KRN125 第 2 部(モジュール 2): CTD の概要(サマリー) 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.1 緒言 協和発酵キリン株式会社 CONFIDENTIAL KRN125 2.6.1 緒言 略号及び用語の定義一覧 略号 略号 G-CSF PEG 略していない用語 Granulocyte-colony stimulating factor(顆粒球コロニー形成刺激因子) Polyethylene glycol(ポリエチレングリコール) 用語の定義 用語 該当なし CONFIDENTIAL 定義 -2- KRN125 2.6.1 緒言 目次 略号及び用語の定義一覧........................................................................................................2 目次............................................................................................................................................3 2.6 2.6.1 非臨床試験の概要文及び概要表 ................................................................................................ 4 緒言............................................................................................................................................ 4 CONFIDENTIAL -3- KRN125 2.6 2.6.1 緒言 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.1 緒言 KRN125(一般名:ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え))は、遺伝子組換え技術によっ て大腸菌で産生された 175 個のアミノ酸からなるヒト顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF) (一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え))の N 末端に、ポリエチレングリコール (PEG)を共有結合させた蛋白質修飾体である(図 2.6.1-1)。KRN125 はフィルグラスチムと 同様に、顆粒球・マクロファージ系造血前駆細胞の細胞表面に発現している G-CSF 受容体に 特異的に結合して分化及び増殖促進作用を示す。フィルグラスチムを PEG 修飾することによ り、KRN125 は血中半減期が延長し、がん化学療法の 1 サイクルごとに 1 回の投与で効果を発 揮する点が特長である。 Met1:PEG 結合位置 −:ジスルフィド結合(Cys37−Cys43 及び Cys65−Cys75) 図2.6.1-1 KRN125 の構造 本申請における効能・効果及び用法・用量の案は以下のとおりである。 【効能・効果(案)】 がん化学療法による 発熱性好中球減少症の発症抑制 【用法・用量(案)】 通常、成人にはがん化学療法剤投与終了後の翌日以降、ペグフィルグラスチム(遺伝子組換 え)として、3.6 mg を化学療法 1 サイクルあたり 1 回皮下投与する。 CONFIDENTIAL -4- KRN125 第 2 部(モジュール 2): CTD の概要(サマリー) 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.2 薬理試験の概要文 協和発酵キリン株式会社 CONFIDENTIAL KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 略号及び用語の定義一覧 略号 略号 CFU-GM CPA EC50 G-CSF IC50 PEG 略していない用語 Colony forming unit-granulocyte macrophage(顆粒球・マクロファージコロニー 形成細胞) Cyclophosphamide(シクロホスファミド) 50% effective concentration(50%有効濃度) Granulocyte-colony stimulating factor(顆粒球コロニー形成刺激因子) 50% inhibitory concentration(50%阻害濃度) Polyethylene glycol(ポリエチレングリコール) 用語の定義 用語 I YPY-G-CSF 125 [125I]YPY-G-CSF CONFIDENTIAL 定義 放射性ヨウ素 ヒト G-CSF の threonine-1 と leucine-3 を tyrosine に置換した組換えヒト G-CSF 変異体で、G-CSF と同等の生物活性を有する1)。 