沖縄県経済2014年の回顧と2015年の展望

「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
沖縄県経済2014年の回顧と2015年の展望
要
旨
【2014年の回顧】
~ 国内経済は緩やかに回復し、県内経済は拡大の動きが強まる~
○ 国内経済は、輸出が横ばいを続けるなか、主に消費税増税の影響から年終盤にかけては企業収益や個人消
費など一部に弱さがみられたものの、全体としては緩やかな回復基調が続いた。
○ 県内経済は、観光、建設関連が好調に推移し、個人消費が一部弱い動きとなったものの、総体的には好調に
推移したことから、全体では拡大の動きが強まった。
○ 個人消費は、百貨店・スーパー売上高は食料品を中心に好調に推移し前年を上回った。耐久消費財は、新
車販売で、軽自動車が新車投入効果などにより増加したが、消費税増税前の駆け込み需要の反動減が家
電卸売でみられたことから、総じてみると好調な中一部で弱い動きとなった。
○ 建設関連は、公共工事は前年を上回り、住宅着工は消費税増税前の駆け込み需要の反動減がみられたも
のの高水準で推移したことから、好調な動きとなった。
○ 観光関連は、円安を背景に入域観光客数が増加し、好調な動きとなった。主要ホテルは客室稼働率、売上
高がそれぞれ前年を上回り、好調に推移した。観光施設、ゴルフ場入場客数も前年を上回った。
○ 雇用情勢は、有効求人倍率が本土復帰後最高値の 0.77 倍を記録し、完全失業率も低下したことから改善
が続いた。また、企業倒産は、景気拡大に伴い件数、金額ともに前年を下回った。
【2015年の展望】
~ 国内経済は回復の足取りが確かなものとなり、県内経済は拡大の動きが強まろう~
○ 国内経済は、前年 10 月の消費税増税の先送りや金融緩和政策の継続、4月の消費税増税後の景気の弱
含みに対応する補正予算執行などから特に個人消費が再活性化され、回復の足取りが確かなものとなろう。
○ 県内経済は、消費関連が人口・世帯数の増加や新設店効果などから好調に推移し、観光関連も景気回復
や外国客の旺盛な旅行需要などから好調に推移するものとみられる。建設も公共工事の大型案件の本格稼
働などから概ね好調に推移するものと見込まれ、全体として拡大の動きが強まろう。
○ 個人消費は、人口・世帯数の増加や大型商業施設の開業、店舗リニュ-アル効果などにより、前年にも増し
て、好調な動きになるものとみられる。
○ 建設関連は、公共工事は沖縄振興予算が引き続き高水準を維持することから好調に推移し、民間工事は、
住宅着工や企業の建設投資の需要も高いことから、全体としては概ね好調な動きになるものと見込まれる。
○ 観光関連は、引き続き好調に推移しよう。景気回復や外国客の旺盛な旅行需要などを背景に入域観光客
数は前年増が見込まれ、ホテル客室単価の上昇が予想される。
1
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
Ⅰ
2014年の回顧
建設関連は、公共工事は沖縄振興予算の増加
県内経済の概況
から前年を上回り、民間工事は貸家の需要など
拡大の動きが強まる
により高水準で推移したことから、全体では好
2014 年の国内経済は、輸出が横ばいを続ける
調に推移した。公共工事は、沖縄振興予算が
なか、主に消費増税の影響から年終盤にかけて
3,460 億円と前年を大幅に上回った。発注者別
は企業収益や個人消費など一部に弱さがみら
では市町村が前年を下回ったものの、国は那覇
れたものの、全体としては緩やかな回復基調が
空港滑走路増設工事などの大型案件から前年
続いた。
を上回り、県も前年を上回る見込みである。民
県内経済の 14 年は、観光、建設関連が好調
間工事は、住宅着工が消費税増税前の駆け込み
に推移し、個人消費が一部で弱い動きとなった
需要の反動減が一部みられたものの、貸家の旺
ものの、総体的に好調に推移したことから、全
盛な需要から高水準で推移した。建築着工(非
体では拡大の動きが強まった。観光は入域観光
居住用)においても大型案件や企業の建設投資
客数が暦年で 700 万人を初めて突破し過去最高
意欲の高まりから堅調に推移した。
となる見込みで、これに伴いホテルの稼働状況
観光関連は、円安を背景に外国客が増え、入
も好調に推移した。建設関連は公共工事が予算
域観光客が増加。国内客、外国客ともに伸び、
