改訂1追加分

 3 項間の漸化式とは,具体的には a n + 2 + pa n + 1 + qa n = 0 ( n = 1 ,2 ,3 ,… )
( p ,q : 定 数 ) の形の 漸 化 式 の こ と で,実際に 3 項 a n と a n 1 と a n 2 の関係式に
+
+
なっている。
空間ベクトル
この場 合 , 初 項 a 1 だ けでなく,第 2 項 a 2 の値も与 え ら れ る 。
具体例を出しておこう。
{
a1 = 1,a2 = 5
p = − 5 ,q = 6 の場合
a n + 2 − 5 a n + 1 + 6 a n = 0 ………① ( n = 1 , 2 , 3 ,… )
講義
①を変 形 し て , a n + 2 = 5 a n + 1 − 6 a n ………① ´となる ね 。そ し て ,
a 3 = 5 a 2 − 6 a 1 = 5・5 − 6・1 = 2 5 − 6 = 1 9
1
a 4 = 5 a 3 − 6 a 2 = 5・1 9 − 6・5 = 9 5 − 3 0 = 6 5
19
講義
5
・n = 3のときも同様に
a 5 = 5 a 4 − 6 a 3 = 5・6 5 − 6・1 9 = 3 2 5 − 11 4 = 2 11
…………………………………………
…………………
と,こ の 後 も a 6 , a 7 , a 8 ,…を,その前の 2 項の 値 か ら ① ´を 使 っ て 求 め て
いける こ と が 分 か っ たと思う。
では , こ の 一 般 項 a n はどのように求めるのか ? そ の 手 順 を ① の 例 題 を
使って解説していこう。
まず, a n + 2 − 5 a n + 1 + 6 a n = 0 …①の漸化式の a n + 2 に x 2 を , a n + 1 に x を ,
x2
x
確率分布と統計的推測
・ n = 2 の と き , a n + 2 = a 2 + 2 = a 4 , a n + 1 = a 2 + 1 = a 3 , a n = a 2 よ り ① ´は ,
数列
・ n = 1 の と き , a n + 2 = a 1 + 2 = a 3 , a n + 1 = a 1 + 1 = a 2 , a n = a 1 よ り ① ´は ,
5
1
2
3
4
平面ベクトル
● 3 項間の漸化式にもチャレンジしよう!
1 を代入する
そして a n に 1 を 代 入 してできる次の 2 次方程式② を 特 性 方 程 式 と 呼 ぶ 。
x 2 − 5x + 6 = 0 … ② これを解いて
特性方程式
( x − 2 )( x − 3 ) = 0 より, x = 2 , 3
155
この特性方程式②の解 x = 2,3を用いると,
{
a1 = 1,a2 = 5
a n + 2 − 5 a n + 1 + 6 a n = 0 …①
x 2 − 5 x + 6 = 0 …………②
②の解 x = 2,3
①の 3 項 間 の 漸 化 式 か ら,次のように 2 つの
等 比関数列型の漸化式を導くことができる。
a n + 2 − 2・a n + 1 = 3 ( a n + 1 − 2・a n ) ……③
[ F(n + 1)
]
a n 2 − 3・a n 1 = 2 ( a n 1 − 3・a n ) ……④
[ G ( n + 1 ) = 2 ・ G ( n ) ]
+
= 3・ F ( n ) +
+
・ ③ に つ い て , こ れを変形すると,
a n + 2 − 2 a n + 1 = 3 ( a n + 1 − 2 a n ) 右辺を左辺に移項して
3a n + 1 − 6a n
a n +2 − 2 a n +1 − 3 a n +1 + 6 a n = 0
a n + 2 − 5 a n + 1 + 6 a n = 0 となって,ナルホド①と一 致 す る 。
ま た , F ( n ) = a n + 1 − 2 a n とおくと, F ( n + 1 ) = a
n+1+1
n +2
− 2 a n +1
となるので,
n の代わりに,n + 1 を代入したもの
