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2015 年 1 月 15 日
AGV(無人搬送車)市場に関する調査結果 2014
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の AGV(無人搬送車)に関する調査を実施した。
1.調査期間:2014 年 10 月~12 月
2.調査対象:AGV メーカ及びそのセンサメーカ、充電装置メーカ等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<AGV(Automated Guided Vehicle)とは>
本調査における AGV(無人搬送車)とは、JIS D6801 にて定義される無人搬送車システムのうち、レールを敷設し
ない無軌道式の AGV をさす。荷物積載タイプや荷物牽引タイプの AGV とともに、無人フォークリフト(AGF:
Automated Guided Forklift)も対象に含む。
【調査結果サマリー】
‹ 2013 年度の AGV 市場規模は、前年度比 104.7%の 4,500 台
AGV(無人搬送車)は、2009 年度まではリーマンショック等の影響もあり市場は低迷したが、2010 年度以
降は拡大傾向に転じた。特に 2011 年度は反動で急拡大を遂げ、2013 年度も台数の拡大は続いている。
2013 年度の AGV 市場規模(メーカ出荷数量ベース)は、前年度比 104.7%の 4,500 台となった。現在の
AGV の誘導方式としては、磁気誘導方式が圧倒的多数を占め、充電方式としては、2013 年度のメーカ出
荷数量ベースで人による手動充電装置を採用する AGV は全体の 86.7%となった。
◆ 自律走行可能な新誘導方式は、AGV とともにサービスロボットへの採用可能性もあると予測
3 次元で障害物を検知できる 3 次元距離画像カメラ誘導方式はセンサ技術として完成域にあるが、AGV
への採用はまだない。一部で AGV として製品化されたレーザ測域センサ誘導方式とともに、技術開発の余
地を残すが、回避行動が可能な自律走行できる誘導方式としては有力であると考える。いずれも、介護目的
や掃除目的の自走式のサービスロボットに採用される可能性も期待できる。
‹ 新型電池の採用に伴い、非接触方式自動充電技術に期待が集まる
AGV における新たな誘導方式と充電方式は、それぞれに条件や制約は存在するものの、その多くは新
規採用の可能性を持つ。とくに非接触方式自動充電装置は、リチウムイオン二次電池を中心とした新型畜
電池の採用による電池の小型化・軽量化や、接触方式自動充電装置に比べ受電装置に駆動部が無くメン
テナンスが不要になること、待機中の充電が可能になることでの 24 時間稼動など稼動効率の向上、人によ
る手動充電が不要で作業負担軽減の点などから有望になると考える。
◆ 資料体裁
資料名:「AGV における誘導・充電技術の現状とロボット応用の可能性 2015」
発刊日:2014 年 12 月 25 日
体 裁:A4 判 130 頁
定 価:150,000 円(税別)
‹ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2015 年 1 月 15 日
【 調査結果の概要 】
1. 市場概況
・AGV(無人搬送車)は、2009 年度まではリーマンショック等の影響もあり市場は低迷したが、2010 年度以降
は拡大傾向に転じた。特に 2011 年度は反動で急拡大を遂げ、2013 年度も台数の拡大は続いている。2013
年度の AGV 市場規模(メーカ出荷数量ベース)は、前年度比 104.7%の 4,500 台となった。
・AGV に搭載する蓄電池の充電方式としては、手動充電と自動充電がある。2013 年度のメーカ出荷数量ベ
ースで人による手動充電装置を採用する AGV が全体の 86.7%、自動充電装置は 13.3%の割合となり、圧
倒的に手動充電が多くなった。
・現在、無軌道式の AGV 誘導方式の主流となるのは磁気誘導方式で、2013 年度のメーカ出荷数量ベース
で 93.3%を占めている。次いで、光学誘導方式が 4.0%となり、レーザ誘導方式や電磁誘導方式が続いて
いる。近年、その他の新たな誘導方式の実用化も進んでいるが、まだその採用は一部に限定され普及は進
んでいない。
2. 注目すべき技術動向
AGV における新たな誘導方式としては、色識別誘導方式やレーザ測域センサ誘導方式、3 次元距離画
像カメラ誘導方式などの開発が進んでいる。また、自動充電装置は、既に多くの AGV メーカで採用実績が
あるうえ、近年、AGV メーカ以外のメーカでも充電装置として製品化が行なわれている。それぞれの技術に
条件や制約は存在するものの、その多くは AGV への新規採用の可能性を持つ。今後、AGV の高速走行
化や新型電池の普及などが進めば、新たなニーズも出て、新規採用への追い風になると考える。
2-1. 自律走行可能な新誘導方式は、AGV とともにサービスロボットへの採用可能性もある
・色識別による誘導方式は、RGB カラーセンサを搭載するものと CCD カメラを搭載するものが AGV として製
品化されているが、走行ルートが指定されるため自律走行はできず、回避行動も取れないという課題がある。
センサ価格が低下していけば、廉価な価格帯の AGV への採用が期待できると考える。
・3 次元で障害物を検知できる 3 次元距離画像カメラ誘導方式は、センサ技術としては完成域にあるが、
AGV への採用はまだない。一部で AGV として製品化されたレーザ測域センサ誘導方式とともに、アプリケ
ーションソフトの開発が遅れており、それぞれ技術開発の余地を残すが、回避行動が可能な自律走行でき
る誘導方式としては有力である。いずれも、介護目的や掃除目的の自走式のサービスロボットに採用される
可能性も期待できる。
・アプリケーションソフトの開発では自走式のサービスロボット開発の方が積極的に取り組まれているところも
あり、自走式のサービスロボット向けに開発された誘導方式が AGV に応用されることもありうると考える。安
全性確保やノイズ対策などの条件はあるが、こうした用途の誘導手段としても有望となる。
2-2. 新型電池の採用に伴い、非接触方式自動充電技術に期待が集まる
・AGV の自動充電装置は、現在は接触方式が主であるが、すでに非接触方式を採用する AGV メーカは 7
社あり、AGV メーカ以外でも AGV 向けに非接触方式充電技術を提案する企業が出てきている。
・非接触式自動充電装置には、リチウムイオン電池を中心とした新型蓄電池の採用による電池の小型化・軽
量化や、接触方式に比べ受電装置に駆動部が無くメンテナンスが不要になること、待機中の充電が可能に
なることでの 24 時間稼動など稼動効率の向上、人による手動充電が不要で作業負担軽減の点などのメリッ
トがある。
・将来的には、AGV の走行エリア管理システムの導入により、AGV の高速走行で安全性が担保できるように
なるとますます効率化が図れ、その誘導方式や充電方式もこれまでとは違うニーズが出てくると予測する。
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2015 年 1 月 15 日
図 1.AGV(無人搬送車)市場規模推移
単位:台
単位:%
7,000
133.3%
6,000
107.5%
107.1%
104.7%
100%
5,000
4,300
4,000
4,000
3,000
4,500
2,800
3,000
50%
2,000
1,000
0
0%
2009年度
2010年度
2011年度
市場規模
2012年度
2013年度
前年度比
矢野経済研究所推計
注 1:メーカ出荷数量ベース
注 2:JIS D6801 にて定義される無人搬送車システムのうち、レールを敷設しない無軌道式の AGV(無人搬送車)をさす。荷物
積載タイプや荷物牽引タイプの AGV とともに、無人フォークリフトも対象に含む。
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