増から前年を上回り、住宅着工も貸家の建築需
14 年の入域観光客数は暦年で過去最高だった
要などから高水準で推移した。また、個人消費
13 年(641.3 万人)を上回り、700 万人を超え
は、一部の耐久消費財で弱い動きとなったもの
る見込みである。主要ホテルは、入域観光客数
の、全体としては好調な動きとなった。
の増加から客室稼働率、売上高が前年を上回り、
県内経済を主要部門別にみると、個人消費に
好調に推移した。主要観光施設の入場者数は好
ついては、好調に推移する中、一部で弱い動き
調な動きとなり、ゴルフ場の入場者数は台風の
となった。百貨店・スーパー売上高は消費税増
影響を受けたものの全体では堅調に推移した。
税による駆け込み需要やその反動がみられた
雇用情勢は、改善傾向が続いた。就業者数が
ものの、増税による影響は限定的で、食料品を
増加し、完全失業率も改善した。また、求人数
中心に好調に推移した。耐久消費財では、新車
は医療・福祉、宿泊業、飲食サービス業など多
販売台数は普通自動車が増税後の反動などに
くの業種で増加し、これに伴い有効求人倍率も
より弱い動きとなったが、軽自動車は新型車投
上昇した。
入効果などにより堅調に推移し、前年を上回る
企業倒産については、金融機関が引き続き中
見込み。電気製品卸売販売額は、消費税増税前
小企業の借入返済猶予などに対応しているこ
の駆け込み需要により3月までは好調に推移
となどから件数は 78 件と前年を1件下回った。
したものの、増税後の反動や太陽光発電システ
負債総額は、前年比 74.7%減の 101 億 1,200 万
ムの接続可能量超過に伴う接続問題が影響し、
円で景気拡大や大型倒産が多く発生していた
前年を下回る見込みである。
反動により、前年を下回った。
2
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
(1)個人消費
図表1.百貨店・スーパー売上高の動向
好調な中、一部で弱い動き
14 年の個人消費は、百貨店・スーパ
ー売上高や耐久消費財の新車販売台数
は前年を上回ったが、電気製品卸売販
売額が前年を下回り、総じてみると好
調な中、一部で弱い動きとなった。
百貨店・スーパー売上高は、1~3
月期は消費税増税に伴う駆け込み需要
により前年同期比 7.8%増と大幅に増
加した。4月は増税の反動により消費
活動が一時的に鈍化したが、5月には
回復の動きとなった。7~9月期以降
は食料品を中心に好調に推移し、既存
店、全店ベースともに前年を上回る見
込みである(図表1)
。
耐久消費財では、新車販売台数は、
(%、ポイント)
10
8
6
0
-2
10
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
図表2.耐久消費財の動向
(%、ポイント)
100
(%、ポイント)
80
60
40
新車販売台数
(前年同期比、左目盛)
20
80
普通自動車
軽自動車
40
太陽光含む
その他
-20
-40
どから前年を下回る見込み(図表2)
。
0
電気製品卸売販売額
(前年同期比、右目盛)
-100
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
-20
その他以外(白物など)
-40
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考)1.沖縄県自動車販売協会、りゅうぎん総合研究所調べ。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフは、全体に対する各品目の寄与度。
図表3.実質賃金の動向
個人消費を取り巻く環境をみると、
所得環境(事業規模 30 人以上)は、名
(%、ポイント)
6
4
0
いつかず、実質賃金は前年を下回る見
-6
込み。消費者物価(沖縄県、総合)は
-8
回り、上昇となる見込み(図表3)
。
▲0.6
-2
-4
「食料」
「交通・通信」などが前年を上
名目賃金増減分
物価上昇・下落分
2
目賃金の上昇が消費者物価の上昇に追
20
▲4.8
税後の反動や太陽光発電システムの接
続可能量超過に伴う接続問題の影響な
60
6.6
0
-80
月までは好調に推移したが、消費税増
11
