議事要旨(PDF形式:270KB)

平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
議事要旨
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(開催要領 )
1.開催日時:平成 26 年 12 月 22 日(月)16:50~17:36
2.場
所:官邸4階大会議室
3.出席議員:
議長
安 倍
晋 三
内閣総理大臣
議員
麻 生
太 郎
副総理 兼 財務大臣
同
菅
義 偉
内閣官房長官
同
甘 利
明
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
兼 経済再生担当大臣
同
高 市
早 苗
総務大臣
同
宮 沢
洋 一
経済産業大臣
同
黒 田
東 彦
日本銀行総裁
同
伊 藤
元 重
東京大学大学院経済学研究科教授
同
榊 原
定 征
東レ株式会社取締役会長
同
高 橋
進
株式会社日本総合研究所理事長
同
新 浪
剛 史
サントリーホールディングス株式会社
代表取締役社長
臨時議員
石 破
茂
地方創生担当大臣
(議事次第 )
1.開 会
2.議 事
(1) 新内閣における今後の検討課題について
(2) 歳出の重点化・効率化(地方財政・地域活性化)
(3) 平成27年度予算編成の基本方針(案)について
3.閉 会
(説明資料)
○資料1 「デフレ脱却・経済の好循環の継続に向けて」(有識者議員提出資料)
○資料2-1 地方創生と両立する地方財政健全化に向けて(有識者議員提出資料)
○資料2-2 地方創生と両立する地方財政健全化に向けて(説明資料)(有識者議員提出
資料)
○資料3-1 地域の活性化に向けて(有識者議員提出資料)
○資料3-2 地域の活性化に向けて(説明資料)(有識者議員提出資料)
○資料4 平成27年度予算編成の基本方針(案)
○資料5 「平成27年度予算の編成等に関する建議」(財政制度等審議会)の方向(麻生議
員提出資料)
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
(配布資料 )
○地方財政・地域の活性化(高市議員提出資料)
○「総合戦略」骨子(平成26年11月6日「まち・ひと・しごと創生会議(第3回)」資料)
○「長期ビジョン」骨子(平成26年11月6日「まち・ひと・しごと創生会議(第3回)」資料)
○基本政策検討チーム報告書(平成26年10月31日「まち・ひと・しごと創生会議(第2回)」
資料)
○経済の好循環実現に向けた政労使会議報告書
○休み方改革ワーキンググループ報告書
(概要)
(甘利議員)
ただいまから平成26年第20回経済財政諮問会議を開催する。
○新内閣における今後の検討課題について
(甘利議員) 本日は総選挙後、初めての諮問会議であり、有識者議員から「デフレ脱却・
経済の好循環の継続に向けて」が提出されている。榊原議員からご説明いただく。
(榊原議員) 資料1をご覧いただきたい。今後取り組むべき3つの課題としてまとめてい
る。
第1の課題は、「着実な回復軌道への復帰」ということで、地方や中小企業を対象に
需要喚起や支援などの経済対策を、スピード感を持って実施すべきである。
第2の課題は、「成長の加速」。ポイントは3点。
第1のポイントは、
「稼ぐ力の強化」ということで、規制改革による潜在需要の発掘、
事業再編・IT活用等による生産性の引上げ、法人実効税率の引下げ、そしてTPP等
グローバル化対応の推進の4つに取り組むことで企業活力を生む環境を整えるべきで
ある。
第2のポイントは、
「賃金上昇等による継続的な好循環の確立」。先日の政労使会議で
の取りまとめをしっかりと実行することが重要である。
第3のポイントは、「安心できる将来展望の下での消費拡大」ということで、子育て
への取組強化等を提案している。
第3の課題は、「経済再生・財政健全化計画」の策定・実行であり、来年夏に策定す
る2020年度のPB黒字化を実現する具体的な計画のポイントについては、確実に「骨太
方針」に盛り込むべきである。その際、政府に留意していただきたいことに対して5点、
申し上げる。
1点目は、財政健全化は堅めの成長率を前提として、デフレ脱却・経済再生、歳出改
革、歳入改革、この3つの柱で進めるべきである。
2点目は、計画の進捗状況を諮問会議において毎年度レビューするということと、し
っかりした中間評価を行って、必要に応じて追加的な歳出・歳入両面の措置をとること