125 I で標識された YPY-G-CSF -2- KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 目次 略号及び用語の定義一覧........................................................................................................2 目次............................................................................................................................................3 2.6.2 薬理試験の概要文........................................................................................................4 2.6.2.1 まとめ.................................................................................................................................... 4 2.6.2.2 効力を裏付ける試験 ............................................................................................................ 5 2.6.2.3 副次的薬理試験.................................................................................................................. 12 2.6.2.4 安全性薬理試験.................................................................................................................. 12 2.6.2.5 薬力学的薬物相互作用試験 .............................................................................................. 13 2.6.2.6 考察及び結論...................................................................................................................... 13 2.6.2.7 図表...................................................................................................................................... 14 2.6.2.8 参考文献.............................................................................................................................. 14 CONFIDENTIAL -3- KRN125 2.6.2 2.6.2 薬理試験の概要文 薬理試験の概要文 2.6.2.1 まとめ KRN125(一般名:ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え))は、遺伝子組換え技術によっ て大腸菌で産生された 175 個のアミノ酸からなるヒト顆粒球コロニー形成刺激因子(G-CSF) (一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え))の N 末端に、ポリエチレングリコール (PEG)を共有結合させた蛋白質修飾体である(2.6.1)。KRN125 はフィルグラスチムと同様 に、顆粒球・マクロファージ系造血前駆細胞の細胞表面に発現している G-CSF 受容体に特異 的に結合して分化及び増殖促進作用を示す。フィルグラスチムを PEG 修飾することにより、 KRN125 は血中半減期が延長し、がん化学療法の 1 サイクルごとに 1 回の投与で効果を発揮す る点が特長である。