(備考)1.りゅうぎん総合研究所調べ。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフは、全体に対する新設店、既存店の寄与度。
ったものの、軽自動車は新型車投入効
消費税増税前の駆け込み需要により3
既存店
-4
-60
回る見込み。電気製品卸売販売額は、
3.5
2
通自動車が増税の反動で弱い動きにな
果などにより堅調に推移し、前年を上
新設店
4
消費税増税前の駆け込み需要により1
~3月期は増加した。4月以降は、普
全店ベース
(前年同期比)
実質賃金(前年同期比、30人以上事業所の現金給与総額指数)
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考)1.沖縄県「毎月勤労統計地方調査」により作成。
2.14年は1~10月の値。14/Ⅳは10月の値。
3.各寄与度は、以下の式により求めた。
「実質賃金増減率」=「名目賃金増減率」-「物価上昇・下落率」
3
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
(2)建設関連
好調な動き
14年の建設関連は、公共工事が沖縄
振興予算の増加などから前年を上回り、
図表4.公共工事請負金額(発注者別)の動向
(%、ポイント)
40
10
0
から前年を上回り、全体では好調な動
-10
きとなった。
-20
みである。発注者別では、市町村が前
市町村
その他
全体
前年同期比
20
した。また、建築着工も大型案件など
ことから前年を上回って推移する見込
県
30
民間工事は、住宅着工が高水準を維持
公共工事は沖縄振興予算が増加した
国
8.7
-30
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ Ⅳ
(年/期)
(備考)1.西日本建設業保証株式会社沖縄支店の資料により作成。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフは、全体に対する発注者別の寄与度。
年を下回ったが、国が那覇空港滑走路
増設工事などにより前年を上回り、県
も前年を上回る見込みである(図表4)
。
図表5.新設住宅着工戸数の動向
(%、ポイント)
新設住宅着工戸数は、貸家の旺盛な
た需要や相続税増税(基礎控除縮小)
を見越した動き、金融機関の低金利の
分譲
全体
前年同期比
20
10
費税増税前の駆け込み需要の反動減が
のの、人口・世帯数の増加を背景とし
給与
30
動きとなった。持家、分譲は前年の消
方、貸家は同様に反動減がみられたも
貸家
40
建築需要から高水準を維持し、好調な
みられ、落ち着いた動きとなった。一
持家
50
0
▲7.4
-10
-20
-30
-40
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考) 1.国土交通省の資料により作成。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフは、全体に対する利用関係別の寄与度。
継続などから高水準となり、前年に引
き続き、年間では1万戸以上の着工数
となる見込みである(図表5)
。
建築着工床面積(非居住用)は、大
型案件や企業の建設投資意欲の高まり
などから、堅調に推移した。特に年前
半には大型商業施設や病院の建築など
から前年を大幅に上回った。年後半に
は消費税増税に伴う駆け込み需要の反
動減がみられたものの、企業の建設投
資意欲が高水準にあることなどから、
概ね堅調に推移した(図表6)
。
図表6.建築着工床面積の動向
(%、ポイント)
居住用
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
非居住用
全体
前年同期比
▲3.8
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
(備考)1.国土交通省の資料により作成。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフは、全体に対する用途別の寄与度。
4
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
(4)観光関連
好調な動き
図表7.入域観光客数の動向
(万人)
700
14 年の観光関連は、円安を背景に主