をあらかじめ計画に組み込むべきである。
3点目は、歳出改革である。都道府県別の支出額の差異に着目して重点的な取組を進
めるとともに、新たな民間投資や雇用を生み出す公需の民需化・産業化を促進して、成
長と財政健全化を相乗的に進めるべきである。
また、社会保障や社会資本整備等の各種計画は、経済再生と財政健全化の計画に合わ
せて包括的に見直しをして、整合性を確保すべきである。
4点目は歳入改革だが、その前提は消費税率の10%への引上げである。これに加えて
格差是正や課税ベースの見直しの観点からの改革などを検討すべきである。
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
また、マイナンバー導入も踏まえた税・保険料徴収の仕組み、改善等も検討すべきで
ある。
5点目、実行に当たっては広範な国民の参加と協力の下に、政府一体で「経済再生・
財政健全化計画」に取り組むべきである。
(甘利議員) ただいまの御説明を踏まえ、御自由に御発言いただきたい。
(伊藤議員) 2点申し上げたい。
1点目は法人税について。総理は2017年に消費税率を景気弾力条項なしに10%へ引き
上げると明言された。その意味でも2015年にデフレからの脱却をより確実なものにする
ということが重要である。利用可能な手段は積極的に活用していることが問われるため、
法人税減税については、初年度はネット減税になるような形で政策効果を最大限に発揮
させたい。今年6月の「骨太方針」でも、法人税減税の財源としてアベノミクス効果に
よる経済の構造的改善による課税ベースの拡大等による財源を含めることを明記して
いるので、ぜひ検討していただきたい。
2点目は財政健全化について。資料1に書いてあるとおり、日本の財政健全化の目標
としてプライマリーバランスをずっと使ってきた。これはもちろん非常に重要ではある
が、そういうフローの部分だけではなく、財政の持続可能性を見るためにはストック面
を前面に出す必要がある。債務残高の対GDP比ももちろん大事だが、資産側もしっか
り判断し、その上でネットの債務とGDPの比等をしっかりとチェックすることをこれ
まで以上に検討する必要があると思う。
(高橋議員) 3点申し上げたい。
1点目は政労使関連について。2年続けて賃上げが実現に向かっていることは経済に
大きなプラス効果が見込めるが、デフレになって賃上げのメカニズムそのものが壊れて
いる。今後、どういうときに賃上げができるのか、することが望ましいのかといった観
点から、賃金の改定に関して労使間の基本的な考え方について、枠組みづくりが必要で
はないか。
2点目は成長の加速について。今の状況は、一言で言えば夜明け前の状況ではないか
と思う。企業収益が非常に増大してきており、個々の企業が投資先を探している。家計
はようやく貯蓄から投資へ動き始めて、株等に大変興味を持ち始めている。金融機関も
有望な貸出先を求めている。今、民間の力が特にマネーという面で溜まってきて、爆発
寸前まで来ているのではないか。政府としてはこれを適切な方向に誘導するだけで、民
間の力が発揮されると思う。例えば、農業部門への企業の参入も機は熟していると思う
ので、少しの刺激で一挙に動き出すだろう。そういう意味で政府が動くことの重要性を
強調したい。
3点目、消費税率の引上げまでに2年強あるが、最初の年が非常に重要である。その
意味で「経済再生・財政健全化計画」の策定が特に1年目に重要だと思うので、民間議
員も来年早々から準備を進めてまいりたい。この1年がまさに正念場であると思うので
不退転の決意で臨んでまいりたい。
(新浪議員) 今、非常に重要なのは消費力の拡大である。そういった意味で時間軸を考え
ると、短期的には、とりわけ地方の創意工夫並びに消費喚起のためにもクーポン等を発
行し、まずは地域における消費力の拡大を図っていくべきである。また、私の試算では、
外国人観光客16人で日本人1人の消費力になる。つまり外国人観光客が1,000万人訪れ
ると日本人60万人分の消費力になる。当面、人口減少の負のスパイラルを食い止めるた
めにも、地域の活性化のためにも、消費力の向上に海外から来られる方が大変なプラス
になっている。そして、短期、中期にわたって実質所得を上げていく施策を合わせ技で
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つくっていく。そういった意味で1つ気になるのは、とりわけ小企業に円安メリットが