薬理試験では、KRN125 の作用機序を含めた薬力学的特性を明らかにする 目的で、効力を裏付ける試験を実施し、その作用をフィルグラスチムと比較した。加えて、中 枢神経系、心血管系及び呼吸器系に対する影響を安全性薬理試験で検討した。 2.6.2.1.1 効力を裏付ける試験 ヒト由来の好中球を用いた結合性試験で、KRN125 は、好中球と[125I]YPY-G-CSF の結合を競 合的に阻害したことから、G-CSF 受容体に結合することが示された。50%阻害濃度(IC50)は、 KRN125 とフィルグラスチムでほぼ同等であった。 ヒト骨髄 CD34 陽性細胞を用いた in vitro の検討で、KRN125 は顆粒球・マクロファージコロ ニー形成細胞(CFU-GM)コロニーを形成した。マウス骨髄非付着性単核細胞を用いた検討に おいても、KRN125 は特異的に CFU-GM コロニーを形成し、両試験ともに KRN125 はフィル グラスチムとほぼ同等のコロニー形成能を示した。 正常マウスに 10~1000 μg/kg の KRN125 と 30~1000 μg/kg のフィルグラスチムを単回皮下投与 した結果、KRN125 は同用量のフィルグラスチムと比較して、強く持続的な好中球増加作用を 示した。正常ラットへの 1~1400 μg/kg の KRN125 単回皮下投与において、投与量の増加に伴っ て好中球数は増加し、高値が持続する期間も延長する傾向が認められた。一方、正常カニクイ ザルへの 100~1000 μg/kg の KRN125 単回皮下投与では、いずれの投与量においてもほぼ同等の 好中球増加作用を示した。 正常マウスに KRN125 を単回皮下投与又はフィルグラスチムを連日皮下投与した結果、 1000 μg/kg の KRN125 単回皮下投与により好中球数が高値となる期間は、200 μg/kg/日のフィル グラスチム 5 日間連日皮下投与とほぼ同等であった。 シクロホスファミド(CPA)投与により好中球減少を惹起したマウスに、CPA 投与当日、1、 2、3、4、5 日後(Day 0、1、2、3、4、5)のいずれかの日に 300 μg/kg の KRN125 を単回皮下 投与した。その結果、Day 0~3 に KRN125 を投与した場合は、CPA 投与により誘導される好中 球数の低下が軽減され、低値となる期間の短縮が観察された。一方、Day 4~5 に投与した場合 は、明らかな好中球減少の軽減を示さなかった。また、同モデルで、Day 1 に 30~3000 μg/kg の KRN125 を単回皮下投与した結果、いずれの投与量においても、CPA 投与により誘導される好 中球数の低下が軽減され、低値となる期間の短縮が観察された。 CONFIDENTIAL -4- KRN125 2.6.2.1.2 2.6.2 薬理試験の概要文 安全性薬理試験 安全性薬理試験として、ラットを用いて中枢神経系及び呼吸器系に及ぼす影響を評価し、カ ニクイザルを用いて心血管系に及ぼす影響を評価した。その結果、いずれの安全性薬理試験に おいても、KRN125 の投与に基づく異常所見は観察されなかった。したがって、KRN125 は中 枢神経系、心血管系及び呼吸器系の機能に直接的な影響を及ぼさないと考えられた。 2.6.2.2 効力を裏付ける試験 ヒト G-CSF 受容体に対する親和性及びヒト又はマウス CFU-GM コロニーの形成能を in vitro で検討した。in vivo では、正常マウス、ラット及びカニクイザルを用いた好中球増加作用並び に CPA 惹起好中球減少モデルマウスを用いた好中球減少改善効果を検討した。 2.6.2.2.1 ヒト G-CSF 受容体に対する親和性(参考 4.2.1.1-1) ヒト好中球を KRN125 又はフィルグラスチム共存下で、[125I]YPY-G-CSF と 15°C で 3 時間反 応させた。細胞画分の放射能を測定して、特異的に結合した標識体を検出した。KRN125 及び フィルグラスチムは、[125I]YPY-G-CSF とヒト好中球の結合を競合的に阻害した。IC50 は、 KRN125 が 286 pmol/L、フィルグラスチムが 232 pmol/L であった。 2.6.2.2.2 ヒト CFU-GM コロニー形成に対する作用(4.2.1.1-2) ヒト骨髄 CD34 陽性細胞を Recombinant human interleukin-3(10 ng/mL)存在下で 4 日間液体 培養した。細胞を回収後、各濃度(0.098~100 ng/mL)の KRN125 又はフィルグラスチム存在 下、半固形培地中 37°C で培養し、培養 8 日目に CFU-GM コロニー数を計測した。各試験にお け るコロニ ー形成が 確認 された最 低濃度及 び形 成された CFU-GM コ ロ ニーの最 大数は KRN125 とフィルグラスチムでほぼ同等であった。