600
に外国客が増加したことなどから好調
500
な動きとなった。
400
300
ターミナルビルやクルーズ船ターミナ
200
ルの運用開始などから入域観光客数が
100
増加し、主要ホテルでは外国客の旺盛
0
高が前年を上回った。
入域観光客数は、1~11 月で前年同
月比 10.3%増の 650.7 万人となってお
り、暦年で過去最高だった前年(641.3
東京、国外では台湾、韓国、中国等の
アジア圏を中心に増加した。空路では
10
-10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(%、ポイント)
市内ホテル宿泊収入
(前年同期比、左目盛)
販売客室数
50
40
8.9
30
20
-10
10
-40
単価は、那覇市内は好調に推移した。
-5
0
入域観光客における外国客の構成比が
れも前年を上回る見込みである。客室
0
20
-30
販売客室数は那覇市内、リゾートいず
10
(%、ポイント)
ではクルーズ船寄航の増加などにより、
ホテルの開業が相次いだ。宿泊収入、
10.3
図表8.主要ホテル宿泊収入の動向
機材の大型化、航空路線の拡充、海路
主要ホテルは、昨年に引き続き新設
15
(年/期)
(備考)1.沖縄県観光政策課「入域観光客数概況」により作成。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
3.棒グラフ(実数)の14年は1~11月分。14/Ⅳは10~11月分。
-20
高まった(図表7)。
前年同期比(右目盛)
10
万人)を上回り 700 万人突破が確実視
されている。路線別でみると国内では
20
入域観光客数(左目盛)
5
円安に加え那覇空港の新国際線旅客
な旅行需要を背景に客室稼働率、売上
(%)
5.1
0
10
11
12
13
14
-10
客室単価
リゾートホテル宿泊収入
(前年同期比、右目盛)
-20
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考)1.りゅうぎん総合研究所調べ。
2.棒グラフは、宿泊収入に対する販売客室数、客室単価の寄与度。
3.14年は1~11月分、14/Ⅳは10~11月分
図表9.主要観光施設・ゴルフ場入場者数の動向
(%)
20
主要観光施設(前年同期比)
15
リゾートホテルは、後半は好調に推移
した(図表8)。
10
主要観光施設の入場者数は好調に推
5
移した。ゴルフ場の入場者数は、夏場
0
に台風の影響を受けたが、価格設定の
-5
見直しや県外客の増加などを背景に全
体では堅調に推移した(図表9)。
7.9
6.7
1.7
0.7
主要ゴルフ場(前年同期比)
-10
10
11
12
13
14
13/1
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
14/1
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考)1.りゅうぎん総合研究所調べ。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
5
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
(4)雇用
雇用情勢は改善傾向が続く
図表 10.完全失業率、就業者数の推移
(%)
9
14 年の雇用情勢は、求人数の増加に
完全失業率
(左目盛)
(千人)
就業者数
(月平均、右目盛)
640
8
伴い単月の有効求人倍率が本土復帰後
620
600
7
580
最高値の 0.77 倍を記録し、
就業者数も
6
増加したことで改善傾向が続いた。
完全失業率(季調値)は、5.5%とな
5
り、前年の 5.8%より改善する見込み
4
である。
3
560
520
500
480
99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
就業者数は、運輸業、郵便業、建設
業、学術研究、専門・技術サービス業
などで減少したものの、卸売業・小売
540
5.5
(年)
(備考)1.沖縄県「労働力調査報告」により作成。
2.14年の値は、1~11月までの平均。
図表 11.雇用者数、企業の雇用人員判断の動向
業、公務、教育、学習支援業、複合サ