まだ十分行き渡っていない。とりわけ小企業にどうして円安のメリットが行き渡ってい
ないかという点も検証しながら政官民できちんと施策を立てていくべきではないか。
また、長期政権ゆえに歳出・歳入の両面にわたって大きな改革をやっていくべきであ
る。ただ、歳出に関しては、単に削減するだけではなく、医療、介護、子育てという産
業に民間の創意工夫を入れることによって、歳出改革をしていくべきである。
今日の新聞にあったように、人口10万人当たりの療養病床入院患者数の割合について、
高い県と低い県で5倍の差がある。こういった差が縮まれば、国民の方々にわかりやす
い。そういった意味で、都道府県別の医療の格差に着目した切り込みが大変重要である。
子育て支援は相乗効果が大変高い。まずこれによってパート従業員が増え、子育て産
業そのものによって雇用が生まれて女性の雇用がどんどん増えていく。そして夫婦で働
く機会が多くなる。極めて相乗効果が高いという意味で、予算配分をぜひともこちらに
していただきたい。
歳入改革については、2020年のプライマリーバランスの黒字化を達成するためには、
経済成長のみならず、歳入改革も必要ではないか。例えば、夫婦がダブルインカムで給
与をもらいやすい税制にしたり、経済・社会構造の変化に合わせて、結婚しやすい税制
にする。そういった具合で社会の構造にマッチするよう、税制のオーバーホールをして
はどうか。長期政権なのでしっかりと税制そのものをオーバーホールし、歳入改革をし
ていくべきではないか。
(甘利議員) いただいた御意見については、今後の政策運営に反映をしてまいりたい。
(麻生議員) 御意見をいただいた中で、2020年度のPBの黒字化に向けた新たな財政計画
について、後ほど財政制度審議会の議論を紹介するが、市場や国際的な信認を維持する
ためには、具体的かつ現実的な案を出さないといけない。まずは徹底した歳出面の改革
が必要なのは当然だが、社会保障については、持続可能なものするため、給付・負担の
両面について改革を行う必要がある。資料1の3ページに記載されている取組だけを行
えば良いわけではなく、その他の様々な歳出についても、人口減少に合わせた、徹底し
た見直しに取り組む必要があり、国と地方両方の歳出全般について踏み込んだ議論が求
められる。また、先ほど新浪議員からも言われたように、歳入についても、部分的な手
直しではなく、経済・社会の構造変化に合わせて、税制全般にわたる総点検作業を進め
ていく必要がある。
新たな財政計画について、来年夏までに具体化できるよう取り組んでまいるが、先ほ
ど伊藤議員が言われたストックの話は、今までフローの議論はしてもストックの議論が
なされることは少なかったので、この観点からも考えることは重要である。
(安倍議長) 2015年度に対GDP比でPB赤字を半減するという目標を立てた。2020年度
にはPBの黒字化を目標としているが、これは政府の税収と政策的経費との関係になっ
ている。
勘案するものは果たしてそれだけでいいのか。それだけで全て見てしまうのではなく、
累積債務に対するGDP比、世界でも割とこれを指標としているところがあるが、GD
Pを大きくすることで累積債務の比率を小さくすることになる。そこで投入された国家
資源がしっかりとしたストックになっていくことについて、どう評価するかという観点
から伊藤議員はおっしゃったのだろうと思うが、もう少し複合的に見ていくことも必要
かなと思う。
(麻生議員) 先ほど伊藤議員が言われた法人税の話だが、これは諮問会議でも総理から、
数年で法人実効税率を20%台までに引き下げることを目指すという「骨太方針」に沿っ
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
て法人税改革を実施すると述べられており、私どもに与えられた使命である。そのため
に賃上げ等、経済の好循環を実現するという視点も極めて重要であるという点も、その
通りだと思う。
こうした観点を踏まえて、まさに改革、具体的な取組を行っているが、2015年度にP
B赤字の半減目標を両立させなければいけないところが来年の最も厳しいところなの
で、最大限努力してまいりたい。
○歳出の重点化・効率化(地方財政・地域活性化)
(甘利議員) 次に、石破地方創生担当大臣に御参加をいただき、地方財政・地域活性化の
在り方について御議論をいただく。
(石破臨時議員入室)
(甘利議員) 高橋議員から御説明をお願いする。