3 試験の結果から得られた 50%有効濃度 (EC50)の平均値は、KRN125 が 7.28 ng/mL、フィルグラスチムが 6.45 ng/mL であった(表 2.6.2.2.2-1)。 表2.6.2.2.2-1 KRN125 及びフィルグラスチムによるヒト CFU-GM コロニー形成作用 試験番号 Exp. 2 Exp. 5 Exp. 6 平均値 コロニー形成初濃度 (ng/mL) KRN125 フィルグラ スチム 0.781 0.781 0.781 0.781 0.781 0.781 最大コロニー数 (個/dish) KRN125 フィルグラ スチム 145.0±3.8 a) 144.3±8.5 a) 327.7±21.4 a) 285.3±6.5 a) a) 215.7±8.4 207.3±6.6 a) 229.5±53.2 a) 212.3±40.8 a) EC50 (ng/mL) KRN125 フィルグラ スチム 11.25 7.53 4.16 3.72 6.44 8.09 a) 7.28±2.09 6.45±1.37 a) 同内容の試験を 6 回実施した(Exp.1~6)。Exp. 1 及び Exp. 3 は、4 日間の液体培養後に細胞が不足していたため、試験を中断 した。Exp. 4 は、最高濃度の KRN125 を添加した検体のコロニー数の平均値が 50 個を下回ったため、試験不成立と判断した。 a)平均値±標準誤差 2.6.2.2.3 マウス CFU-GM コロニー形成に対する作用(4.2.1.1-3) BALB/c 雄性マウス骨髄非付着性単核細胞を各濃度(0.0049~5 ng/mL)の KRN125 又はフィ ルグラスチム存在下に軟寒天培地中 37°C で培養し、培養 5 日目に形成されたコロニー数を計 測した。KRN125 及びフィルグラスチムは CFU-GM コロニーのみを形成させ、他系統のコロニ ー形成は認められなかった。また、各試験におけるコロニー形成が確認された最低濃度及び形 成された CFU-GM コロニーの最大数は KRN125 とフィルグラスチムでほぼ同等であった。3 試 CONFIDENTIAL -5- KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 験 の 結 果 から 得 られ た EC50 の 平 均 値は 、 KRN125 が 0.43 ng/mL、 フ ィ ル グ ラ ス チム が 0.28 ng/mL であった(表 2.6.2.2.3-1)。 表2.6.2.2.3-1 KRN125 及びフィルグラスチムのマウス CFU-GM コロニー形成作用 試験番号 Exp. 1 Exp. 2 Exp. 3 平均値 コロニー形成初濃度 (ng/mL) フィルグラ KRN125 スチム 0.0391 0.0195 0.1563 0.0781 0.1563 0.0781 最大コロニー数 (個/dish) フィルグラ KRN125 スチム a) 136.8±8.3 143.3±5.5 a) 145.0±10.4 a) 160.3±8.7 a) a) 189.8±7.6 195.8±6.0 a) 157.2±16.5 a) 166.5±15.5 a) EC50 (ng/mL) フィルグラ KRN125 スチム 0.37 0.15 0.55 0.44 0.36 0.25 a) 0.43±0.06 0.28±0.09 a) 同内容の試験を 3 回実施した。a)平均値±標準誤差 2.6.2.2.4 正常マウスにおける KRN125 又はフィルグラスチム単回皮下投与による 好中球増加作用(4.2.1.1-4) BALB/c 雄性 マウス (1 群 6 匹 )に KRN125(10~1000 μg/kg )又は フィ ルグラ スチ ム (30~1000 μg/kg)を単回皮下投与(Day 0)し、投与前日(Day −1)、投与 6 時間後及び投与 1~7 日後(Day 1~7)に採血を行い、末梢血中の好中球数を測定した。KRN125 投与群は、いず れの投与量においても、投与 6 時間後から KRN125 用媒体群に比べ有意な好中球数の高値を示 した。また、投与量の増加に伴い、好中球数はより高値になる傾向があり、高値が持続する期 間も延長する傾向が認められた(図 2.6.2.2.4-1)。一方、フィルグラスチム投与群も、すべて の投与量で投与 6 時間後から KRN125 用媒体群に比べ有意な好中球数の高値を示したが、 KRN125 と比較すると弱い増加作用を示し、高値が持続する期間も短かった。以上の結果より、 正常マウスへの KRN125 の単回皮下投与は、フィルグラスチムと比較して、強く持続的な好中 球増加作用を有することが示された(図 2.6.2.2.4-2)。 