ービス業、医療・福祉などの業種で増
(ポイント)
30
(%)
10
雇用者数(前年比、左目盛)
加したことから全体では前年を上回る
20
見込みである(図表 10)。
日銀短観による企業の雇用人員に対
10
0
0
する過不足判断をみると、製造業、非
-10
製造業ともに不足超となっており、足
元ではマイナス 25 ポイントと大幅な
-20
-10
10
不足感がみられる(図表 11)
。
特に、好調な入域観光客を背景に宿
泊業や飲食サービス業などを中心に幅
広い業種で人手不足が広がった。
労働需給の動向をみると、
求人数は、
医療・福祉、宿泊業、飲食サービス業、
12
13
-30
14
(年)
図表 12.求人、求職、有効求人倍率の推移
(倍)
0.80
有効求人倍率(左目盛)
0.70
娯楽業など多くの業種で増加したこと
0.60
有効求人倍率は、求人数の増加に伴い
11
(備考)1.日本銀行那覇支店「県内主要企業短期経済観測調査」、
沖縄県「労働力調査」により作成。
2.値は四半期ベース。最新値は、雇用者数は14年10~11月の
前年同期比、雇用人員判断DIは14年12月調査結果。
運輸業・郵便業、生活関連サービス業・
から前年を上回る見込みである。
また、
雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」、右目盛)
(%)
40
有効求人数
(前年同期比、右目盛)
30
20
0.50
有効求職者数
(前年同期比、右目盛)
0.40
10
0
0.30
上昇する見込みである(図表 12)
。
-10
0.20
-20
0.10
-30
0.00
10
11
12
13
14
13/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ 14/Ⅰ Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
(年/期)
(備考)1.沖縄労働局「雇用の動き」により作成。
2.14年は1~11月の値。14/Ⅳは10~11月の値。
6
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
(5)企業動向
業況は改善、設備投資は堅調
14 年の県内企業の動向は、設備投資
図表 13.業況判断、資金繰り判断の推移
(%)
30
業況判断DI
20
が堅調な動きを続け、倒産件数は前年
に引き続き低い水準で推移した。
10
県内主要企業の業況は、日銀短観の
0
業況判断DIの直近の調査(14 年 12
-10
月)によると、サービス、飲食店・宿
-20
泊などで「良い」超幅が大幅に拡大し
たほか、全業種でも企業の業況感は好
調に推移した。年を通してもみても4
回の短観全てにおいて全国で唯一
20%ポイントを超え、高水準を維持し
た。また、企業の資金繰りも、
「良い」
超が拡大し改善が続いた(図表 13)。
このような状況下、14 年度の県内主
-30
2000 01
ービスでの消費税増税前の駆け込み需
要の反動減などがみられたことから前
年を下回り、全産業(14.7%減)にお
いても前年を下回った(図表 14)
。た
だし、設備投資計画の保有率は7割超
と投資マインドは高まっている。
企業倒産は、件数は 78 件(1.3%減)
と前年より1件減少した。
負債総額は、
101 億 1,200 万円で景気拡大や大型倒
産が多く発生していた前年の反動など
により、前年比 74.7%の減少と過去2
番目に低い水準となった(図表 15)。
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(年)
製造業
80
60
20
や運輸での大型設備投資の一段落、サ
04
(%)
100
をみると、製造業(32.8%増)では食
力・ガスが増加したものの、卸・小売
03
図表 14.設備投資の動向
40
トの大きい非製造業(14.0%減)で電
02
(備考)1.日本銀行那覇支店「主要企業短期経済観測調査」により作成。
2.値は全産業、四半期ベース。最新値は14年12月調査結果。
要企業の設備投資計画
(14 年 9 月調査)
料品などで前年を上回ったが、ウエイ
資金繰り判断DI
0
-20
非製造業
全産業
-40
-60
