショップの中心部分です。プログラムの本体はアクティ
ビィティを組み合わせて構成します。アクティビィティはそれぞれ 30
分~120 分ぐらいです。2つ~5つぐらい組み合わせます。
クロージング…活動の中での気づきを振り返ったりする締めの部分で
す。
「終わりよければすべてよし」という言葉があるように、ワークショ
ップがスッキリ終わるかモヤモヤ終わるのかは、この部分のやり方にか
かっています。
(振り返りの技法もあります)
〔2〕ワークショップの留意点
ファシリテーターの役割が重要です。次のような点に配慮します。
・緊張感をほぐし、場をなごませる(アイスブレーキング)
・目的や目標を明確にし、常にそれらを意識した進行をする
・人の意見を傾聴し、意見を受け止める
・対立意見を尊重する。
・メンバーに目配り気配りする
・タイムスケジュールを守る
・ルール遵守を徹底する(参加者の心の安全に配慮する)
ワークショッ
地域社会の課題の解決を
プは、やる気
めざす、住民参加型の「ま
が湧くね
ちづくりワークショッ
プ」も盛んだわ
4
学びを深める参考文献
●上條春夫『ワークショッ
プ型授業が子どものやる
気を引き出す-授業成立
の基礎技術〈1〉
』
(ネット
ワーク双書)学事出版、
2007
●上條春夫『ワークショッ
プ型授業で国語が変わる
小学校-夢中で学べる楽
しい授業プラン 15』図書
文化社、2004
●上條春夫・江間史明『ワ
ークショップ型授業で社
会が変わる 小学校-“参
加・体験”で学びを深める
授業プラン 19』図書文化
社、2005
●上條春夫・江間史明『ワ
ークショップ型授業で社
会が変わる 中学校-“参
加・体験”で学びを深める
授業プラン 17』図書文化
社、2005
●木下勇『ワークショップ
-住民主体のまちづくり
への方法論』学芸出版社、
2007