③ は , 等 比 関 数 列型漸化式 F ( n + 1 ) = 3・F ( n ) になっていることも分かる。
同様に,
・ ④ に つ い て も , これを変形すると,
a n + 2 − 3 a n + 1 = 2 a n + 1 − 6 a n より,
a n + 2 − 5 a n + 1 + 6 a n = 0 となって,ナルホド①と一致す る 。
ま た ,G ( n ) = a n + 1 − 3 a n とおくと, G ( n + 1 ) = a
n+1+1
n +2
− 3 a n +1
となるので,
n の代わりに,n + 1 を代入したもの
④ も 等 比 関 数 列 型漸化式 G ( n + 1 ) = 2・G ( n ) になっている。
後は , ア ッ と い う 間に一般項が求まるんだよ。
a 1 +1 = 5
1
③よ り , a n + 1 − 2 a n = ( a 2 − 2・ a 1 )・3
[ F(n)
=
F(1)
・ 3
n−1
n−1
= ( 5 − 2 )・3
]
n−1
=3
n
……………③ ´
F ( n ) = a n + 1 − 2 a n の n に n = 1 を代入したもの が F ( 1 ) = a 2 − 2 a 1 だ 。
1+1
156
1
{
[ G(n)
=
G(1)
・ 2
n−1
]
……………④´
以上よ り ,
空間ベクトル
a n + 1 − 2 a n = 3 n … … ③´
a n + 1 − 3 a n = 2 n … … ④´ から
③ ´ − ④ ´ を 求 め る と , a n+1 − 2 a n − ( a n+1 − 3 a n) = 3 n − 2 n よ り
− 2a n + 3a n = a n
一般項 a n = 3 − 2
n
n
( n = 1 ,2 ,3 ,… ) が求まるんだ ね 。 面 白 か っ た ?
講義
何 で F ( n + 1 ) = r ・F ( n ) の 形 の 漸 化 式 が 出 来 る ん だ … な ど な ど , 疑 問 が
次々に 浮 か ん で き て ると思う。これから,詳しく 解 説 し て お こ う 。
( p ,q :定 数 ) が 与 えられたら,ボク達は,これを 変 形 し て 2 つ の 定 数 α ,
{
β を用 い て , 次 の 2 つの等比関数列型の漸化式に も ち 込 み た い ん だ ね 。
a n + 2 − α・a n + 1 = β ( a n + 1 − α・a n ) ……( b )
= β ・ F ( n ) ]
[ G(n + 1)
= α ・ G ( n ) ]
a n + 2 − β・a n + 1 = α ( a n + 1 − β・a n ) ……( c )
この ( b ) , ( c ) は , い ずれもまとめると,同じ式:
a n + 2 − (α + β ) a n + 1 + αβ a n = 0 ……( d ) となるの は 大 丈 夫 だ ね 。
p
q 1
x
x2
そして , こ の ( d ) は , ( a ) と一致するので,
p = − (α + β ) , q = αβ となる。ここで
この ( d ) の a n + 2 に x 2 を, a n + 1 に x を,そして a n に 1 を 代 入 す る と ,
特 性 方 程 式 x 2 − (α + β ) x + αβ・1 = 0 ……( e ) が 導 け る ね。 そ し て, こ れ
を解く と ,
( x − α ) ( x − β ) = 0 よ り, x = α ,β となる。
つま り ( d ) , す な わ ち ( a ) から導いた特性方程式 ( 2 次 方 程 式 )( e ) は ,
157
確率分布と統計的推測
一般に , 3 項 間 の 漸 化 式 a n + 2 + p a n + 1 + q a n = 0 ……( a ) ( n = 1 ,2 ,3 ,… )
数列
で も , 今 キ ミ 達 の 頭 の 中 で は, 3 項 間 の 漸 化 式 の 特 性 方 程 式 っ て 何 !?