2000 01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(備考)1.沖縄振興開発金融公庫「設備投資計画調査報告」による。 (年度)
2.設備投資額の伸び率の推移。13年度までは実績。14年度は計画。
図表 15.企業倒産件数の推移
(%)
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120
-140
-160
-180
400
沖縄(前年比)
350
300
250
(件)
200
全国(前年比)
150
沖縄(実数)
100
50
0
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(年)
(備考)1.東京商工リサーチ「全国企業倒産状況」、東京商工リサーチ沖縄
支店「沖縄県下企業整理倒産」により作成。
2.全国(前年比)の14年は、14年1~11月の前年同期比。
7
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
2015年の展望
新設住宅が貸家の建築需要や企業の設備投資
拡大の動きが強まる
意欲が高いことなどから、全体では概ね好調な
2015 年の国内経済は、前年 10 月の消費税増
動きとなることが見込まれる。
税の先送りや金融緩和政策の継続、4月の消費
税増税後の景気の弱含みに対応する補正予算
公共工事は、沖縄振興予算が前年度(3,460
執行などから特に個人消費が再活性化され、回
億円)を下回ることが予想されるものの、既往
復の足取りが確かなものとなろう。
の那覇空港滑走路増設工事やモノレール延伸
県内経済を展望すると、消費関連が人口・世
工事といった大型案件の遂行に必要な予算額
帯数や新設店効果などから好調に推移するも
は投じられると予想されることから、好調を維
のとみられ、観光も景気回復や外国客の旺盛な
持するものとみられる。民間工事では、住宅着
旅行需要などから好調に推移するものとみら
工は持家、分譲において人口・世帯数の増加を
れる。また、建設関連も公共工事における大型
背景とした需要や住宅ローン低金利、税制優遇
案件の本格稼働などから概ね好調な動きにな
などの後押しが見込まれ、貸家の建築需要も引
ることが見込まれ、全体として拡大の動きが強
き続き見込まれることから堅調に推移するも
まって推移するものとみられる。
のとみられる。また、非居住用は景気の拡大か
ら企業の設備投資意欲も高水準を維持するこ
個人消費は、好調な動きになるものとみられ
る。スーパー・百貨店売上高は、人口・世帯数
とが見込まれ、堅調に推移するものとみられる。
の増加に加え、大型商業施設の開業や店舗リニ
観光関連は、引き続き好調に推移することが
ューアル効果などにより好調に推移するとみ
予想される。入域観光客数は、景気回復や外国
られる。また、外国人観光客に対する免税対象
客の旺盛な旅行需要を背景に前年を上回ると
品目の拡充効果などもプラスに寄与しよう。耐
みられる。国内客は、航空路線の拡充やLCC
久消費財については、新車販売台数は、新型車
の下支え、円安に伴い割高感のある海外旅行か
投入効果などから堅調な動きを続け、家電製品
ら国内旅行へ需要がシフトしていることなど
卸売は、年前半は太陽光発電システムの需要減
に加え、国内景気の回復などから前年を上回っ
少が影響し、弱い動きになることが予想される
て推移しよう。外国客は、円安に加え航空路線
が、一巡する年後半は堅調な動きになるものと
の拡充やクルーズ船寄航の増加などによりさ
みられる。
らに前年を上回ることが予想される。また、小
個人消費を取り巻く環境についてみると、人
売業の免税対応が外国客の増加を促すものと
口・世帯数の増加や名目賃金が上昇を続けると
みられる。ホテルは、入域観光客数が前年を上
みられることなどから消費マインドが向上す
回ることから売上高の増加が見込まれる。15 年
るものとみられる。
以降も大型ホテルの新規開業が予定されてお
り、観光産業の更なる発展が期待される。08 年
建設関連は、公共工事は前年比減少が予想さ
のリーマンショック以降下降傾向であった客
れるものの比較的高水準を維持し、民間工事は
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「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