(高橋議員) 資料2-2、資料3-2を続けて、私から御説明する。
まず資料2-2「地方創生と両立する地方財政健全化に向けて」について。
2ページ、第1のポイントは、リーマンショックから既に6年を経過し、地方税収も
危機前の水準まで回復がほぼ見込まれているので、危機対応モードは終了すべき。
第2のポイント、危機対応モード終了後は、地方財政計画の中身の徹底した適正化に
取り組むべき。地方財政は、今は改善しているが、今後、社会保障支出やインフラ更新
のための支出が膨らんで地方財政を圧迫していくことは明らかである。したがって、徹
底した歳入・歳出の見直しに取り組むべきである。
3ページ、歳入面について。地方税収の見積もりの正確性を高めるべきである。それ
から、図表5にある通り、地方の積立金が急増している。背景として緊急経済対策の基
金が執行されずに積み立てられているのではないか。適切なガバナンスが必要ではない
かということを問題提起する。
4ページ、歳出面について。住民1人当たりの行政コストの違いを市や町ごとに示し
たものが図表7である。市について見ると最小で21万円、最大が104万円と80万円以上
の差がある。地理的条件等の差はあるだろうが、高いところはなぜコストが高いのか。
この要因を分析して改善策を講じるなど、自治体のコスト抑制を促す環境を整えること
が重要である。また、歳出の算定についても透明性向上や過剰見積もりの抑制など、適
切な算定を実現すべきである。
第3のポイントは、頑張る地方を支える仕組みを強化すべきということである。5ペ
ージ、地方交付税について。図表10を見ると、高齢者人口比率が高いところほど1人当
たり普通交付税額も多い状況になっている。交付税の算定基準を、子ども・子育て世代
への支援を重視した体系にシフトすべきではないか。
6ページ、市町村国保の保険料について。図表11を見ると医療費が多くかかっても国
や県からの補てんがあるので保険料が高まっていない。これでは医療費抑制に向けた努
力は喚起されないわけで、新浪議員がたびたび指摘されているように、医療費抑制に向
けて地方の真剣な取組を引き出すような仕組みを構築する必要がある。
7ページ、資本のリサイクルについて。これからインフラ更新のために膨大な費用が
必要になってくる中で、地域の民間企業の力で地域の資本整備を促しながら対応しよう
とする提案であるPPP/PFI、コンセッション等は総じて資本のリサイクルと呼ん
でよい。運営権を民間に譲渡し、任せるという方法であり、地方経済の活性化にもつな
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がる取組である。仙台空港の例と浜松市の上下水道のコンセッションへの取組の例を挙
げているが、こうした努力を一所懸命している自治体を積極的に支援すべきである。
続いて資料3-2「地方の活性化に向けて」について。
2ページ、フランチャイズやITによる業務標準化、ノウハウ蓄積などが地方のサー
ビス産業の生産性向上の鍵ではないか。
3ページ、特に観光と農業分野は地域の有望産業である。民間企業の参入促進などに
向けて、重点的に規制改革等の取組を進めるべきである。先ほども申し上げたが、民間
企業の参入意欲は大変強くなっているので、規制改革を行えば自動的に資金が入ってく
る状況ではないかと思う。
4ページ、地方支分部局の改革を提案する。地方創生の政策が動き出す。そうすると
地方にプラットフォームができるわけだが、一方で中央の役所のプラットフォームがな
い。地方支分部局のワンストップ化等を通じて、行政改革の観点も入れて地方支分部局
の在り方を見直していくべきではないか。各省が類似の事業を重複して実施するような
財政的な余裕はないので、地方支分部局の整理・統合を進めるべきではないか。
(甘利議員) それでは、御意見をいただく。
(高市議員) 資料「地方財政・地域の活性化」をご覧いただきたい。
1ページ、地方財政については、「美しく豊かな地方」、「安心して暮らせて学べて働
ける社会」の実現を目指しながら、「地域経済再生と財政健全化の両立」に向けた努力
を継続していく。そのため、
「歳入改革」、「歳出改革」、「チャレンジする地方の支援」
という3つの対応を実行していく。
2ページ、民間議員から御提案をいただいた「地方創生と両立する地方財政健全化」
を実現するため、1のとおり、地方が自主性・主体性を発揮して地方創生に取り組むた
めの、地方交付税を含む一般財源の充実が必要である。地方税については、3のとおり、