[ F(n + 1)
1
2
3
4
平面ベクトル
a 1 +1 = 5
④より , a n + 1 − 3 a n = ( a 2 − 3・ a 1 )・2 n − 1 = ( 5 − 3 )・2 n − 1 = 2 n
講義
たま た ま だ け れ ど , F ( n + 1 ) = β F ( n ) …( b ) と G ( n + 1 ) = α G ( n ) …( c ) を
3
3
3
3
3
3
3
3
作る の に 必 要 で 大事な定数 α ,β を解にもつ方 程 式 に な る ん だ ね 。
これ で 謎 は す べ てクリアになったと思う。
それ で は , 次 の 練習問題で実践練習しておこう 。
33 項間の漸化式
項間の漸化式
練習問題 34
1
CHECK
2
CHECK
3
CHECK
次の 漸 化 式 を 解 け 。
( 1 ) a 1 = 1 , a 2 = 7 a n
+2
− 7 a n+1 + 1 2 a n = 0
( n = 1 ,2 ,3 ,…)
( 2 ) a 1 = 1 , a 2 = 2 a n
+2
− 2 a n+1 − 3 a n = 0
( n = 1 ,2 ,3 ,…)
3 項 間 の 漸 化 式 の 問 題 な の で, a n + 2 に x 2 を, a n + 1 に xを , a n に 1 を 代 入 し た 特 性 方 程
式 を 解 い て , そ の 解を使って等比関数列型の 漸 化 式 を 2 つ 作 れ ば い い ん だ ね 。 後 は
ア ッと い う 間 に 解 けるからね。
(1) a1 = 1,a2 = 7
a n + 2 − 7 a n + 1 + 1 2 a n = 0 ……① ( n = 1 ,2 ,3 ,…) と お く 。
x2
{
{
x
1
① の 特 性 方 程 式: x 2 − 7 x + 1 2 = 0 を解い て ,
( x − 3 )( x − 4 ) = 0 ∴ x = 3 , 4
こ の 解 3 と 4 を 用いて,①を変形すると,
a n + 2 − 3・a n + 1 = 4 ・( a n + 1 − 3・a n )
[ F ( n + 1 )
= 4・
F ( n ) ]
[ G ( n + 1 )
= 3・
G ( n ) ]
a n + 2 − 4・a n + 1 = 3・( a n + 1 − 4・a n )
よって,
7
1
a n + 1 − 3 a n = ( a 2 − 3 a 1 )・4 n − 1
[ F ( n )
= F ( 1 ) ・4
n−1
7
1
a n + 1 − 4 a n = ( a 2 − 4 a 1 )・3
[ G ( n )
158
= G ( 1 ) ・3
アッ !
]
n−1
n−1
]
という間
{
n
n
a n + 1 − 4 a n = 3 ……③ より,
n
n
② − ③ を 求 め て ,一般項 a n = 4 − 3 ( n = 1 ,2 ,3 ,…) と な る 。
(1) a1 = 1,a2 = 2
x
①の 特 性 方 程 式 : x 2 − 2 x − 3 = 0 を解いて,
( x − 3 )( x + 1 ) = 0 ∴ x = 3 , − 1
この 解 3 と − 1 を用いて,④を変形すると,
a n + 2 − 3・a n + 1 = − 1・( a n + 1 − 3・a n )
[ F ( n + 1 )
= − 1・
[ G ( n + 1 )
= 3・
an+2−(−1)an+1=3・{an+1−(−1)・an}
F(n) ]
a n + 2 + 1・a n + 1 = 3・( a n + 1 + 1・a n )
よっ て ,
2
G(n) ]
1
a n + 1 − 3 a n = ( a 2 − 3 a 1 )・( − 1 )
[ F ( n )
= F ( 1 ) ・( − 1 )
2
1
a n + 1 + a n = ( a 2 + a 1 )・3
[ G(n)
∴
{
= G ( 1 ) ・3
アッ !
n−1
n−1
講義
]
という間
n−1
n−1
]
a n + 1 − 3 a n = ( − 1 ) ……⑤
a n + 1 + a n = 3
n
n
…………⑥ より,
n
n
⑥ − ⑤から,4an = 3 − (− 1)
1
4
n
n
よっ て , 求 め る 一般項 a n は, a n = − { 3 − ( − 1 ) } ( n = 1 ,2 ,3 ,…)
とな っ て , 答 え だ。面白かった ?
講義
確率分布と統計的推測
{
1
数列
{
空間ベクトル
a n + 2 − 2 a n + 1 − 3 a n = 0 ……④ ( n = 1 ,2 ,3 ,…) と お く 。
x2
1
2
3
4
平面ベクトル
∴
a n + 1 − 3 a n = 4 ……②
以上 で , 数 列 の 漸 化式の講義も終了です! エッ , 骨 が 折 れ た っ て !?
そうだね。特に,今日の講義は内容満載だったからね。だから, 1 回で理解
しようと気負う必要はないよ。 2 回, 3 回…と繰り返し練習してマスターし
ていこう!
では, 次 回 で 数 列 も 最終回だけれど,みんな元気 で な 。 バ イ バ イ …。
159