室単価は 14 年後半からようやく持ち直しの動
おける人手不足への対応などが挙げられよう。
きとなった。15 年はさらに客室単価上昇の機運
雇用情勢は、改善が続くものとみられる。公
が高まり、那覇市内、リゾートともに単価上昇
共工事や民間企業の設備投資が活発となるこ
が見込まれる。主要観光施設の入場者数は、外
とや観光産業などが引き続き好調に推移する
国客の旺盛な旅行需要を背景にさらなる増加
見込みであることなどから、雇用情勢は回復基
が見込まれる。観光関連における今後の課題と
調が続くと予想される。
して、観光客一人当たりの県内消費額の増加な
企業倒産は、引き続き県内経済も拡大が見込
ど質の面での対応、季節によりばらつきがみら
まれることなどから、落ち着いた動きで推移す
れる観光客数のボトム期の底上げ、宿泊施設に
るとみられる
(以上)
主要指標でみる2014年の動向
建設関連
消費関連
20
その他
観光関連
2013年
2014年
15
10
5
0
-5
-10
ス
パ
ー(
パ
既
存
店
全
ス
ー
ー
ー(
百
貨
店
)
)
店
新
車
販
売
電
気
製
品
卸
売
公
共
工
事
請
負
額
建
築
受
注
額
セ
メ
ン
ト
鋼
木
材
材
入
域
観
光
客
数
ホ
テ
ル
稼
働
率
ホ
テ
ル
売
上
高
観
光
施
設
入
場
者
数
ゴ
ル
フ
場
入
場
者
数
県
内
新
規
求
人
数
(注)2014年は1-11月の前年同期比。倒産件数は1-12月比、広告収入は1-10月比。
数値は前年同期比(%)、ホテル稼働率(%ポイント)、企業倒産件数(件)は前年度差。
9
企
業
倒
産
件
数
広
告
収
入
「沖縄県経済 2014 年の回顧と 2015 年の展望」
2014年の沖縄県経済の動向(付表)
増減率(%)
2013年
2014年
1.消費関連
(1) 百
貨
店 (金額)
(2) ス ー パ ー ( 既 存 店 ) (金額)
(3) ス ー パ ー ( 全
店 ) (金額)
(4) 新
車
販
売 (台数)
(5) 電 気 製 品 卸 売 (金額)
2.5
1.0
3.4
7.1
18.1
5.6
2.6
3.4
6.6
▲ 4.8
2.建設関連
(1) 公 共 工 事 請 負 金 額 (金額)
(2) 建 築 着 工 床 面 積 (m2)
(3) 新 設 住 宅 着 工 戸 数 (戸)
(4) 建
設
受
注
額 (金額)
(5) セ
メ
ン
ト (トン数)
(6) 生
コ
ン (m3)
(7) 鋼
材 (金額)
(8) 木
材 (金額)
12.2
20.8
30.7
11.3
8.9
13.1
15.2
10.3
8.7
▲ 3.8
▲ 7.4
9.3
18.2
4.6
10.0
9.8
3.観光関連
(1) 入 域 観 光 客 数 (人数)
う ち 外 国 人 客 数 (人数)
(2) 県 内 主 要 ホ テ ル 稼 働 率
(3)
〃
売 上
(4) 観 光 施 設 入 場 者
(5) ゴ ル フ 場 入 場 者
(6)
〃
売 上
(実数)
(前年差)
高 (金額)
数 (人数)
数 (人数)
高 (金額)
4.雇用その他
(1) 失
業
率
(2) 県 内 新 規 求 人 数 (人数)
(3) 有 効 求 人 倍 率 ( 季 調 値 )
(4) 企 業 倒 産 件 数 (件数)
(実数)
(実数)
(実数)
(前年差)
(5) 消 費 者 物 価 指 数 ( 総 合 )
(6) 広告収入(県内マスコミ) (金額)
9.9
46.2
74.7 (実数)
6.0 (前年差)
4.0
9.2
3.5
4.9
10.3
61.1
79.4
6.0
5.1
6.7
0.7
3.3
5.8 (実数)
17.0
0.53 (実数)
79 (実数、1-12月)
8 (前年差)
0.3
0.4 (1-10月)
5.5
14.2
0.69
78
▲1
2.5
3.7
(資料)公共工事請負額は西日本建設業保証株式会社沖縄支店。建築着工床面積、新設住宅着工戸数は国土
交通省。県内新規求人数、有効求人倍率は沖縄労働局。入域観光客数、失業率、消費者物価指数は沖縄県。
企業倒産件数は東京商工リサーチ沖縄支店。2014 年は 1-11 月の前年同期比。
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