Bio-organic chemical studies on flower

SURE: Shizuoka University REpository
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/
Title
Author(s)
Bio-organic chemical studies on flower-inducing compounds
and related plant oxylipins
Murata, Ariaki
Citation
Issue Date
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Version
2014-03
http://hdl.handle.net/10297/7987
none
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(課程博士・様式9)
(1,000 字程度)
字
村田有明氏による学位論文は、乾燥ストレスに伴う花芽誘導の原因化合物である
審 査 要 旨
新規花成誘導物質とその関連物質の化学構造を決定し、それらのストレスに伴う消
長を明らかにし、併せて生合成経路を検討した結果について下記の観点からまとめ
たものである。
1) 花芽誘導関連分子 KODA の立体選択的代謝
アオウキクサは花芽誘導活性試験が容易である理由から、花成研究に古くから用
いられてきた。アオウキクサから発見されたオキシリピン KODA は単独では花芽
誘導活性を示さない。しかしノルエピネフリンと弱塩基性下で反応後活性を示す化
合物である。本化合物はアオウキクサ中で立体選択的還元を受けることを証明し、
その立体選択性を解明した。
2)新規花成誘導物質 LDS1 の解明
乾燥ストレスを受けたアオウキクサの抽出液は同種の個体に対して花成誘導活
性を示す。本研究では花成誘導活性を指標に、乾燥ストレスを与えたアオウキクサ
か ら 新 規 花 成 誘 導 物 質 (11E,15Z)-9,13-dihydroxy-10-oxooctadeca-11,15-dienoic
acid (LDS1) を単離・構造決定した。また、改良モッシャー法を用いて四つの LDS1
絶対立体配置の決定を行い、(9R, 13R)-LDS1 が最も主要であることを明らかにし
た。また新規化合物一つを含む三種のオキシリピン化合物を明らかにした。
2) LDS1 生合成経路の解明
全ての炭素を安定同位体炭素で標識した KODA をアオウキクサに投与し、その
代謝物を LC-MS および LC-MSMS を用いて確認した。代謝物のフラグメンテー
ションパターンと保持時間を踏まえ、KODA が LDS1 の前駆体物質であり、LDS1
が酵素的に生成することを明らかにした。
3) 花成誘導活性試験
LDS1 を含む単離したオキシリピンについてアオウキクサを用いた花成誘導活
性試験に供した。その結果、LDS1 が天然物質としては最も花成誘導活性の強い化
合物であること、LDS1 が乾燥ストレスで誘導される唯一の花芽誘導物質であるこ
とを明らかにした。また、同投与実験から LDS1 の立体異性体間に活性の違いが
ないことを明らかにした。
以上のように、本論文はアオウキクサの内生花成誘導物質を初めて明らかにする
とともに、その立体化学と活性、生合成経路、および、関連酵素に言及したもので
あり、博士(農学)の学位を授与するに値するものと認められる