CONFIDENTIAL -6- KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 35 3 好中球数 (x10 /μL) 30 ** 25 ** 20 KRN125用媒体 ** 15 KRN125 1000 μg/kg ** 10 ** ** ** ** 5 フィルグラスチム 200 μg/kg/日 ** (5) (5) ** 0 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 投与後日数(日) 図2.6.2.2.7-1 正常マウスにおける KRN125 単回皮下投与又はフィルグラスチム 5 日間連日 皮下投与時の好中球数推移 データは平均値±標準誤差 n=6 又は n=5(KRN125 用媒体投与群の Day5 及び KRN125 1000 μg/kg 投与群の Day2) **:P<0.01:Dunnett 検定により、KRN125 用媒体投与群と比較 2.6.2.2.8 CPA 惹起好中球減少マウスにおける KRN125 による好中球増加作用 (4.2.1.1-6) BALB/c 雄性マウス(1 群 6 匹)に 200 mg/kg の CPA を単回腹腔内投与(Day 0)して好中球 減少を惹起した。この好中球減少マウスに対し、CPA 投与後同日、投与後 1、2、3、4、5 日 (Day 0、1、2、3、4、5)のいずれかの日に 300 μg/kg の KRN125 を単回皮下投与した。採血 は投与前日(Day −1)、Day 1~7 及び Day 10、13 に実施し、末梢血中の好中球数を測定した。 CPA 無処置群と比較して、KRN125 用媒体群では Day 2~5 において好中球数が有意に低値を示 し、Day 5 に最低値を示した。KRN125 投与群では、Day 0~3 に投与することにより KRN125 用 媒体群と比較して、CPA 投与により誘導される好中球数の低下が軽減され、低値となる期間の 短縮が観察された。なお、Day 4 又は 5 に投与した場合は、明らかな好中球減少の軽減は認め られなかった(図 2.6.2.2.8-1)。 CONFIDENTIAL - 10 - KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 られた。また、10000 µg/kg 投与群の 1 匹で投与 55 時間後より 96 時間後まで持続する心拍数の 増加が認められたが、10000 µg/kg を単回皮下投与したときの tmax の 24 時間から大きく遅れて 発現していること、更に血漿中濃度の消失相において持続して観察されていることから、 KRN125 の血漿中濃度との相関がない変化であり、KRN125 投与による影響ではないと考えら れた。同群の別の 1 匹においても、投与後に心拍数の増加傾向が認められたが、正常の変動範 囲内と考えられる変化であったことから、KRN125 投与による影響ではないと考えられた。 以上より、カニクイザルにおいて血圧、心拍数及び心電図に対する影響は認められず、 KRN125 は心血管系に作用しないと考えられた。 2.6.2.4.3 ラットにおける呼吸器系に対する影響(4.2.1.3-3) SD 系雄性ラット(各群 6 匹)に、KRN125(0(媒体)、100、1000、10000 µg/kg)を単回皮 下投与した。投与前、投与後 1、4、8、12、24、48、72 及び 96 時間に、無麻酔及び無拘束下 で全身プレチスモグラフ法により 1 回換気量並びに 1 分間の呼吸数及び換気量を測定した。 その結果、ラットにおいて 1 回換気量並びに 1 分間の呼吸数及び換気量への影響は認められ ず、KRN125 は呼吸器系に作用しないと考えられた。 2.6.2.5 薬力学的薬物相互作用試験 該当する試験は実施しなかった。 2.6.2.6 考察及び結論 ヒト G-CSF 受容体に対する結合性試験で、KRN125 は G-CSF 受容体に結合することが示さ れた。また、ヒト骨髄 CD34 陽性細胞又はマウス骨髄非付着性単核細胞を用いた in vitro 試験 において、KRN125 はフィルグラスチムと同様に CFU-GM コロニー形成を促進した。したがっ て、KRN125 は G-CSF 受容体に作用することで、前駆細胞から CFU-GM への分化及び CFUGM の増殖を促進し、その作用はフィルグラスチムの作用とほぼ同等であることが明らかとな った。 正常マウスを用いた in vivo 単回皮下投与試験において、KRN125 はフィルグラスチムよりも 強く持続的な好中球増加作用を示した。正常ラット及びカニクイザルを用いた in vivo 単回皮下 投与試験においても、KRN125 の投与により好中球数の増加が認められた。また、KRN125 単 回皮下投与とフィルグラスチム連日皮下投与の比較から、1000 μg/kg の KRN125 単回皮下投与 により好中球数が高値となる期間は、200 μg/kg/日のフィルグラスチム 5 日間連日皮下投与と ほぼ同等であることが示された。 