法人事業税の外形標準課税の拡充などに取り組む。地方税収の見積もりを的確に行うよ
う更に努力するが、国税の見積もりが的確になされる必要があるので、関係省庁に御努
力をお願いしたい。
3ページ、地方歳出については、メリハリを効かせた歳出の重点化・効率化を、国の
取組と基調を合わせて実施していく。「危機対応モードから平時モードへの切替え」と
いうお話があったが、これは経済再生に合わせて進めていくものであると考えている。
景気回復の実感を、とにかく全国津々浦々にまで届けることが目下最重要課題であるた
め、これを踏まえながら対応していきたい。
4ページ、5ページについて。2のとおり、地方財政計画上の一般行政経費の単独分
は、地方が地域の実情に応じ、自主性・主体性を発揮して課題解決に取り組むための必
要経費である。一方で、地方財政計画の中で国の予算に伴う一般行政経費の補助分が大
きく増加しており、この改革こそが重要だと考えている。そのほか、地方の財政マネジ
メント強化などに取り組む。なお、民間議員から専門的・技術的な御指摘をいただいた。
考え方を参考資料1として添付したので、後ほどご覧いただきたい。
6ページ、7ページ、地域活性化に関する取組について。この「地域の元気創造プラ
ン」は、自治体を核としたローカルアベノミクスを強力に推進するための手段である。
創業支援事業計画に基づいて、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げる「ロー
カル10,000プロジェクト」、電力の小売自由化で新たに生まれる市場を地域経済に組み
込む「分散型エネルギーインフラプロジェクト」などにより、税収増に直結する地域の
経済構造改革に着手する。
8ページ。これは新規だが、「地域経済グローバル循環創造事業」は、経済産業省と
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総務省が連携をして、全自治体の共同データベースである「地域の元気創造プラットフ
ォーム」に、新たにJETROと中小機構を接続させるものである。これは国内外の企業の
地方への誘致や地元産品の販路開拓などを推進して、地方への人や企業の流れを支援す
る目的である。
9ページ。過疎地域などでの集落ネットワーク圏、人口5万人程度以上の都市を中心
とする定住自立圏、人口20万人以上の都市を中心とする地方中枢拠点都市圏といった、
地域の段階に応じた地域活性化の支援策を重層的に展開していく。
10ページ。民間議員御指摘のとおり、サービス産業の生産性向上や観光振興などによ
る地場産業の活性化、企業活動の地域分散などを実現するためには、ICTの一層の活
用が重要である。今後、地域の成功モデルを全国に横展開していくために、関係省庁と
も連携して必要な支援策を積極的に推進していく。補足資料を参考資料2として添付し
たので、後ほどご覧いただきたい。
(石破臨時議員) 御指摘の点については、現在、国の「長期ビジョン」、
「総合戦略」をつ
くるに当たって、取り組んでいる点がほとんどだが、今後最終的な作業の上で、更に反
映するところがあれば生かしていきたい。
要するに、自治体に聞けば、自由に使えるお金をなるべくたくさん、という話になる
わけだが、地方が「総合戦略」を作るに当たっては数値目標、いわゆるKPIをきちん
と定めてもらいたい。そして、プランを立て、実際に行い、チェックし、またアクショ
ンというPDCAのサイクルがきちんと内在されるものでないと必ずバラマキになる
ので、数値目標とPDCAサイクル、この2つは徹底をしていかなければならない。
地方交付税は、財源保障機能と財源調整機能を持っており、教科書的に言えば、それ
は結果平等を志向したものである。それに加えて、私の地域もそうだが、幼稚園、小学
校、中学校、高校と出し、そして大学へ行かせて、そのときも仕送りをして、というこ
とで、地方において、相当投資をしているにもかかわらず、地方に返ってくるものが少
ないという実感がある。地方創生においても首都圏への人材供給機能は滅失することが
あってはならないと思っているが、それは単に結果平等を目指すものとは少し違う概念
である。どのようにそれを設計するかは極めて難しいことではあるが、結果平等を志向
する限りは、今の状況がなかなか地方財政の面から変わることにはならないのではない
だろうか。新しい概念を入れた場合の理論をどのように考えるかということを、今、検
