臨床心理士からのメッセージ 子育て真っ最中のみなさんに、臨床心理士から乳幼児期のこころの発達についてお伝えします。毎日、 毎日、子どもは心身ともに育っていきますが、日ごろの子どもの仕草や行動の意味がわかると、より子 育てを楽しめると思いますよ。 親子の絆はいつからはじまる? -愛着の発達― 「うちの子は人見知りが激しくて…」 「公園に連れていっても、くっついて離れようとしない。」等の ことばを、お母さんたちからよく耳にしますが、今回は、この人見知りのメカニズムについてお話しし ます。 みなさんは、愛着ということばをご存知ですか?子どものこころの発達にとって大切なのは、愛情や 信頼で結ばれた信頼関係を持つことですが、このような人間関係の基礎となるのが、乳児期に形成され る愛着です。有名な小児科医のボウルビィは、4 つの段階を経て愛着が形成されるとしています。 ボウルビィの愛着の発達過程 第 1 段階 誰に対しても同じような反応を示す 誕生から生後 8~12 週ごろまで 第 2 段階 特定の相手に愛着を抱きはじめる 生後 12 週ごろから 6 か月ごろまで 第 3 段階 6 か月ごろから2、3歳ごろまで 第 4 段階 3 歳ごろから 特定の人に愛着を持ち、常にその人と 一緒にいたいという態度を示す 離れていても心の中に特定の人との絆 ができてくる ※各段階の時期には個人差がありまず。 ちょっと難しい話になりましたが、この過程をみていただくとおわかりのように、小さなお子さんは、 母親や家族との愛着関係があるから人見知りするのです。人見知りは十分な愛着関係ができた証拠とい えます。 生まれて間もないころ 相手が誰であっても変わらずに 反応する 生後 5 か月ごろから 母親以外の人に抱かれると嫌がる など、人見知りするようになる 特定の相手(母親や家族)との間に愛着関係ができた証拠 「この子は甘えっ子で、家族以外から離れたがらないけど大丈夫。それは愛着関係や信頼関係ができ ているってことなんだ!」と、自信をもってください。 お母さんにべったりだったお子さんも、いつか必ず元気に外の世界に飛び出していきます。 引用図書:「手にとるように心理学がわかる本」 著者 渋谷昌三 小野寺敦子 かんき出版 ***子育て中のみなさんに読んでほしい絵本の紹介*** 『くっついた』 三浦太郎 作 こぐま社 「くっついた」のくり返しが楽しい赤ちゃん絵本。ペー ジをめくると、金魚やアヒル、ゾウやおさるさんが、 「く っついた」。口でくっついたり、鼻を合わせたり、手を つないだり、いろいろな「くっついた」をしています。 子どもも大人も二コ二コ笑顔になる絵本です。 大阪府立母子保健総合医療センター エコチル調査室 臨床心理士 北村 真知子
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