マウスに CPA を投与することにより好中球減少を惹起したモデルで、CPA 投与当日から 3 日後までのいずれかの日に 300 μg/kg の KRN125 を単回皮下投与することにより、媒体群と比 較して、好中球減少が軽減された。また、同モデルで、CPA 投与翌日に KRN125 を単回皮下 投与したとき、検討した最低用量である 30 μg/kg から、好中球減少を軽減した。したがって、 KRN125 は、CPA のような化学療法剤の投与により惹起される好中球減少の軽減に有効である と考えられた。 ラット及びカニクイザルを用いて、中枢神経系、心血管系及び呼吸器系に対する影響を検討 したいずれの安全性薬理試験においても、KRN125 の影響は認められなかった。したがって、 KRN125 は中枢神経系、心血管系及び呼吸器系の機能に直接的な影響を及ぼさないと考えられ た。 CONFIDENTIAL - 13 - KRN125 2.6.2 薬理試験の概要文 以上の結果より、KRN125 はがん化学療法による発熱性好中球減少症に対し、フィルグラス チムと比較して、低頻度の投与で好中球減少を抑制させることが期待される。 2.6.2.7 図表 図表は本文中の適切な場所に記載した。 2.6.2.8 1. 参考文献 Watanabe M, Fukamachi H, Uzumaki H, Kabaya K, Tsumura H, Ishikawa M, et al. Mutant protein of recombinant human granulocyte colony-stimulating factor for receptor binding assay. Analytical Biochem. 1991;195:38-44. 2. Irwin S. Comprehensive observational assessment: Ia. A systematic, quantitative procedure for assessing the behavioral and physiologic state of the mouse. Psychopharmacologia. 1968;13:22257. CONFIDENTIAL - 14 - KRN125 第 2 部(モジュール 2): CTD の概要(サマリー) 2.6 非臨床試験の概要文及び概要表 2.6.3 薬理試験概要表 協和発酵キリン株式会社 CONFIDENTIAL KRN125 2.6.3 薬理試験概要表 目次 目次 ............................................................................................................................................2 2.6.3 薬理試験概要表 ........................................................................................................................ 3 2.6.3.1 薬理試験:一覧表 ................................................................................................................ 3 2.6.3.2 効力を裏付ける試験 ............................................................................................................ 5 2.6.3.3 副次的薬理試験 .................................................................................................................... 8 2.6.3.4 安全性薬理試験 .................................................................................................................... 9 2.6.3.5 薬力学的薬物相互作用試験 .............................................................................................. 