討しているところである。
地方において、こんなに投資をしているのに見返りが少ないというのは、感覚的には
おわかりいただけると思う。これはエモーショナルな話ではなくて、財源の地域間の調
整について理論としてどのように位置付けるかということが極めて肝要だと思ってい
る。
(榊原議員) 地方財政の健全化については民間議員ペーパーで御提案したが、別の視点で
一言申し上げたい。地方財政健全化の1つの柱は徹底した合理化、効率化を進めるとい
うことだが、その手段はIT化を徹底的に進めるということと、企業の視点で業務改革、
ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)を進める必要があるということであ
る。
我々企業の目で見ると、地方財政には合理化、効率化の余地は山ほどあるように見え
る。企業のBPRの専門家に診断させることをご提案したい。私どもの事例だが、工場
の関係者は、うちの会社は完璧だと言うのだが、専門家に診断させたら広範かつ多数の
指摘があって、目が覚めるような思いをしたことがある。企業のBPRの専門家に診断
させて、合理化が進んだモデル的な自治体を幾つかつくり、それを横展開するといった
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
アプローチを検討してはどうか。企業としてもそういうことであれば全面的に協力させ
ていただきたいと思う。
(新浪議員) 2点申し上げる。
総務大臣からお話をいただいた中で最も大切だと思うのは、ヒト・モノ・カネ・情報
の中で、ヒトには情報が付くので、大都市圏の企業のマネジメント人材、50歳、60歳以
上の方々でも十分働けるので、いかにこういう方々を地域に連れてくるかということで
ある。その上、若干給料の差もあるので、3年程度の時限立法で少しそういうものをみ
てあげることが必要ではないか。
もう一点がPPPである。PPPをより活用するため、フィージビリティスタディに
お金がかかるので、3年程度、入口のところを予算でみてあげることも必要ではないか。
民の創意工夫の活用ということで、必ず相乗効果が高くリターンが上がってくるものだ
と思うので、お願いしたい。
(高橋議員) 自治体が「総合戦略」を作って取り組むことは当然必要なことだと思うが、
自治体が保守的に前例主義に走り、野心的な計画にならない危険性があると思う。民間
の力を極限まで引き出すような形の「総合戦略」を作ることをぜひお願いしたい。
(甘利議員)このテーマについてはここまでとさせていただく。石破大臣はここで退席され
る。
(石破臨時議員退室)
○平成27年度予算編成の基本方針(案)について
(甘利議員) 次の議事に移る。来年度予算の編成に向けて、その基本的な方針を示すため
に「予算編成の基本方針」を策定する必要がある。これまでの歳出各分野に関する諮問
会議での御議論を踏まえ、本日は御議論いただきたいと思う。まず、内閣府事務方より
説明をさせる。
(前川内閣府政策統括官) 資料4をご覧いただきたい。
「Ⅰ 1 現下の財政状況」では極めて厳しいという認識を示し、「2 経済財政運
営の基本的考え方」では、経済再生と財政健全化の好循環の重要性、2020年度までにP
B黒字化の目標は堅持することなどを述べている。
「Ⅱ 平成27年度予算の基本的考え方」では、聖域を設けずに大胆に歳出を見直し、
メリハリのついた予算とすること、経済の好循環を拡大させる取組を推進するなどとし
ている。
2ページ、「2 主な歳出分野における取組」では、4つの分野における基本的な考
え方を示している。
「(1)社会保障」では、持続可能な社会保障制度の確立に向けて、徹底した効率化・
適正化を行うこと、全世代型の社会保障への転換を進めることなどとし、
「(2)社会資
本整備」では、計画的に整備すること、諸課題への一層の重点化などとし、3ページ、
「(3)地方財政」では、リーマンショック後の危機対応モードからの切替えを進める
ことなどとし、
「(4)行政の徹底的な効率化」では、行政のICT化と業務改革などと
している。
(甘利議員) 続いて、財政制度審議会における平成27年度予算の編成等に関する建議の方
向について、麻生財務大臣から御説明をお願いする。
(麻生議員) 資料5をご覧いただきたい。平成27年度予算編成に向けて、財政制度審議会
において議論してきた内容を紹介する。
先日、総理も表明をされたように、財政運営に対する市場の信頼と国際的な評価を維
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持するため、来年夏までに2020年度までのPB黒字化目標の達成に向けた信頼に足る具
体的な財政計画を明らかにする必要がある。
具体化に向けた基本的な計画は、まず社会保障については、将来世代に負担を先送り
しないよう、給付と負担の両面における改革を行い、また、社会保障以外については、
今後の人口減少社会を見据え、行政サービスの抜本的な見直しを通じてできる限り抑制
する。そして地方財政についても地方が国の財源保障に依存することなく、国と一体と
なって財政健全化に向けて取組を進めるということである。
続いて、来年度に迫ったPB赤字半減目標については、徹底的な歳出削減、歳入確保
により確実に達成しなければならない。その際、消費税増収分を活用するとされている
社会保障の充実策を見直さなければできないので、優先順位付けをしていく必要がある。
今後、建議の内容を踏まえて平成27年度予算の編成を進めるとともに、「予算編成の
基本方針」の策定に向けて諮問会議において御議論いただきたい。
(甘利議員) それでは御自由に御意見いただきたい。
(高市議員) 今、資料4の説明があった。先ほど申し上げたが、危機対応モードから平時
モードへの切替えは、「中期財政計画」どおり、経済再生に合わせてうまく進めていく
ものだと考えている。
地方交付税の別枠加算については、今後明らかとなる地方税収の状況を踏まえて、し
っかりと検討する。
歳出特別枠については、メリハリを効かせて歳出を重点化・効率化すること。これは
国の取組としっかり歩調を合わせて実施することとともに、一般財源の総額を確保する
必要もあるということを踏まえて、予算編成過程で対応を検討していく。
(甘利議員)最後に私から2点申し上げる。
11月18日に「休み方改革ワーキンググループ」、12月16日に「経済の好循環実現に向
けた政労使会議」において、配布資料のとおり取りまとめが行われたので、御報告する。
それでは、総理から御発言をいただく。
(報道関係者入室)
(安倍議長) 先般の総選挙においては、デフレから脱却して力強く経済を成長させ、国民
生活を豊かにするには、この道しかない、と訴えてきたところである。国民の皆様は、
まだなかなか実感はできないけれども、しかし、この道しかないだろうと、しっかりと
この施策を進め、経済の好循環を回していくことによって、景気回復の温かい風を全国
津々浦々に1日も早く届けよう、というのが国民の声ではないかと思う。
本日、民間議員より今後の重要課題の御提示をいただいたところであるが、我々はし
っかりと政策を前に進め、国民の皆様に実感をしていただかなければならないという決
意のもと、皆様とともに政策を進めていきたい。
また、地方財政、地域活性化の在り方について、本日の議論を踏まえ、石破大臣が中
心となって、地方創生に向けた地方自らの取組を積極的に支援するよう、取り組んでい
ただきたい。
高市大臣には、地方創生と両立する地方財政の実践に向けて取り組んでいただきたい。
平成27年度の国・地方の基礎的財政収支赤字については、対GDP比半減目標を確実
に達成するよう、最大限努力をしていく。このため、平成27年度予算について社会保障
費の「自然増」も含め、聖域なく見直しを行い、歳出の徹底的な重点化・効率化に取り
組んでいくことが重要である。これまでの経済財政諮問会議の議論も踏まえ、「平成27
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議
年度予算編成の基本方針」を取りまとめていただきたい。
なお、明後日には新しい内閣を発足させる予定である。諮問会議の民間議員の皆様方
におかれては、来年も同じメンバーで、経済財政に関する様々な重要政策課題を議論し
ていただきたいと思うので、引き続きよろしくお願いしたい。
(報道関係者退室)
(甘利議員) 来年度の「予算編成の基本方針」については、本日の議論を反映した上で、
明日以降、与党の御意見も伺った上で、次回の諮問会議において取りまとめ、諮問・答
申を行うこととしたいす。
本日の議論を踏まえ、次回、来年の諮問会議の検討課題をお示ししたい。
それでは、以上をもって本日の経済財政諮問会議を終了する。
(以
上)
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平成 26 年第 20 回経済財政諮問会議