10 CONFIDENTIAL -2- 2.6.3 薬理試験概要表 KRN125 2.6.3 2.6.3.1 薬理試験概要表 薬理試験:一覧表(1/2) 被験物質: KRN125 試験の種類 効力を裏付ける試験 ヒト G-CSF 受容体に対する親和性 ヒト CFU-GM コロニー形成に対する作用 マウス CFU-GM コロニー形成に対する作用 正常マウスにおける KRN125 又はフィルグラスチ ム単回投与による好中球増加作用 正常ラットにおける KRN125 単回投与による好中 球増加作用 正常カニクイザルにおける KRN125 単回投与によ る好中球増加作用 正常マウスにおける KRN125 単回投与又はフィル グラスチム連日投与による好中球増加作用 シクロホスファミド惹起好中球減少マウスにおけ る KRN125 による好中球増加作用 シクロホスファミド惹起好中球減少マウスにおけ る各種用量の KRN125 による好中球増加作用 試験系 投与方法 試験番号 CTD における記載箇所 ヒト好中球細胞 ヒト骨髄 CD34 陽性 細胞 マウス骨髄非付着 性単核細胞 マウス/BALB/c 系 in vitro in vitro キリンファーマ -237 125-8 参考 4.2.1.1-1 4.2.1.1-2 in vitro 麒麟麦酒 125-1 4.2.1.1-3 皮下 麒麟麦酒 125-2 4.2.1.1-4 ラット/SD 系 皮下 PK 4.2.2.2-2 カニクイザル 皮下 マウス/BALB/c 系 皮下 麒麟麦酒 125-3 4.2.1.1-5 マウス/BALB/c 系 皮下 麒麟麦酒 125-5 4.2.1.1-6 マウス/BALB/c 系 皮下 麒麟麦酒 125-4 4.2.1.1-7 a)キリンファーマ(現、協和発酵キリン)、麒麟麦酒(現、協和発酵キリン)、 CONFIDENTIAL 実施施設 a) -3- 005 0135 4.2.2.2-3 KRN125 2.6.3.1 2.6.3 薬理試験概要表 薬理試験:一覧表(2/2) 被験物質: KRN125 試験の種類 安全性薬理試験 ラットにおける中枢神経系に及ぼす影響 覚醒サルの心血管系に及ぼす影響 無麻酔ラットの呼吸機能に及ぼす影響 試験系 ラット/SD 系 カニクイザル ラット/ SD 系 実施施設 a) 投与方法 1643 b) 1645 b) 1644 b) 皮下、単回 皮下、単回 皮下、単回 a) b)GLP 適用 CONFIDENTIAL 試験番号 -4- CTD における記載箇所 4.2.1.3-1 4.2.1.3-2 4.2.1.3-3 KRN125 2.6.3.2 2.6.3 薬理試験概要表 効力を裏付ける試験(1/3) 被験物質: KRN125 評価対象 ヒト G-CSF 受容体に 対する親和性 動物種/ 系統 ヒト好中球細 胞 投与方法 投与量 a) in vitro [125I]YPY-G-CSF 200 pmol/L 性別及び 動物数/群 − ヒト CFU-GM コロニ ー形成に対する作用 ヒト骨髄 CD34 陽性細 胞 in vitro KRN125 及びフィ ルグラスチム 0.098~100 ng/mL − マウス CFU-GM コロ ニー形成に対する作 用 マウス骨髄非 付着性単核細 胞 in vitro KRN125 及びフィ ルグラスチム 0.0049~5 ng/mL − 正常マウスにおける KRN125 又はフィル グラスチム単回投与 による好中球増加作 用 マウス /BALB/c 系 皮下 KRN125 10~1000 μg/kg、 フィルグラスチ ム 30~1000 μg/kg 雄6 特記すべき所見 KRN125 及びフィルグラスチムは、 [125I]YPY-G-CSF とヒト好中球の結 合 を 競 合 的 に 阻 害 し た 。IC50 は 、 KRN125 が 286 pmol/L、フィルグラ スチムが 232 pmol/L であった。 KRN125 及 び フ ィ ル グ ラ ス チ ム は CFU-GM コロニーを形成した。EC50 の平均は、KRN125 が 7.28 ng/mL、 フィルグラスチムが 6.45 ng/mL であ り、ほぼ同等のコロニー形成能を示 した。 KRN125 及 び フ ィ ル グ ラ ス チ ム は CFU-GM コロニーのみを特異的に形 成した。EC50 の平均は、KRN125 が 0.43 ng/mL 、 フ ィ ル グ ラ ス チ ム が 0.28 ng/mL であり、ほぼ同等のコロ ニー形成能を示した。 媒体投与群に比較し、10 μg/kg 以上 の KRN125 の単回皮下投与により好 中球数の有意な高値が認められた。 高値の程度及び高値が持続する期間 は、投与量の増加に伴い増大する傾 向を示した。同用量のフィルグラス チム単回皮下投与に比較して、 KRN125 の好中球増加作用はより強 く、より長期間持続した。 a)in vivo 試験では、特にことわりがない限り、単回投与。in vitro 試験では、反応時の KRN125 又はフィルグラスチムの処置濃度。 −:該当せず CONFIDENTIAL -5- GLP 適用 非適 試験番号 -237 CTD における 記載箇所 参考 4.2.1.1-1 非適 125-8 4.2.1.1-2 非適 125-1 4.2.1.1-3 非適 125-2 4.2.1.1-4 KRN125 2.6.3.2 2.6.3 薬理試験概要表 効力を裏付ける試験(2/3) 被験物質: KRN125 評価対象 皮下 KRN125 1~1400 μg/kg 正常カニクイザルに おける KRN125 単回 投与による好中球増 加作用 カニクイザル 皮下 KRN125 100~1000 μg/kg 雄 1 雌 2 又は雄 2 雌1 正常マウスにおける KRN125 単回投与又 はフィルグラスチム 連日投与による好中 球増加作用 シクロホスファミド 惹起好中球減少マウ スにおける KRN125 による好中球増加作 用 マウス /BALB/c 系 皮下 雄6 マウス /BALB/c 系 皮下 KRN125 1000 μg/kg、フィ ルグラスチム 200 μg/kg/日(5 日間連日) KRN125 300 μg/kg 正常ラットにおける KRN125 単回投与に よる好中球増加作用 投与方法 投与量 a) 動物種/ 系統 ラット/SD 系 性別及び 動物数/群 雄3 雄6 特記すべき所見 媒体投与群に比較し、KRN125 の単 回皮下投与により好中球数の高値が 認められた。高値の程度及び高値が 持続する期間は、投与量の増加に伴 い増大する傾向を示した。 媒体投与群に比較し、KRN125 の単 回皮下投与により好中球数の高値が 認められた。高値の程度及び高値が 持続する期間は、検討した投与量で は同等であった。 1000 µg/kg の KRN125 単回皮下投与 により好中球数の高値が持続する期 間は、200 μg/kg/日のフィルグラス チム 5 日間連日皮下投与とほぼ同等 であった。 シクロホスファミド投与当日から 3 日後までのいずれかの日に、 300 μg/kg の KRN125 を単回皮下投 与することにより、好中球減少の軽 減が認められた。 a)in vivo 試験では、特にことわりがない限り、単回投与。in vitro 試験では、反応時の KRN125 又はフィルグラスチムの処置濃度。 CONFIDENTIAL -6- GLP 適用 非適 非適 試験番号 PK 005 0135 CTD における 記載箇所 4.2.2.2-2 4.2.2.2-3 非適 125-3 4.2.1.1-5 非適 125-5 4.2.1.1-6 KRN125 2.6.3.2 2.6.3 薬理試験概要表 効力を裏付ける試験(3/3) 被験物質: KRN125 評価対象 シクロホスファミド 惹起好中球減少マウ スにおける各種用量 の KRN125 による好 中球増加作用 動物種/ 系統 マウス /BALB/c 系 投与方法 皮下 投与量 a) KRN125 30~3000 μg/kg 性別及び 動物数/群 雄6 特記すべき所見 KRN125 をシクロホスファミド投与 翌日に単回皮下投与したとき、検討 した最低用量である 30 µg/kg 以上の 用量で、好中球減少の軽減が認めら れた。300 μg/kg 以上の用量では、 媒体群の好中球数が最低値を示す Day 5 において、媒体群と比較して 有意な好中球数の高値を示した。 a)in vivo 試験では、特にことわりがない限り、単回投与。in vitro 試験では、反応時の KRN125 又はフィルグラスチムの処置濃度。 CONFIDENTIAL -7- GLP 適用 非適 試験番号 125-4 CTD における 記載箇所 4.2.1.1-7 KRN125 2.6.3.3 2.6.3 薬理試験概要表 副次的薬理試験 該当する試験は実施しなかった。 CONFIDENTIAL -8- KRN125 2.6.3.4 2.6.3 薬理試験概要表 安全性薬理試験 被験物質: KRN125 評価対象 中枢神経系 一般症状、 行動 心血管系 血圧、心拍 数、心電図 呼吸器系 呼吸数、換 気量 CONFIDENTIAL 動物種/ 系統 ラット /SD 系 投与方法 投与量(µg/kg) 性別及び 動物数/群 雄6 特記すべき所見 皮下、単回 0、100、1000、 10000 カニクイ ザル 皮下、単回 0、100、1000、 10000 雄4 血圧、心拍数及び心電図に対する影響は 認められなかった。 ラット /SD 系 皮下、単回 0、100、1000、 10000 雄6 1 回換気量並びに 1 分間の呼吸数及び換 気量に対する影響は認められなかった。 一般症状及び行動に対する影響は認めら れなかった。 -9- GLP 適用 適 1643 CTD における 記載箇所 4.2.1.3-1 適 1645 4.2.1.3-2 適 1644 4.2.1.3-3 試験番号 KRN125 2.6.3.5 2.6.3 薬理試験概要表 薬力学的薬物相互作用試験 該当する試験は実施しなかった。 CONFIDENTIAL - 10 -
© Copyright 2025 ExpyDoc